
介護分野で外国人を採用・就労したい事業所や、日本で働きたい介護人材の方へ。本記事は「在留資格 介護」「特定技能1号(介護)」「EPA介護福祉士候補者(特定活動)」の違いと選び方を、2026年の最新動向と制度改正ポイントまで横断的に解説します。読めば、取得条件(学歴・資格・日本語要件)、受入れ機関の体制要件、申請手続と必要書類、就労範囲と労務管理、給与相場や費用、家族帯同、永住申請の道筋までを実務目線で整理して把握できます。結論として、最短・確実に採用と就労を実現する鍵は、①候補者の要件適合(介護福祉士があるなら在留資格「介護」、資格未取得でもJLPT N4またはJFT-Basicと介護技能測定試験で特定技能1号、EPA枠は協定スキームに沿う)、②受入れ機関の整備(法人形態・人員配置・研修体制、登録支援機関の活用、実効性ある支援計画書・受入れ計画書)、③適正な労働条件(労働条件通知書、社会保険、安全衛生の担保)、④申請書類の整合と誤記防止(氏名表記・学歴・職歴、雇用契約書、在職証明、住民票、写真、収入印紙)の4点です。手続は出入国在留管理庁での在留資格認定証明書の申請やオンライン申請、在留資格変更許可・更新、転職・離職時の期限管理まで流れを具体化。特定技能1号の家族滞在は原則不可、在留資格「介護」は家族帯同が可能といった違いも明確化します。さらに、2024年の関連法改正を受けた「育成就労」と旧技能実習の移行動向を踏まえ、2026年時点での実務への影響を整理。審査で見られるポイント(雇用の相当性、社会保険加入、支援体制、就労範囲の適合)や審査期間の目安に対する不備対策まで網羅し、現場で迷わない判断基準とチェックリストを提供します。
1. 2026年の最新動向と制度改正ポイント
2026年時点で介護分野の在留資格を取り巻く制度は大枠に大きな変更はなく、在留資格「介護」(介護福祉士が必須)と「特定技能1号(介護)」の二本柱を維持しています。一方で、技能実習の見直しとして成立した「育成就労制度」の準備が進み、受入れ・転籍の在り方や人材の流動性に関する実務は順次アップデートが見込まれます。また、出入国在留管理庁によるオンライン申請の普及や審査の適正化が進み、受入れ機関には法令順守と書類整備の高度化が求められています。
1.1 介護分野に影響する制度改正の全体像
以下は、介護分野の雇用・受入れに直接影響する主要トピックと、2026年時点での要点の整理です。リンクは公的機関の一次情報のみを示しています。
| 制度・トピック | 2026年時点の要点 | 関連在留資格 | 公的情報 |
|---|---|---|---|
| 在留資格「介護」 | 要件は従来どおり介護福祉士(国家資格)取得が前提。資格取得者は原則として介護業務に従事でき、更新により中長期の就労が可能。 | 在留資格「介護」 | 厚生労働省「介護分野における外国人受入れ(総合)」 |
| 特定技能(介護分野) | 2026年時点でも「特定技能2号」への移行は対象外。1号として最長5年、所定の日本語要件(JLPT N4相当やJFT-Basic)と介護技能評価試験が必要。 | 特定技能1号(介護) | 出入国在留管理庁「特定技能制度」 |
| 育成就労制度(技能実習の見直し) | 関連法が成立し、施行・運用の具体化が進行中。人材の育成・転籍ルールの明確化により、介護分野の受入れ経路やキャリア移行の設計に影響。 | (将来の受入れ経路に波及) | 出入国在留管理庁「育成就労制度(概要資料)」 |
1.2 特定技能(介護)の2026年運用ポイント
特定技能(介護)は、引き続き分野固有の試験と日本語能力要件を満たした上で就労できる枠組みです。家族帯同は原則不可、在留は通算5年までで、受入れ機関には適正な支援計画と労務管理が求められます。なお、実務経験を積んで「介護福祉士」の国家資格を取得すれば、在留資格「介護」への移行により長期就労の道が開けます。
1.2.1 特定技能2号の対象外である点
介護分野は2026年時点でも特定技能2号の対象外であり、在留の上限5年は据え置きです。長期就労や家族帯同を見据える場合は、国家資格ルート(在留資格「介護」)を前提にキャリア設計を行う必要があります。
1.2.2 評価試験・日本語試験の運用
要件は、介護技能評価試験と日本語能力(JLPT N4相当またはJFT-Basic)の合格が基本です。試験の実施スケジュールや出題範囲は公式発表に基づき最新情報を確認してください(制度の骨子は出入国在留管理庁の特定技能制度ページ参照)。
1.3 在留資格「介護」の動向
在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格保持者を前提とする専門人材の枠組みで、制度の根幹に変更はありません。就労内容は介護業務を中心に、適正な労働条件と配置基準のもとでの安定雇用が重視されます。特定技能(介護)から国家資格取得を経て移行するケースも増えており、施設側は資格取得支援や教育体制の整備が重要です。
1.4 育成就労と旧技能実習の見直しの波及
技能実習の課題を踏まえた「育成就労制度」の創設により、育成・評価・転籍のプロセスが整理され、将来的に介護分野の人材確保やキャリア移行設計にも波及が見込まれます。現時点では政省令・運用要領の具体化が進行中であり、受入れ機関は施行内容に応じて、送出し・受入れスキームや研修計画、登録支援機関との役割分担を見直す準備が必要です。
1.4.1 転籍・人材確保の実務影響
適正な人事・労務管理、教育訓練、ハラスメント防止、住居・生活支援の整備が一層重視されます。制度改正に合わせ、就業規則や受入れ計画、支援計画の整合性を確認し、不利益取扱いの防止と情報の多言語化を進めることが実務上の鍵となります。
1.5 手続のデジタル化・審査実務の傾向
在留手続のオンライン化が普及し、申請内容の整合性や添付書類の適正性がより厳格に確認される傾向です。申請者情報(氏名表記、学歴・職歴、試験合格情報)と雇用条件(職務内容、所定労働時間、賃金)の一貫性を担保し、不備のないデータで申請することが審査期間の短縮につながります。
1.5.1 オンライン申請の活用
