コラム 技術・人文知識・国際業務

【2026年最新】技術・人文知識・国際業務 できる仕事を徹底解説|必要条件・年収・事例

2025年12月24日

行政書士 松浪 正治

ビザ申請を専門にしている大阪府枚方市の行政書士です。 オンライン申請により全国対応可能です。

「技術・人文知識・国際業務 仕事内容」で調べている方へ。本記事は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の定義と就労範囲、該当・非該当業務の線引き、要件、申請手続き、年収相場、キャリア事例、更新・変更、他在留資格との違いまでを、2026年の実務ポイントとともに一気に理解できるガイドです。

学歴要件(大学・短大・高専・専門学校)、専攻一致と実務経験年数の考え方、雇用契約と給与水準(日本人と同等以上)、就業場所・監督体制など、審査で重視されるポイントを整理。非該当となる現業・単純作業との違いも、職務記載の具体化という観点で明確化します。副業・兼業・転職の可否、在留期間の更新・変更、高度専門職・技能・特定技能・留学・家族滞在との実務的な違いも比較します。

手続きは、内定から在留資格認定証明書の取得、在外公館またはオンライン申請・eVISAの取り扱い、入国後の在留カード、住民登録、社会保険までの流れと、内定通知書・雇用契約書・学歴証明・経験証明等の必要書類をチェックリスト形式で確認できるように構成しています。

よくある不許可理由(専攻不一致、給与が日本人同等未満、実態が単純作業、企業の安定性・事業計画の不足)と回避策を具体的に提示。結論:仕事内容が学歴・経験と合理的に結びつき、単純作業を含まず、報酬が日本人と同等以上で、雇用契約書に具体的職務・勤務場所・勤務形態を明記し、受け入れ体制を示すことが、許可可能性を高める最重要ポイントです。

「専門学校卒でも申請は可能か」「英語のみの実務でも該当するか」「アルバイト・派遣の可否」「転職時の手続き・期限」などのFAQで、現場の疑問を解消します。本記事だけで、技術・人文知識・国際業務の仕事内容と申請・年収・キャリアを実務レベルで理解できます。

目次 非表示

1. 技術・人文知識・国際業務 仕事内容の全体像と定義

「技術・人文知識・国際業務」は、出入国在留管理庁が定める就労系の在留資格のひとつで、自然科学(理工系)または人文科学(文系)に関する専門的知識、もしくは外国の文化・習慣・言語等の特性を活かす業務に従事する外国人を対象とします。対象はホワイトカラーの専門・企画系の職務で、主たる業務が専門知識・技能の活用で構成されること(タイトルではなく実際の職務内容が審査の要点)が特徴です。

本章では、在留資格としての位置づけ、対象分野、該当・非該当となりやすい仕事内容の線引きを整理し、検索意図である「どんな仕事ができるのか」を初学者にも分かるように俯瞰します。

1.1 在留資格の位置づけと対象分野

本在留資格は、就労系在留資格の中で最も対象範囲が広く、理系・文系の専門職および国際業務を包括します。役割の核は「設計・開発・分析・調査・企画・運用・通訳翻訳・海外取引」などの知的生産・専門判断を伴う職務で、単純反復や身体的作業を主たる業務としないことが原則です。

区分求められる知識・技能仕事内容の例主な業界
技術(理系)情報工学、機械、電気電子、化学、建築、データサイエンス等の自然科学分野の専門知識システム設計・開発、インフラ運用、機械・回路設計、品質保証、研究開発、技術コンサルティングIT・通信、製造業(自動車、電機、精密機器)、建設、化学・素材、医療機器
人文知識(文系)経済、経営、商学、法学、社会学、言語学、会計・ファイナンス、マーケティング等の人文科学商品・事業企画、広報・PR、マーケティング、経理・財務、人事、経営企画、法務アシスタンスメーカー、商社、サービス、広告・メディア、コンサルティング、金融
国際業務外国の文化・習慣・言語等の特性の活用(通訳・翻訳、海外営業、貿易実務、国際マーケティング)通訳・翻訳、海外顧客対応、輸出入手続、海外パートナー折衝、ローカライゼーション、観光分野の企画商社、IT・Web、メーカーの海外部門、観光・インバウンド、EC、エンタメ・コンテンツ

該当性の判断では、次の観点が重視されます。

視点確認する要素具体的な見られ方
専門性大学・短大・高専・専門学校等での専攻、または相当の実務経験業務内容と専攻・経験の関連性、職務記述書(ジョブディスクリプション)の具体性
業務の質企画・設計・分析・交渉などの知的業務が主か単純作業の比重が高くないか、付随業務の範囲に留まっているか
雇用の実態雇用契約の有無、勤務場所・指揮命令・給与水準日本人と同等以上の処遇、実態に即した就業場所・職務範囲の記載

在留資格名は「技術」「人文知識」「国際業務」の3要素を束ねたひとつの資格であり、申請・審査では実務内容の具体性と専門性の関連付けが要諦です。

1.2 該当する職種例 システムエンジニア 通訳 翻訳 海外営業 企画

以下は、実務で該当しやすい代表的な職種と、その仕事内容の要点です。実際の審査では、職種名よりも職務内容の詳細・成果物・使用技術・関与工程などが問われます。

職種主な仕事内容関連スキル・知識
システムエンジニア/プログラマー/Webエンジニア要件定義、設計、開発、テスト、自動化、クラウド運用、セキュリティ対策、データ分析情報工学、アルゴリズム、ネットワーク、クラウド(AWS等)、DB、プログラミング言語
通訳・翻訳(社内・会議・技術)会議通訳、技術資料・契約書の翻訳、ローカライゼーション、用語管理、品質レビュー言語運用能力、専門分野の知識、翻訳メモリ・CATツールの運用、文書スタイルガイド
海外営業・貿易実務市場調査、見積・提案、価格交渉、契約、輸出入管理、インコタームズ・決済条件の設計国際取引、貿易実務、為替・信用状、各国法令・規格、異文化コミュニケーション
企画(商品・事業・マーケティング)商品企画、KPI設計、データ分析、プロモーション設計、UXリサーチ、レポーティングマーケティング理論、統計・分析、デザイン思考、デジタル広告、CRM・MAツール
機械・電気設計/品質管理要素設計、CAD図面、試作・評価、FMEA・信頼性評価、品質監査、改善提案機械力学、材料、電気回路、CAD/CAE、品質工学、国際規格(ISO等)
バックオフィス(経理・人事・法務アシスタンス)月次・年次決算補助、管理会計、採用・労務データ運用、契約レビューの前処理会計・ファイナンス、人事労務、商法・知財の基礎、業務システム(ERP等)

システムエンジニア、通訳・翻訳、海外営業、企画は本在留資格の中核職種であり、要件定義・設計・交渉・分析といった知的業務が主であることが共通しています。現場でのサンプル採取や実機検証などの作業が発生しても、専門的判断を伴う主業務に付随する範囲であれば通常は問題になりません。

1.3 非該当の業務例 現業 単純作業の線引き

非該当となりやすいのは、主たる内容が単純・反復的な現業(現場作業)で、専門知識の活用や企画・判断の比重が低い業務です。肩書や求人票の表現が専門職的でも、実態が伴わない場合は不許可リスクがあります。

業務例主たる内容非該当となる理由付随で許容され得る範囲
製造ライン作業・検品のみ定型的な組立・梱包・仕分・目視検査の反復専門知識の活用がなく、単純作業が主品質管理職が試験片作成・サンプル採取を行うなど、評価・解析に付随する範囲
倉庫内ピッキング・荷役商品出荷のピック、搬送、積み下ろし身体作業中心で企画・分析が主務ではないロジスティクス企画職が現場観察・データ取得を行う短時間の付随作業
清掃・ベッドメイク・皿洗い等施設・客室清掃、洗浄などの定型作業専門的判断を必要としないインバウンド企画職がオペレーション設計の検証として短時間関与
レジ・単純接客のみ会計、陳列、一般接客の反復国際業務の要件(通訳・海外取引)を満たさない海外販促企画や多言語CS設計の職務に付随する検証対応
運転・配送・警備等車両運転、搬送、警備巡回など現業・単純作業の比重が主業務プロセス設計や安全基準策定の調査目的での限定的同行

