コラム 就労ビザ

就労ビザ更新の条件を完全ガイド|転職した場合や必要書類も行政書士が解説

行政書士 松浪 正治

ビザ申請を専門にしている大阪府枚方市の行政書士です。 オンライン申請により全国対応可能です。

日本で働き続けるために不可欠な就労ビザ(在留資格)の更新。更新時期が近づくにつれて、「自分の場合は無事に更新できるだろうか?」「転職したばかりだけど、手続きはどうすればいい?」「どんな書類を準備すればいいのか分からない…」といった不安や疑問を感じていませんか。就労ビザの更新は、数年に一度の重要な手続きでありながら、その条件やプロセスは複雑で多くの方が戸惑うポイントです。もし申請内容に不備があったり、知らず知らずのうちに条件を満たしていなかったりすると、最悪の場合「不許可」となり、日本でのキャリアが途絶えてしまう可能性もゼロではありません。結論から申し上げますと、就労ビザ更新を成功させるための最も重要な鍵は、出入国在留管理庁が定める審査の基本条件を正しく理解し、ご自身の現在の状況(職務内容、会社の規模、納税状況など)に合わせて、求められる書類を正確かつ不備なく準備することに尽きます。特に、日頃の納税義務の履行や、転職した際の「所属機関に関する届出」といった手続きは、審査官が厳しくチェックするポイントであり、この点を軽視したことが不許可に直結するケースも少なくありません。この記事では、就労ビザの更新を控えるすべての方が抱える不安を解消し、自信を持って申請に臨めるよう、入管業務を専門とする行政書士が、更新の条件から具体的な手続きの進め方までをガイドします。まず、すべての申請者に共通する「最も重要な7つの基本条件」を一つひとつ分かりやすく解説し、ご自身が基準を満たしているかを確認できるようにします。さらに、多くの方が悩む「転職した場合」に特有の条件や注意点、更新が不許可になりやすい典型的なパターンを具体的に示し、リスクを回避する方法を伝授します。手続きで最もつまずきやすい必要書類についても、会社のカテゴリー(規模)別、転職の有無といったパターン別に一覧化しているため、あなたが必要な書類が一目で分かります。申請手続きの流れや審査期間、万が一不許可になった場合の対処法まで網羅的に解説しているので、この記事を最後までお読みいただければ、就労ビザ更新に関する疑問が解決し、ご自身の状況に合わせた最適な準備を進めることができます。

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1. 就労ビザの更新で最も重要な7つの基本条件

就労ビザ(在留資格)の更新は、日本に滞在し続けるために不可欠な手続きですが、自動的に許可されるわけではありません。出入国在留管理局(通称:入管)は、申請者一人ひとりの状況を厳格に審査します。ここでは、その審査で特に重要視される7つの基本条件について、具体的に解説します。

1.1 条件1 在留資格に該当する活動を行っていること

最も基本的な条件は、現在保有している在留資格で許可されている活動を、偽りなく行っていることです。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている場合、エンジニア、通訳、マーケティング、経理といった専門的な知識や技術を活かした業務に従事している必要があります。

もし、許可された業務範囲を外れ、レストランでの接客や工場での単純作業といった活動を主に行っている場合、在留資格外活動とみなされ、更新が不許可になる可能性が極めて高くなります。

1.2 条件2 今後の活動の安定性と継続性が見込まれること

申請者本人の活動だけでなく、所属している会社(雇用主)の経営状態も審査の対象となります。今後も安定して日本で活動を継続できるか、という観点から、会社の事業の安定性・継続性が評価されます。

具体的には、会社の決算書(貸借対照表や損益計算書)がチェックされます。大幅な赤字が続いていたり、債務超過に陥っていたりするなど、会社の経営状態が著しく悪い場合は、雇用の継続が難しいと判断され、更新が認められないことがあります。

1.3 条件3 素行が善良であること(法律違反や納税義務違反がない)