法人によるオンライン申請は、更新・変更・在留資格認定証明書の各手続で有効です。受付可能な手続や必要事項は最新の要領を確認し、委任状・取次者情報・電子データの解像度や形式など技術的要件も満たすように運用します。
1.5.2 審査で重視されるポイント
労働条件の日本人同等以上、適正な人員配置と研修体制、支援計画の実効性、コンプライアンス違反の有無が重要視されます。受入れ機関は社内規程・台帳・記録類を平時から整備し、求めに応じて速やかに提出できる体制を整えておくことが求められます。
2. 介護分野の在留資格の全体像
外国人が日本の介護現場で就労する主な在留資格は「介護」「特定技能1号(介護分野)」「EPA介護福祉士候補者(特定活動)」で、育成就労(旧技能実習の後継)との関係も理解しておくと全体像がつかめます。目的・要件・在留期間の上限が異なるため、採用側の受入れ体制と本人のキャリアパスに応じて選択することが重要です。
| 在留資格 | 典型的な対象 | 主な要件(概要) | 在留期間・上限 | 家族帯同 | 主な受入れ主体 |
|---|---|---|---|---|---|
| 介護 | 国家資格「介護福祉士」を取得した人 | 介護福祉士資格、適正な雇用契約、日本語運用能力(実務に支障のない水準) | 更新可・通算上限なし | 可(家族滞在の対象) | 介護福祉施設・事業所(直接雇用) |
| 特定技能1号(介護) | 即戦力として現場で働きながら技能を磨く人 | 日本語(JLPT N4相当またはJFT-Basic)と介護分野の技能測定試験の合格、支援体制の整備 | 通算5年まで | 原則不可 | 介護福祉施設・事業所(直接雇用、登録支援機関の支援可) |
| EPA介護福祉士候補者(特定活動) | EPA(経済連携協定)に基づく候補者 | 所定の日本語研修・就労を経て国家試験受験、合格で「介護」へ移行 | 候補者として一定期間就労・学習(合格後は更新可) | 原則不可(合格後「介護」に移行で可能) | EPA受入れ枠のある施設・事業所 |
| 育成就労(旧技能実習の後継) | 基礎的技能を段階的に習得する人材 | 段階的な能力評価と適正な人材育成・保護の枠組み、特定技能への移行ルートを想定 | 制度移行に伴い段階的運用(特定技能への橋渡し) | 不可 | 監理・支援体制を備えた受入れ先 |
実務者研修・実務経験を積み国家資格を取得すれば、特定技能やEPAから「介護」へ移行し長期就労・キャリア形成が可能になります。一方、即戦力採用や短中期の人材確保には特定技能1号が適しています。
2.1 在留資格 介護の概要
在留資格「介護」は、介護福祉士として介護業務に従事するための就労資格です。国家資格の裏付けが前提となるため、配置・業務範囲・責任の面で中核人材としての活躍が期待されます。更新の上限はなく、一定の年収・納税・在留年数などの条件を満たせば将来的に永住許可の検討も可能です。
専門性と継続就労を重視する施設は「介護」を軸に中長期の人材戦略を設計するのが定石です。
2.2 特定技能1号 介護分野の概要
特定技能1号(介護分野)は、人手不足分野の即戦力確保を目的とした就労資格です。要件は日本語力(JLPT N4相当またはJFT-Basic)と介護分野の技能測定試験の合格で、雇用主は生活・職業支援を含む支援体制を整備します。通算在留期間は5年までで、家族帯同は原則認められていません。
現場で経験を積みつつ、実務者研修の修了や国家試験合格を経て在留資格「介護」へ移行するキャリアパスが王道です。
2.3 EPA介護福祉士候補者 特定活動の概要
EPA介護福祉士候補者(特定活動)は、二国間の経済連携協定に基づく受入れスキームです。入国後に日本語研修と施設での就労を両立し、国家試験に合格すれば在留資格「介護」に変更して長期就労が可能になります。不合格の場合は原則として候補者としての在留を終える運用です。
制度枠・研修支援が整備されているため、計画的に国家資格取得まで伴走できる施設に適しています。
2.4 育成就労と旧技能実習の現状
介護職種は旧技能実習でも受入れ対象でしたが、制度の見直しにより人材育成と権利保護を重視する「育成就労」への移行が進んでいます。基礎技能の段階的な習得と適正な支援を前提に、特定技能1号への移行ルートが想定されます。
典型的な流れは「育成就労(または同等の基礎段階)」→「特定技能1号(介護)」→「国家試験合格で在留資格『介護』」という三段階のキャリアパスです。
3. 在留資格の取得条件と要件
介護分野の在留資格は種類ごとに取得条件(資格・試験・日本語)と受入れ機関の体制要件が異なるため、採用計画の段階で制度適合性を精査することが重要です。最新の運用は出入国在留管理庁や厚生労働省の公表資料で必ず確認してください(出入国在留管理庁/厚生労働省)。
| 在留資格 | 主な資格・試験 | 日本語要件 | 雇用形態 | 受入側の主な条件 |
|---|---|---|---|---|
| 在留資格「介護」 | 介護福祉士(国家資格) | 法令上の独立要件はないが、国家資格取得水準の日本語力が前提 | 直接雇用(常勤が基本) | 介護保険法等の指定・監督を受ける事業所であること、適正な労働条件と社会保険加入 |
| 特定技能1号(介護) | 介護技能評価試験 合格+介護日本語評価試験 合格 | JLPT N4以上 または JFT-Basic(A2相当)合格 | 直接雇用(派遣不可) | 支援計画の策定・実施、報酬は日本人と同等以上、各種法令遵守 |
| 特定活動(EPA介護福祉士候補者) | 二国間協定に基づく候補者として受入れ、在職・学習を経て介護福祉士国家試験に挑戦 | 所定の日本語研修および就業上必要な日本語力 | 雇用契約に基づく就業(学習と両立) | 協定に沿った受入体制、学習支援、試験受験への配慮 |
「在留資格『介護』は介護福祉士が必須」「特定技能(介護)は技能・日本語の試験合格と直接雇用が必須」「EPA候補者は国家試験合格で『介護』へ移行可能」という三本柱をまず押さえましょう。
3.1 学歴 資格 日本語要件の整理
