
「技術・人文知識・国際業務 不許可事例」でお困りの方へ。本記事は、出入国在留管理局で実際に問われやすい不許可理由と、再申請で許可に近づくための立証方法を網羅し、申請者・受入企業の双方が今日から整備できる実務ポイントを具体例付きで解説します。結論として、不許可は①学歴・職歴と職務内容の不一致(単純労働の疑い含む)、②雇用契約・給与水準の不備(日本人と同等以上の報酬、労働条件通知書・雇用契約書の整合性、社会保険・住民税・年金の適正)、③会社の実体性・継続性の疑義(事務所の実在・常勤職員、赤字決算の説明・事業計画)、④契約形態の不透明さ(客先常駐・派遣・請負での指揮命令関係、派遣許可、契約書の不備)、⑤素行・在留状況の問題(資格外活動違反・無断就労・納税不備)、⑥書類の矛盾・虚偽申請の疑い、の6領域に集約されます。審査は該当性・基準省令の適合性・相当性・立証性で総合判断されるため、再申請の鍵は「事情変更」と「客観資料の補強」です。本文では、在留資格認定証明書の不交付、在留資格変更・在留期間更新の不許可それぞれの対応(不許可理由聴取の手順、再申請の時期、出国準備期間が付与されることがあるケースの扱い)を整理。発注書・請負契約書・タイムシート、組織図・業務フロー・就業場所の明確化、給与テーブルや研修計画、職務記述(日本語)など「通る書類」の作り方と理由書・上申書の書き方を提示します。客先常駐SEの指揮命令関係の整理、営業職での通訳・翻訳割合の立証、デザイナーでの学歴関連性を作品集で補完、海外新卒採用の給与水準と研修計画の提示といった改善事例、さらにJLPTの位置づけ、内定取消の影響、赤字会社でも許可が出る条件、再申請回数の考え方、行政書士に依頼するメリットまで、検索意図を一気通貫でカバーします。
1. 技術・人文知識・国際業務とは何かと審査基準の全体像
「技術・人文知識・国際業務」は、理学・工学などの自然科学分野の知識、法学・経済学などの人文科学分野の知識、または通訳・翻訳・語学の指導、海外取引、広報といった国際性を有する業務に従事する外国人のための在留資格です。活動の該当性は出入国管理及び難民認定法の別表に基づき、許可の可否は同法および「基準省令」に照らして審査されます。申請手続の枠組みや必要資料は出入国在留管理庁の案内(出入国在留管理庁)に従います。
審査は「その活動が在留資格に該当するか(該当性)」と「学歴・実務経験・報酬などが省令基準を満たすか(基準適合)」の二段階で行われ、雇用契約の実在性・継続性や立証資料の整合性も重視されます。
| 観点 | 審査の要旨 | 代表的な確認資料 |
|---|---|---|
| 在留資格の該当性 | 従事予定の職務が「技術」「人文知識」「国際業務」のいずれかに合理的に該当すること。 | 職務記述書(日本語)、組織図、業務フロー、勤務場所の説明 |
| 基準省令の適合 | 学歴または一定の実務経験、契約の相手方、就業形態などが省令基準に適合していること。 | 最終学歴の証明、職歴証明、雇用契約書、労働条件通知書 |
| 報酬の相当性 | 報酬が日本人と同等以上で、職務・地域に照らし不自然でない水準であること。 | 賃金規程、等級テーブル、内定通知、直近の賃金台帳 |
| 受入機関の適正性 | 事業の実体・継続性があり、適法な労務管理・社会保険手続を行っていること。 | 登記事項証明書、決算書、社会保険加入状況、事務所写真 |
| 立証性・整合性 | 提出資料に矛盾がなく、実態を具体的に裏付けていること。 | 取引契約書、発注書、タイムシート、業務成果物 |
1.1 在留資格該当性と基準省令のポイント
該当性は、予定職務が高度な専門知識・技能や国際性を要する業務であるかを、実際の担当タスク・配属先・指揮命令系統まで踏み込んで判断されます。基準省令では、学歴または一定の実務経験、雇用・委託など契約の類型、報酬の相当性が確認され、通訳・翻訳・語学の指導や海外取引など国際性の高い業務については、その実態と必要性が問われます。