線引きの考え方として、「主たる職務=専門知識や国際性を用いた企画・設計・分析・交渉・運用」であることが必須です。付随業務として現場作業や一般事務が発生しても、主務の達成に必要かつ副次的である限りは通常問題になりません。一方、実態が付随ではなく主要業務に転化している場合は不適合となります。

また、雇用形態(正社員・契約社員・派遣社員など)に関わらず、仕事内容が本資格の範囲に適合し、日本人と同等以上の処遇であること、指揮命令・就業場所・職務範囲が契約書・職務記述書に明確であることが重要です。審査は職務名ではなく「職務の実態」を中心に行われる点を覚えておきましょう。

2. 技術・人文知識・国際業務の必要条件

在留資格「技術・人文知識・国際業務」は、自然科学・人文科学の専門知識や、外国の文化に基盤を置く思考・感性を要する国際業務に従事するための就労資格です。審査では、個人側(学歴・実務経験・専攻との関連)と受入企業側(雇用契約・報酬・監督体制等)の双方の充足が求められます。「誰が」「どの職務を」「どの条件で」「どこで・どのように管理されて」働くのかを具体的に示せることが、在留資格該当性と上陸基準の適合性を立証する核心です。

2.1 学歴要件 大学 短大 高専 専門学校

学歴は、該当性判断の主要な根拠となります。大学・大学院、短期大学、高等専門学校、専門学校(専門課程)などの修了・卒業が、職務との関連性と併せて評価されます。専門学校は「専門士」または「高度専門士」の称号が付与される課程であることが重要で、単なる一般課程の修了では代替になりません。外国の学校の場合は、日本の同種機関と同等以上かどうか(教育水準・学位の相当性)が問われます。

同等以上かどうかは入管の職員には通常分かりません。申請者の側で証明・説明する必要があります。例えば、文部科学省が公開している各国の教育制度の資料を参考に、高等教育機関にあたるか説明するのも一つの方法です。

学校種別代表例卒業・修了証明判断の要点
大学・大学院学士(情報工学・経済学等)、修士(機械工学等)卒業証明書・学位記、成績証明書専攻科目が従事予定業務に関連すること(専攻一致)
短期大学短大(商学・語学・デザイン等)卒業証明書、成績証明書学修内容と職務の関連性を業務説明書で明確化
高等専門学校高専(機械・電気・情報等)卒業証明書、成績証明書設計・開発・品質管理等の技術職と親和性が高い
専門学校(専門課程)情報処理、国際ビジネス、デザイン等修了証明書、「専門士」または「高度専門士」課程が所定要件を満たすことと、職務内容の関連を疎明
外国の教育機関海外大学・大学院、専門学校相当卒業証明・成績証明(和訳添付)日本の同等学位か、教育水準の相当性を資料で説明

学歴は単なる「学位の有無」ではなく、「履修内容(シラバス等)と職務の論理的な接続」を示すことで在留資格の該当性が強化されます。

2.2 実務経験年数と専攻一致の考え方

学歴に加え、実務経験は重要な代替・補完要素です。特に国際業務分野(通訳・翻訳、語学指導、広報、海外営業、デザイン、商品開発など)では、職務特性に応じて実務経験の有無・期間が重視されます。いずれの場合も、雇用予定の職務と実務経験が具体的に対応していることが不可欠です。

専攻一致は「専攻キーワード」と「職務タスク」の対応で説明します。以下は説明の作り方の例です。

専攻分野主な学修テーマ対応しやすい職務一致の説明例
情報工学・情報科学アルゴリズム、データベース、ネットワークシステム開発、Webエンジニア、インフラ運用学修したDB・ネットワークが要件定義・設計・実装タスクに直結
機械工学・材料工学機械設計、CAD、材料力学、評価試験機械設計、品質保証、CAE解析CAD操作・強度計算の学修が図面作成・評価・レポート作成に対応
経済・経営・商学ミクロ/マクロ、会計、マーケティング企画、海外営業、マーケティング、調達需要予測・価格戦略の知見が市場調査・交渉・契約実務に資する
外国語・言語学翻訳理論、通訳技法、異文化コミュニケーション通訳・翻訳、語学指導、国際広報専門演習での訳出・用語管理が実務翻訳・通訳手配と合致
デザイン・美術プロダクト/グラフィック、UX、色彩理論デザイン、商品開発、ブランディングUX設計・配色理論の習得がUI設計・販促物制作に対応

実務経験で裏付ける場合は、在職証明、職務経歴書、制作物・成果物、担当工程・KPIを示す資料を整え、採用後の職務記述書(Job Description)と一対で説明します。「専攻(または経験)→活用する知識・技能→担当タスク→期待成果」の因果関係が一文で語れるかが、専攻一致の実務的な合格ラインです。

2.3 雇用契約 給与水準 日本人同等以上

雇用契約は、在留審査における適法性と安定性の根拠です。期間の定めの有無(無期・有期)、職務内容、就業場所、始終業時刻、休日、賃金(基本給・諸手当・賞与)、残業の取り扱い、社会保険の適用、試用期間・更新条件などを、雇用契約書または労働条件通知書で明示します。派遣・出向・請負の場合は、その形態や指揮命令系統を明確化し、適切な管理下で専門業務に従事することを示します。

報酬は「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」であることが要件です。地域別最低賃金を満たすのは前提で、実務では同職種・同等スキル帯の日本人従業員の給与レンジと整合することを説明します。みなし残業(固定残業代)を設定する場合は、対象時間数・金額・超過分の清算方法を明確にし、基本給部分との判別可能性を確保します。通勤手当、住宅手当、各種インセンティブは内訳を示し、課税・非課税の扱いも整合させます。

審査の着眼点立証資料の例実務上の留意点
職務の専門性職務記述書、組織図、業務フロー単純作業(現業)を含まない明確なタスク設定
報酬の同等性賃金規程、給与テーブル、同職種の賃金実績基本給・手当・残業の区分、最低賃金・法定割増の遵守
社会保険の適用健康保険・厚生年金・雇用保険の適用状況適用除外の誤用を避け、加入証明を提示
契約形態の適法性雇用契約書、派遣契約書(該当時)、指揮命令系統図派遣は労働者派遣法の範囲内、請負は偽装請負の回避

報酬は「日本人同等以上」を満たす根拠(賃金規程・相場・職務難易度)を示し、残業代や固定残業の透明性まで含めて説明できる準備が不可欠です。

2.4 企業側の受け入れ体制 就業場所 監督体制

受入企業には、継続的事業の実体と適切な労務管理体制が求められます。具体的には、事業所の所在地・連絡体制、業務設備、就業規則・賃金規程、労働時間・安全衛生管理、ハラスメント防止、教育訓練計画、担当管理者(スーパーバイザー)の配置などが確認されます。クライアント先常駐やリモートワークを含む場合は、就業場所の特定と指揮命令・勤怠管理の方法(ツール、稼働記録、日報・コードレビュー等)を契約書・業務説明書に具体的に記載します。

SES・派遣・出向・請負など外部就業形態では、誰が日常的に業務を指揮監督するのか、セキュリティ・情報管理の統制、成果物の検収・責任分界、個人情報取扱い、下請多重構造の有無を明らかにし、単純労働の混入や偽装請負と疑われる態様を避けます。「専門業務に専念でき、受入機関が実地に労務・コンプライアンスを管理している」ことを、制度・文書・運用(ログ・記録)で三位一体に示すことが審査の肝です。

体制要素求められる内容不許可回避のポイント
就業場所本社・支社・常駐先・在宅の住所特定、入退室・情報管理場所が流動的な場合は配属先一覧・管理方法を事前定義
監督体制上長の氏名・役職、評価・面談・勤怠承認のプロセス客先常駐・テレワークでも日々の監督・評価プロセスを可視化
業務範囲管理職務範囲書、アウトオブスコープの定義、権限設計搬送・棚卸・清掃など現業タスクを含まない運用設計
法令・社内規程就業規則、賃金規程、情報セキュリティ規程最新化・周知・多言語化、実効的な内部統制と記録保全