日本で生活する一員として、日本の法律を遵守し、社会のルールを守って生活していることが求められます。これを「素行要件」と呼びます。懲役、禁錮、罰金などの刑罰を受けたことがある場合は、素行が善良でないと判断され、更新は非常に難しくなります。

1.3.1 納税状況は特に重要視される

素行要件の中でも、納税義務をきちんと果たしているかは厳しく審査されます。住民税や国民健康保険料などの公租公課に未納や滞納があると、更新が不許可となる最大の原因の一つとなります。申請前に必ず自身の納税状況を確認し、もし未納があれば速やかに完納してください。

主な審査対象となる税金・社会保険料説明
住民税(特別区民税・都民税など)前年の所得に対して課される税金。会社員の場合は給与から天引き(特別徴収)されますが、転職時などに自分で納付(普通徴収)する期間がある場合は注意が必要です。
所得税国に納める税金。通常は源泉徴収されますが、確定申告が必要な場合もあります。
国民健康保険料・国民年金保険料会社の社会保険に加入していない場合に、自分で納付する義務があります。滞納は審査に大きく影響します。

1.3.2 交通違反も審査に影響する可能性

駐車違反や一時停止違反といった軽微な交通違反が数回程度であれば、直ちに不許可になることは少ないです。しかし、違反の回数が多い場合や、飲酒運転、大幅なスピード違反、無免許運転といった悪質な違反がある場合は、素行不良と判断され、審査に大きなマイナス影響を与えます。

1.4 条件4 独立して生計を営める資産または技能があること

公的な支援に頼ることなく、日本で安定した生活を送れるだけの収入や資産があることが必要です。この基準は、申請者の給与額によって判断されることが一般的です。

明確な金額が公表されているわけではありませんが、日本人と同等額以上の報酬を得ていることが一つの目安となります。また、扶養している家族がいる場合は、その人数に応じてより高い収入が求められます。収入が低すぎると、生活の安定性に欠けると判断される可能性があります。

1.5 条件5 雇用・労働条件が適切であること

申請者が働く会社の労働条件が、労働基準法などの日本の労働関係法令を遵守していることも審査されます。給与、労働時間、休日、休暇などが雇用契約書通りに守られており、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務がある場合は適切に加入している必要があります。

不当な低賃金や、違法な長時間労働、社会保険の未加入といった問題が発覚した場合は、更新が不許可になることがあります。

1.6 条件6 届出等の義務を履行していること

出入国管理及び難民認定法(入管法)で定められている届出義務を、きちんと履行しているかどうかも確認されます。これらの届出を怠っていると、法律違反とみなされ審査で不利になることがあります。

  • 所属機関に関する届出:会社を退職したり、新しい会社に転職したりした場合に、14日以内に行う届出。
  • 住居地の届出:引越しをして住所が変わった場合に、14日以内にお住まいの市区町村役場で行う届出。

特に転職後の「所属機関に関する届出」は忘れがちですが、更新時に必ずチェックされる重要な義務です。

1.7 条件7 日本国の利益に適合すること

これは、上記の条件1から6までを総合的に審査した上で、法務大臣が「その者の在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由がある」と判断するための、包括的な要件です。

特別な事情がない限り、ここまでに挙げた6つの基本条件をすべてクリアしていれば、この「日本国の利益に適合する」という条件も満たされると解釈してよいでしょう。

2. 転職した場合の就労ビザ更新の条件と注意点

転職はキャリアアップの大きなチャンスですが、就労ビザを持つ外国人にとっては在留資格の更新に影響を与える重要なイベントです。基本の7つの条件に加えて、転職時には特有の審査ポイントが加わります。ここでは、転職後のビザ更新を成功させるための条件と、見落としがちな注意点を詳しく解説します。

2.1 転職後に就労ビザを更新する際の追加条件

転職をして就労ビザを更新する場合、通常の更新審査で問われる基本条件を満たしていることに加え、特に以下の2点が厳しく審査されます。

2.1.1 新しい職務内容が在留資格の範囲内であること

最も重要なのは、転職先の業務内容が、現在保有している在留資格で許可されている活動の範囲内であることです。例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ人が、ITエンジニアから海外取引の営業職に転職する場合は、同じ在留資格の範囲内と判断される可能性が高いです。しかし、同じ人がレストランの調理師やホールスタッフに転職する場合、活動内容が異なるため、原則として更新は許可されません。その場合は、事前に「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。

