
技能ビザ(在留資格「技能」)の取得・更新・変更を検討している方と、外国人材を受け入れる企業担当者の双方に向けた、2026年最新の実務ガイドです。本記事は、出入国管理及び難民認定法(入管法)と法務省・出入国在留管理庁の公表資料を一次情報として整理し、要件、必要書類、申請手順、審査で見られるポイントまでを日本語でわかりやすく解説します。初めての方は、在留資格認定証明書(COE)申請から査証申請(日本大使館・総領事館/eVISA)・入国・在留カード受領までの全体像が、更新や在留資格変更を考える方は、在留期間更新許可・在留資格変更許可、転職や雇用主変更時の留意点が把握できます。対象職種は、法令で定める熟練技能に限られ、外国料理の調理、航空機操縦士、宝石・貴金属工芸品加工、染色・織物、器具修理などの具体例を示します。特定技能や技術・人文知識・国際業務との違い、技能実習との誤解に注意すべき点も整理し、どの在留資格に当たるかの判断軸を提供します。雇用側は、日本人と同等以上の報酬、社会保険加入、事業実体と業務内容の適合性を明確にし、履歴書・経歴書・実務経験証明、雇用契約書、在留カード、住民票、課税証明書、組織図・事業計画・就業規則、源泉徴収や社会保険の納付状況など、証拠性の高い資料の整備方法を確認できます。オンライン申請(在留手続オンラインシステム)と窓口申請(地方出入国在留管理局・東京出入国在留管理局の混雑対策)の選び方、審査期間の目安や手数料の確認先、ケーススタディ、家族滞在の必要書類と扶養基準の考え方、公式リンクの使い方、行政書士による代理申請の活用まで網羅。結論として、技能ビザは「実務経験の立証」「業務の適合性」「日本人同等以上の報酬」「受入機関の適正性」を公的資料で具体的に裏づけ、適切な申請ルートを選ぶことが不許可リスクを下げる最短経路です(本記事は2026年1月時点の公表情報に基づきます)。
1. 検索意図別ガイド 初めての技能ビザから更新まで
この章は、在留資格「技能」をはじめて取得する人と、更新・転職・将来の永住を見据える人の検索意図に沿って、必要な判断・手続・チェックポイントを最短経路で示す実務ガイドです。最新情報は出入国在留管理庁(ISA)公式サイトおよび査証発給は外務省「ビザ」案内で確認してください。
1.1 初めて取得したい人向けの全体像
在留資格「技能」は、特定の職種で「熟練した技能」を裏付ける実務経験や経歴があり、日本人と同等以上の報酬で雇用される場合に該当します。採用側(受入機関)と本人で役割が分かれるため、流れと書類の所在を早期に固めるのが合格への近道です。
| フェーズ | 申請主体 | 主な書類 | 重要ポイント |
|---|---|---|---|
| 適合性の事前確認 | 受入機関・本人 | 職務記述書、学歴・職歴資料、実務経験証明 | 「技能」該当職種・年数要件・従事内容の一致を先に確認 |
| 雇用条件の確定 | 受入機関 | 内定通知、雇用契約書、勤務先概要 | 報酬は日本人同等以上、社会保険加入の取扱いを明記 |
| 在留資格認定証明書(COE)申請 | 受入機関(取次可) | 申請書、理由書、会社資料、実務経験証明、写真 | 事業実体と業務適合性の立証が核心。審査期間は案件により変動(最新はISA公式で確認) |
| 査証申請・入国 | 本人 | 旅券、COE、査証申請書(在外公館/eVISA) | 上陸許可後に在留カード(対象空港で交付)。就労は上陸後から |
| 入国後手続 | 本人・受入機関 | 在留カード、住民登録、社会保険・雇用保険手続 | 住居地届は入国後14日以内。源泉徴収・年金・健康保険の整合性を維持 |
不許可を避ける最重要点は「実務経験の客観的立証」と「業務内容が『技能』の範囲にあることの整合説明」です。オンライン手続の活用や提出書類の最適化は出入国在留管理庁の案内を参照してください。
1.2 更新と変更 永住を見据える人向けの全体像
在留期間更新・雇用主変更・在留資格変更・将来の永住許可は、それぞれ審査の観点が異なります。まず「現在の活動が『技能』に適合しているか」を軸に、納税・社会保険・報酬の連続性を整えるのが基本です。
| 手続 | タイミング | 主な資料 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 在留期間更新 | 在留期限の概ね3か月前から | 在職証明、雇用契約書、課税・納税証明、源泉徴収票 等 | 従前と同等の業務・報酬か、社会保険・納税の状況が適正かを確認 |
| 雇用主変更(同一「技能」内) | 転職時・転居時 | 新旧雇用契約、職務説明、新勤務先の事業資料、就労資格証明書(任意) | 14日以内の届出が必要。活動内容が「技能」の範囲内か事前確認すると安全 |
| 在留資格変更(他の就労資格へ) | 職務が「技能」の範囲外へ変わるとき | 変更許可申請書、学歴・職歴、雇用契約、職務記述 | 実際の業務に適合する在留資格へ切替。判断基準はISA公式で確認 |
| 永住許可の検討 | 一定期間の適法就労・生活後 | 納税証明、社会保険の加入・納付状況、年収資料、身元保証 等 | 素行善良・独立生計・国益適合などの要件を総合審査。最新基準は出入国在留管理庁で必ず確認 |
更新・転職・永住いずれも「業務適合性」「安定した収入」「納税・社会保険の適正」を一貫して示すことが合格率を左右します。査証・在外公館手続は外務省の案内を参照してください。
2. 技能ビザの定義と他の就労在留資格との比較
「技能」(Skilled Labor)は、出入国管理及び難民認定法に基づく就労系の在留資格の一つで、熟練した技能を要する特定分野(例:外国料理の調理、航空機操縦、宝石・貴金属等の工芸品加工、染色や織物・器具修理など)での業務に従事するための資格です。 分野ごとに求められる実務経験年数や国家資格・免許の要否が細かく定められており、学術的知識よりも熟練技能の立証が中心になります。報酬は日本人と同等以上であることが求められ、雇用契約や受入機関の体制も審査対象となります。
2.1 技能と特定技能 技術・人文知識・国際業務の違い
主要な就労系在留資格である「技能」「特定技能(1号・2号)」「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」は、対象分野・要件・在留期間や家族帯同の可否が異なります。以下に相違点を整理します。
| 項目 | 技能 | 特定技能1号/2号 | 技術・人文知識・国際業務(技人国) |
|---|---|---|---|
| 目的・定義 | 熟練技能を要する特定分野での業務に従事 | 人手不足分野で一定の専門性・技能を要する業務に従事(1号は比較的定型的、2号は熟練レベル) | 専門的な「知識」や「技能」に基づくホワイトカラー系業務に従事 |