受入企業の事業の安定性(売上・人員・資本関係・事業計画)も総合評価に影響します。新設法人や赤字企業の場合は、資金繰り・受注計画・配属プロジェクトの具体性を資料で補強し、継続雇用の見込みを客観的に示しましょう。

3. 申請手続きの流れと必要書類

「技術・人文知識・国際業務」で日本に就労するための手続きは、内定から入国・就労開始までに複数のステップがあります。受入企業(所属機関)が主体となる場面と本人が行う場面が切り替わるため、工程管理と書類整備を並行して行うのが成功の鍵です。最重要ポイントは「在留資格認定証明書(COE)」の内容と雇用契約・職務内容の整合性を最後まで崩さないこと、そして各段階での提出先と期限を明確に分けて運用することです。

フェーズ主な手続提出先目安期間主な担当実務上の留意点
1. 内定直後職務定義・雇用条件確定、書類収集・翻訳1〜3週間企業・本人職務記述書と専攻・実務経験の一致関係を文章化。雇用契約は日本人同等以上の待遇で確定。
2. COE申請在留資格認定証明書(交付申請)地方出入国在留管理局2~3か月企業(代理)企業情報(登記・決算)と職務内容の具体性。補正依頼に迅速対応。
3. 査証申請就労ビザ(査証)申請在外公館(日本大使館・総領事館)数日〜数週間本人COE原本/写し・旅券・申請書・写真。国や在外公館により必要書類・手数料が異なる。
4. 入国・上陸上陸審査・在留カードの受け取り入国港当日本人指定空港ではその場で在留カード交付。非指定港は住民登録後に郵送交付。
5. 入国後手続住民登録・社会保険・税・銀行等市区町村・年金機構等1〜2週間本人・企業14日以内の住民登録、雇用開始日にあわせた健康保険・厚生年金・雇用保険の加入。

3.1 内定から在留資格認定証明書の取得

内定確定後、まずは受入企業が雇用条件(雇用形態・給与・勤務地・就業時間・在留期間の希望)を確定し、職務記述書(Job Description)を日本語で明文化します。ここで学歴(専攻)や実務経験との関連性が説明できるよう、担当業務を抽象化し過ぎずに具体的なタスクまで落とし込みます。

在留資格認定証明書(COE)の交付申請は、所属機関または申請取次者(登録済の行政書士・弁護士等)が地方出入国在留管理局に行います。申請は窓口のほか、所属機関によっては「在留手続オンラインシステム」が利用できます(制度や様式は出入国在留管理庁の公式情報を参照:出入国在留管理庁)。

標準的な審査期間は案件の難易度・時期により変動します。補正照会(追加資料の提出要請)が来た場合は、職務の専門性や企業の事業実態が伝わる補足説明書・組織図・案件資料などを添えて速やかに回答します。COEの有効期間は原則3か月で、その間に査証申請と入国を完了させる必要があります。

COEの審査では「日本人と同等以上の報酬」「学歴(専攻)・経験と職務の関連性」「企業の継続性と事業実態」が三本柱です。申請書・添付資料でこれらを一貫して説明できるかが、スムーズな許可の分かれ目になります。

3.2 在外公館またはオンライン申請と査証

COEが交付されたら、本人は自国などの日本大使館・総領事館(在外公館)で就労査証(ビザ)を申請します。一般的な提出物はCOE、旅券、査証申請書、写真で、必要書類と手数料は国・在外公館により異なります(最新の案内は外務省の公式ページを参照:外務省 ビザ)。

近年、一部の在外公館ではオンライン申請・予約システムを導入しています。ただし、オンライン化の対象や運用は国・在外公館ごとに異なり、短期滞在を主対象とする制度もあるため、就労査証の取扱い可否・提出方法・交付方法は必ず申請先在外公館の案内を確認してください。

査証が旅券に貼付(もしくは電子的に付与)されたら、入国予定日から逆算して航空券・住宅・初回出社日程を確定します。内定時に取り決めた入社日と在留期間の整合性にも注意します。

3.3 入国 在留カード 住民登録 社会保険

日本到着時、上陸審査でCOEに基づき在留資格が付与され、指定空港では「在留カード」が即日交付されます。非指定空港での入国時は「在留カード交付予定者」とされ、後日、居住地の届出(住民登録)を経て簡易書留で郵送交付されます(在留制度の概要は出入国在留管理庁参照)。

入国後は14日以内に居住地の市区町村役場で住民登録(転入届)を行います。これにより個人番号(マイナンバー)が付番され、「個人番号通知書」が送付されます。就労先が適用事業所である場合、健康保険・厚生年金は原則加入義務があり、雇用保険の資格取得手続もあわせて企業側で行います。本人は銀行口座開設や年末調整・扶養控除等申告書の提出など就労・生活の初期手続を進めます。

住民登録は14日以内、社会保険は入社日適用が原則です。初動が遅れると医療費や年金資格、源泉徴収・年末調整に実務的な不都合が生じます。

3.4 必要書類 内定通知書 雇用契約書 学歴証明 経験証明

以下は、COE申請・査証申請・入国後に必要となる代表的な書類の整理です。実際の必要書類は案件の内容・在外公館・審査状況により異なるため、最新の公式案内(出入国在留管理庁外務省 ビザ)を確認してください。外国語書類には日本語訳を添付し、訳者名・作成日を明記します。

書類名主な用途作成者・入手先原本/写し実務ポイント
内定通知書(オファーレター)条件提示の根拠、COE添付補助企業写し職務内容・給与・勤務地・雇用形態・入社日を明確化。
雇用契約書COE主要添付、査証審査企業・本人写し日本人同等以上の報酬水準、みなし残業の有無、試用期間の取り扱いを明記。
職務記述書(Job Description)職務の専門性の説明企業写しタスク・使用技術・言語・業務割合・配属部署・監督体制を具体化。
履歴書・職務経歴書経歴確認・経験年数算定本人写し専攻・経験と職務の関連性を年月・成果で記述。
卒業証明書・学位記の写し学歴要件の立証大学等写し専攻名(英名含む)を明確に。専門学校は専門士・高度専門士での取り扱いを確認。
成績証明書・シラバス専攻内容の具体化大学等写し職務との関連科目をハイライト。翻訳要。
在職証明書・推薦状実務経験の証明前職等原本または写し従事業務・期間・雇用形態・フルタイム/パートを明記。
企業の登記事項証明書企業実在性の証明法務局原本最新の履歴事項全部証明書を取得。
直近の決算書(貸借対照表・損益計算書)事業継続性の確認企業写し新設企業は事業計画書・資金計画・受注(内示)資料を補完。
会社案内・HP写し・組織図事業内容の補足企業写し配属部署・監督者の専門性を示す。
在留資格認定証明書(COE)査証申請・上陸審査出入国在留管理庁原本(在外公館案内に従う)有効期間は原則3か月。紛失・遅延に注意。
査証申請書・写真査証申請在外公館原本写真は4×3cm、3か月以内、無背景、正面・無帽が原則。
旅券(パスポート)査証貼付・入国原本有効残存期間を確認。破損・残頁不足は事前更新。
住居に関する書類(賃貸契約等)住民登録市区町村写し入居日・住所の正確性を確認。ホテル滞在時は後日速やかに転入。

上記は代表例です。派遣・請負を含む場合は就労場所・指揮命令系統・契約関係(派遣元・派遣先)の資料が追加で必要になることがあります。また、変更・更新・転職に関わる届出は別途ルールがあるため、所属機関の総務・人事は法令遵守の観点から運用手順を整備しておきましょう。