2.1.2 新しい会社の安定性・継続性が認められること

出入国在留管理局は、申請者が今後も安定して日本で生活できるかを確認するため、転職先企業の経営状態も審査します。事業の安定性や継続性が認められないと、更新が不許可になるリスクがあります

特に、設立間もないスタートアップ企業や、決算が赤字続きの企業へ転職した場合は注意が必要です。なぜその会社で働く必要があり、今後どのように会社が成長し、ご自身の雇用が維持されるのかを、事業計画書や理由書などで具体的に説明することが求められます。

2.2 転職後に必要な「所属機関に関する届出」とは

前の会社を退職したり、新しい会社に入社したりした場合、14日以内に「所属(契約)機関に関する届出」を出入国在留管理庁へ提出する義務があります。これはビザ更新時まで待つのではなく、転職後すぐに行わなければならない手続きです。

この届出を怠ると、ビザ更新申請が不許可になったり、悪質なケースでは在留資格が取り消されたりする可能性もあります。届出は、出入国在留管理庁電子届出システムを利用したオンラインでの手続きが便利です。

項目内容
届出の名称所属(契約)機関に関する届出
届出のタイミング前の会社を退職した日、または新しい会社に入社した日から14日以内
届出先出入国在留管理庁(地方官署窓口、オンライン、東京出入国在留管理局への郵送)
届出を怠った場合のリスク在留期間の更新が不許可になる、在留資格が取り消される可能性がある

2.3 転職で更新が不許可になりやすいケース

転職が理由で就労ビザの更新が不許可となるケースには、いくつかの典型的なパターンがあります。ご自身の状況が当てはまらないか、事前に確認しておきましょう。

不許可になりやすいケース審査で問題となるポイント
「所属機関に関する届出」を提出していない届出義務違反とみなされ、素行不良と判断されます。
転職後の仕事内容が在留資格の範囲外である在留資格で許可された活動を行っていないと判断されます。
転職先の経営状態が著しく悪い活動の安定性・継続性がないと判断されます。
前職の退職から無職の期間が3ヶ月以上ある正当な理由なく活動を行っていない期間が長いと、在留資格取消しの対象にもなり得ます。
給与が大幅に下がり、生計維持が困難と判断される独立生計要件を満たしていないと判断されます。

これらのケースに該当する場合でも、合理的な理由を説明することで許可される可能性はあります。しかし、不許可のリスクは高まるため、申請には細心の注意が必要です。

3. 【パターン別】就労ビザ更新の必要書類一覧

就労ビザの更新に必要な書類は、申請者全員が用意するもの、所属する会社が用意するものに大別されます。特に、会社が用意する書類は、会社の規模や信頼性を示す「カテゴリー」によって大きく異なります。ここでは、ご自身の状況に合わせて必要な書類がわかるよう、パターン別に詳しく解説します。

3.1 申請者本人が準備する書類

まず、会社のカテゴリーや転職の有無にかかわらず、申請者ご本人が必ず準備しなければならない基本的な書類です。これらは更新申請の土台となるため、不備のないように揃えましょう。

3.1.1 在留期間更新許可申請書

申請の核となる書類です。出入国在留管理庁のウェブサイトからダウンロードできます。申請書は「申請人等作成用」と「所属機関等作成用」に分かれており、ご自身で記入する部分と、会社に記入してもらう部分があります。記載内容に間違いや矛盾がないよう、提出前に必ず確認してください。

3.1.2 写真(縦4cm×横3cm)

申請書に貼り付けるための証明写真です。申請前3ヶ月以内に撮影した、無帽・無背景で鮮明なものを用意する必要があります。写真の裏には氏名を記入し、申請書の写真欄に剥がれないようにしっかりと貼り付けましょう。