介護分野の就労在留は、国家資格・評価試験・日本語のいずれか(または組合せ)が基準になります。学歴自体は必須条件とされないケースが多いものの、国家資格の受験・取得や支援計画の実効性確保の観点から、専門教育・訓練の有無が実務上の評価に直結します。
3.1.1 在留資格 介護の要件 介護福祉士必須
在留資格「介護」の取得には、介護福祉士(国家資格)の保有が前提です。指定養成施設経由や実務経験ルートなど取得経路は問われませんが、雇用先は介護保険法等に基づく指定・許可を受けた事業所であること、職務内容が介護業務の範囲であること、報酬・労働条件が日本人と同等以上であることが求められます。
学歴は形式要件ではなく、国家資格の有無が核心です。日本語能力は法令で独立要件化されていませんが、国家資格の学科・実技を満たす水準が実務上不可欠です。
3.1.2 特定技能1号の要件 JLPT N4 JFT Basic 技能測定試験
特定技能1号(介護)では、介護技能評価試験と介護日本語評価試験の合格が必要です。加えて、日本語基礎力として日本語能力試験(JLPT)N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)合格のいずれかが要件です。
雇用は直接雇用に限られ、派遣は不可です。報酬は日本人と同等以上、フルタイムを基本とし、受入れ機関は生活・就業両面の支援計画を策定・履行します(必要に応じて登録支援機関へ委託可)。
技能試験+日本語試験(一般日本語と介護日本語の双方)に合格していることが介護分野の特定技能の特徴です。
3.1.3 EPA候補者の要件とスケジュール
経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者は、相手国での選考と所定の日本語研修等を経て、特定活動の在留資格で受入れられます。就労と学習を両立しつつ介護福祉士国家試験に挑戦し、合格後は在留資格「介護」へ変更して長期的に従事する道が開けます。
要件や受入枠は協定・年度運用に依存するため、受入れ機関は最新の募集要項・運用通知に基づき、学習支援・試験受験の配慮を計画に織り込みます。
3.2 受入れ機関の要件と体制
いずれの在留資格でも、受入れ機関の適法性(指定事業所であること)、適正な労働条件・社会保険加入、日本人と同等以上の処遇、ハラスメント防止・安全衛生・感染対策などのコンプライアンス体制が前提となります。特定技能ではさらに支援計画の実施責任が加重されます。
| 項目 | 在留資格「介護」 | 特定技能1号(介護) | 特定活動(EPA候補者) |
|---|---|---|---|
| 受入れ主体 | 社会福祉法人・医療法人・株式会社等の指定介護事業所 | 同左(特定技能の受入要件を満たす事業所) | 協定に基づき受入れ可能な介護事業所 |
| 雇用形態 | 常勤を基本 | 直接雇用に限る | 雇用契約に基づく就業(学習配慮) |
| 処遇 | 日本人と同等以上 | 日本人と同等以上(明示義務) | 日本人と同等以上(学習支援考慮) |
| 支援・教育 | 業務OJT、法定研修 | 支援計画に基づく生活・就業支援+OJT | 国家試験合格に向けた学習支援 |
| その他 | 指定・監督基準の遵守 | 支援の自社実施又は登録支援機関へ委託 | 協定手続・運用要領の遵守 |
3.2.1 法人形態 人員配置 研修体制
受入れ主体は、介護保険法等の指定・監督を受ける事業所(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、訪問介護、通所介護、小規模多機能型居宅介護など)が典型です。人員配置は各サービスの基準に適合し、虐待防止、感染対策、安全衛生、個人情報保護等の研修を計画的に実施し、外国人職員にはピクトグラム・やさしい日本語・多言語ツールによるOJTを整備します。
受入れ体制は「法令準拠の配置」と「現場で機能する教育・多言語支援」の双方が揃って初めて要件を満たします。
3.2.2 登録支援機関の活用と契約
特定技能に限り、受入れ機関は生活・就業支援を自社実施するか、登録支援機関へ委託できます。委託時は支援計画の範囲・頻度・報告方法・費用負担を明記し、労働者本人への費用転嫁は禁止、支援実績の記録・保存、定期的なモニタリングと是正を取り決めます。
支援内容には、生活オリエンテーション、行政手続き同行、住宅確保、医療受診補助、日本語学習機会の提供、相談体制の整備、転居・転勤時の支援などが含まれます。受入れ機関は委託の有無に関わらず最終的な適正受入れ責任を負います。
4. 申請手続きと必要書類
4.1 在留資格認定証明書の申請
4.1.1 申請先 出入国在留管理庁 窓口とオンライン
海外在住者を日本の介護分野で雇用する場合は「在留資格認定証明書(COE)」を、受入れ機関(介護施設・事業者)が地方出入国在留管理局・支局・出張所で申請します。
窓口申請のほか、所属機関や申請取次者(行政書士等)によるオンライン申請が可能です。最新の様式・受付情報は出入国在留管理庁の公式案内を確認してください(出入国在留管理庁)。
申請できる者:受入れ機関の職員、法定代理人、申請取次者(届出済みの行政書士等)。交付後は在外公館で査証申請、入国時に在留カードが交付されます。
4.1.2 必要書類一覧 雇用契約書 在職証明 住民票 収入印紙
在留資格ごとに必要書類が異なります。原本提示・写し提出の指定に従い、外国語書類には日本語訳を添付します。COE交付申請自体の手数料は不要です。
| 在留資格の類型 | 申請者側の主書類 | 受入れ機関側の主書類 | 手数料 | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| 在留資格「介護」 | 申請書・写真・旅券写し/介護福祉士登録証の写し/最終学歴証明 (日本在住者は住民票等) | 雇用契約書・労働条件通知書/業務内容・就業場所の説明書/会社概要・登記事項証明書/直近決算書等の経営資料/社会保険・労働保険の加入証明/在職証明書 | 不要(収入印紙なし) | 職務内容が介護業務に限定されていることを明確化 |