学歴(専攻)と職務の関連付け、実務経験の内容と期間の説明、雇用契約と実際の就労実態の一致を、一次資料で具体的に示すことが許可の前提になります。
1.2 申請の種類 在留資格認定変更更新の違い
申請の種類により審査の視点と必要資料の重心が異なります。初めて来日する場合は就労計画と雇用契約の実在性、在日中の変更や更新では就労実績や法令順守状況が重視されます。
| 申請の種類 | 主な対象 | 主な確認点 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付 | 海外在住者の新規採用・転籍 | 職務の該当性、基準省令適合、受入体制の準備 | 内定の有効性、配属先・就業場所の具体性 |
| 在留資格変更許可 | 留学・家族滞在等からの就労化 | 現行在留中の素行・学業状況、職務の専門性 | 資格外活動の範囲、在留期限までの余裕 |
| 在留期間更新許可 | 同一在留資格での継続就労 | 直近の就労実績、納税・社保、契約継続 | 職務変更の有無、報酬・配置転換の整合性 |
各手続の提出様式や標準処理期間は、出入国在留管理庁の手続案内(申請手続)を参照してください。
1.3 審査の観点 適合性相当性立証性
適合性は、業務内容・配置・指揮命令系統まで含めて当該在留資格の趣旨に合致しているかをみる観点です。相当性は、報酬・労働条件・受入機関の体制が社会通念上妥当で日本人と同等以上であるかをみる観点です。立証性は、提出資料に客観性があり、相互に整合し、外形的にも実態を裏づけているかをみる観点です。
| 観点 | 主な論点 | 立証の要点 |
|---|---|---|
| 適合性 | 職務の専門性・国際性、単純労働の排除 | 職務記述の具体化、関連専攻・経験の紐づけ |
| 相当性 | 報酬水準、雇用契約の明確性、受入体制 | 賃金根拠資料、就業規則、社会保険加入の確認 |
| 立証性 | 資料間の整合、実態を示す一次資料 | 契約書・発注書・成果物・勤務記録の提示 |
これら三点は相互に関連し、いずれかが弱いと他の要素で補完しても説得力が低下します。初期段階から「職務内容の具体化」「根拠資料の整備」「日本語での明確な説明」を徹底することが有効です。
2. 技術人文知識国際業務 不許可事例の全体像とよくある理由
不許可は「職務と学歴・経験の不整合」「契約・給与の不備」「会社の実体性への疑義」「契約形態の不明確さ」「素行・在留状況の問題」「提出書類の矛盾」の6領域に大別され、在留資格該当性・基準省令・適合性を総合的に満たせない場合に生じます。出入国在留管理局は、職務内容の専門性、報酬の相当性、雇用・就労の実態、法令遵守・納税・社会保険の状況、提出資料の整合性を重視します。
| 主な不許可理由 | 典型的なリスク | 主な確認資料 |
|---|---|---|
| 学歴・職歴と職務の不一致 | 専攻と担当業務が乖離/実務年数の裏付け不足 | 卒業証明・成績証明、職務経歴書、職務記述書(JD) |
| 雇用契約・給与水準の不備 | 日本人同等以上の報酬を示せない/契約書の欠落・齟齬 | 雇用契約書・労働条件通知書、給与規程、給与台帳 |
| 会社の実体性への疑義 | オフィス実在性や常勤体制の不透明/継続性説明不足 | 登記事項証明書、賃貸借契約、決算書、事業計画 |
| 契約形態の問題(客先常駐・派遣・請負) | 指揮命令系統が曖昧/派遣許可や請負要件の不充足 | 派遣許可証、請負契約書、就業場所・体制図、タイムシート |
| 素行・在留状況の問題 | 資格外活動違反・無断就労/税・社保の未納 | 住民税課税証明・納税証明、年金・健康保険加入記録 |
| 書類の矛盾・虚偽申請の疑い | 肩書・給与・業務割合の記載不一致/改ざんの疑念 | 提出一式の整合性点検、原本提示、発注・実績資料 |