「誰が・いつ・どこへ・何を」提出するかを工程表とチェックリストで見える化し、原本管理と翻訳品質を担保することが、許可の再現性を高めます。

4. よくある不許可理由と回避策

審査では、業務の専門性と学歴・実務経験の一致、報酬の妥当性、就労実態(単純作業の有無)、受入企業の継続性・支払能力などが総合的に確認されます。不許可は単一要因というより、説明不足や証拠の弱さが積み重なることで発生しやすいため、職務内容の具体化、立証資料の整備、契約情報の透明化が重要です。

不許可リスク主な兆候すぐにできる対処
専攻不一致・業務内容の抽象化「事務」「サポート」など曖昧な職務記載/業務と学位・経験のつながりが説明不足職務記述書を専門用語と具体タスクで再記載/学位シラバス・職務経歴との対応表を作成
給与が日本人同等未満賃金規程の不整備/同等職との比較根拠がない/固定残業の内訳不明賃金規程・給与テーブル・賃金台帳の写しを準備/みなし残業の時間数と超過時の計算方法を明記
実態が単純作業ライン作業・倉庫作業が主/業務割合の大半がマニュアル作業専門業務の比率と成果物を明示/作業と分析・設計等の切り分け資料を添付
企業の安定性・資本関係・事業計画売上・収益の根拠が弱い/オフィス実在性や指揮命令系統が不明瞭決算書・納税証明・契約書の写しを提出/就業場所・監督体制・派遣/請負の区分を明確化

4.1 専攻不一致 業務内容の抽象化

「技術・人文知識・国際業務」は、大学等で修得した専門知識や相応の実務経験を必要とする業務が対象です。にもかかわらず、職務内容が抽象的で専門性の立証が弱い、または学位・経験とのつながりが示せない場合は不許可になりやすくなります。審査では、学術・専門知識と日々のタスクがどのように結びつくかを文書と資料で具体的に説明できているかが決定的です。

4.1.1 典型的な不許可パターン

求人票・雇用契約書において「事務全般」「サポート業務」などの表現のみで、要件定義・設計・分析・交渉・翻訳方針作成といった専門工程が不明確なケースが目立ちます。また、学位が情報工学でも実務はデータ入力中心、経営学でも業務は倉庫内の出荷作業中心といった、専攻と職務の整合性を説明できないケースも不許可に傾きます。

4.1.2 回避策と作成ポイント

職務記述書、雇用理由書、組織図、教育訓練計画を相互に整合させ、次の観点を明確化します。専門工程(例:要件定義、要約方針策定、品質分析、需要予測、価格戦略設計)を「名詞+動詞+成果物」で書き、業務フローと成果物(設計書、分析レポート、提案書、翻訳メモリ設定など)を対応させます。加えて、大学のシラバス・成績証明や過去の職務経歴のうち、当該業務に直結する科目・経験を列挙し、対応表で関連性を立証します。

論点立証資料の例作成のコツ
専門性の具体化職務記述書、業務フロー、成果物サンプル(雛形可)「分析・設計・交渉」等の専門工程と時間配分を数値で記載
専攻・経験との一致卒業証明・成績証明、シラバス、職務経歴書科目名とタスクを一対一で紐づける対応表を添付
監督体制組織図、上長の略歴・資格、評価制度の概要指揮命令系統とレビュー体制を明記
就業場所・言語就業場所の明示、使用ツール・使用言語の説明顧客先常駐時は連絡・報告手順を文書化

「抽象ワードの羅列」ではなく「工程・方法・成果物・監督」の4点をそろえて記述することで、専攻一致性が格段に伝わりやすくなります

4.2 給与が日本人同等未満

同種同等の業務に従事する日本人と比較した報酬が不当に低い場合、または給与体系・支給根拠が不透明な場合は不許可につながります。比較対象と根拠資料(賃金規程・給与テーブル・賃金台帳等)をそろえ、地域の最低賃金や所定労働時間との整合も明示してください。

4.2.1 リスクの見分け方

求人票や雇用契約書に「固定残業代を含む」とあるのに時間数と超過時の割増計算方法が書かれていない、手当の支給条件が不明、社会保険加入が曖昧、支給総額の内訳がなく比較対象(同社の同等職や採用実績)の提示がないといった場合は要注意です。

4.2.2 回避策と作成ポイント

賃金規程・就業規則・給与テーブル・賃金台帳(個人情報を適切にマスキング)を用意し、同等職の報酬水準との比較表を添付します。固定残業代を採用する場合は対象時間、算定基準、時間外超過時の追加支給方法、深夜・休日の割増を明記し、雇用契約書と規程の内容を一致させます。社会保険・源泉徴収・通勤手当等の取扱いも文書化しておきます。

チェック項目必要資料不備がある場合の対処
同等職との比較給与テーブル、賃金台帳の写し職群・等級・役割要件を揃えて比較表を作成
固定残業の明確化就業規則、雇用契約書、計算例時間数・基礎賃金・割増率を明示し整合性を確認
最低賃金・所定時間整合所定労働時間の記載、出勤簿時間当たり単価の計算根拠を添付
社会保険加入適用事業所番号、加入予定の説明適用外の場合は要件と理由を明確化

「社内規程に基づく支給」と「同等職の比較可能性」を資料で示すことが、報酬要件の核心的な立証になります

4.3 実態が単純作業

出入国在留管理上、当該在留資格では単純作業や現業中心の業務は認められません。審査は「業務の中心」が専門的かどうかを見ます。単純作業を含む場合でも、専門工程が優越し、成果物や判断業務が明確であることを立証できれば評価されます

4.3.1 判断基準のポイント

単純作業の割合が高い、責任範囲が限定的、成果物が物理的作業の完遂のみ、指揮命令が現場単位で行われる、といった場合は不許可になりやすい傾向にあります。逆に、分析・設計・仕様策定・翻訳方針設計・交渉戦略立案などの知的労働が主で、レビュー・承認のプロセスが整備されていることを文書で示せれば、有利に働きます。

4.3.2 回避策

業務分担表で「専門工程」と「付随作業」を区分し、時間配分と成果物を明示します。工程ごとの責任者、レビュー基準、使用ツール(CAD、BI、翻訳メモリ、プロジェクト管理ツール等)を示し、単純作業に見えるタスクについても判断・分析・品質保証の観点を付記します。顧客先常駐がある場合には、偽装請負と誤解されないよう、指揮命令系統、報告経路、自社管理者の関与を明文化します。

専門性が伝わる記載例不許可に傾きやすい記載例
「要件定義書の作成、DB正規化設計、品質指標の設定とレビュー」「PC入力、検品、梱包、ラベル貼付」
「翻訳メモリの用語統一ポリシー策定、ネイティブレビュー運用設計」「翻訳文の写経、原文の貼り付け作業」
「市場データの回帰分析、価格戦略案の作成、与信方針の策定」「テレアポ件数のノルマ達成のみを評価」

「どの工程でどの判断を行い、どの成果物を提出するか」を書面で示すことが、単純作業認定の回避に直結します

4.4 企業の安定性 資本関係 事業計画

給与支払能力・継続性・事業の実在性が確認できない場合、または資本・取引関係や就労形態(派遣・請負・出向)が不明瞭な場合は不許可となり得ます。新設企業や赤字決算でも、資金計画・受注実績・契約の裏付けがあれば立証可能性はありますが、資料の網羅性と整合性が不可欠です。

4.4.1 審査の観点

決算書・試算表・納税状況、資本金と運転資金、主要取引先との契約・受注残、就業場所の実在性(賃貸借契約・写真等)、指揮命令系統、派遣・請負の区分と適法性、外国人雇用の必要性(雇用理由書)などが確認されます。顧客先常駐がある場合は、請負契約なのか労働者派遣なのか、また派遣であれば適正な管理体制かを明示します。

4.4.2 回避策と提出資料

最新の決算書に加え、直近の月次試算表、売上計画、受注・見積・請求・入金のエビデンス、納税証明(その1・その2)、法人登記事項証明、事業所の賃貸借契約とレイアウト図・写真、企業パンフレット・ウェブサイト、就業場所と監督体制の説明書を準備します。派遣・請負・出向のいずれかを採る場合は、契約書の写し、指揮命令系統、評価・勤怠・安全衛生の管理主体を文書化します。