| 特定技能1号(介護) | 申請書・写真・旅券写し/技能測定試験合格証明/日本語試験合格証明(JLPT N4以上またはJFT-Basic) | 雇用契約書(報酬は日本人同等以上)/特定技能所属機関の体制書類(役員名簿、法令遵守体制等)/支援計画書・誓約書/社会保険・労働保険の加入証明/登録支援機関との委託契約書(委託時) | 不要(収入印紙なし) | 支援計画の実現可能性とシフト・夜勤体制の明示が重要 |
| EPA介護福祉士候補者(特定活動) | 申請書・写真・旅券写し/受入れ決定通知・推薦関係書類/研修計画 | 雇用契約書/受入れ施設の概要・体制書類/社会保険・労働保険の加入証明 | 不要(収入印紙なし) | JICWELS等の調整スキームに従い必要書類が指定 |
書類は氏名表記・生年月日・住所・在職期間などの整合性を厳密に揃え、写しは全ページを明瞭に提出します。
4.1.3 審査期間の目安と不備対策
審査期間の目安は通常1~3か月程度(繁忙期は延伸)。特定技能の初回は実地支援体制の確認で長期化しやすい傾向があります。
- 不備防止:雇用条件の日本人同等性、勤務場所・業務範囲、シフト・夜勤の扱い、支援計画の具体性を明記。
- 補正対応:指示書の期限内に差替え・追完。受付印のある控えと提出一覧を保管。
- トラブル予防:資格外業務の混在を避け、外部委託・兼務の有無を説明。
4.2 在留資格変更許可と更新
4.2.1 転職 離職時の手続きと期限
在留資格変更許可が下りる前に就労開始しないこと(無許可就労のリスク)。
- 変更許可:例)留学→特定技能介護、技能実習→特定技能介護、特定活動(EPA)→介護など。就労開始前に地方出入国在留管理局へ申請。
- 活動機関に関する届出:転職・離職・契約変更時は14日以内に届出(本人・所属機関)。
- 離職時の留意:在留活動を3か月以上継続しないと対象取消しの恐れ。求職活動の実態を示す資料を保管。
- 特定技能:支援の継続確保(住居・生活オリエンテーション等)。登録支援機関の切替え時は委託契約書を更新。
| 手続 | 主な必要書類 | 手数料(収入印紙) | 受付時期 |
|---|---|---|---|
| 在留資格変更許可 | 申請書・写真・在留カード/新雇用契約書・労働条件通知書/在職証明または内定通知/支援計画書(特定技能)/課税・納税証明など | 6,000円 | 就労開始前(決定までの余裕を確保) |
| 在留期間更新許可 | 申請書・写真・在留カード/在職証明書・直近の雇用契約書/住民票/住民税の課税・納税証明/源泉徴収票または給与明細/社会保険加入証明 | 6,000円 | 在留期間満了日の3か月前から |
4.2.2 在留期間の更新ポイントと注意
在留資格「介護」は5年・3年・1年など、特定技能1号(介護)は最長1年ごと(累計上限5年)で許可されます。
- 審査の要点:日本人同等以上の報酬、社会保険・労働保険の適正加入、就労実態(シフト表・職務内容)の適合。
- 提出のコツ:前回許可後の変更点(賃金改定、配置転換、夜勤追加)を説明し、関連資料を添付。
- 期限管理:満了直前は混雑・補正で超過リスク。早めのオンライン申請でリードタイムを確保。
- 特定技能の継続性:支援実施報告・受入れ体制の継続証明をセットで提出。
受入れ機関の適法な雇用管理(労働条件通知・36協定・安全衛生)と安定した経営基盤の立証が、許可可否を左右します。
5. 就労範囲と労務管理
在留資格ごとに就労範囲と人事労務の要件が異なるため、職務内容・配置・シフトは在留資格に合わせて明確化し、雇用契約書と就業規則に整合させることが重要です。
5.1 在留資格 介護でできる業務
在留資格「介護」は介護福祉士としての専門性を前提とし、介護保険法に基づく事業所(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、グループホーム、通所介護、短期入所等)での介護業務に従事できます。身体介護(食事・入浴・排泄・移乗・見守り・口腔ケア)に加え、記録・カンファレンス参加・家族対応・サービス担当者会議への参画などの関連業務も含まれます。
| 区分 | できる業務(例) | できない業務(例) |
|---|---|---|
| 在留資格「介護」 | 身体介護、生活支援(介護計画に基づく掃除・洗濯・配膳等)、記録作成、家族・多職種連携、チームケア、夜勤を含む交替制勤務 | 医行為(注射・点滴・経鼻経管挿入等)、介護保険サービス外の家事代行のみへの専従、在留資格外の単純作業への専従 |
医療行為は資格の有無にかかわらず従事不可であり、看護職等の指示・連携体制を明確にして境界業務を管理してください。(根拠法の基本枠組みは出入国管理及び難民認定法(e-Gov)、労務は労働基準法(e-Gov)に準拠)
5.2 特定技能 介護でできる業務とできない業務
特定技能1号(介護分野)は、介護保険のサービス提供事業所等での介護業務に従事可能です。身体介護・生活支援・介護業務に付随する周辺業務(清掃・洗濯・配膳・見守り等)は従事可ですが、付随業務のみへの専従は不可です。
| 区分 | できる業務(例) | できない業務(例) |
|---|---|---|
| 特定技能1号(介護) | 身体介護、生活支援、記録・申し送り、リネン・環境整備(介護に付随する範囲)、送迎補助、チームケア下での夜勤 | 医行為、国家資格を要する業務(ケアマネジメントの専任実施等)、介護と無関係な単純作業のみへの配置、管理監督者としての専任 |
配属前にはOJT計画と安全衛生教育、日本語支援(ピクトグラム・やさしい日本語等)を準備し、業務範囲・指揮命令系統・緊急時対応(転倒・誤嚥・感染症)の手順を文書化して周知します。制度運用の基本は出入国在留管理庁公表資料の最新改訂を確認してください。
5.3 労働条件通知書 社会保険 安全衛生の基本
採用時は書面または電磁的方法で労働条件を明示します(契約期間、就業場所・業務、始終業時刻・休憩・休日、賃金・締切・支払日、退職・解雇、試用期間、深夜・時間外の取扱い等)。時間外・休日・深夜割増は法定率に従い、36協定の締結・届出とシフト設計を整合させます(詳細は労働基準法(e-Gov))。