2.1 学歴職歴と職務内容の不一致
「技術・人文知識・国際業務」は専門性のある業務が対象で、申請人の専攻または実務経験が職務内容と合理的に結び付く必要があります。学歴・経験と実際の担当業務が対応していない場合、在留資格該当性が満たせず不許可の代表例になります。
2.1.1 専門学校卒業だが学科と職務が一致しない
専攻分野と業務の関連性が弱いと、単純労働や汎用事務と評価されやすくなります。授業科目のシラバスや卒業研究と職務の接点を具体的に示し、職務記述書で専門性を明確化することが重要です。
2.1.2 実務経験年数不足 大卒要件未充足
学歴で補えない場合は相応の実務経験による裏付けが求められます。所要年数の不足や在籍証明・職務内容証明の弱さがあると、専門性の立証が不十分と判断されます。
2.1.3 留学からの就職で単純労働と判断される
留学からの変更では、配属直後の業務が受付・棚卸・梱包など非専門的と見なされると不許可につながります。研修計画、OJTの範囲、段階的な専門業務移行の設計を具体化して示す必要があります。
2.2 雇用契約と給与水準の不備
報酬は日本人同等以上で相当性が必要で、雇用条件は労働基準法等に適合していなければなりません。雇用契約書・労働条件通知書の不備や給与水準の低さは、基準省令の要件不充足として不許可事例が多発します。
2.2.1 日本人と同等以上の報酬を満たしていない
等級・賃金テーブルや初任給基準を示せない場合、外国人だけ低処遇と評価されやすくなります。賞与・各種手当・みなし残業の算定根拠も含め総報酬で示すことが有効です。
2.2.2 労働条件通知書や雇用契約書の記載不備
就業場所、職務内容、所定労働時間、試用期間、更新有無など必須記載の欠落や矛盾は、実態不明として減点要素になります。最新版の書式で整合した文言に統一してください。
2.2.3 社会保険未加入や納税状況の不備
健康保険・厚生年金・雇用保険の未加入、住民税の滞納は、法令遵守・生活基盤の面から不利に働きます。加入手続のエビデンスと納税証明で適正を明示することが不可欠です。
2.3 会社の実体性や継続性への疑義
オフィスの実在、常勤体制、事業の継続可能性が不明確だと、受入機関の信頼性が損なわれます。実体の裏付けが弱いと、適合性・相当性の双方で否定的評価を受けやすくなります。
2.3.1 事務所の実在性や常勤職員の不足
登記だけで実在確認ができない場合や、バーチャルオフィス相当、常勤者が極端に少ない場合は要注意です。賃貸借契約、フロア図、在籍名簿、固定電話・サーバー等の運用実態で補強します。
2.3.2 赤字決算の説明不足や事業計画の不明確さ
赤字自体は直ちに不許可とは限りませんが、資金繰り・受注見込み・体制強化策の説明不足はマイナスです。受注残、発注書、資金計画、改善計画で継続性を示します。
2.4 契約形態の問題 客先常駐派遣請負の区分不明
客先常駐が関与する場合、労働者派遣か請負か、指揮命令関係の所在を明確にし、労働者派遣法等の適用関係に適合させる必要があります。区分が曖昧だと「実際には派遣」に該当し、許可の有無や契約の相当性が問題視されます。
2.4.1 指揮命令関係の所在が曖昧
勤怠管理や業務指示が発注先で行われるのに請負契約としている、などの齟齬は典型的な否定材料です。体制図、業務フロー、成果物定義で元請・先方の役割を具体化してください。
2.4.2 派遣許可や請負契約書の不備
派遣なら派遣許可証・個別契約が必須、請負なら完成責任・再委託・代替性など要件の明記が必要です。就業場所・管理体制・指揮命令系統の条項不備は不許可につながります。
2.5 素行不良や在留状況の問題
資格外活動違反、無断就労、交通違反の累積、長期の無届け転居などはマイナス評価となります。納税・社会保険の未納や届け出漏れは、遵法性や信用性の観点で強く問われます。
2.5.1 資格外活動違反や無断就労の履歴