3.1.3 パスポート及び在留カード

申請時には、パスポート(旅券)と在留カードの原本を提示する必要があります。

3.2 会社側が準備する書類(会社のカテゴリー別)

所属する会社が準備する書類は、出入国在留管理庁が定める4つの「カテゴリー」によって異なります。このカテゴリーは、企業の規模や経営の安定性を示すもので、カテゴリー1が最も信頼性が高く、提出書類が簡素化されます。一方、カテゴリー4は新設法人などが該当し、多くの証明資料が求められます。

3.2.1 カテゴリー1・2の企業の場合

カテゴリー1(日本の証券取引所に上場している企業など)とカテゴリー2(前年の給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上の企業)に所属している場合、提出書類は大幅に簡略化されます。これは、企業の安定性や信頼性が公的に認められているためです。

書類名備考
所属機関等作成用の在留期間更新許可申請書会社の担当者が作成します。
【カテゴリー1のみ】四季報の写しまたは上場を証明する文書上場企業であることを証明します。
【カテゴリー2のみ】前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表毎年1月31日までに管轄の税務署長に提出します。

3.2.2 カテゴリー3・4の企業の場合

カテゴリー3(カテゴリー2以外の、法定調書合計表を提出している企業)とカテゴリー4(新設法人や個人事業主など、上記いずれにも該当しない場合)では、会社の経営状況をより詳しく証明するための書類が必要となります。特にカテゴリー4の場合は、事業の安定性・継続性を客観的に示すことが審査の重要なポイントになります。

書類名備考
所属機関等作成用の在留期間更新許可申請書会社の担当者が作成します。
【カテゴリー3のみ】前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表毎年1月31日までに管轄の税務署長に提出します。
【カテゴリー3,4が中心】事業内容を明らかにする資料会社のパンフレットやホームページの写しなどです。
【カテゴリー3,4が中心】直近年度の決算文書の写し貸借対照表や損益計算書など。新設法人の場合は事業計画書を提出します。
申請人の住民税の課税(または非課税)証明書及び納税証明書直近1年分。納税義務をきちんと果たしているかを確認されます。

※上記は一般的な例です。個別の状況により、これ以外の書類の提出を求められる場合もあります。

3.3 転職した場合に追加で必要となる書類

転職して初めてのビザ更新を行う場合は、通常の更新書類に加えて、新しい職場での活動内容や条件を証明するための書類が追加で必要です。審査では、新しい仕事が在留資格で許可された活動の範囲内であるか、そして新しい会社の安定性に問題はないかが慎重に判断されます。

書類名備考
前職の源泉徴収票退職時に会社から受け取ります。
前職の退職証明書円満に退職したことを証明するために有効です。
新しい会社との雇用契約書の写し職務内容、給与、労働時間などが明記されたもの。
転職理由書(任意)転職の経緯や新しい仕事への意欲を説明する重要な書類です。

転職後の更新は、審査がより厳しくなる傾向があります。特に「転職理由書」は、なぜ転職が必要だったのか、新しい仕事がこれまでのキャリアとどう繋がるのかを論理的に説明する上で非常に重要です。専門家である行政書士に相談しながら作成することをおすすめします。

4. 就労ビザ更新の申請手続きの流れと期間

就労ビザの更新をスムーズに進めるためには、手続きの流れと必要期間を正確に把握しておくことが不可欠です。申請のタイミングを逃したり、審査期間を考慮せずにいると、在留資格を失うリスクも伴います。ここでは、申請時期から許可までの具体的なステップを解説します。

4.1 申請時期は在留期間満了日の3ヶ月前から

就労ビザの在留期間更新許可申請は、在留期間の満了日おおむね3ヶ月前から申請が可能です。出入国在留管理局(通称:入管)の審査には一定の時間がかかるため、余裕を持ったスケジュールで準備を始めることが重要です。特に、転職を伴う更新や書類に不備があった場合は審査が長引く傾向があるため、できる限り早く申請することをおすすめします。