社会保険は適用事業所での健康保険・厚生年金、雇用保険、労災保険の加入手続きを適正に行い、出勤簿・賃金台帳・年休管理簿などの法定帳簿を整備します。外国人雇用状況の届出(ハローワーク)や在留カードの有効期限管理も必須です。
安全衛生は、雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育、腰痛予防(リフト・スライディングシート等の活用)、感染症対策(標準予防策・PPE・手指衛生)、ストレスチェック、深夜業の健康配慮を実施します。リスクアセスメントを定期的に見直し、労働災害時の報告・再発防止策までを手順化します(参考:労働安全衛生法(e-Gov))。
| 労務管理チェックポイント | 実務の要点 |
|---|---|
| 労働条件通知 | 日本語版+母語補助資料で交付、職務範囲・割増賃金・夜勤有無を明記 |
| 時間管理 | 勤怠システムで法定三帳簿と整合、36協定内の残業運用 |
| 賃金支払 | 最低賃金遵守、締切・支払日・控除根拠の明記、同一労働同一賃金の説明 |
| 保険加入 | 健保・厚年・雇用・労災の適用判定と期日内の資格取得・喪失手続 |
| 安全衛生 | 雇入れ時教育、腰痛・感染対策、夜勤者の健康管理、災害時対応訓練 |
| 言語・支援 | OJT計画、やさしい日本語・ピクトグラム、通訳・相談窓口の整備 |
| 在留・届出 | 在留カードの期限管理、雇用状況届出、職務変更時の適法性確認 |
「職務内容の明示」「適正な勤怠・賃金管理」「安全衛生教育」の三点を常に点検し、法改正と最新ガイダンスに合わせて社内ルールを更新してください。
6. 給与相場と費用
6.1 初任給の相場と地域差
特定技能(介護)・在留資格「介護」いずれも、報酬は日本人と同等以上であること、かつ最低賃金を下回らないことが必須です。雇用契約書・労働条件通知書で基本給・各種手当・賞与・昇給・所定労働時間・時間外割増を明確にし、賃金締切日・支払日も記載します。
介護職の賃金は、基本給に「夜勤手当・資格手当・処遇改善加算(介護職員処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算)・通勤手当・住宅手当」などが加わり、月例賃金(総支給)と賞与で年収が決まります。初任層は経験・保有資格(介護福祉士・実務者研修・初任者研修)・勤務形態(常勤/非常勤/夜勤有無)で差が出ます。
| 賃金項目 | 内容 | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 基本給 | 所定内労働に対する月額(時間給の場合は所定時間×時給) | 求人票と内定通知の整合性/試用期間中の差異有無を明記 |
| 夜勤手当 | 1回あたり定額または深夜割増含む設定 | 回数の上限・想定回数・割増の内訳(法定/任意)を明示 |
| 資格手当 | 介護福祉士・実務者研修・初任者研修等に付与 | 資格取得支援・合格時増額の有無 |
| 処遇改善関連 | 処遇改善・特定処遇・ベースアップ等支援の配分 | 配分方法(毎月/賞与時/一時金)を書面で周知 |
| 賞与・昇給 | 年◯回・評価連動・在籍要件など | 支給在籍要件・評価基準・入社初年度取扱い |
| 各種手当 | 通勤・住宅・扶養・皆勤・処遇一時金等 | 対象・金額・課税/非課税・支給タイミング |
地域差は、都市部の人材需給・通勤手段・家賃水準、地方の夜勤回数・多能工化、施設種別(特養・老健・有料・サ高住・通所・訪問)などの要因で生じます。募集難度が高いエリアや夜勤必須ポジションでは手当上乗せが多い傾向です。
| 地域の例 | 賃金の傾向 | 採用・定着の工夫 |
|---|---|---|
| 大都市圏(東京圏・名古屋・大阪) | 人材競争が強く各種手当を厚めに設定しやすい | 住宅支援・通勤利便・夜勤回数の選択制を提示 |
| 地方都市・郡部 | 通勤距離や夜勤回数で賃金差が出やすい | 送迎・社宅/寮・資格取得支援で魅力訴求 |
手取りは「総支給 − 社会保険料 − 税(所得税・住民税)」で決まり、同じ総支給でも扶養や自治体、通勤費非課税枠で差が出ます。見込み残業の有無、時間外割増の計算方法、控除項目は賃金規程で明確化してください。
6.2 申請費用 収入印紙 登録支援費の目安
在留手続きの法定費用は原則「収入印紙」で納付します(在外公館の査証は現地納付)。所属機関と本人のどちらが負担するかは就業フローにより異なりますが、特定技能の義務的支援に要する費用は所属機関が負担し、外国人本人に転嫁できません。
| 手続 | 納付額 | 納付方法 | 所管 |
|---|---|---|---|
| 在留資格変更許可 | 6,000円 | 収入印紙 | 出入国在留管理庁 |
| 在留期間更新許可 | 6,000円 | 収入印紙 | 出入国在留管理庁 |
| 在留資格認定証明書交付 | 無料 | — | 出入国在留管理庁 |
| 再入国許可 | 4,000円(1回)/ 7,000円(数次) | 収入印紙 | 出入国在留管理庁 |
| 査証(ビザ)発給 | 3,000円(単数)/ 6,000円(数次) 国籍等により異なる場合あり | 在外公館で納付 | 外務省(在外公館) |
登録支援機関の費用は「受入前(書類・面接同席・生活ガイダンス準備)」「入国時(空港送迎・住居契約補助・生活オリエンテーション)」「在留中(月次面談・日本語学習支援・転居/各種手続)」などで発生し、金額は事業者間で大きく異なるため公開相場は固定されていません。複数社の見積比較と、委託範囲(義務支援/任意支援)の切り分けを必ず行ってください。
| 費用項目 | 主な支払主体 | 備考 |
|---|---|---|
| 登録支援機関への委託料 | 所属機関 | 義務支援の本人負担は不可/契約で業務範囲・成果物を明確化 |
| 住居初期費用・家具家電 | 所属機関または本人(取決めによる) | 立替時の相殺方法・返却条件・原状回復負担を事前合意 |
| 航空券・移動費 | 所属機関または本人(取決めによる) | 片道/往復・帰国時負担の有無を明示 |