許可外の就労や時間制限超過のアルバイト歴は、再発防止策の具体性がなければ不許可の主要因になります。雇用先の管理体制と本人の遵守計画を明示してください。
2.5.2 住民税や年金の未納
未納があると生活基盤の安定性・公的負担の観点から不利です。納付済証明や分納計画書、直近の口座引落記録で改善状況を示します。
2.6 書類の矛盾や虚偽申請の疑い
履歴書・職務経歴書・雇用契約・発注書・給与台帳・決算資料間で数字や肩書、職務割合が食い違うと、虚偽申請の疑いが生じます。提出書類一式の整合性を事前点検し、原本性・改ざん防止を担保することが不可欠です。
3. 申請別に見る不許可事例と対応策
同じ「技術・人文知識・国際業務」でも、在留資格認定・変更・更新のいずれかによって不許可の典型理由と打ち手は異なります。以下では申請類型ごとに、よくある不許可要因と再申請に向けた具体策・必要資料を整理します。
3.1 在留資格認定証明書交付申請が不交付となった場合
海外在住者を採用する場面での不交付は、学歴・職歴と職務の関連性不足、雇用契約の不備、会社の実体性立証の不足、客先常駐など契約形態の不明確さが主因です。再申請では「業務の専門性」と「雇用の安定性」を中心に立証を補強します。
| 典型理由 | 主なリスク | 具体的対応 | 立証資料の例 |
|---|---|---|---|
| 学歴・職歴と職務の不一致 | 単純労働と判断 | 職務記述の専門性を具体化 | 職務記述書、業務フロー、作品集・実績、職務経歴書 |
| 雇用契約の不備 | 労働条件の不明確 | 報酬・勤務地・指揮命令の明確化 | 雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、等級・給与テーブル |
| 会社の実体性不足 | 継続性に疑義 | 事業の実在・継続の客観資料を補完 | 決算書、登記事項証明書、オフィス写真、従業員名簿、主要取引先資料 |
| 契約形態(派遣・請負・準委任)の不明確 | 指揮命令関係が不透明 | 契約区分と指揮命令系統を明示 | 派遣許可証、請負契約書、指揮命令系統図、就業場所の特定資料 |
3.1.1 立証資料の追加例と内定の有効性確認
「内定の実在性・継続性」と「専門業務への適合性」を二本柱で補強します。採用決定の効力や条件の確定性を示す書面、業務の具体像を示す資料を同時に整えます。
| 資料名 | 補強ポイント |
|---|---|
| 内定通知書・採用決定稟議 | 入社日・雇用形態・報酬の確定性、内定有効期限 |
| 雇用契約書(署名済) | 職務内容・就業場所・勤務時間・報酬の具体性 |
| 職務記述書(日本語) | 専門性・裁量性・非補助的業務の割合 |
| プロジェクト計画書・発注書 | 担当工程、成果物、期間、体制、指揮命令の所在 |
| 会社案内・組織図 | 受入部署の機能と監督者の専門性 |
3.1.2 海外在住者の職歴証明書や学位証明の整備
海外発行書類は、原本性・公的性・日本語訳の三点を満たす形で提出します。職歴は在籍証明・職務内容・在籍期間・フルタイム性の明記、学位は専攻分野と卒業日が確認できることが重要です。
| 書類 | 要件 | 補足 |
|---|---|---|
| 職歴証明書 | 社名・所在地・役職・職務・在籍期間 | 社印または署名、連絡先、必要に応じ公証・アポスティーユ |
| 学位証明・成績証明 | 学位名・専攻・卒業日 | コースシラバスで職務関連性を補足 |
| 日本語訳 | 全項目の対応訳 | 翻訳者名・日付の明記、体裁統一 |
3.2 在留資格変更許可申請が不許可となった場合
変更申請の不許可は、元の在留資格の活動実態と新たな就労内容の整合、学歴・実務経験の要件充足、就労可否の範囲管理でつまずく例が目立ちます。元資格での滞在・就労の可否を守りつつ、専門性の適合を補強します。
| 元の在留資格 | 主な不許可理由 | 対応策 | 資料例 |