論点必要資料審査で重視される点
支払能力・継続性決算書、月次試算表、資金繰り計画、納税証明人件費計上と支払予定の根拠の明確さ
事業の実在性登記事項証明、賃貸借契約、オフィス写真実体ある事業所と就業場所の特定
受注・取引の裏付け契約書、注文書、請求・入金記録継続的な案件と収益の見通し
雇用の必要性雇用理由書、業務量試算、組織図日本人採用では代替困難な理由の具体性
派遣・請負の適法性契約書、管理フロー、勤怠・評価の主体偽装請負と誤解されない指揮命令系統の明示

「数字(決算・試算・受注)」「場所(就業環境)」「人(指揮命令と管理)」の三位一体で資料を揃えると、企業側の立証力が大きく向上します

以上を踏まえ、内定から申請準備の初期段階で、職務記述書・雇用契約書・賃金規程・監督体制・就業場所の情報を相互に突き合わせ、齟齬をなくすことが重要です。申請書類一式は、表現・数値・用語が全て一致するよう精査し、疑義を生まない構成に整えましょう。

5. 在留期間の更新と変更

「技術・人文知識・国際業務」(以下、技人国)で働き続けるには、在留期限の管理と、業務内容の変化に応じた適切な手続きが不可欠です。更新は「在留期間更新許可申請」、職務内容や在留資格の枠組みが変わる場合は「在留資格変更許可申請」を行います。在留期間の満了日前3か月から更新申請が可能で、満了日までに申請すれば、原則として許可・不許可の決定日または満了日から2か月を経過する日のいずれか早い日まで、従前の在留資格の活動を継続できます。ただし、別の在留資格に該当する新しい活動を始める場合は、「変更許可」の取得後に着手します。

5.1 更新の時期 必要書類

在留期間の更新は、渡航予定や繁忙期を踏まえて余裕を持って行うことが重要です。審査期間は個別事情により異なるため、出入国在留管理庁が示す受付開始基準に合わせて早めに準備を進めます。更新許可後は新しい在留カードが交付されるため、受領時に収入印紙で手数料を納付します。

手続申請できる時期提出先手数料審査中の取扱い・注意点
在留期間更新許可申請在留期間満了日前3か月から地方出入国在留管理局(支局・出張所を含む)またはオンライン申請6,000円(許可時に収入印紙で納付)
5,500円(オンライン申請)
満了日前に申請すれば、決定日または満了日から2か月のいずれか早い日まで従前の活動を継続可能
在留資格変更許可申請新たな活動開始前(要件を満たした時点)地方出入国在留管理局またはオンライン申請6,000円(許可時に収入印紙で納付)
5,500円(オンライン申請)
許可が下りるまでは原則として新活動に従事できない(同一在留資格内の通常の転職は除く)

更新・変更いずれも、事実関係(雇用契約、職務内容、報酬、就業場所等)を客観資料で裏づけることが最重要です。会社の体制や直近の経営資料、個人の納税状況が確認できないと、不許可や追加資料の要請につながりやすくなります。

区分書類名発行主体・入手先ポイント
申請者共通在留期間更新許可申請書(または在留資格変更許可申請書)出入国在留管理庁様式最新の職務内容と雇用条件を正確に記載
申請者共通写真(規格に適合するもの)本人準備申請時16歳以上は提出が一般的
申請者共通パスポート・在留カード本人所持有効期限・記載内容の確認が行われる
雇用・報酬雇用契約書(または内定通知書・労働条件通知書)受入企業職務内容、契約期間、賃金、就業場所、就業形態を明記
雇用・報酬職務記述書(ジョブディスクリプション)受入企業技人国の該当性(専門性、非単純労働)を具体的に説明
所得・納税課税(所得)証明書・納税証明書(直近年度)市区町村役所年収と納税状況の裏づけ。源泉徴収票の写しを併せて求められる場合あり
会社情報会社概要(パンフレット・ウェブ印刷等)/登記事項証明書受入企業・法務局事業内容や規模、実在性を示す。新設・中小は特に重要
会社情報直近期の決算書の写し受入企業企業の継続性・支払能力の確認資料。状況により求められる
補足理由書(配置転換・報酬改定・転職直後など)受入企業または本人変更の経緯と適法性を簡潔・具体的に記載

申請は窓口のほか、条件を満たせばオンライン申請も可能です。原本確認が必要な書類は写し提出であっても、窓口で原本提示を求められることがあるため、必ず持参または即時提示できる体制を整えておきます。許可後は在留カードを受領し、記載内容(在留期間、在留資格等)に誤りがないか確認します。

5.2 職務変更 配置転換の注意

同一の「技人国」の範囲内で職務内容が変わるだけであれば、通常は「変更許可」は不要です。ただし、実態が現業・単純作業に偏る配置転換や、専門性の要件を満たさない業務への従事は、技人国の活動外となり不許可・違反の原因になります。業務は常に専門性(知識・技能)に基づく内容であることを、職務記述書や体制図で説明できるようにしておきます。

転職や出向などで所属機関(雇用先)が変わった場合は、在留資格そのものが変わらなくても「所属機関に関する届出」を14日以内に行います。届出は郵送・窓口・オンラインの方法が用意されています。届出を怠ると、更新審査で不利になるだけでなく、罰則の対象となる場合があります。

派遣就労や客先常駐の形態自体は直ちに問題となるものではありませんが、派遣先で行う業務が技人国の該当業務(設計、開発、企画、翻訳、海外取引業務など)であること、かつ労働者派遣法等の法令に適合していることが前提です。製造ライン補助や倉庫仕分けといった単純作業に従事させる契約・実態は不可です。

労働条件の大幅な変更(勤務地の工場常駐化、報酬の引下げ、みなし残業の一方的付与など)は、更新時に「日本人と同等以上の報酬」や受入体制の観点で疑義を招きやすくなります。変更がやむを得ない場合は、雇用契約書の改定と理由書で透明性を確保するとともに、必要に応じて「就労資格証明書」の交付申請で適法性を確認しておくことが有効です。

新たな職務が技人国の枠を外れる(例:技能系の専門職、経営管理、研究教育、あるいは主目的が研修となる)場合は、開始前に「在留資格変更許可申請」を行い、許可後に着任するのが原則です。

5.3 高度専門職 技能 実務研修との違い

技人国は「専門的な知識・技術」に基づくホワイトカラー業務に広く対応する就労資格ですが、近接する他の在留資格とは要件・活動範囲が異なります。更新・変更の判断を誤らないよう、違いを把握しておきましょう。

在留資格主な活動要件の考え方留意点
技術・人文知識・国際業務理工系の技術職、企画・調査、通訳翻訳、海外取引、マーケティング等学歴(専攻)または実務経験で専門性を説明。日本人と同等以上の報酬単純作業は不可。職務記述と実態の一致が重要
高度専門職高度な研究・専門・経営管理の活動をポイント制で評価ポイント要件を満たすこと(学歴・年収・実績等の総合評価)活動の自由度や家族の就労など優遇措置あり。基準を満たす場合は変更を検討
技能料理人、宝石・貴金属加工、スポーツ指導者などの熟練技能原則として相当期間の実務経験等で熟練性を証明対象分野が限定的。技人国の「知識・技術」とは評価軸が異なる
(実務)研修に該当する活動教育・訓練を主目的とする就業体験・インターン等労務提供よりも研修性が主。受入計画・指導体制が重視主目的が研修なら技人国ではなく、適切な在留資格(特定活動等)を検討

実態の活動がどの在留資格に最も適合しているかが審査の核心です。要件を満たす別の在留資格の方が適切な場合は、在留資格変更許可申請による切替えを行い、許可後に新しい活動へ移行します。更新・変更の可否判断に迷うときは、職務内容・雇用条件・体制図を整理し、要件との適合性を事前に確認しておくと安全です。