| 健康診断・予防接種 | 所属機関または本人(就業要件による) | 法定健診の費用負担・時期・再検査対応 |
| 日本語学習支援 | 所属機関(特定技能の支援) | 教材費・受検料・学習時間の勤務扱い可否 |
賃金からの控除は、就業規則と本人同意に基づく適法な項目のみ。違約金や不当に高額な手数料の徴収、実費を超える天引きはトラブルの原因となるため、労使で書面確認を徹底してください。最新の手数料や運用は官公庁発表で必ず更新確認を。
7. 家族帯同 永住への道
介護分野で就労する外国人が日本で安定的に暮らすための「家族帯同(家族滞在)」と「永住許可」の基本を、在留資格ごとの可否、要件、準備資料の観点から簡潔に整理します。
7.1 家族滞在の可否と要件
家族帯同は「家族滞在」の在留資格で、帯同できるのは原則として配偶者(法律上の婚姻)と未成年で未婚の子です。親・きょうだい・成人の子は対象外が原則です。帯同の可否は就労者側の在留資格により異なり、扶養能力(安定した収入・住居)、同居の実態、親族関係を証する公的書類が重視されます。
| 在留資格 | 家族帯同の可否 | 帯同できる親族 | 主な留意点 |
|---|---|---|---|
| 在留資格「介護」 | 可 | 配偶者・子 | 扶養可能な収入・同居・住居の確保、在職の継続性を説明 |
| 特定技能1号(介護分野) | 不可 | — | 特定技能1号は原則として家族帯同不可。家族帯同を前提にした採用・募集は不適切 |
| EPA介護福祉士候補者(特定活動) | 原則不可 | — | 候補者段階は学習・就労前提のため帯同制限あり |
| 育成就労/旧技能実習(参考) | 不可 | — | 制度趣旨上、帯同は認められない |
家族滞在の在留期間は扶養者(本⼈)の在留期間の範囲内で付与され、扶養者の離職・在留期間短縮・収入急減は更新不許可の理由となり得ます。申請時は、家族滞在の申請書、申請人の旅券・写真、在留カード(扶養者)、婚姻証明・出生証明等の親族関係書類(日本語訳を添付)、住民票、在職証明書・雇用契約書、課税・納税証明書、賃貸借契約書等の居住資料を整え、同居の実態と扶養能力を具体的に示します。
7.2 永住申請の目安と準備
永住許可は「原則として日本での継続在留がおおむね10年、そのうち就労系在留資格での在留が5年以上、素行善良、独立の生計、納税・社会保険の適正な履行」などの基準が重視されます。介護分野固有の特例は原則なく、一般ガイドラインに沿った評価となります。
| 主な要件 | 確認ポイント | 代表的な証明資料 |
|---|---|---|
| 継続在留・就労年数 | 連続在留(転出・長期出国の中断がないこと)、安定就労 | 在留カード履歴、在職証明書、源泉徴収票 |
| 納税・公的保険 | 住民税・所得税の完納、健康保険・厚生年金の納付状況 | 課税(所得)証明書、納税証明書、年金・保険料の納付記録 |
| 生計の安定性 | 世帯収入が扶養家族を含め自立的生活を維持できる水準 | 給与明細、残高証明、賃貸借契約書・住民票(世帯構成) |
| 素行・法令遵守 | 交通違反や罰金の多発なし、入管法令違反なし | 無犯罪を示す資料、違反歴申告書 |
| 身元保証 | 日本人・永住者等による保証 | 身元保証書、保証人の課税・納税証明書等 |
不許可の典型例は、住民税や社会保険料の未納・滞納、短期間での頻繁な転職、提出資料間の不整合です。申請前に「課税・納税証明書」「年金納付記録」を必ず点検し、直近数年の整合性を確保してください。
介護現場での長期安定就労、計画的な納税・社会保険加入、家族の生活基盤の安定化(住居・同居実態の維持)が、家族帯同の継続と永住許可への最短ルートです。事前に必要書類を棚卸しし、在職証明・雇用契約書・住民票・課税証明・納税証明・年金保険料の納付状況を最新化したうえで、提出書類の記載整合性(氏名表記、住所、世帯構成、勤務先)を確認しましょう。
8. 失敗しない書類作成チェック
出入国在留管理庁への申請は、記載の不一致や添付漏れがあると審査が長期化・不許可につながります。ここでは、介護分野での「在留資格 認定・変更・更新」申請時に、誤りやすいポイントをコンパクトに点検できる観点に絞って整理します。
8.1 氏名表記 学歴 職歴の整合性
氏名・生年月日・国籍・性別・旅券番号は、旅券(パスポート)と在留カード(所持者)・申請書・雇用契約書・労働条件通知書・履歴書・在職証明書の全てで完全一致させます。ローマ字は旅券表記に合わせ、ミドルネームやハイフン、スペースの有無を統一します。フリガナは住民票の表記に合わせ、西暦で年月日を統一し、職歴の在籍期間は雇用保険関係の期間と矛盾が出ないように照合します。
| 書類 | 必須一致項目 | よくある不備 | 対処 |
|---|---|---|---|
| 旅券・在留カード・申請書 | 氏名(ローマ字/カナ)・生年月日・国籍・旅券番号 | ミドルネーム欠落、姓名の順入替、旧旅券番号のまま | 旅券と同一表記で再作成、最新旅券番号へ更新 |
| 雇用契約書・労働条件通知書 | 氏名・住所・在留カード番号(所持者) | 在留カード番号の転記ミス、住所の番地抜け | 在留カード現物と見比べ点検、住民票で住所確認 |
| 履歴書・職務経歴書 | 学歴・職歴の年月、資格取得日 | 在籍期間と在職証明の相違、空白期間の未記載 | 在職証明で補正、空白は理由(就学・求職)を明記 |
学歴・資格は、出身校の卒業証明書・成績証明書、資格は介護分野に応じた原本確認済み写しを用意します。在留資格「介護」は介護福祉士登録証の写し(両面)が実質必須で、氏名・登録番号・登録日を申請書と一致させます。特定技能(介護)は特定技能評価試験合格証・日本語試験(JFT-BasicやJLPT)の合格証と氏名表記の整合をとります。外国語書類は日本語訳を添付し、翻訳者名・作成日・連絡先を明記します。
| 経歴項目 | 確認資料 | 一致させる情報 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 学歴 | 卒業証明・学位記・成績証明 | 学校名・学部学科・卒業年月 | 和訳添付、略称は避け正式名称で記載 |