|---|---|---|---|
| 留学 | 学修内容と職務の不整合、出席・成績不良 | 専攻と職務の関連性を可視化 | 成績証明、シラバス、卒業証明、研究概要と職務対応表 |
| 家族滞在 | 本人の専門性立証不足 | 学歴・実務経験で専門性を立証 | 学位証明、職歴証明、ポートフォリオ、資格証 |
| 特定活動(インターン等) | 就業内容の継続性・報酬水準の不足 | 本採用条件の確定と職務の高度性提示 | 雇用契約書、給与テーブル、職務記述書 |
3.2.1 元の在留資格での滞在と就労可否の注意点
不許可でも元の在留期間は原則有効なため、活動は元の在留資格の範囲内に厳格に制限されます。資格外活動許可の有無を確認し、就労可否や就業時間の上限を逸脱しない運用に徹してください。学校の退学・会社の退職・所属機関変更があれば、所定の届出を速やかに行いましょう。
3.2.2 留学や家族滞在からの変更での立証強化
留学からの就労化は、専攻領域と担当業務の「知識・技能の橋渡し」を示すのが鍵です。家族滞在からは、本人固有の専門性と日本人同等以上の処遇を中心に立証します。
| 観点 | 強化ポイント | 資料例 |
|---|---|---|
| 専門性の適合 | 業務要件と学修・経験の対応関係 | 対応表、研究・制作実績、技術スタック一覧 |
| 非単純労働の担保 | 補助作業比率を低く抑える設計 | 業務割合表、工程責任、レビュー体制図 |
| 処遇の妥当性 | 日本人と同等以上の報酬と等級 | 給与規程、等級定義、賃金台帳(マスキング) |
3.3 在留期間更新許可申請が不許可となった場合
更新での不許可は、納税・社会保険の未加入・滞納、職務内容の逸脱、離職・無就労期間、収入の著しい低下が中心です。まず在留状況の適正化を図り、継続就労の実体と生活基盤の安定を示します。
| 不許可理由 | 再申請の方針 | 是正・立証資料 |
|---|---|---|
| 住民税・年金・健康保険の不備 | 滞納解消と加入状況の正常化 | 納税証明、課税証明、保険加入証明、支払計画・領収書 |
| 職務の在留資格逸脱 | 職務範囲の是正と体制整備 | 職務記述書改訂、業務割合表、上司の指導体制書面 |
| 離職・無就労 | 新たな雇用確保と空白期間の説明 | 内定通知、雇用契約書、求職活動の記録 |
| 収入の著しい低下 | 処遇の見直しと将来見通しの提示 | 給与改定通知、事業計画、受注見込み、賃金台帳 |
3.3.1 出国準備期間の付与と再申請戦略
不許可後に「出国準備のための在留期間」が付与される場合があります。在留中に事情変更(雇用条件の確定、滞納解消、業務設計の是正など)を実現し、理由書・上申書に改善経緯と再発防止策を簡潔かつ具体的に記載して再申請の勝率を高めます。
3.3.2 納税社会保険加入状況の立て直し
納付・加入の客観証明が核心です。会社負担・本人負担の双方の整合を取り、時系列で証明します。
| 区分 | チェック項目 | 証明資料 |
|---|---|---|
| 住民税 | 特別徴収/普通徴収の別、滞納解消 | 課税・納税証明書、特別徴収税額通知 |
| 所得税 | 源泉徴収・年末調整の適正 | 源泉徴収票、賃金台帳、支払調書 |
| 年金・健康保険 | 厚生年金・健康保険の適用、保険料納付 | 資格取得通知、標準報酬決定通知、納付書控え |
| 雇用保険 | 適用・離職時の手続 | 被保険者資格取得届、離職票 |
是正が完了した事実とその再発防止プロセス(社内ガバナンス・給与処理フロー・チェックリスト)を併せて提出することが、更新の信頼回復に直結します。
4. 再申請の流れと不許可理由の確認方法
不許可後は「理由の特定」と「事情変更(新事実・新資料の追加)」を明確にし、改善が整った時点で再申請することが最短ルートです。 以下では、出入国在留管理局での不許可理由聴取、再申請までの期間設計、改善チェックリスト、理由書・上申書の作成ポイントを示します。
