
このページは、「特定技能(工業製品の製造に係る分野)」の制度を2026年時点の公表情報に基づいて整理し、受入企業の人事・総務、製造現場の管理者、候補人材・送り出し機関、登録支援機関の担当者が、今日から意思決定と実務に使える要点を網羅的に把握できるよう設計しています。読むと、制度の位置付けと在留資格(特定技能1号・2号)、分野別運用方針の要点、2026年の改正スケジュール、対象となる工程・職種範囲と除外作業、現場の業務設計例、応募要件(技能水準・評価基準)、技能測定試験の区分・実施機関・国内外受験方法・合格証明、日本語要件(JLPT・JFT-Basicの使い分け・免除・有効期限)、受入企業の体制(フルタイムの雇用契約、労働基準法・労働安全衛生法、社会保険・労働保険の加入、派遣の可否と受入形態)、就業規則・安全衛生・教育訓練、支援計画と登録支援機関の活用(事前ガイダンス、生活オリエンテーション、相談体制・多言語対応・連絡記録、住居確保・公的手続き同行・日本語学習支援、委託契約と費用相場)、在留手続(在留資格認定証明書、在留資格変更・在留期間更新、地方出入国在留管理局への提出書類、手数料・納付方法・申請期間の目安)、報酬設計(基本給・手当・賞与、最低賃金、超過労働・割増賃金、住居費・水道光熱費の天引きと賃金控除協定)、退職・離職・転籍の実務、そして不許可事例・再申請、行政調査・是正勧告・受入停止リスク、ハラスメント・事故・災害時の対応までが分かります。結論として、許可・定着の成否を分けるのは「対象外業務の排除と職務記述書の明確化」「同等以上の報酬・社保完備」「実効性ある支援計画と記録管理」「申請書類の整合性」です。採用ルートは「技能測定試験合格者の採用」または「技能実習2号修了者の移行」の二つがあり、1号は通算5年・原則家族帯同不可、2号は熟練で家族帯同が可能です。最短ルートは、試験日程の先読みと求人・支援体制の同時並行整備、地方出入国在留管理局への事前相談、登録支援機関の適切な活用にあります。本稿は出入国在留管理庁、厚生労働省、経済産業省、国際交流基金などの一次情報を参照し、実務チェックリストの観点で解説します。
1. 特定技能 工業製品製造業の基本概要
特定技能(在留資格)は、深刻な人手不足の分野で即戦力となる外国人を直接雇用で受け入れる制度で、入管法(出入国管理及び難民認定法)に基づき2019年に創設されました。 工業製品製造業分野は製造現場の中核工程を対象とし、所管は主として経済産業省、在留管理は出入国在留管理庁が担います。制度の枠組みは法律・告示・分野別運用方針で定義され、対象業務・技能水準・受入要件などが明確化されています(法令はe-Gov法令検索(出入国管理及び難民認定法)、製造分野の運用は経済産業省「特定技能(製造業分野)」を参照)。
1.1 制度の位置付けと在留資格の種類
特定技能は「特定技能1号」と「特定技能2号」の二階建てです。1号は一定の技能と日本語能力を有し、現場の中核的作業に従事する即戦力の受入れを想定。2号は熟練技能を有する人材向けで、上位の技能・責任範囲が求められます。就労は原則として受入れ機関による直接雇用で、告示により定められた業務に限定されます。
| 区分 | 主な活動内容 | 在留期間(通算) | 家族帯同 | 雇用形態の原則 |
|---|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 現場の中核作業に従事(告示で限定) | 最長5年 | 不可 | 直接雇用(派遣は原則不可) |
| 特定技能2号 | 熟練技能を要する業務・指導等 | 更新に上限なし(各在留期間の更新制) | 配偶者・子の帯同可 | 直接雇用(告示・運用方針に従う) |
2号の付与は告示で定める対象分野に限られ、工業製品製造業に関する取扱いは最新の告示・運用方針に従います。転職・転籍は分野内・職務内容の適合や手続要件を満たす範囲で許容されます。
1.2 分野別運用方針のポイント
分野別運用方針(工業製品製造業)は、対象業務の範囲、技能水準の基準(技能測定試験)、日本語能力水準(例:日常会話レベルの読解・聴解)、受入れ見込み数の考え方、公正な労働条件の確保、支援計画の必須項目を定める中核文書です。 所管省庁(経済産業省)および出入国在留管理庁の告示・通達と整合して運用されます(詳細は経産省の製造分野ページを参照)。
| 運用上の基準 | 概要(工業製品製造業) |
|---|---|
| 対象業務 | 製造ライン・組立・加工・検査・保全などの中核工程(告示で限定) |
| 技能・日本語 | 技能測定試験の合格、日本語は業務遂行に必要な水準(試験・資格で確認) |
| 受入れ体制 | 適正な労務管理、社会保険加入、生活支援(自社または登録支援機関委託) |