| 典型分野・職務 | 外国料理の調理、航空機操縦、宝石・貴金属工芸、染色・織物、器具修理 など | 製造業、外食、宿泊、建設、造船・舶用、介護 等(分野指定あり) | エンジニア、企画・管理、通訳・翻訳、マーケティング、デザイン 等 |
| 主な要件 | 分野ごとの実務経験年数や免許等の立証(例:料理は長期実務、操縦は免許+飛行経験 等) | 技能評価試験・日本語要件(1号)/より高度な技能水準(2号) | 関連学位(大学等)または相当の実務経験+職務との関連性 |
| 在留期間 | 最長5年等で付与・更新可(更新回数の上限なし) | 1号は通算最長5年/2号は更新上限なし | 最長5年等で付与・更新可(更新回数の上限なし) |
| 家族帯同 | 要件を満たせば家族滞在が可能 | 1号は不可/2号は可 | 要件を満たせば家族滞在が可能 |
| 転職・雇用主変更 | 同一在留資格で活動内容が適合すれば手続の上で可能 | 分野内での変更は手続により可(2号は柔軟性が高い) | 職務内容の適合性を満たし手続を行えば可能 |
| 雇用・報酬 | 日本人同等以上の報酬、社会保険加入等の体制整備が必要 | 分野告示・運用要領の基準を満たす雇用契約・支援体制 | 日本人同等以上の報酬、適法な雇用契約 |
端的に言うと、「技能」は実地で培った熟練技能の立証が核、「技人国」は学歴や専門知識の適合性が核、「特定技能」は分野別試験で即戦力性を示す制度です。 いずれも最終的には在留活動の適合性、雇用契約、報酬水準、受入機関の体制などが総合的に審査されます。
2.2 技能実習と特定技能の誤解に注意
「技能実習」は、我が国での実習を通じて技能移転を図る国際協力を目的とする制度であり、雇用による労働力確保を目的とした在留資格ではありません。よって、技能実習は就労系在留資格(技能・特定技能・技人国)とは位置づけが異なります。
一方、「特定技能1号」は人手不足分野での即戦力確保を目的とし、所定の技能評価試験と日本語能力の要件を満たすことで取得可能です。技能実習から特定技能1号へ移行できる場合はありますが、自動的に移行できるわけではなく、分野要件や試験合格等の条件を満たす必要があります。技能実習は「訓練・実習」、特定技能は「就労」、技能は「熟練技能の就労」という制度目的の違いを混同しないことが重要です。
また、家族帯同の可否や在留期間の上限も制度ごとに異なるため、進路設計(たとえば将来的な在留期間更新や在留資格変更、家族滞在の可否)を見据え、該当分野・要件・雇用条件を精査して選択してください。
3. 法的根拠と参照先
在留資格「技能」は、出入国管理及び難民認定法(入管法)とその下位法令・告示で定義と審査基準が示され、個別の申請実務は出入国在留管理庁の公表資料に基づいて進めます。最新条文はe-Gov法令検索、運用・様式は出入国在留管理庁の各ページで確認します。
3.1 出入国管理及び難民認定法の該当条文
入管法は在留資格の体系と上陸・在留の枠組みを定め、別表第一の二に「技能」の該当活動(例:外国料理の調理、航空機の操縦、宝石・貴金属等の加工など)が列挙されています。これにより、就労可能な業務範囲と在留期間区分の根拠が明確になります(条文・別表はe-Gov法令検索で確認)。
加えて、出入国管理及び難民認定法施行規則は申請書式・添付書類の様式や提出先等を規定し、法務省告示(上陸許可基準)は「技能」ごとの求められる実務経験年数・資格要件等の審査基準を定めています。
実務では、入管法の別表第一(技能)で活動適合性を特定し、法務省告示の上陸許可基準で要件(学歴・実務経験・資格)を照合することが適否判断の出発点となります。
| 法令・資料 | 性質 | 主な確認事項 | 典型的な参照箇所 |
|---|---|---|---|
| 出入国管理及び難民認定法(本法) | 法律(基本枠組) | 在留資格体系、在留期間、活動範囲 | 別表第一の二「技能」 |
| 出入国管理及び難民認定法施行規則 | 省令(手続) | 申請様式、添付書類、提出先 | 別記様式・添付書類規定 |
| 法務省告示(上陸許可基準) | 告示(審査基準) | 実務経験年数、資格・技能水準 | 「技能」該当類型ごとの基準 |
3.2 法務省と出入国在留管理庁の公表資料
出入国在留管理庁は、「在留資格『技能』」の活動内容説明、必要書類一覧、申請様式、手数料、窓口案内等を公表しています。更新・変更手続や最新の運用周知も同サイトで確認できます。
法令テキストの公式版はe-Gov法令検索に集約され、改正の反映状況を含めて最新条文を閲覧できます。省庁横断の告示・省令も同サイトから横断的に参照でき、条文と運用資料を突き合わせた実務検討が可能です。
また、制度全般の所管・周知は法務省の告知・報道発表等でも案内されるため、改正動向や告示改正の公表状況を併せて確認すると確実です。
4. 対象職種と要件を詳しく解説
「技能」は、長年の実務で体得した熟練技能を要する職務に従事するための在留資格であり、審査の柱は「実務経験の長さ」「従事業務との適合性」「日本人と同等以上の報酬」の3点です。
| 対象職種(例) | 主な基準(要旨) | 立証資料の例 | 雇用側の要点 |
|---|---|---|---|
| 外国料理の調理 | 当該外国料理に固有の調理技能を用いる業務。一般に長期(目安として10年以上)の実務経験が求められる。 | 在職証明・職務証明、メニュー・レシピ、受賞歴や作品写真、推薦状 | 当該料理を提供する実体(厨房・設備・メニュー)の提示、日本人と同等以上の報酬、社会保険加入 |
| 航空機操縦士(パイロット) | 航空法に基づく操縦士技能証明・航空身体検査証明等を有し、事業用運航や訓練、試験飛行等に従事。 | 操縦士技能証明の写し、航空身体検査証明、フライトログの概要、雇用契約・運航規程の該当箇所 | 運航許可・事業許可の整備、安全管理体制、就業規則・賃金台帳、社会保険加入 |
| 宝石・貴金属工芸品加工 | 宝石の選別・石留め・彫金など高度な手作業を要する製作・修復。一般に長期の熟練経験が前提。 | 作品ポートフォリオ、発注書・納品書、在職証明、技能検定・受賞歴 | 受注実績・設備写真、業務内容の特定、品質管理・安全衛生、報酬水準の妥当性 |
| 染色・織物、器具修理などの熟練技能 | 伝統工芸・専門修理(例:染色、織物、木工、金工、楽器・時計等の修理)に関する高度技能。一般に長期の実務経験が必要。 | 製作品・修理前後写真、取引先リスト、在職・職務証明、工具・設備一覧 | 工房・工場の事業実体、受注計画と職務記述書、適正な労働条件・社会保険 |
4.1 料理人 外国料理の調理
中華、フランス、インド、トルコなど、特定の外国料理に固有の技法・香辛料・火入れ・仕込みを要する調理業務に従事します。単純な盛付けや補助作業のみでは「技能」の対象にならず、コアとなる調理工程を担うことが必要です。