6. 技術・人文知識・国際業務と他在留資格の違い

「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」は、学術・専門知識や国際感覚に基づく“ホワイトカラー系の専門的業務”を職務内容で判断して許可される就労系在留資格であり、分野で限定する「特定技能」や、就労を目的としない「留学」「家族滞在」とは制度設計が根本的に異なります。

比較の出発点は「在留目的」と「許可される活動の枠」。技人国は、大学・専門学校などの専攻や実務経験と照合して、通訳・翻訳、システム開発、経理・人事、海外営業、機械設計などの専門業務に従事することを前提に設計されています。一方、特定技能は定められた特定産業分野での一定の技能を活かす現場業務を想定しており、留学・家族滞在は本来の活動(学修・扶養)を中心に据え、例外的に資格外活動許可の範囲でのみ就業が認められます。

6.1 特定技能 留学 家族滞在との比較

混同しがちな4つの在留資格を、「就労の可否」「根拠要件」「雇用のかたち」「更新・変更のしやすさ」の観点で横断整理しました。選考や内定後の在留資格選定、または転職・在留資格変更の検討時の目安にしてください。

比較軸技術・人文知識・国際業務特定技能留学家族滞在
在留目的専攻や実務経験に裏づけられた専門・技術・国際業務に従事して報酬を得る特定産業分野の現場で一定の技能を用いてフルタイムで働く教育機関で学修する(就労は本来目的ではない)就労者等の配偶者・子として本邦での扶養を受けて生活する
就労の可否可(専門業務に限定)可(指定分野の職務に限定)不可(資格外活動許可によりアルバイト可)不可(資格外活動許可によりアルバイト可)
代表的な職務システムエンジニア、通訳翻訳、海外営業、マーケ・広報、機械設計、経理・人事介護、外食、宿泊、建設、製造分野などの現場オペレーション講義・実習・研究への出席、卒業研究、就職活動日常生活・家事・育児、学校通学など
主な要件学歴(大学・短大・高専・専門学校)または相応の実務経験+職務内容の適合/報酬は日本人同等以上技能試験+日本語試験(例:JLPT等)/受入機関の支援体制/契約の適正教育機関の在籍と学修継続性/学費・生活費の資力扶養者の収入・生計維持能力
雇用形態雇用・委託・請負など契約に基づく有償活動が可(職務内容が適合すること)原則、直接雇用(分野ごとに定める)雇用前提ではない(アルバイトは包括許可で時間制限)雇用前提ではない(アルバイトは包括許可で時間制限)
労働時間労基法の範囲でフルタイム可(みなし残業等は契約明記が必要)フルタイム可(労基法順守、深夜・時間外は割増)週28時間以内(学則上の長期休暇中は1日8時間まで)※資格外活動許可が条件週28時間以内(包括許可の範囲)※資格外活動許可が条件
在留期間と更新1年・3年・5年等。活動の継続性・安定性と報酬水準で更新判断1号は上限あり、2号は上限なし(分野による)。契約継続と支援体制で更新在学期間に応じ付与。進級・出席状況・成績等で更新判断扶養状況の継続性で更新判断
家族帯同条件により「家族滞在」で帯同可1号は原則不可、2号は可(分野要件)不可(私費・国費等の条件で一部例外的な在留もありうるが就労は不可)本人が家族滞在の在留者であり、帯同の主体ではない
転職・変更同種の専門業務なら届出で可。業務範囲が変わる場合は在留資格変更許可が必要同一分野内で受入機関変更は可(届出・契約手続が必要)就職は在留資格変更(例:技人国)で対応フルタイム就労は不可。就職時は在留資格変更が必要
資格外活動許可原則として包括許可の対象外。個別許可が必要で、専門外の単純労働は許可されにくい原則不可(本来活動に支障が出る副業は想定されない)包括許可で週28時間内のアルバイト可包括許可で週28時間内のアルバイト可
典型的な誤解「学歴があればどの仕事も可」ではない。職務内容の専門性と専攻・経験の整合が必要「どの業種でも可」ではない。定められた分野以外は不可「留学ならフルタイム勤務可」ではない。時間制限あり「家族滞在なら自由に働ける」ではない。時間制限あり

技人国は“職種(業務内容)ベース”、特定技能は“産業分野ベース”、留学・家族滞在は“非就労ベース”という発想の違いを押さえると、どの在留資格が適切か判断しやすくなります。なお、大学等を卒業したものの業務がサービス接遇中心となる場合には、「特定活動(本邦大学卒業者等)」での雇用という選択肢が使われるケースもあります(要件は別途規定)。

6.2 就労範囲 副業 兼業 転職の可否

まず就労範囲の原則です。技人国は、雇用・委託・請負など契約形態を問わず、従事する実際の仕事が「技術」「人文知識」「国際業務」のいずれかに該当していれば就労が可能です。業務委託で複数社と契約することも制度上は排除されていませんが、受入側の指揮命令関係や監督体制、報酬の同等性、労働時間の通算管理(労働基準法)に注意が必要です。

技人国での副業・兼業は、主たる在留資格の「活動の範囲内(専門業務)」であれば原則可能で、追加の在留資格申請は不要です。一方、コンビニや軽作業などの単純労働は在留資格の趣旨に反するため不可であり、資格外活動許可による包括的なアルバイト枠も原則対象外です(やむを得ない個別・一時的活動は個別許可の審査対象ですが、専門外の恒常的労働は認められません)。

特定技能は、本来活動が「受入機関でのフルタイム就労」であるため、副業・兼業は想定されていません。多くの分野で直接雇用が前提とされ、同一分野内の転職(受入機関の変更)は可能ですが、所定の届出・契約手続や、支援計画の承継が必要です。分野をまたぐ転職は原則不可で、在留資格の変更審査が必要になります。

留学・家族滞在は、いずれも本来活動が就労ではないため、資格外活動許可がある場合に限り、週28時間以内(学則上の長期休暇は拡大可)のアルバイトが可能です。複数のアルバイト先があっても時間は通算管理で、深夜労働や風俗営業等の就業制限にも留意します。

転職・離職時の手続は在留資格ごとに異なります。技人国は、同種の専門業務への転職であれば「所属機関に関する届出」(14日以内)が基本で、職務内容が在留資格の枠を超える場合は、就業開始前に在留資格変更許可が必要です。離職後の求職期間は一定程度は許容されますが、更新時には活動実績・雇用見込みが厳格に確認されるため、速やかな再就職と届出が重要です。

特定技能では、受入機関の変更に伴い、契約書・支援体制の確認、分野適合性の再確認、所定の届出が必要です。留学・家族滞在からの就職は、内定先の職務内容・報酬・体制が要件を満たすことを前提に、技人国や特定技能などへの在留資格変更許可申請で対応します。

項目技術・人文知識・国際業務特定技能留学/家族滞在
副業・兼業同種の専門業務に限り可(契約形態は不問、実態と監督体制に注意)原則不可(本来活動はフルタイム就労)資格外活動許可の範囲内(週28時間以内)で可
派遣・客先常駐業務内容が適合し、雇用元の監督・報酬の適正が担保されれば可分野の定めに従う(多くは直接雇用を前提)該当せず(本来活動は学修・扶養)
転職の可否可(同種業務は届出、異種は在留資格変更が必要)同一分野内で可(届出・契約手続が必要)就職は在留資格変更で対応
届出・期限所属機関の変更等は14日以内に届出受入機関の変更等は所定の届出(おおむね14日以内)資格外活動許可申請/就職時は変更許可申請
リスク・留意点専門外・単純労働への逸脱、報酬の日本人同等未満、監督不十分は不許可・取消のリスク分野外業務への従事、支援体制不備、違法な長時間労働は更新・継続に影響週28時間超過、風俗営業での就労、出席不良は更新・在学に重大な影響

結論として、専門職として自由度高くキャリア構築を目指すなら技人国、特定産業の技能で現場就労を希望するなら特定技能、学修や家族の生活を第一とするなら留学・家族滞在と、目的に合致した在留資格の選定が不可欠です。副業・転職・在留資格変更は、活動の範囲・届出期限・契約内容(労働条件通知書・雇用契約書)を具体的に確認したうえで進めましょう。