万が一、在留期間の満了日ギリギリに申請すると、審査中に在留期間が切れてしまう可能性も考えられます。後述する特例期間があるとはいえ、精神的な負担も大きくなるため、計画的な申請を心がけましょう。

4.2 申請場所は住居地を管轄する出入国在留管理局

更新申請は、原則として申請者の住居地を管轄する地方出入国在留管理官署(地方出入国在留管理局、支局、出張所)の窓口で行います。例えば、東京都に住んでいる方は東京出入国在留管理局、大阪府に住んでいる方は大阪出入国在留管理局が申請先となります。ご自身の住居地がどの官署の管轄になるかは、事前に出入国在留管理庁のウェブサイトで確認してください。

また、2022年3月からは「在留申請のオンライン手続」も本格的に運用が開始されており、条件を満たせば、パソコンやスマートフォンから24時間いつでも申請が可能です。オンライン申請を利用することで、入管の窓口で長時間待つ必要がなくなるという大きなメリットがあります。利用対象者や手続きの詳細は出入国在留管理庁の公式サイトで確認できます。

4.3 申請から許可までの標準的な審査期間

出入国在留管理庁が公表している在留期間更新許可申請の標準処理期間は2週間から1ヶ月です。ただし、これはあくまで目安であり、申請者の状況や提出書類の内容、申請時期(例:3月〜4月の繁忙期)によって審査期間は大きく変動します。

特に、以下のようなケースでは審査が長引く傾向にあります。

  • 転職して初めての更新申請である場合
  • 勤務先の経営状況に変化があった場合
  • 過去に納税の遅れや法律違反があった場合

審査結果は、申請時に提出したハガキ、または封書で通知されます。許可の場合は、新しい在留カードを受け取るために再度入管へ出向く必要があります。

4.4 申請中に在留期間が過ぎてしまった場合(特例期間)

在留期間の満了日までに更新申請が受理されていれば、たとえ審査中に在留期間が過ぎてしまっても、不法滞在にはなりません。これは「特例期間」と呼ばれる制度によるものです。

特例期間中は、審査結果が出る日または元の在留期間満了日から2ヶ月を経過する日のいずれか早い日まで、現在の在留資格のまま日本に在留し、就労を続けることができます。申請が受理されると、在留カードの裏面に「在留期間更新許可申請中」というスタンプが押され、これが特例期間中であることの証明となります。

ただし、特例期間を過ぎても審査結果が出ないまま滞在を続けると不法滞在となるため、申請は必ず在留期間内に行いましょう。

項目内容
申請時期在留期間満了日のおおむね3ヶ月前から
申請場所住居地を管轄する地方出入国在留管理官署、またはオンライン
標準審査期間2週間~1ヶ月(※状況により変動)
特例期間申請が受理されていれば、結果が出るか満了日から2ヶ月後のいずれか早い日まで適法に在留可能

5. 就労ビザの更新が不許可になった場合の対処法

万が一、就労ビザの更新申請が不許可となってしまった場合でも、すぐに日本から出国しなければならないわけではありません。冷静に状況を把握し、適切な手順を踏むことが重要です。ここでは、不許可通知を受け取った後の具体的な対処法を解説します。

5.1 不許可の理由を確認する方法

更新が不許可になった場合、まず最初に行うべきことは「なぜ不許可になったのか」という具体的な理由を確認することです。理由がわからなければ、次の対策を立てることができません。

不許可の理由は、申請を行った地方出入国在留管理局の窓口で直接説明を受けることができます。電話やメールでの問い合わせには応じてもらえないため、必ず本人が出頭する必要があります。その際、在留カードと不許可通知書を持参しましょう。

担当官から説明を受ける際は、どの要件を満たせなかったのか(例:納税義務、活動の安定性、素行など)を具体的に聞き、必ずメモを取るようにしてください。この情報が、再申請や他の手続きを検討する上で最も重要な判断材料となります。