要件の中心は、当該料理分野での長期実務経験(研修期間を含むことがある)と、雇用先でその技能を活かす業務が確実に存在することです。履歴の連続性・職務内容の具体性が審査の焦点になります。
実務での立証は、在職証明(職務と期間を明記)、メニューや厨房設備の資料、実際の作品写真・受賞歴、推薦状などを組み合わせ、業務の専門性と必要性を示します。雇用側は、事業実体(登記事項証明書、決算書、店舗写真)、日本人と同等以上の報酬、社会保険加入の事実を整えておきます。
4.2 航空機操縦士 パイロット
定期・不定期の航空運送、事業用運航、訓練や試験飛行等の操縦業務に従事します。日本の航空法に基づく有効な操縦士技能証明および航空身体検査証明等を備え、雇用先の運航体制・規程に適合する実務経験が求められます。
提出資料として、操縦士技能証明・航空身体検査証明の写し、フライトログのサマリー、雇用契約書、運航規程の該当箇所(要求される資格・経験)などが有効です。雇用側は、事業許可・運航許可、安全管理体制、整備・訓練計画、適正賃金と社会保険加入の証跡を準備します。
4.3 宝石貴金属工芸品加工
宝石選別・石留め・彫金・鍛金・原型製作・精密研磨などの工程を担い、高付加価値の一点物や修復を行います。量産ラインの単純作業ではなく、高度な手作業の習熟と作品品質の再現性が要件の中心です。
在職・職務証明に加え、作品ポートフォリオ(プロセス写真を含む)、展示会・受賞歴、主要取引の発注書・納品書が技能の立証に有効です。雇用側は、工房設備・工具の一覧、品質管理手順、具体的な職務記述書で「必要な技能の範囲」を明確化します。
4.4 染色や織物 器具修理などの熟練技能
友禅・藍染などの染色、機・手織りの織物、指物・漆・金工といった工芸、時計・カメラ・楽器など専門器具の修理・調整など、伝統的・専門的な技能を要する分野が対象です。長年の経験に裏打ちされた工程全体の理解と手作業の精度が求められ、単なる補助や検品は対象外です。
技能の立証は、製作品・修理前後の写真、在職・職務証明、使用工具・治具のリスト、取引先や受注実績の提示が有効です。雇用側は、工房・工場の事業実体、受注計画と役割分担、労働条件通知書・賃金台帳・社会保険加入状況を整備し、業務の専門性と継続性を示します。
5. 給与水準と報酬要件
在留資格「技能」の審査では、雇用契約に基づく報酬が日本人が同様の業務に従事する場合に受ける水準と同等以上であること、かつ労働関係法令(最低賃金・時間外割増賃金など)に適合していることが求められます。報酬は「基本給+恒常的な手当+賞与(支給見込み・実績)」などの総額で示し、労働条件通知書または雇用契約書、賃金規程、賃金台帳や給与明細等で裏づけます。最低賃金は都道府県ごとに異なるため、最新の額を確認してください(参考:厚生労働省 地域別最低賃金)。
固定残業代を採用する場合は、対象業務、みなし時間、内訳、超過分の別途支給を明確化します。外貨建て支給や現物支給(社宅・食事等)がある場合は、日本円換算の根拠や金銭評価額を契約・賃金規程に明示し、課税関係の整合も確認します。
| 確認項目 | 在留審査の観点 | 実務ポイント |
|---|---|---|
| 基本給・恒常手当 | 日本人同等以上かを比較する中核 | 雇用契約書と賃金規程で金額・支給条件を明記 |
| 賞与・昇給 | 総報酬の妥当性・継続性の補強 | 支給見込みや過去実績を社内資料で説明 |
| 固定残業代 | 不明確だと同等性判断が困難 | みなし時間・対象範囲・超過分の支給を明示 |
| 通勤・住宅などの手当 | 恒常的支給なら総額に反映 | 上限・算定方法を明確化し証憑を整備 |
| 現物給付(社宅・食事等) | 金銭評価額が明確な場合に限り判断材料 | 評価方法・課税関係を明記し日本円換算資料を添付 |
| 時間外・深夜・休日割増 | 労基法の割増率に適合しているか | 就業規則・賃金規程で算定方法を明示し実払で裏づけ |
5.1 日本人同等以上の報酬
同一の職務内容・責任・勤務地・労働時間で比較したときに、日本人従業員と同等以上の賃金水準であることを、客観資料で説明します。比較対象は自社の賃金テーブルや賃金規程、同職種の給与実績、求人条件などが典型です。新設企業など社内比較が難しい場合は、業界相場や職種の採用実勢(公的統計や複数求人の条件など)を補助資料として併用します。
提出書類の例として、雇用契約書(報酬・所定労働時間・職務内容)、賃金規程・就業規則、給与明細(既に雇用関係がある場合)、賃金台帳、求人票(提示条件)などが挙げられます。最低賃金を下回る設定や、割増賃金未払の疑いがある契約は不許可リスクとなるため、事前に是正してください。
5.2 雇用主の社会保険加入の確認
社会保険の適正加入は在留審査で重視されるコンプライアンス項目です。事業所の適用関係と被保険者資格の取得が適切かを、成立・適用の通知や届出の控えで示します。雇用保険は週所定労働時間や雇用見込みに応じた加入が必要、労災保険は全労働者が対象、健康保険・厚生年金は適用事業所に常用的に使用される労働者が原則加入となります。
| 制度 | 対象の概要 | 典型的な確認書類(例) |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金保険 | 適用事業所で常用的に使用される労働者 | 新規適用通知書、被保険者資格取得届の控え、標準報酬決定通知の写し |
| 雇用保険 | 所定労働時間・雇用見込みの基準を満たす労働者 | 適用事業所設置届出済通知書、被保険者資格取得届の控え |
| 労災保険 | すべての労働者が対象(強制適用) | 保険関係成立通知書、労働保険概算・確定保険料申告書の控え |
あわせて、源泉徴収の実施や賃金台帳の整備、銀行振込等の支払記録の保管、就業規則・賃金規程の周知状況も確認します。これらの整合が取れていない場合、報酬の実在性や適法性への疑義として審査上のマイナス要素になり得ます。
6. 書類作成の実務
「技能」の在留資格で適正に審査されるためには、事実に即した書類を欠落なく整え、在留資格認定証明書・在留資格変更・在留期間更新のいずれの申請かに応じて体裁を合わせることが重要です。提出書類は一貫した内容・日付・表記(氏名のローマ字表記、在職期間、職務内容)が揃っているかを最優先で点検してください。
6.1 履歴書 経歴書 実務経験証明
履歴書・職務経歴書は、申請人の学歴・職歴・職務内容・保有技能を時系列で明確にし、雇用予定の業務との関連性を具体的に示します。学位名・資格名・企業名は原語表記と日本語訳を併記し、在職期間は年月まで統一します。外国語の証明資料は日本語訳を添付し、翻訳者の氏名・作成日・連絡先を明記します(公的な認証は通常不要)。実務経験は「役職名+従事期間+具体的な職務(使用機器・材料・工程・成果)」の3点セットで立証するのが基本です。