4.1 出入国在留管理局での不許可理由聴取の手順
不許可通知を受けたら、申請先の出入国在留管理局(地方出入国在留管理局)で不許可理由の聴取を行います。申請人本人、受入れ企業の担当者(委任状が必要な場合あり)、又は申請取次行政書士が対応できます。多くの窓口では予約制・指定時間制の運用があるため、通知記載の案内に従い事前確認します。
説明は原則として口頭で行われ、書面交付は通常ありません。 当日は通知書、身分証(在留カード・旅券)、受理票や申請控え、提出書類の写しを持参し、記録のためメモを取り、指摘点(該当性・基準省令・相当性・立証性のどれか)と要求資料を具体的に確認します。
| ステップ | 目的 | 主な持参物 | 担当主体 |
|---|---|---|---|
| 1. 予約・来庁 | 窓口指定と担当部門の確認 | 不許可通知、身分証、委任状(必要時) | 申請人/受入企業/申請取次行政書士 |
| 2. 聴取 | 不許可理由の特定(口頭説明) | 提出書類控え、質問メモ | 審査担当官 |
| 3. 要求事項整理 | 追加立証・修正事項の合意 | 不足資料リスト化 | 双方 |
| 4. 改善準備 | 事情変更の実行と証拠化 | 改定契約書、規程、証明書 など | 受入企業/申請人 |
| 5. 再申請 | 改善後の申請・理由書提出 | 申請書、添付資料、理由書・上申書 | 申請人/申請取次行政書士 |
窓口でのやり取りは「次に何を出せば、どの論点が解消されるか」を明確化することが最重要です。
4.2 再申請までの期間の考え方と事情変更
再申請は、単なる再提出ではなく「事情変更」が原則です。すなわち、契約・職務・報酬・会社状況・提出資料のいずれかに新事実や新証拠が必要です。書類不備のみが原因であれば、速やかな再申請が可能ですが、適合性や相当性が疑われた場合は、実態整備(給与改定、契約見直し、体制整備、加入・納付の是正)を完了してからにします。
| 事情変更の類型 | 具体例 | 再申請の目安 |
|---|---|---|
| 書類不備の補完 | 学位証明・職歴証明の追加、日本語JDの提出 | 不足資料が整い次第すぐ |
| 契約・職務内容の是正 | 請負/派遣の区分明確化、指揮命令関係の整理 | 新契約締結後・業務フロー確定後 |
| 報酬・規程の整備 | 日本人同等以上へ改定、等級テーブル整備 | 改定通知・規程施行・初回給与実績後が確実 |
| 適法性・信用の回復 | 社会保険加入・住民税/年金の納付是正 | 加入完了・納付済証明の取得後 |
| 会社の実体補強 | 常勤体制整備、事業計画と受注の裏付け | 雇用・受注実績や計画資料の準備後 |
事情変更が不十分なまま短期で再申請しても、同一理由で不許可が繰り返される可能性が高まります。
4.3 改善のためのチェックリスト
審査の観点(該当性・基準省令・相当性・立証性)に沿って、以下を整備します。
4.3.1 職務内容の具体化と日本語での職務記述
学歴・職歴との関連性を明示した日本語の職務記述書(職務目的、主要業務、比率、必要知識・スキル、成果物、単純労働に該当しない理由)を作成し、配置部署・上司・評価方法を含めて提出します。「何を、どの程度、どこで、誰の指揮で」行うのかを文書で特定することが鍵です。
4.3.2 給与改定や等級テーブルの提示
日本人と同等以上の報酬を示すため、給与規程・等級テーブル・初任給水準・昇給基準を提示し、雇用契約書・労働条件通知書・給与明細(可能なら初回支給分)で整合性を立証します。地域や職種水準との乖離がある場合は、募集実績や人事評価制度で合理性を補強します。
4.3.3 取引実態資料 発注書契約書タイムシート
客先常駐・請負・派遣の別を明確化し、請負なら成果物・納期・再委託条件、派遣なら派遣元責任者・派遣先管理台帳・許可番号等を示します。発注書、基本/個別契約、仕様書、タイムシート、作業日報で実態を裏付け、指揮命令関係の所在が矛盾しないよう整理します。