お近くの出入国在留管理局の場所については、出入国在留管理庁のウェブサイトで確認できます。

5.2 再申請を検討する場合のポイント

不許可の理由を解消できる見込みがあれば、「再申請」を行うことが可能です。ただし、単に同じ書類をもう一度提出するだけでは、再び不許可になる可能性が非常に高いです。再申請を成功させるためには、以下のポイントを押さえる必要があります。

最も重要なのは、前回の不許可理由を根本的に解消し、それを客観的な資料で証明することです。例えば、納税状況が問題であったなら未納分をすべて納付し、その証明書を提出する必要があります。会社の経営状況が理由であれば、改善を示す最新の決算書や今後の安定性を具体的に説明する事業計画書などを追加で準備します。

以下の表は、不許可理由の例と、それに対する一般的な対策をまとめたものです。

不許可理由の主な例対策と追加資料の例
納税状況の問題(住民税の未納など)未納分の税金をすべて完納し、「納税証明書」および「課税証明書」を提出する。併せて、今後の納税を誠実に行う旨を記した理由書を添付する。
会社の経営状況への懸念(赤字決算など)赤字の理由と今後の改善見込みを具体的に説明した「事業計画書」や、直近の業績回復を示す「試算表」、新たな取引先との「契約書」などを提出する。
職務内容と在留資格の不一致担当する業務が在留資格の活動範囲内であることを、より詳細な「職務内容説明書」や「組織図」を用いて具体的に立証する。
素行不良(交通違反の多発など)違反内容を正直に申告し、深く反省している旨を示す「反省文」や、今後の再発防止策を記した「誓約書」などを提出する。

不許可理由を解消できる見込みが低い場合や、証拠資料の準備が難しい場合は、専門家である行政書士に相談することをおすすめします。

5.3 特定活動ビザへの変更を検討する

再申請が困難な場合や、日本での活動を終えて帰国を決めた場合には、「出国準備のための特定活動」ビザへの変更を検討します。これは、在留期間が切れた後も合法的に日本に滞在し、帰国の準備(身辺整理、荷物の発送、航空券の手配など)を行うための在留資格です。

この特定活動ビザで許可される在留期間は、通常「30日」や「31日」といった短期間です。注意点として、この在留資格はあくまで出国準備を目的とするため、原則として就労することは認められません

不許可の通知を受けた後、在留期間の満了日までにこの変更申請を行う必要があります。手続きが遅れるとオーバーステイ(不法残留)になってしまうため、速やかに出入国在留管理局で手続きについて相談してください。

6. 就労ビザ更新は行政書士に相談すべき?依頼するメリット

就労ビザの更新申請は、ご自身で行うことも可能です。しかし、審査は年々厳格化しており、書類の不備や説明不足が原因で不許可となるケースも少なくありません。もし手続きに少しでも不安があるなら、在留資格申請の専門家である行政書士に相談することを検討してみましょう。ここでは、行政書士に更新手続きを依頼する具体的なメリットを3つ解説します。

6.1 複雑な書類作成や手続きを任せられる

就労ビザの更新では、申請書をはじめ、会社の規模やご自身の状況(転職の有無など)に応じて多岐にわたる書類を準備する必要があります。どの書類が自分のケースに必要なのかを正確に判断し、不備なく揃えるのは大変な作業です。

行政書士に依頼すれば、専門知識に基づいて必要な書類を的確に判断し、作成が煩雑な申請理由書なども含めてすべて作成を代行してもらえます。さらに、「申請取次行政書士」の資格を持つ行政書士であれば、原則として本人が出入国在留管理局へ出頭する必要がありません。平日に仕事を休んで長時間待つといった時間的・身体的な負担から解放され、本業に集中できる点は大きなメリットです。

6.2 許可の可能性を高めるためのアドバイスがもらえる

行政書士は単に書類を作成するだけではありません。最新の法律や出入国在留管理庁の審査傾向を熟知しており、どうすれば許可の可能性を最大限に高められるかという視点でサポートしてくれます。