| 書類名 | 必須記載事項 | 発行者・作成者 | 実務ポイント |
|---|---|---|---|
| 履歴書 | 氏名(パスポートと同一表記)・生年月日・連絡先・学歴・職歴・資格 | 申請人 | 空白期間の理由を簡潔に記載。日付は西暦で統一。 |
| 職務経歴書 | 企業概要・在職期間・雇用形態・担当業務・実績・使用技術 | 申請人 | 雇用予定の「技能」業務と対応づけた見出しで構成。 |
| 実務経験証明書 | 在職期間・職位・従事業務・雇用形態(フルタイム/週時間) | 元雇用主(社印+署名) | 社判入りレターヘッド・連絡先を明記。給与明細・在職証明の写しで補強可。 |
| 資格・訓練修了証 | 資格名・発行機関・取得日・認証番号 | 認定機関 | 写し提出+日本語訳添付。改姓等は紐づけ資料を追加。 |
実務経験証明は、企業レターヘッド、代表者署名、連絡先(電話・メール・所在地)を備えた原本が望ましく、在職期間の重複や役職名の不一致がないかを履歴書と相互照合します。原本取得が難しい場合は、同内容の宣誓書+社内ID・給与明細・雇用契約書の写し等で整合性を補強します。
6.2 雇用契約書と業務内容の明確化
雇用契約書(または労働条件通知書)には、就業場所、職務内容、労働時間、賃金、契約期間、社会保険の適用、休日・休暇、更新・試用の取扱い等を明示し、業務が「技能」に該当する専門的・熟練的内容であることを具体的に記載します。報酬は日本人が従事する場合と同等額以上で、支払い方法・締日・支払日・各種手当の内訳を明記してください。
| 条項 | 最低限の記載 | 裏付け・補足資料 |
|---|---|---|
| 職務内容 | 担当業務・使用設備・提供サービスの範囲 | 職務記述書(Job Description)・組織図・メニュー/工程表 |
| 賃金 | 基本給・手当・固定残業の有無・支払方法 | 賃金規程の抜粋・見積給与明細・試算根拠 |
| 労働時間 | 所定時間・休憩・休日・残業の取扱い | 勤務シフト例・36協定の写し(該当時) |
| 契約期間 | 開始日・終了日・更新方針・試用期間 | 更新基準メモ・雇用理由書 |
| 社会保険 | 厚生年金・健康保険・雇用保険の適用 | 適用事業所番号の控え・加入状況説明 |
| 就業場所 | 所在地・異動/出向の有無 | 事業所案内・賃貸借契約の写し(店舗・工房等) |
派遣・請負に該当する形態は適正な受入管理が求められるため、指揮命令系統と就業場所の実態を明確化します。会社の事業実体は、会社案内、直近の決算書の写し、許認可の写し等で補強しておくと審査が円滑です。
6.3 在留カード 住民票 課税証明書の取得方法
日本国内での在留資格変更・在留期間更新では、身分関係・納税状況の確認資料が必要になります。初めての在留資格認定証明書(COE)申請では通常これらは不要ですが、日本在住歴がある場合は求められることがあります。各証明書は原則としてマイナンバー(個人番号)記載のないものを取得し、発行から3か月以内を目安に新しいものを用意します。
| 書類 | 取得先 | 請求者 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 在留カードの両面コピー | — | 申請人 | 記載事項(資格・期間・住居地)を判読可能にコピー。 |
| 住民票 | 市区町村役場(またはコンビニ交付) | 本人(代理可) | 個人番号の記載なし。世帯主・続柄・在留資格欄の取扱いは申請案内に従う。 |
| 課税(所得)証明書 | 居住地の市区町村役場 | 本人 | 直近年度分。留学等で課税がない場合は非課税である旨の証明を取得。 |
| 納税証明書(住民税) | 居住地の市区町村役場 | 本人 | 未納がないことを示すもの。コンビニ交付対象外の自治体あり。 |
市区町村での交付には、在留カード等の本人確認書類が必要です。コンビニ交付はマイナンバーカードと利用者証明用電子証明書の有効化が前提です。過去の在職先で発行された源泉徴収票や給与明細は、収入の補足証拠として併せて提出すると整合性確認に有効です。
7. 申請手順の全体像
技能ビザの取得は、受入機関による在留資格認定証明書(COE)の取得、海外での査証(ビザ)申請・発給、入国・就労開始、在留中の在留資格変更または在留期間更新という順序で進みます。最新の必要書類・様式・受付情報は出入国在留管理庁 手続案内で確認してください。
7.1 在留資格認定証明書 COE申請の流れ
COEは、原則として日本側の受入機関(雇用主)等が地方出入国在留管理局に申請します。提出時は雇用契約や職務内容、報酬、実務経験の立証などを整え、審査後に交付されたCOEを海外の本人へ送付します。詳細な手続の最新情報は出入国在留管理庁 手続案内を参照してください。
| ステップ | 主体 | 概要 | 要点 |
|---|---|---|---|
| 要件確認 | 受入機関 | 職務内容が「技能」に該当し、日本人と同等以上の報酬等の要件を満たすか確認。 | 職務と在留資格の適合性を先に確定 |
| 書類準備 | 受入機関・本人 | 申請書、雇用契約、会社資料、実務経験証明、写真などを収集。 | 外国語書類は日本語訳を添付 |
| 申請・審査 | 受入機関 | 地方入管へ提出。審査中に追加資料照会の可能性。 | 照会は期限内に丁寧に対応 |
| 交付・送付 | 受入機関 | COE交付後、本人へ原本(または指示に従う方法)で送付。 | 査証申請に使用 |
7.1.1 申請場所 地方入管の窓口
勤務予定地や受入機関の所在地を管轄する地方出入国在留管理局(支局・出張所を含む)の窓口で行います。申請取次制度の利用可否や受付時間は管轄庁の案内に従ってください。手続の基本案内は出入国在留管理庁 手続案内で確認できます。
7.1.2 審査期間の目安
審査期間は申請内容・時期・追加資料の有無などで異なります。繁忙期は長期化することがあり、目安は余裕を見て計画してください。最新の標準的な取扱いは出入国在留管理庁 手続案内を確認してください。
7.1.3 手数料
| 手続 | 費用 | 支払方法 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請(COE) | 無料 | — | 交付時の手数料はありません |
| 査証申請(在外公館) | 国籍・種類により異なる | 各在外公館の案内に従う | 査証料は相互主義等により変動。申請先は外務省 在外公館一覧を参照 |
| 在留資格変更許可・在留期間更新許可 | 6,000円 | 収入印紙 | 許可時に納付 |
7.2 査証申請 大使館や総領事館とeVISA