4.3.4 組織図業務フロー就業場所の明確化
組織図(指揮命令系統付き)、業務フロー、就業場所の住所・席配置・入館証発行ルール、在宅/ハイブリッド運用方針を明示し、受入体制(常勤管理者・教育担当・日本語サポート)を具体化します。写真・レイアウト図・入館記録等があると立証性が高まります。
4.4 理由書 上申書 の書き方のポイント
結論先出しで「前回不許可理由」「本件の事情変更」「基準への適合」を対応表で示し、添付資料に相互参照を付します。感情的主張を避け、事実と証拠で構成します。審査の論点ごとに「主張→根拠→証拠→該当条項」の順で簡潔に整理するのが通過率を高めます。
| 審査上の論点 | 主張の要点 | 対応資料(例) |
|---|---|---|
| 該当性(職務と学歴/経験の関連) | 主要業務が専攻分野と合理的に関連 | 日本語JD、履修科目一覧、職歴証明、成果物 |
| 基準省令(報酬・契約適正) | 日本人同等以上の報酬と適切な契約形態 | 給与規程・等級表、雇用契約、請負/派遣契約 |
| 相当性(会社の実体・継続性) | 事業実態・体制・受注の継続性を確認 | 決算書、事業計画、発注書、組織図、就業場所資料 |
| 立証性(資料の整合・信頼性) | 数値・日付・名称の整合と原本性の確保 | 公的証明、原本提示、翻訳・対訳、採番付け |
本文はA4で2〜3頁を目安に、見出し・番号・資料索引で読みやすく編集します。上申書を併せて提出する場合は、受入企業の管理体制や再発防止策(教育、監督、コンプライアンス)を会社責任として明記します。
5. よくある質問 技術・人文知識・国際業務の不許可対応
5.1 JLPTのレベルは必要か
入管法および基準省令上、JLPTは必須要件ではありませんが、職務遂行能力の客観的根拠として有効です。 審査は「在留資格該当性(学歴・職歴と職務の関連)」「相当性(報酬・雇用条件)」「立証性(資料の整合性)」の観点で行われ、実務上は日本語能力を業務要件として説明できるかが重要です。
| 想定する日本語水準 | 主な職務例 | 立証のポイント |
|---|---|---|
| N1〜N2 目安 | 営業、コンサル、要件定義・顧客折衝を含むSE、通訳・翻訳 | JLPT合格証、業務での日本語使用比率、社内外会議資料、メール例、評価記録 |
| N2〜N3 目安 | 社内開発SE、設計補助、貿易事務、デザイナー等の専門職 | 職務記述書での日本語要件の具体化、研修計画、メンター体制 |
| 個別評価 | 英語ベースのプロジェクト、母語×日本語の通訳翻訳 | 業務フロー上の言語使用場面、BJTや社内テスト結果、通訳実績 |
提出書類では、職務内容と日本語使用場面を日本語で具体化し、JLPT以外の根拠(BJT、面接記録、社内評価、研修受講証など)も併せて示すと有効です。
5.2 内定取消があった場合の影響
内定取消が生じた時点で、申請中の前提事実が消滅するため継続審査は困難になります。 在留資格認定証明書交付申請(COE)や在留資格変更許可申請は、速やかに取下げまたは内容変更の相談を出入国在留管理局に行うのが基本です。
| 申請の種類 | 内定取消時の基本対応 | 留意点 |
|---|---|---|
| 在留資格認定(COE) | 取下げの上、新たな雇用先で再申請 | 旧雇用先の契約書・内定通知は使用不可。職務内容・報酬の再整備が必須。 |
| 在留資格変更 | 取下げまたは内容変更を相談 | 現行在留資格での就労可否を遵守し、無断就労をしない。 |
| 在留期間更新 | 就業先変更の有無を届出し、状況に応じ資料差替え | 雇用関係の連続性や報酬の相当性を再立証。社会保険・納税状況の整合性も確認。 |