7. 2025年の最新トピック

7.1 申請オンライン化の進展 eVISA関連

2025年時点では、出入国在留管理庁の在留申請オンラインシステムを用いた手続が広く実務に浸透し、所属機関(受入企業)や申請取次者によるオンラインでの在留資格認定証明書(COE)交付申請、在留期間更新、在留資格変更、就労資格証明書の申請等が一般化しています。企業側がユーザー登録を行い、申請者情報・雇用契約・職務内容をデータで提出できるため、郵送・窓口の負荷が減り、審査中の差し替えや追加資料の提出もオンラインで対応できるケースが増えています。

技術・人文知識・国際業務の新規採用においては、COEのオンライン申請と、COEの写し(コピー)や電子的に発行された情報での査証申請が認められる運用が広がったことにより、内定から入国までの全体スケジュール設計が従来よりも柔軟かつ短縮しやすくなっています。

一方で、外務省が運用する電子査証(eVISA)は主に短期滞在(観光・商用等)を対象とした仕組みであり、技術・人文知識・国際業務などの就労査証については、基本的にCOEに基づく通常の査証申請の枠組みが継続して用いられます。渡航者の国・地域や在外公館の運用によりオンライン化された手続の範囲は異なるため、査証申請段階では最新の案内(対象国、必要書類、受付方法)を事前に確認し、原本提示やパスポート提出が必要となる場面を見落とさないことが重要です。

オンライン化の実務では、アカウント権限の管理(所属機関内の申請送信担当者・確認者の分離)、提出ファイルの書式統一(PDF化や電子署名の有無の整理)、審査照会へのタイムリーな回答体制の構築が肝要です。特に職務内容の説明は、文字数制限のある入力フォームで抽象的になりやすいため、別添説明書で「学歴・専攻との関連性」「専門性の根拠」「単純作業を含まない業務設計」を補足し、雇用契約書や職務記述書(ジョブディスクリプション)と整合させます。

観点オンライン申請紙(窓口・郵送)申請実務ポイント
付時間・場所ウェブ上で随時送信可能(メンテナンス時間帯を除く)窓口の開庁時間・郵送期間に依存繁忙期や連休前後は送信時期を前倒しし、審査の平準化を図る
追加資料電子ファイルで差替・追加が容易再提出に時間がかかりやすいファイル命名規則と版管理(v1, v2等)で差替履歴を可視化
押印・署名電子化資料の活用がしやすい原本押印を求められる場面がある電子署名の有無・責任者名の表記を統一し、紙原本も保管
進捗把握ポータルで受理状況・照会の確認が可能電話・書面連絡に依存受入企業内で通知メールの配信先を複数化し見落としを防止
交付物の取扱い通知・番号情報を電子で受領する運用が拡大紙の受領・原本回収が中心COE番号・有効期間の記録と査証申請スケジュールの自動リマインド

COEの有効期間は原則3か月であるため、査証申請・入国の工程管理(現地での在外公館手続、渡航便、住宅手配、入社日設定)を逆算し、内定からの全体リードタイムを可視化しておくと安全です。なお、システム障害や法令・運用の改正等で受付方法が変わる場合もあるため、運用面の前提は案件ごとに最新情報で上書きすることを推奨します。

オンライン化により手続自体は迅速になっても、審査の要点(学歴・専攻の関連性、職務の専門性、日本人と同等以上の報酬、受入体制の実在性)は変わらないため、説明資料の質を高めることが許可率と処理速度の双方を押し上げます。

7.2 実務でのチェックポイント 雇用契約書の記載例

審査における雇用契約書は、実体を裏づける中核資料です。とりわけ「業務内容」「従事場所」「報酬額」「就業時間・休日」「指揮命令・監督体制」の記載が在留資格の該当性や日本人同等以上の待遇の判断に直結します。以下は、技術・人文知識・国際業務での記載項目と着眼点の整理です。

項目必須・推奨記載のコツ(例)典型的な不備
業務内容必須学歴・専攻と関連する専門業務を具体化(例:要件定義、基本設計、通訳・翻訳、海外市場分析、機械設計、品質評価 等)抽象的な表現のみ(事務全般、作業補助 等)で単純作業と区別できない
従事場所必須本社所在地に加え、客先常駐・在宅勤務の有無、変更時の手続(届出、契約変更)を明記所属先不明確、派遣・請負の実態説明が欠落
報酬・手当必須基本給、各種手当、賞与の有無、みなし残業の時間数と超過時の清算方法を具体化日本人同等以上の根拠を示さない、固定残業の時間数未記載
就業時間・休日必須所定労働時間、休憩、休日、変形労働制の有無、在宅時の勤怠管理方法を明記裁量労働・フレックスの詳細不明、勤怠管理の方法が曖昧
試用期間推奨期間、条件、処遇(給与減額の有無)を明記し、終了後の本採用条件との差異を説明期間のみ記載し処遇・評価基準が不明確
職務変更・配置転換推奨変更可能性の範囲を専門性の枠内で限定し、在留資格の該当性を損なわない運用を明記「会社の定める業務」だけで専門性の範囲が読み取れない
社会保険・税必須健康保険・厚生年金・雇用保険の加入、源泉徴収の実施を明記適用関係の記載抜け、加入時期が不明確
秘密保持・知的財産推奨機密情報・成果物の帰属、競業避止の範囲を適切に限定職務発明や成果物の取扱いが不明
言語要件推奨日本語/英語等の使用言語、水準(例:日本語能力試験N2相当)を明記語学要件が職務に照らして過不足

職務記述は、単に職種名を列記するだけでなく、実際に割く業務比率やアウトプットまで明確化すると説得力が高まります。例として、ITエンジニアの場合は「要件定義・設計40%、実装・コードレビュー40%、運用改善・ドキュメント化20%」のように専門業務を中心に構成し、検証・評価に付随する軽作業が主たる業務でないことを示します。通訳翻訳・海外営業・機械設計等でも、専門知識や語学運用を要する核となるタスクを中心に据え、単純作業の比重が主とならない記載にします。

また、派遣・請負や客先常駐の形態を採る場合は、指揮命令系統、職務内容の同一性、就業場所、労務管理(勤怠・安全衛生)の主体、秘密保持・情報管理の体制を、契約書・就業条件明示書・業務委託/派遣契約の三点セットで整合させておくことが重要です。必要に応じて、現場の監督体制や教育訓練計画を示す補足資料も添付し、受入体制の実在性を具体的に説明します。

「日本人と同等以上の報酬」「学歴(専攻)・経歴と職務の関連性」「単純作業に該当しない業務内容」の三点を、契約書・職務記述書等で一貫して示せるかが審査における合否の分かれ目です。

最後に、オンライン申請の定着により、提出データの品質(解像度、改ざん防止、機微情報のマスキング、版数管理)と説明責任(誰が・いつ・何を根拠に承認したかの内部統制)がこれまで以上に問われます。企業は、雇用契約書の標準フォーマットを最新の審査視点に合わせてアップデートし、案件ごとにカスタマイズした職務説明とエビデンスをセットで準備する体制を整えましょう。

8. よくある質問

8.1 専門学校卒でも申請は可能か

日本の専修学校(専門課程)を修了し「専門士」の称号を得ている場合で、学んだ専門分野と実際に従事する業務内容の関連性が具体的に説明できれば、技術・人文知識・国際業務の在留資格での申請は可能です。

評価されるのは肩書きではなく、専攻内容(カリキュラム)と職務内容の「専攻一致」の妥当性です。たとえば、情報処理の専門学校でプログラミングやデータベースを体系的に学び、入社後にWebエンジニアとして設計・開発・テスト・運用に従事する、といった関係性が明瞭であれば、実務での適合性を示しやすくなります。

一方で、実務の中心が現業や単純作業(ライン作業、倉庫内での仕分け、清掃、レジ打ち等)に偏る場合は該当性が否定されます。職務記述書(Job Description)、配属先の体制、教育・指揮命令系統、使用ツール・担当工程などを明確化し、知識・思考を要する職務であることを資料で裏づけることが重要です。