COE受領後、本人は自国等の日本大使館・総領事館で査証を申請します。必要書類は一般にパスポート、写真、査証申請書、COEなどで、詳細は申請先の案内に従います。対象国ではオンラインで申請・発給確認が可能な外務省 Japan eVISAも利用できます(対応国・対象査証は外務省の最新情報に従う)。査証発給が完了して初めて入国・上陸審査に進めます。
7.3 在留資格変更と在留期間更新
日本国内に在留中で他の在留資格から「技能」へ切り替える場合は在留資格変更許可申請、継続就労する場合は在留期間更新許可申請を地方入管で行います。許可される在留期間は個別審査で決定されます(例:5年・3年・1年・3月等)。更新は在留期間満了日の3か月前から申請可能です。必要書類や審査の考え方は出入国在留管理庁 手続案内の最新の様式・記載要領に従って準備してください。
8. オンラインと窓口 どちらを選ぶ
技能ビザに関する「在留資格認定証明書交付申請」「在留資格変更許可」「在留期間更新許可」などは、在留手続オンラインシステムによる電子申請と、地方出入国在留管理局の窓口申請のいずれでも進められます。ここでは、要件・準備・所要の実務を比較し、状況別の最適な選択を示します。
| 比較観点 | オンライン申請(在留手続オンラインシステム) | 窓口申請(地方出入国在留管理局) |
|---|---|---|
| 利用できる人 | 受入機関(所属機関)や申請等取次者(行政書士等)の事前登録アカウント、または本人アカウントがある場合に利用可 | だれでも利用可(本人または取次者) |
| 対象手続 | 主要な在留手続の一部が対象(制度の範囲内) | 原則すべての在留手続に対応 |
| 受付時間 | 24時間送信可(システムメンテナンス時を除く) | 各局の受付時間に準拠 |
| 提出資料 | 申請書・添付資料を電子データで提出。原本の提示・追加提出を求められる場合あり | 原本・写しを窓口で提出・提示。即時の原本確認が可能 |
| 審査・補正 | オンライン上で補正依頼・照会対応が可能 | 窓口・郵送・電話で補正・照会対応 |
| 手数料納付 | 許可時に収入印紙で納付するのが原則 | 同左(許可時に収入印紙) |
| 結果受領 | 許可後の在留カード等は原則窓口受領 | 窓口で受領(必要に応じ本人確認) |
| メリット | 移動・待ち時間を削減、遠隔地から申請、進捗をオンラインで把握 | 職員と対面で相談でき、複雑案件でもその場で確認しやすい |
| 向いているケース | 定型的な更新・変更、書類の電子化が整っている所属機関 | 初回申請、原本重視・説明が必要な案件、制度判断が難しい場合 |
アカウント未登録の状態では電子申請は使えません。オンラインを選ぶなら、受入機関または本人の利用者登録を先に完了させることが最重要です。
制度全体と最新の運用は出入国在留管理庁の案内を確認してください(出入国在留管理庁 公式サイト)。
8.1 オンライン申請 在留手続オンラインシステム
オンライン申請は、受入機関(所属機関)や申請等取次者(行政書士等)、本人のいずれかが利用者登録を行い、申請情報と添付資料(PDF等)をアップロードして申請する方式です。送信後は受付通知が発行され、審査中の補正依頼や照会にも画面上で対応できます。許可となった場合、手数料は収入印紙で納付し、在留カード等は原則として窓口で受領します。
オンラインの利点は、混雑回避と即時の提出ができる点です。技能ビザの更新や雇用先が決まっている在留資格変更など、定型的で説明可能な案件に向いています。一方、添付資料は読みやすく整理し、原本の提示依頼に備えて手元に保管しておくことが実務上のポイントです。
8.2 窓口申請 東京出入国在留管理局の混雑対策
窓口申請は、原本確認や対面での相談ができ、複雑な業務内容の説明や技能の立証が必要なケースでも進めやすい方法です。混雑対策としては、必要書類を過不足なく揃え、申請目的ごとにファイリングして提出順に整える、事実関係を説明するカバーレターを簡潔に添付するなど、審査側が確認しやすい形で出すことが有効です。
また、申請人本人の来庁が負担となる場合は、申請等取次制度を活用して行政書士や所属機関が代理提出する方法があります。初めての技能ビザや業務内容が複雑な案件は、窓口での事前相談や取次者による事前確認を経て申請することで、不許可リスクの低減と補正回数の抑制につながります。
9. ケーススタディ 職種別の申請例
9.1 中国料理の料理人を招聘する場合
中華料理店が中国本土で10年以上の実務経験を有する料理人(四川・広東などの専門性が明確)を正社員として受け入れるケースです。審査の核心は「10年の実務経験の客観的立証」と「外国料理としての専門業務に従事する実態の明確化」です。ホール業務や一般調理(和食・日本の家庭料理)が主たる業務になる計画は不適合です。
| 観点 | 要件・基準 | 提出資料の例 |
|---|---|---|
| 実務経験 | 技能該当性としての長期実務(通算10年) | 在職証明・推薦状(発行元連絡先付き)、雇用契約の写し、店舗在籍の写真・シフト記録、海外の資格証明の日本語訳 |
| 専門性 | 外国料理の専門調理(例:四川料理) | メニュー(専門性が分かる構成)、厨房設備一覧、仕入先との取引資料、店舗外観・厨房写真 |
| 業務内容 | 主たる業務が調理・レシピ管理・後進指導 | 職務記述書(Job Description)、勤務体制図、指導計画 |
| 報酬 | 日本人同等以上の給与水準 | 給与規程、賃金テーブル、雇用契約書 |
| 受入機関 | 事業実体が明確で継続性があること | 会社登記事項証明書、決算書、店舗賃貸借契約書、食品営業許可 |
流れの概略は、受入企業が在留資格認定証明書(COE)を申請し、交付後に本国で査証申請・来日・在留カード交付という順序です。標準的な処理期間や最新様式は出入国在留管理庁で確認します。
特に、勤務先の提供資料(メニュー・厨房設備・事業実績)と本人の経験証拠を突合し、専門性の一貫性を示すことが不許可回避の鍵です。
9.2 ホテルの洋食シェフを雇用する場合
都市型ホテルがフレンチ・イタリアンの洋食料理長またはスーシェフを採用するケースです。レストラン部門の実運営に関わる調理・メニュー開発・部下の技能指導が中心である必要があります。「技能」ではサービス提供や食材購買など非調理が主となる職務設計は避け、調理の高度な技能に係る職務割合を明確にします。
| 観点 | 要件・基準 | 提出資料の例 |
|---|---|---|
| 実務経験 | 通算10年以上の洋食調理経験(ホテル・ミシュラン店等での経験歓迎) | 在職証明、職務内容が分かる推薦状、受賞歴やコンクール結果、メディア掲載 |
| 職務設計 | 調理・メニュー開発・衛生管理・人材育成が中心 | 運営組織図、職務分掌表、HACCP手順書抜粋、指導カリキュラム |