例えば、転職後の職務内容と在留資格の関連性をどう説明するか、会社の経営状況をアピールするためにどの資料を添付すべきかなど、審査官が納得しやすい申請方法を提案してくれます。個々の状況に合わせて審査官が懸念しそうな点を先読みし、説得力のある形で説明を補う資料を作成してくれるため、自分一人で申請するよりも許可率の向上が期待できます。

6.3 不許可リスクを事前に診断できる

「過去の交通違反が審査に影響しないか心配」「転職回数が多いが大丈夫だろうか」といった不安を抱えている方もいるでしょう。ご自身では些細なことだと思っていても、審査において不利な要素となる可能性があります。

行政書士に相談すれば、正式な依頼の前に、これまでの経歴や現在の状況をヒアリングした上で、許可の見込みを診断してもらえます。専門家の客観的な視点から不許可につながるリスクを事前に洗い出し、具体的な対策を講じることが可能です。もし現時点での申請が難しいと判断された場合でも、なぜ難しいのか、今後どうすれば許可の可能性が高まるのかといった的確なアドバイスを受けられるため、闇雲に申請して不許可になる事態を避けられます。

7. まとめ

本記事では、就労ビザの更新に必要な条件について、出入国在留管理局が審査する7つの基本条件から、多くの方が関心を持つ転職した場合の注意点、さらには具体的な必要書類や申請手続きの流れ、万が一不許可になった場合の対処法まで、網羅的に解説しました。就労ビザの更新は、日本で安定してキャリアを継続していくために避けては通れない、極めて重要な手続きです。

就労ビザ更新の審査における最も重要な結論は、「これまでの在留状況が良好であり、今後も安定・継続して日本で活動していくことを客観的な資料で証明できるか」という点に集約されます。特に、以下の3つの条件は厳しく審査されるため、必ず押さえておく必要があります。

  • 在留資格に該当する活動の実績(条件1):許可された範囲の業務にきちんと従事してきたか。
  • 素行の善良性(条件3):税金や社会保険料の未納がなく、交通違反を含む法律違反をしていないか。特に納税状況は、日本社会への貢献度を示す指標として極めて重要視されます。
  • 活動の安定性・継続性(条件2):勤務先の経営状態やご自身の収入が、今後も安定して生活できる水準にあるか。

これらの条件は、単に書類を提出すればよいというものではなく、日本での生活態度そのものが問われることを意味します。

また、キャリアアップなどを目的として転職した場合は、就労ビザの更新条件がさらに複雑になります。上記の基本条件に加え、「新しい職務内容が在留資格の範囲内であること」と「転職先の企業の安定性・継続性」を明確に証明しなくてはなりません。特に見落としがちで、不許可の大きな原因となりうるのが、転職後14日以内に行うべき「所属機関に関する届出」です。この届出を怠っていると、更新申請時に義務違反とみなされるリスクが非常に高いため、転職が決まったら速やかに手続きを済ませてください。

更新手続きは、在留期間満了日の3ヶ月前から申請できます。勤務先の企業の規模(カテゴリー)によって会社側が準備する書類が大きく異なるなど、書類収集には想定以上の時間がかかることも少なくありません。不許可のリスクを避け、スムーズに許可を得るためには、できる限り早く準備を開始し、会社の人事・総務担当者と密に連携することが成功の鍵となります。

もし、ご自身の状況で更新の条件を満たしているか不安な場合、転職後の手続きが複雑で自信がない場合、あるいは過去に不許可歴があるといったケースでは、在留資格申請の専門家である行政書士に相談することを強くおすすめします。専門家に依頼すれば、複雑な書類作成や出入国在留管理局とのやり取りを任せられるだけでなく、個々の状況に応じた許可の可能性を高めるための的確なアドバイスが期待できます。日本での大切なキャリアと生活を守るため、本記事で解説した就労ビザ更新の条件を把握し、万全の態勢で申請に臨みましょう。

  • この記事を書いた人

行政書士 松浪 正治

ビザ申請を専門にしている大阪府枚方市の行政書士です。 オンライン申請により全国対応可能です。

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