| 雇用の適正 | 同等報酬の確保、法令遵守、記録の保存・報告義務 |
1.3 2025年の最新改正情報とスケジュール
制度改正・運用更新は官報告示・通達・分野別運用方針の改定として公表され、施行日と経過措置が示されます。2026年の具体的な試験実施日や申請様式の更新は、出入国在留管理庁および所管省庁の告知に従って随時反映されます。確定情報は公表原典で必ず確認してください(制度全般は出入国在留管理庁、製造分野は経済産業省)。
| 確認事項 | 主な公表先 | 確認のタイミング |
|---|---|---|
| 告示・運用方針の改定 | 官報、公表資料(ISA/所管省庁) | 改定発表時・施行日前 |
| 技能測定試験の実施 | 試験実施機関・所管省庁の告知 | 募集開始〜受験申込前 |
| 申請様式・手続 | 出入国在留管理庁の最新様式 | 申請準備着手時 |
最新の法令・告示・実施要領が優先します。公表資料の版(年月日)を必ず確認し、古い運用の流用を避けてください。
2. 対象業務と職種区分 特定技能 工業製品製造業の範囲
特定技能(工業製品製造業・製造業分野)の業務は、工場内の生産工程に直接付随し、一定の技能を要する加工・組立・検査・保全・工場内物流等に限定されます。設計・開発などのホワイトカラー業務や、他分野に属する作業は対象外です。現場では標準作業書(作業標準書)に基づく安全衛生と品質管理(5S、トレーサビリティ)を前提に運用します。
2.1 対象となる製造工程とライン業務
対象となる主な工程と代表的なライン業務は次のとおりです。製品の種類(金属部品、産業機械、電気・電子機器など)を問わず、同等の工程であれば適用可能です。
| 工程カテゴリ | 主な業務例 | 補足・関連する技能要素 |
|---|---|---|
| 素形材加工 | 鋳造・鍛造・プレス・切断・曲げ | 金型の段取り替え、バリ取り、治具交換、外観確認 |
| 機械加工・板金 | 旋盤・フライス・マシニングセンタの操作、曲げ・せん断 | NCプログラムの呼出し運用、工具管理、寸法測定 |
| 溶接・溶断 | 半自動溶接、TIG/MAG、ろう付け、スポット溶接 | 溶接条件の設定・記録、溶接後の外観・寸法検査 |
| 表面処理・塗装・熱処理 | 脱脂・めっき前処理、静電塗装、焼付け、ショット | SDSに基づく化学物質管理、膜厚・硬度の確認 |
| 組立・配線 | 機械組立、電装・ハーネス配線、トルク管理 | トルクレンチの管理、治工具点検、作業手順書遵守 |
| 品質検査・計測 | 外観・寸法検査、通電・作動検査、リークテスト | ゲージ・ノギス・三次元測定の使用、記録・判定 |
| 保全・段取り | 日常点検、簡易保全、型替え、ライン立上げ補助 | 予防保全の実施、異常時連絡、5Sの維持 |
| 工場内物流・梱包・出荷 | ピッキング、仕分け、ラベリング、梱包、出荷準備 | フォークリフト等は法定講習修了が前提、先入先出 |
上記は例示であり、各社の生産管理方式(セル生産、ライン生産、かんばん方式等)に応じて職務を組み合わせることができます。
2.2 除外される作業と注意点
分野外業務や高度専門業務の混在は不許可・指導対象となり得ます。該当する可能性が高いものを整理します。
| 除外・他分野に該当する業務 | 代表例 | 留意点 |
|---|---|---|
| 設計・研究開発・生産技術の立案 | CAD設計、製品設計変更の審査、工程設計の決定 | 高度人材の在留資格が想定され、特定技能の範囲外 |
| 建設分野の現場作業 | とび・型枠・配筋・土工等の屋外施工 | 「建設分野」の所掌であり、工業製品製造業では従事不可 |
| 造船・舶用工業の建造工程 | 船殻ブロック製作、船体 outfitting | 「造船・舶用工業分野」に区分される |
| 飲食料品製造のライン作業 | 食品加工、充填、包装 | 「飲食料品製造業分野」に区分される |
| 法令で免許・資格が必要な行為 | フォークリフト・クレーン運転、危険物の取扱い | 従事する場合は必ず当該資格・講習の修了が前提 |
| 常時の監督・管理者業務 | 労務管理、品質保証の最終判定、工程責任者 | 管理監督者の職務は原則対象外(補助は可) |
職務内容は雇用契約・職務記述書(ジョブディスクリプション)に明記し、実際の配置が記載と乖離しないよう運用することが重要です。資格が必要な作業は、入社後の法定教育・技能講習の計画を立て、記録を保管してください。
2.3 現場の業務設計と配置の実例
現場適合性を高めるための配置パターン例です。多能工化と標準時間の見直しにより、生産変動時も法令順守と品質維持を両立します。
| 製品・ライン例 | 工程構成 | 特定技能の配置例 | 初期教育・安全衛生 |