| 就業場所 | 原則特定のホテル施設。複数店舗兼務は勤務実態と必要性を明記 | 就業場所一覧、移動計画、出向・兼務契約書 |
| 報酬・労務 | 日本人同等以上の報酬、社会保険加入 | 雇用契約書、賃金規程、社会保険適用状況、36協定の写し(該当時) |
| 受入体制 | 旅館業許可・レストラン営業の法令適合 | 旅館業許可・飲食店営業許可の写し、会社案内、直近決算書 |
COE申請時は、ホテルの事業規模・客層と採用ポジションの必要性の因果を示すと説得力が増します。法的根拠の確認には入管法(e-Gov)および手続案内は出入国在留管理庁を参照します。
審査では「非適合業務の混在率」が見られるため、ホールサービスや販促が主務とならないよう雇用契約・職務記述書を精緻化してください。
9.3 宝石加工職人を採用する場合
ジュエリー工房・メーカーが宝石・貴金属の加工(彫金、石留め、研磨、原型製作など)に従事する職人を採用するケースです。販売や在庫管理が主となる計画は不適合で、実作業としての熟練加工技能の提供が中心であることが前提です。
| 観点 | 要件・基準 | 提出資料の例 |
|---|---|---|
| 実務経験 | 通算10年以上の宝石・貴金属加工経験 | 在職証明、作品ポートフォリオ(製作工程・担当範囲を明記)、受賞・展示実績 |
| 技能内容 | 具体的技能(例:石留め、ロウ付け、鏡面研磨、鋳造)を特定 | 工程別の職務記述書、工具・機材リスト、作業手順書 |
| 業務割合 | 主たる業務が加工実務であること(販売は補助的) | 日別業務割合表、製作案件の発注書・納品書 |
| 品質・安全 | 品質管理体制・安全衛生の整備 | 品質基準書、作業場レイアウト、保険加入証明 |
| 報酬・継続性 | 日本人同等以上の報酬、受注見込みの継続性 | 雇用契約書、受注計画・販売計画、決算書 |
COE申請では、工房の設備・人員・受注実績を示し、採用後の具体的な製作ラインでの役割を特定します。申請書式や提出先は出入国在留管理庁の案内に従います。
作品ポートフォリオは工程別の担当範囲を可視化し、熟練技能の証拠として技術的説明を添えると審査の理解が進みます。
10. 不許可リスクを下げるポイント
審査では「告示基準への適合」「事実の裏付け」「書類間の整合性」が一貫しているかが見られます。 下記の観点で証拠を揃え、矛盾や不足をなくすことが不許可回避の近道です。
10.1 実務経験の立証方法
「技能」では告示で定める熟練度・実務年数・実績の立証が要点です。第三者発行の客観資料を中心に、期間・職務内容・役職・勤務形態を特定できる証拠を重層的に揃えます。
| エビデンス | 発行主体 | 主要記載事項 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 在職証明書 | 過去の勤務先 | 在籍期間・雇用形態・職種・職務内容 | 社印・連絡先を明記。発行日と対象期間の整合を確認。 |
| 雇用契約書/給与明細 | 過去の勤務先 | 契約期間・職務・就労時間・賃金 | 空白期間や短期反復がある場合は理由を説明。 |
| 職務経歴書 | 本人作成 | プロジェクト・担当業務・使用技法 | 第三者資料と齟齬がないように具体化。 |
| 研修修了証・資格証明 | 学校・業界団体 | コース名・時間数・修得技能 | 学習が経験年数に通算可能かは告示基準に沿って整理。 |
| ポートフォリオ(写真・図面・メニュー等) | 本人作成+第三者裏付け | 制作物・担当範囲・制作時期 | 撮影日・制作工程の記録、第三者証明を添える。 |
| 推薦状・評価書 | 元上司・取引先 | 技能水準・貢献度・具体的事例 | 定型文は避け、検証可能な事実を記載。 |
10.1.1 作成・取得のポイント
期間は西暦で統一し、入退社月日を特定します。職務名は実態に即して記載し、一般名詞ではなく業務工程まで落とし込みます。複数国・複数社の経験は時系列に並べ、重複・空白は理由書で説明します。
10.1.2 翻訳と真正性の担保
外国語資料は日本語訳を添付し、翻訳者の氏名・連絡先を明記します。写し提出の場合は、原本提示または原本証明の方法を事前確認し、改ざん防止のためページ通し番号・割印を付けます。
10.1.3 よくある不許可事例
経験年数は満たすが職務内容が技能の範囲に達していない、学習歴と職務の連続性が弱い、証拠が本人作成物に偏って客観性が不足、在職証明の連絡が取れない等はリスクです。これらは補足説明書と第三者資料で補強します。
10.2 会社の事業実体の証明
雇用主に事業実体があること(継続性・収益性・人員体制・施設設備)を、登録・税務・労務・実地の資料で立体的に示します。
| 書類種別 | 何を示すか | 代替・補完資料 |
|---|---|---|
| 履歴事項全部証明書 | 法人の成立・役員・目的 | 定款写し、事業目的の追記議事録 |
| 決算書/法人税申告書 | 収益性・継続性 | 試算表、金融機関残高・融資契約 |
| 適用事業所通知・社会保険納付書 | 雇用・保険適正 | 労働保険概算確定申告書、賃金台帳 |
| 事業所賃貸借契約・現場写真 | 実地の拠点・設備 | 設備台帳、保守契約、衛生許可(該当業種) |
| 発注書・請求書・取引基本契約 | 具体的な取引実態 | 見積書の往復、納品書、POS/予約データ |
| 就業規則・賃金規程・組織図 | 人員体制・労務運用 | シフト表、研修計画、衛生管理者選任書 |
10.2.1 疑義を招かない説明書きのコツ
新設・赤字期は資金繰りと受注見込みを定量で示し、受入れ理由(必要性・代替困難性)を職務記述書と整合させます。所在地・代表者・業種の変更がある場合は経緯と根拠資料を時系列で提示します。
10.2.2 雇用契約と適正報酬の整合
雇用契約書は職務・勤務地・労働時間・報酬・社会保険の適用を明確にし、日本人同等以上の待遇となる根拠(賃金規程・同種職比較)を添付します。支払方法・試用期間の条件も具体化します。
10.3 業務内容の適合性
従事業務が「技能」の範囲に収まり、他の在留資格や単純作業と混同されないよう、主たる職務を告示の趣旨に即して特定します。補助業務は付随的であることを説明します。
| 主な業務 | 技能該当性の考え方 | 注意点(NG例) |
|---|---|---|
| 外国料理の調理・メニュー開発 | 特定地域の料理に熟練した調理・指導・工程管理 | 洗浄・配膳中心、単純仕込みのみは不適合 |
| 宝石・貴金属の加工 | 設計・石留め・研磨など高度な手作業 | 店舗での販売・接客中心は不適合 |
| 航空機の操縦 | 運航・安全管理・操縦訓練の実務 | 地上支援や一般事務中心は不適合 |
| 染色・織物・器具修理 | 伝統技法・工程管理・品質判定 | 梱包・配送・倉庫作業中心は不適合 |