| 資格 | 介護福祉士登録証/評価試験合格証 | 氏名・登録/合格日・登録/合格番号 | 旧姓・別名併記がある場合は関係書類で紐付け |
| 職歴 | 在職証明書・雇用契約・退職証明 | 事業所名・在籍期間・職務内容 | 介護業務との関連性を一貫して説明 |
提出形態は、原本提出・写し提出の指定を守り、写しには「原本確認済」の記載・押印(または確認者署名と日付)を入れて区別します。電子申請の場合はスキャンの解像度・ファイル名(書類名本人氏名作成年月日)を統一し、ページ欠落がないか最終結合後に確認します。
8.2 受入れ計画書 支援計画書の要点
介護分野の申請では、在留資格や受入れ形態ごとに計画書の位置づけが異なります。特定技能(介護)は支援計画書の提出が必要で、在留資格「介護」は雇用・指導体制の説明資料で代替されることがあります。いずれの場合も、計画書の記載は雇用契約・労働条件通知書・就業規則と完全一致させ、数値(基本給・各種手当・所定労働時間・試用期間・深夜/割増率)に齟齬が出ないようにします。
| 項目 | 記載の要点 | 不備例 | 是正の勘所 |
|---|---|---|---|
| 業務範囲・配置 | 訪問/施設別、介護業務の具体例、夜勤導入時期 | 「介護補助」など抽象表現のみ | 介護業務に限定し、家事代行等の非該当業務は除外 |
| 労働条件 | 賃金内訳、所定/法定外労働、休憩・休日 | 契約と支援計画で賃金額が不一致 | 源泉徴収・控除項目まで同一記載に統一 |
| 指導/OJT・研修 | 担当者氏名・体制、OJT時間、評価方法 | 指導担当の氏名・資格未記載 | 介護福祉士等の有資格者を明記し実施頻度を数値化 |
| 日本語学習支援 | 教材・費用負担・目標(例:JLPT N3) | 「必要に応じて実施」とのみ記載 | 週あたり学習時間・手当の有無を具体化 |
| 生活支援 | 住居確保、口座開設、携帯契約、行政手続き同行 | 多言語案内の不足 | 対応言語、実施主体(受入れ/登録支援機関)を明記 |
| 相談・苦情対応 | 窓口、母国語対応、緊急連絡、定期面談 | 担当部署不明、連絡先未記載 | 連絡先(電話/メール)と面談頻度を明記 |
| 安全衛生・健康管理 | 健康診断、メンタルヘルス、災害時対応 | 夜勤配慮・制限の未記載 | 業務上の安全配慮義務と手順を具体化 |
支援を外部の登録支援機関に委託する場合は、契約書の範囲と費用負担、実施記録の保管方法を計画書に一致させます。転居・部署異動・賃金改定などの変更が生じたら、在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請のタイミングに合わせ、計画書・雇用契約・労働条件通知書の整合を同時に更新します。
| 最終提出チェック | 確認内容 | 留意点 |
|---|---|---|
| 押印・署名・日付 | 申請人・受入れ機関代表者の自署/記名押印 | 日付は全書類で整合、元号/西暦を統一 |
| 原本/写し区分 | 原本提出指示のある書類は原本、他は原本確認済写し | 写しに確認者氏名・日付を付す |
| 日本語訳 | 外国語書類には日本語訳を添付 | 翻訳者名・連絡先・作成日を明記 |
| 収入印紙・手数料 | 申請区分ごとの手数料を確認 | 貼付位置・金額の相違に注意(変更/更新で異なる) |
| 電子申請 | PDF化・結合後の欠落/向き/解像度 | ファイル名ルールを統一し再現性を確保 |
「書類間の数値と固有名詞を全件横断チェックし、差異は必ず一次資料で裏取りしてから補正する」ことが、審査遅延と不許可を防ぐ最短ルートです。申請直前に、申請書・在留カード・旅券・雇用契約・計画書の5点セットを並べて最終照合し、整合しない場合は原因を明文化して修正履歴を残します。
9. よくある質問
9.1 在留資格「介護」と「特定技能(介護)」、EPA候補者(特定活動)の違いは?
目的・要件・就労範囲・家族帯同・在留期間の上限が大きく異なります。比較しやすいように主要ポイントを整理します。
| 項目 | 在留資格「介護」 | 特定技能1号(介護) | EPA介護福祉士候補者(特定活動) |
|---|---|---|---|
| 主な要件 | 介護福祉士(国家資格)必須 | 介護技能測定試験 + 介護日本語評価試験合格 | 経済連携協定に基づく受入れ・候補者としての要件 |
| 日本語要件 | 資格取得過程で十分な日本語力が前提(JLPT等の明示要件はなし) | JFT-Basic または JLPT N4以上 | プログラムで求められる日本語研修・基準あり |
| 就労範囲 | 介護業務全般(施設・事業所の職務範囲で従事) | 介護施設等での介護関連業務(後述の制限あり) | 国家試験合格に向けた就労・研修 |
| 在留期間 | 1・3・5年等で更新。更新に上限なし | 通算5年が上限 | 制度の範囲内で在留(国家試験合格等で区分変更) |
| 家族帯同 | 家族滞在が可能(配偶者・子) | 不可 | 原則不可 |
| 永住への道 | 要件を満たせば申請可能 | 在留通算や転換先次第。1号のみでは難しい | 合格・区分変更後の在留実績次第 |
9.2 特定技能(介護)で必要な試験は?JLPT N4とJFT-Basicの違いは?
特定技能1号(介護)では、介護技能測定試験・介護日本語評価試験の合格に加え、JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)またはJLPT N4以上のいずれかが必要です。JFT-BasicとJLPTは代替関係にありますが、介護日本語評価試験は別途必要です。
9.3 在留資格認定証明書(COE)の審査期間はどのくらい?
目安は1〜3か月程度です。繁忙期や書類不備があると長期化します。受入れ機関は、雇用契約書・体制資料・支援計画(特定技能)などの不備を避け、適切に整理した上で申請してください。
9.4 特定技能(介護)で訪問介護や家事代行はできる?