COE交付後に内定取消や条件大幅変更があった場合も、実態と異なる就労は避け、再申請で整合性を確保してください。
5.3 赤字会社でも許可は出るか
赤字でも、事業の継続性と報酬支払能力を資料で立証できれば許可可能性はあります。 「日本人と同等以上の報酬」「実体ある事業」「職務内容の専門性」が説明できることが前提です。
有効な立証例として、直近決算書・試算表、資金繰り計画、資金調達エビデンス、受注実績・発注書、事業計画、給与テーブル、社会保険加入状況の証憑があります。連続赤字や債務超過、社会保険未加入、源泉所得税・住民税・厚生年金等の滞納があると相当性の評価が厳格になります。
5.4 再申請は何回まで可能か
回数制限はありませんが、事情変更や立証補強がなければ同結果となる可能性が高いため、安易な短期再申請は避けます。 まず不許可理由聴取でポイントを把握し、職務内容の具体化、報酬水準の見直し、契約形態(請負・派遣)の適法性整理、書類の矛盾解消などの改善を行います。
在留期間更新が不許可の場合は出国準備期間が付与されることがあります。再申請の可否や必要資料は、出入国在留管理庁の最新案内を確認してください(出入国在留管理庁 公式サイト)。
5.5 行政書士に依頼するメリット
不許可理由を構造化し、在留資格該当性・相当性・立証性に沿った立証計画を設計できる点が最大の価値です。 具体的には、職務記述書・理由書・上申書の作成、雇用契約書・労働条件通知書の整合性チェック、契約形態(請負・派遣)の適法性整理(指揮命令関係・就業場所・派遣許可の有無等)、社会保険・納税の整備、取引実態(発注書・契約書・タイムシート)の収集といった支援が受けられます。
結果として、書類の矛盾や説明不足を減らし、審査官が判断しやすい形に可視化できます。特に留学からの変更、海外新卒、客先常駐SEなど論点が多い案件で効果が高いです。
6. まとめ
技術人文知識国際業務の不許可は、在留資格該当性・基準省令の相当性・立証性のいずれか(または複数)の欠落や立証不足が原因です。多くは「事実が要件に適合していない」よりも「適合している事実を証拠で示せていない」ことに起因し、再申請での改善が可能です。
典型理由は、学歴・職歴と職務の不一致、実務年数不足や単純労働該当、報酬の日本人同等以上要件未達や社会保険・納税不備、会社の実体・継続性への疑義、派遣・請負・受託等の契約形態と指揮命令系統の不明確さ、素行不良・在留状況の問題、書類の矛盾・虚偽疑いです。
対応の要点は、職務を専門性のある業務に具体化し日本語で職務記述書を整えること、就業場所・指揮命令関係・契約形態を契約書等で明確化すること、給与テーブルと同等以上の水準を示すこと、社会保険・税の適正化、事業計画・取引実績・組織図・業務フロー・発注書・タイムシート等で会社の実在性と継続性を裏づけることです。
申請別には、認定は学位・職歴の真正性と内定の実現性、変更は現行在留資格の活動範囲の遵守と転換の合理性、更新は在留状況の適正・納税と保険加入の継続性が焦点となります。
不許可後は、地方出入国在留管理局で不許可理由の聴取を行い、事情変更(職務内容の精緻化、給与改定、契約書整備など)と追加資料を準備し、理由書・上申書で論理的に再構成して再申請します。再申請の回数制限は設けられていませんが、同一事情・同一資料では結果は変わりません。
よくある疑問への結論として、日本語能力試験(JLPT)は法定の必須要件ではありませんが、実務遂行能力の有力な立証になります。赤字決算でも事業継続性と採用の合理性を示せば許可の可能性はあります。内定取消は認定に致命的で、条件面の再整備が不可欠です。専門性の高い立証や窓口対応には、申請取次届出済の行政書士に依頼するメリットがあります。
結局のところ、要件への適合設計とエビデンスの積み上げが合否を分けます。事実に基づく一次資料で矛盾なく立証し、必要な事情変更を行ったうえで適切なタイミングで再申請することが、許可への最短ルートです。