10.3.1 兼務・配置転換の扱い
販売・清掃・一般事務等の兼務は補助にとどまる旨を割合ではなく業務フローで説明します。配置転換の可能性がある場合は、技能範囲内の職務に限定する社内ルールを示します。
10.3.2 職務記述書と業務フローの添付
入社後6〜12か月の職務記述書(担当範囲・成果物・評価指標)と、1日の業務フロー(時間配分・使用設備)を添付し、契約・就業規則・人事制度と矛盾がないことを示します。
10.3.3 申請前セルフチェック
| 項目 | 確認の観点 | 証拠 |
|---|---|---|
| 経験・技能 | 告示基準に適合し、期間と職務が特定できる | 在職証明・契約書・ポートフォリオ |
| 受入体制 | 事業実体・設備・社会保険の整備 | 登記簿・決算書・保険書類・写真 |
| 職務適合 | 主たる業務が技能の範囲に収まる | 職務記述書・業務フロー・組織図 |
| 待遇 | 日本人同等以上の報酬・契約条件の明確化 | 賃金規程・同種職比較・雇用契約 |
| 整合性 | 全書類で名称・期間・役職が一致 | 一覧表・理由書・翻訳者情報 |
11. 家族帯同と在学 子の学校手続
技能ビザ(在留資格「技能」)で就労する本人は、原則として配偶者と子を「家族滞在」で帯同できます。ここでは必要書類と就学(公立小・中学校)手続、審査上の扶養基準の見方を簡潔にまとめます。
11.1 家族滞在の必要書類
提出資料は「在留資格認定証明書(COE)」申請、「在留資格変更」、「在留期間更新」など手続によって異なります。最新・正式な案内は出入国在留管理庁の各種手続ページをご確認ください(出入国在留管理庁 各種手続案内)。
11.1.1 家族滞在の対象親族
| 対象 | 要点 | 留意点 |
|---|---|---|
| 配偶者 | 法律上の婚姻関係があること | 内縁・婚約者は対象外 |
| 子 | 戸籍・出生証明で親子関係を立証 | 年齢や就学状況等を含め総合審査 |
11.1.2 申請種別ごとの主な提出書類
| 手続 | 主な提出書類 | 補足 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書(COE) | 申請書、写真、配偶者の婚姻証明書・子の出生証明書(日本語訳添付)、扶養者(技能ビザ本人)の在職・収入・課税証明、在留カード・旅券の写し 等 | 手数料なし。原本提示や日本語訳の添付が求められる書類あり。 |
| 在留資格変更 | 申請書、写真、旅券・在留カード、続柄を示す資料、扶養者の収入・納税資料 等 | 許可時に収入印紙6,000円。 |
| 在留期間更新 | 申請書、写真、旅券・在留カード、直近の収入・課税(非課税)証明、同居を示す住民票 等 | 許可時に収入印紙6,000円。 |
関係を示す公的証明(婚姻・出生)と、日本語訳、扶養者の安定収入・納税状況を示す資料の整備が審査の要点です。
11.1.3 子の就学手続(公立小・中学校)
住民登録(市区町村役場)後、教育委員会から就学案内・就学通知書が交付され、指定校で入学・転入手続を行います。公立の義務教育は授業料無償で、教科書は原則無償給付です。必要に応じて母子健康手帳や予防接種記録、在学証明(転入の場合)を持参し、学用品・学費等の説明を受けます。日本語指導や学習支援は各自治体の教育委員会(学務課等)へ相談してください(参考:文部科学省(初等中等教育))。
11.1.4 健康保険・年金の手続
帯同家族は、扶養者が社会保険(健康保険・厚生年金)加入の場合は被扶養者手続、そうでない場合は市区町村で国民健康保険の加入手続を行います。医療費助成や就学援助制度の案内は自治体で確認します。
11.2 扶養基準と年収目安
家族滞在の審査において、法令上の一律の年収基準は公表されていません。 扶養能力(生計維持能力)は、収入の安定性、世帯人数、住居費等の支出、貯蓄、雇用主や事業の継続性、納税・社会保険の状況などを総合的に見られます。
| 審査で重視される要素 | 典型的な立証資料 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 収入の安定性・継続性 | 在職証明、雇用契約書、源泉徴収票、課税(非課税)証明書、確定申告書控 | 雇用形態・期間、月額/年額の実収入 |
| 世帯構成と居住費 | 住民票、賃貸契約書・社宅証明 | 同居人数に対し無理のない家計か |
| 預貯金等の資産 | 残高証明書 | 一時的不足を補える蓄えの有無 |
| 公的義務の履行 | 納税証明、社会保険加入証明 | 滞納の有無、保険加入の適正 |
提示資料は最新年度のものを中心に、世帯全体の実態がわかるように整合性をもって提出します。詳細基準や運用は出入国在留管理庁の案内と各地方局の指示に従ってください。
12. 相談先と支援
技能ビザ(在留資格「技能」)の取得・変更・更新は、制度理解と書類精度が重要です。迷ったら、まず公的情報で要件を確認し、必要に応じて専門家の支援を組み合わせましょう。最終的な許否判断は出入国在留管理庁が行うため、個別事情に即した確認と、公式情報の最新性のチェックが不可欠です。
| 相談先 | 主な対応 | 想定シーン | 言語 | 費用 | 連絡・利用方法 |
|---|---|---|---|---|---|
| 出入国在留管理庁(地方出入国在留管理局・支局/外国人在留総合インフォメーションセンター) | 在留資格制度・必要書類・申請方法の案内、最新の運用周知 | 要件の最終確認、申請書様式・記載例の入手、手続の選択(認定・変更・更新) | 日本語・多言語 | 案内は無料 | 窓口・電話・ウェブ(公式情報:出入国在留管理庁) |
| 申請取次行政書士 | 書類作成・理由書構成・代理提出(申請人の出頭が原則免除) | 初めての申請/在留資格変更/不許可後の再申請/企業側の人材受入れ | 日本語+対応言語(事務所による) | 有料(報酬は事務所ごと) | 専門家検索:日本行政書士会連合会 |
| 外国人在留支援センター(FRESC) | 入管・労働・生活支援のワンストップ相談、企業の採用支援 | 雇用条件の整理、家族帯同や生活手続の並行相談 | 多言語 | 無料 | 窓口・電話(詳細は出入国在留管理庁サイト内の案内参照) |
| 法テラス | 法律相談、弁護士等の案内(在留・労働・契約トラブル含む) | 不許可後の対応検討、処分取消訴訟や異議申立てを検討 | 多言語対応窓口あり | 一定要件で無料相談制度あり | 法テラスから予約 |
| 自治体の国際交流協会・多文化共生センター | 生活・行政手続案内、学校・医療・地域情報 | 住民票・課税証明の取得、子の学校手続と在留手続の段取り | 多言語(地域による) | 各団体に確認 | お住まいの自治体名+「国際交流協会」で検索 |