学歴に加えて、内定先で期待される役割や、配属後の一日の流れ、試用期間中のOJT計画を示すと、審査での理解が進みます。なお、学歴要件を完全に満たさない場合でも、相当程度の実務経験があれば補完要素として評価される余地がありますが、具体の可否は個々の事情と提出資料の整合性に左右されます。

8.2 英語のみでの実務でも該当するか

日本語能力は法律上の絶対条件ではなく、英語のみの実務でも、職務内容が「技術」「人文知識」「国際業務」のいずれかに該当し、雇用契約・監督体制が整っていれば許可の可能性はあります。

典型例としては、グローバル向けの要件定義・設計・コーディング・レビューを英語で行うITエンジニア、海外向け市場調査・販路開拓・契約交渉を担う海外営業、社内外のドキュメントを扱う通訳・翻訳、海外施策の立案・実行を担うマーケティング職などが挙げられます。いずれの場合も、単に日常会話の通訳や雑務ではなく、専門知識・分析・判断が求められることがポイントです。

実務運用上は、上司・同僚とのコミュニケーションや勤怠・労務管理を日本国内の拠点で適切に行える体制(指揮命令系統、担当部署、評価制度、日本人と同等以上の処遇など)の説明が求められます。対外的な折衝や社内連絡が英語中心でも、勤怠管理や労働安全、情報セキュリティなどの社内ルールを守れる監督環境が示されていると安心です。

なお、カスタマーサポートや受付などで「英語で対応する」こと自体は直ちに該当性を意味しません。問い合わせの分類・一次受け付け・案内のみといった単純反復的な業務が中心である場合は、該当性が否定されます。業務設計と分掌の書面化で、専門性の中身を明確にしましょう。

8.3 アルバイトや派遣の可否

在留資格「技術・人文知識・国際業務」で就労できるのは、許可の対象となる専門的業務に限られます。副業・兼業や派遣就労は一定の条件下で可能ですが、単純労働のアルバイトは認められません。

副業・兼業については、本来の在留資格の範囲(同種同等の専門的業務)であれば、複数の日本の機関と契約して従事すること自体は可能です。その場合、各機関での職務内容・労働条件・監督体制が適正で、日本人と同等以上の処遇であることが前提となります。雇用や業務委託を開始・終了した際は「所属機関に関する届出」を所定の期限内に行ってください。

派遣就労は、派遣元(雇用主)と適法な雇用契約が結ばれており、派遣先で行う業務が「技術・人文知識・国際業務」に合致し、契約の安定性と労務管理が担保されている場合に限り認められます。派遣法上の許可や就業条件明示、指揮命令・勤怠管理の分担、等しい賃金待遇などの適正運用が求められます。受入れ実態が単純作業中心である、または雇用の安定性に疑義がある場合は不許可となり得ます。

一方で、コンビニ、飲食店、引越し、清掃、工場ライン等の単純作業のアルバイトは、この在留資格の活動範囲外であり、資格外活動許可の有無にかかわらず従事できません。在留活動に支障を来す過度な長時間労働や、在留資格外の収入活動は、更新・転職時の審査でも不利に働きます。

就労形態可否主な条件
本業(単独雇用)業務が「技術・人文知識・国際業務」に該当し、日本人と同等以上の処遇、監督体制が適正
副業・兼業(同種業務)同種同等の専門業務に限る。各機関との契約ごとに実態資料を整備し、開始・終了の届出を期限内に実施
派遣就労条件付きで可派遣元が雇用主。派遣先業務が該当し、雇用の安定性・労務管理・待遇が適正
単純作業のアルバイト不可在留資格の活動範囲外。資格外活動許可の対象にもならない

8.4 転職時の手続きと期限

転職では「業務内容が在留資格の範囲内か」をまず確認し、離職・入社のそれぞれで14日以内に所属機関に関する届出を行うことが必須です。

現職を退職したら、退職日から14日以内に「契約機関をやめた」旨を届け出ます。新たに入社したら、入社日から14日以内に「新しい契約機関と契約した」旨を届け出ます。届出の遅延は将来の審査で不利に扱われ得るため、期日管理を徹底してください。

転職後の職務が、前職と同様に「技術」「人文知識」「国際業務」のいずれかに当たり、専攻一致や実務経験の整合性がある場合は、在留資格の種類を変えずに就労を継続できます。職務の中心が該当性を欠く内容(現業・単純作業中心)になる場合は、就労開始前に在留資格変更が必要、あるいは転職自体が不適切となる可能性があります。

不安がある場合は、入社前〜直後に「就労資格証明書」の交付申請を行うと、新しい職務が現在の在留資格で適法に行えるかを文書で確認できます。これは義務ではありませんが、雇用主・本人双方のリスク管理に有効です。在留期間の満了が近いときは、更新申請のタイミング(原則、満了日の3か月前から申請可)と転職時期が重なるため、提出書類と説明の整合性に留意しましょう。

場面必要な手続き期限の目安
退職時所属機関に関する届出(退職)退職日から14日以内
入社時所属機関に関する届出(入社)入社日から14日以内
職務が範囲外に変わる在留資格変更許可申請原則、就労開始前
適法性の事前確認就労資格証明書交付申請(任意)内定後に申請可

あわせて、住所が変わる場合は14日以内に市区町村で住民異動の届出をし、社会保険・雇用保険の切替え、源泉徴収や年末調整の手続きなど一般的な入社手続きも漏れなく進めてください。これらの実体整備は、更新・在留資格変更時の信用性にも直結します。

9. まとめ

結論:技術・人文知識・国際業務は、専門的な知識・技能に基づくホワイトカラー業務に従事するための在留資格であり、「仕事内容の専門性」「専攻や実務経験との関連性」「日本人と同等以上の処遇」が許可の成否を左右する核心条件である。

仕事内容の要点:対象はシステム開発、通訳・翻訳、海外営業、企画・広報、人事・経理、機械設計や品質管理などの専門業務。工場ラインや倉庫の仕分け、接客中心のホール業務など現業・単純作業が主となる場合は非該当となる。

必要条件の要点:学歴または実務経験で裏づけられた専門性、専攻と業務の合理的関連、雇用契約の明確化、給与は日本人同等以上、受け入れ企業の監督体制と就業場所の明示が必須である。

働き方の結論:IT・国際・人文・技術いずれの職種でも、日々の中心業務が要件定義、設計、調査、交渉、分析、図面作成などの専門行為であることを職務記述書や成果物で具体的に説明できると説得力が高い。

申請手続の要点:内定後に在留資格認定証明書の申請、査証取得、入国・在留カード取得、住民登録・社会保険加入という流れ。内定通知書、雇用契約書、学歴・経験の証明は、記載内容の整合性を保つことが審査上の基本となる。

不許可リスクと回避策の結論:専攻不一致、業務内容の抽象化、給与が日本人同等未満、実態が単純作業、企業の継続性説明不足は典型的リスク。職務内容を具体化し、専攻・経験との関連を資料で示し、給与の根拠や事業計画・体制図を添付することで回避しやすい。

更新・変更の注意:在留期間の更新は余裕を持って準備し、職務変更や配置転換がある場合は引き続き専門業務であることと関連性を資料で説明する。転職時は必要な届出や手続きを漏らさない。

他在留資格との違い:特定技能など現業中心の在留資格とは就労範囲が異なる。副業・兼業・転職は、在留資格の活動範囲から逸脱しないことが前提で、状況に応じて所定の手続きや許可が必要になる。

最終結論:許可と安定運用の鍵は、(1)専門性の立証、(2)業務内容の具体化と単純作業の排除、(3)日本人同等以上の処遇、(4)適正な手続きと継続的コンプライアンス。この4点を企業・本人の双方で一貫して整えることが最短ルートである。

  • この記事を書いた人

行政書士 松浪 正治

ビザ申請を専門にしている大阪府枚方市の行政書士です。 オンライン申請により全国対応可能です。

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