原則できません。特定技能(介護)は施設等における介護関連業務が対象です。利用者宅での訪問介護や家事代行のみの従事、介護と無関係な単純清掃・警備・受付等は就労範囲外です。
9.5 転職・離職時の手続きは?期限は?
在留資格「介護」「特定技能」いずれも、所属機関等に関する届出(14日以内)が必要です(受入れ機関変更時)。同一在留資格内の転職は通常「在留資格変更」は不要ですが、在留期間の満了前には更新が必要です。特定技能は新たな雇用契約・支援体制を整え、登録支援機関の契約も見直します。
9.6 家族帯同は可能?条件は?
在留資格「介護」は配偶者・子の「家族滞在」が可能です(生計維持・収入要件等の審査あり)。特定技能1号は家族帯同不可、EPA候補者も原則不可です。
9.7 永住申請の目安は?
一般的に日本での在留10年以上(うち就労系在留資格で5年以上)などの基準を満たし、素行善良・独立生計・納税・社会保険加入等が適正なことが求められます。在留資格「介護」は就労資格のため在留実績の蓄積が可能です。特定技能1号のみの長期化は難しく、資格の見直し・キャリア設計が重要です。
9.8 申請費用(収入印紙)はいくら?
主な手数料は以下の通りです。収入印紙で納付します。在留資格認定証明書の交付申請は手数料不要です。
| 手続き | 手数料(収入印紙) | 補足 |
|---|---|---|
| 在留資格変更許可 | 6,000円 | 例:特定活動→介護 など |
| 在留期間更新許可 | 6,000円 | 在留満了日前に申請 |
| 就労資格証明書 | 2,000円 | 就労可能範囲の証明に利用 |
| 在留資格認定証明書 | 0円 | 交付申請は無料 |
9.9 オンライン申請はできる?
在留申請オンラインシステムの対象であれば可能です。受入れ機関(法人)や申請取次者がアカウントを取得し、出入国在留管理庁の要件に沿って利用します。紙申請と同様に添付書類の整合性が重視されます。
9.10 労働条件通知書や社会保険の取り扱いは?
受入れ機関は、雇用契約書・労働条件通知書の明示(職務内容・就業場所・賃金・労働時間・割増賃金・休暇等)と、法令に基づく社会保険(健康保険・厚生年金)・雇用保険の適正加入、安全衛生管理を徹底します。日本人と同等以上の報酬・待遇確保も必要です。
9.11 登録支援機関と受入れ機関の役割は?(特定技能)
受入れ機関は雇用主として責任を負い、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・日本語学習機会の提供等の支援計画を実施します。登録支援機関は、この支援業務を受託できる外部機関で、委託契約を結ぶことで支援を実施します(委託しても最終責任は受入れ機関に残ります)。
9.12 不許可を避けるために重要なポイントは?
氏名表記・学歴・職歴・資格の整合性、雇用契約と実際の業務の一致、受入れ体制の実効性が審査の要点です。虚偽・過大な計画、報酬水準や人員配置の不足、社会保険未加入、提出書類の不一致・翻訳不備はリスク要因です。疑問点は事前に所管窓口へ確認しましょう。
10. まとめ
介護分野で外国人が働く主な在留資格は「介護」「特定技能1号(介護)」「EPA介護福祉士候補者(特定活動)」の三つです。2026年時点の結論は、採用側が「誰を・どの業務に・いつから」配置したいかと、本人の資格・日本語力によって最適解が決まる、ということです。
介護福祉士を既に保有、または国家試験に合格した人材には在留資格「介護」が最短で安定的です。職域が明確で更新もしやすく、家族滞在の道も開けます。資格未取得だが現場の即戦力を早期に確保したい場合は、技能測定試験と日本語要件を満たして特定技能1号(介護)を選ぶのが実務的です。EPA候補者は所定の枠組みで受け入れ、国家試験合格後に「介護」へ移行するのが王道です。
受入れ機関は、法人としての人員配置、研修、労務管理、社会保険加入などの体制整備が前提です。特定技能では支援計画の実施が義務で、必要に応じて登録支援機関を活用できます。結論として「書類の前に体制を整える」ことが許可率と定着率を左右します。
手続は在留資格認定証明書の交付申請、または在留資格変更・更新が中心で、出入国在留管理庁の窓口または在留申請オンラインシステムで進めます。雇用契約書、業務内容の説明、資格・日本語能力の証明、受入れ体制の資料などを整備し、氏名表記・学歴職歴・契約条件の整合を厳密に確認するのが不備防止の要点です。在留資格の変更・更新には収入印紙が必要です。審査に要する期間は案件により異なるため、余裕を持った計画が安全です。
就労範囲は、要介護者への身体介護・生活支援・記録・チームケアなどの介護業務が中心で、医行為は行えません。特定技能(介護)では清掃や調理の専従など介護と無関係な作業は認められません。職務逸脱は不許可や更新不利のリスクがあるため、職務記述書を明確にして運用するのが結論です。
労務管理は、労働条件通知、就業規則の周知、社会保険・労災の適正加入、安全衛生教育、多言語対応の相談窓口整備が肝要です。転職・離職が生じた場合は、所定の届出を速やかに行い、在留期限に注意することが実務上の結論です。
処遇面は「日本人と同等以上」が原則です。地域の賃金相場や介護職員処遇改善加算等を踏まえ、総支給と手当の設計を透明化すると定着に寄与します。申請コストは、収入印紙や支援費、翻訳・通訳費などに分かれ、内訳を見える化して採用単価を管理するのが結論です。
家族帯同と将来設計では、在留資格「介護」は家族滞在が認められる一方、特定技能1号は原則認められていません。永住申請は、素行善良、生計の安定、納税・社会保険の適正、継続的な就労実績が鍵となるため、日頃から記録と証憑を整理することが近道です。
制度は見直しが続いており、旧技能実習から育成就労への移行など介護現場にも影響があります。最新情報は出入国在留管理庁や厚生労働省の公表資料を一次情報として確認し、就業規則や支援計画書を適宜アップデートするのが結論です。
最終的な指針は、採用目的・人材像・開始時期・支援体制をマトリクス化し、在留資格の選択、書類設計、現場運用を一気通貫で整えること。これが2026年の介護分野で外国人材を確実に採用・定着させる最短ルートです。