12.1 行政書士と代理申請の活用
技能ビザは「実務経験の立証」「業務内容の適合性」「報酬要件」など論点が多く、書類の一貫性と説明責任が鍵です。出入国在留管理庁に届出済みの申請取次行政書士に依頼すると、在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請の各段階で、要件整理から提出までを一気通貫で進めやすくなります。
専門家選びでは、(1) 申請取次の届出有無、(2) 技能分野の事例実績、(3) 見積書と委任契約書の提示、(4) スケジュール・想定審査期間の説明、(5) 守秘義務・個人情報管理体制の明記を確認しましょう。日本全国の行政書士は日本行政書士会連合会の検索から分野指定で探せます。許可の「保証」表示や成果を過度に断定する勧誘、無資格ブローカーの関与は避け、費用・役割分担・返金条件を事前に書面化してください。
12.2 出入国在留管理庁の公式リンクの使い方
出入国在留管理庁のトップから、申請手続や在留資格の案内ページに進むと、在留資格「技能」の要件、必要書類、申請様式、記載例、運用上の留意点を確認できます。サイト内検索で「技能 在留資格」「必要書類」「基準省令」などの語を組み合わせると該当ページに素早く到達できます。最新の「お知らせ」も随時更新されるため、提出直前に再確認しましょう。
在留手続オンラインシステムの対象手続・利用者登録・動作環境は公式案内で必ず確認してください。企業の人事担当者が所属機関としてオンライン提出するか、申請取次行政書士にオンライン提出を委ねるかを比較検討し、最新様式のダウンロード・受付可否・添付資料の要否は必ず公式案内に合わせることが審査遅延の回避につながります。公共窓口の混雑や予約方法は地方出入国在留管理局ごとに運用が異なるため、来庁前に各局の案内で確認してください。法的な争訟や複合的なトラブルが想定される場合は、法テラスの法律相談も早期に併用すると方針を整理しやすくなります。
13. よくある質問
13.1 技能ビザの在留期間の延長は何年か
在留資格「技能」の在留期間は審査により決定され、更新(在留期間更新許可申請)でも同様です。付与され得る期間は一般に5年・3年・1年・3月で、申請は在留期間満了日のおおむね3か月前から受け付けられます(手数料は収入印紙6,000円)。制度の概要は出入国在留管理庁および出入国管理及び難民認定法を参照してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 在留期間の種類 | 5年/3年/1年/3月 |
| 申請可能時期 | 在留期間満了日の約3か月前から申請可(窓口混雑や審査期間を考慮し早めの準備が安全) |
| 手数料 | 6,000円(収入印紙) |
| 主な審査ポイント | 雇用契約の継続性/日本人と同等以上の報酬/社会保険・税の適正加入・納付/業務が「技能」の範囲に適合 |
在留期間の更新は自動ではありません。満了前に必要書類を整え、期限内に申請してください。
13.2 転職や雇用主変更は可能か
可能です。ただし活動内容が「技能」の範囲に適合し続けること、報酬が日本人と同等以上であること、社会保険加入などの要件を満たすことが前提です。退職・入社の各事実については14日以内の届出(中長期在留者の届出)が必要で、内容によっては在留資格変更許可申請が求められます(制度全体は出入国在留管理庁、法令は入管法参照)。
| 代表的なケース | 必要な手続 | 注意点 |
|---|---|---|
| 同一の技能分野での転職(例:外国料理の調理→同分野の別店舗) | 退職・入社それぞれ14日以内に「契約機関に関する届出」 | 報酬は日本人同等以上、社会保険加入。更新時に新雇用主の事業実体資料が求められる。 |
| 活動が「技能」の範囲外へ変わる(例:調理→ホール接客中心) | 在留資格変更許可申請が必要 | 許可が下りる前に新業務へ従事しないこと。要件に適合しないと不許可リスク。 |
| 退職・解雇後の求職中 | 14日以内に届出。合理的な範囲での求職活動は可。 | 正当な理由なく3か月以上活動しない場合は在留資格取消しの対象となり得る。 |
業務内容が「技能」に適合しない転職は必ず在留資格変更の要否を確認し、退職・入社の届出は14日以内に行ってください。
14. まとめ
技能ビザは、出入国管理及び難民認定法に基づき「熟練した技能」を要する一定分野の実務従事者のための就労系在留資格です。「特定技能」は人手不足分野向けの制度、「技術・人文知識・国際業務」は学術的知識や語学等に基づく業務が中心、「技能実習」は人材育成を目的とする制度であり、目的・要件が異なります。結論として、最初に区分を正しく見極めることが許可取得の出発点です。
法的根拠は法務省・出入国在留管理庁の公表資料に明確であり、申請は在留資格認定証明書(COE)→在外公館や日本eVISA(外務省)の査証→上陸の順が基本、在留資格変更・在留期間更新は日本国内で行います。オンライン(在留手続オンラインシステム)と窓口(東京出入国在留管理局など)は状況に応じて選択可能です。結論として、最新の公式情報に沿った手順選択が、手戻りを減らす最短経路です。
対象は、外国料理の調理、航空機操縦、宝石・貴金属工芸品加工、染色・織物・各種器具の修理などの熟練技能分野で、実務経験や資格の客観的立証が要となります。報酬は「日本人と同等以上」であること、雇用主の社会保険加入体制の整備が前提です。結論として、経験・資格・職務内容の適合性と処遇の妥当性を資料で一貫して示すことが審査の核心です。
実務では、履歴書・経歴証明・雇用契約書・業務内容の説明、会社の事業実体(登記事項証明書や決算書等)、在留カード・住民票・課税/納税証明書の整合性が重要です。審査期間は案件により変動し、手数料が必要な手続もあります。結論として、雇用・業務・報酬・会社実体の四点をブレなく示す準備が、許可可能性を高めます。
不許可リスクを下げるには、実務経験の立証(職務内容と年数・役割の具体化)、会社の継続性と事業実体の証明、業務内容と在留資格の厳密な適合を図り、矛盾や記載漏れを排除します。家族帯同(家族滞在)は生計維持能力等の要件を満たせば可能で、子の就学は居住地の自治体で手続します。転職は活動範囲内であれば可能ですが、所属機関の変更は所定期間内の届出が必要です。結論として、「要件適合・客観資料・生活の安定性」という審査の三本柱を外さないことが鍵です。
総括すると、法務省・出入国在留管理庁・外務省の公式情報を基準に、区分選定→要件検証→書類精度の向上→申請経路の最適化を時系列で設計し、余裕を持ったスケジュールで進めることが最も合理的です。専門性の高い案件は行政書士の代理申請を活用し、公式リンクで最新要件を都度確認することで、2026年以降の制度変更にも確実に対応できます。