|---|---|---|---|
| 金属プレス部品ライン | 材料供給→プレス→バリ取り→寸法検査→梱包 | プレス機オペレーター1、仕上げ1、検査1 | プレス安全教育、挟まれ災害防止、可動ガード点検 |
| 産業機器の組立セル | 部品キッティング→組立→トルク検査→作動確認 | 組立2、検査1(セル内ローテーション) | トルク管理手順、ESD対策、標準作業書の習熟 |
| 電子機器基板ユニット | 実装済受入→外観検査→ユニット組付→通電試験→出荷 | 外観検査1、組付1、出荷準備1 | はんだ付け基礎、通電時の感電防止、SDS教育 |
| 出荷前物流ライン | ピッキング→ラベリング→梱包→パレタイズ→搬送 | 物流2(フォークリフト有資格者を1名配置) | フォークリフト技能講習、交通ルール、先入先出 |
配置後はOJT計画(到達基準・評価票)を設定し、習熟に応じて検査・段取り等へ職域を拡張します。業務の範囲管理と教育記録の整備がコンプライアンス上の要諦です。
3. 応募要件 特定技能1号と2号の違い
「工業製品製造業」で特定技能人材を採用・移行する際は、1号と2号で要件・在留期間・家族帯同・支援義務が大きく異なります。以下に主要な相違点を簡潔に整理し、実務で押さえるべき評価基準と移行要件を解説します。
| 区分 | 技能水準・証明 | 日本語要件 | 在留期間 | 家族帯同 | 受入れ時の支援計画 |
|---|---|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 相当程度の知識・経験が必要な技能を、分野別の技能測定試験合格または技能実習2号(又は3号)良好修了で証明 | JLPT N4以上 または JFT-Basic合格 | 4月・6月・1年で更新、通算最長5年 | 原則不可(家族滞在の対象外) | 義務(受入企業の自社実施または登録支援機関へ委託) |
| 特定技能2号 | 熟練した技能を、分野別の上位試験等で証明(実施有無は分野ごと) | 制度上の一律要件なし(ただし業務遂行上の日本語能力は実務上必須) | 6月・1年・3年で更新、上限なし | 可能(配偶者・子が家族滞在) | 不要 |
出入国在留管理庁(ISA)公式で最新の分野別運用方針・試験実施状況を必ず確認してください。
3.1 技能水準と評価基準
特定技能1号は、工業製品製造業で必要とされる基礎〜中核工程における作業能力を評価し、分野別の技能測定試験に合格するか、同一分野で技能実習2号(又は3号)を良好に修了していることで技能水準を示します。評価は工程別・職務別に設計され、実技・学科の双方が課されるのが一般的です。
特定技能2号は、段取り・品質管理・安全衛生を含む高度で自律的な業務遂行能力が前提で、分野ごとに定める上位の技能試験や実務経験で「熟練」を確認します。工業製品製造業での2号の運用開始や試験区分は分野別運用方針と試験実施機関の公表に従うため、最新の告示・要領を参照してください(出入国在留管理庁公式)。
3.2 家族帯同と在留期間の相違
特定技能1号は在留期間が通算5年までで、更新単位は原則「4月・6月・1年」です。家族帯同(配偶者・子の「家族滞在」)は認められていません。
特定技能2号は更新上限がなく、「6月・1年・3年」の在留期間で継続就労が可能です。配偶者・子の帯同が可能で、長期的な人材定着・キャリア形成に適します。
3.3 技能実習2号修了からの移行要件
技能実習2号(又は3号)から工業製品製造業の特定技能1号へ移行する場合、以下を満たす必要があります。
- 同一分野・関連する業務区分であること(分野別運用方針の整合性を確認)
- 技能実習を良好に修了していること(修了証明等で立証)
- 日本語要件の免除可(同分野の良好修了で技能・日本語の試験免除が認められる運用)
- 受入企業とのフルタイム雇用契約が適正(報酬は日本人と同等以上、労働関係法令・社会保険加入の遵守)
- 受入企業に支援体制があること(自社支援または登録支援機関と支援委託契約)
必要書類は、技能実習修了を証する書類、雇用契約書、支援計画書、法令遵守に関する誓約・体制資料などです。技能実習の基礎情報や修了の取扱いは外国人技能実習機構(OTIT)、日本語試験は日本語能力試験(JLPT)や日本語基礎テスト(JFT-Basic)の公式情報を参照してください。
ポイント:移行の可否・必要試験の有無は、工業製品製造業の分野別運用方針と最新の告示で変動し得るため、申請直前に公式情報で最終確認することが不可欠です。
4. 試験情報 特定技能 工業製品製造業の技能測定試験と日本語要件
工業製品製造業(製造業分野)の特定技能1号では、「分野別の技能測定試験」と「日本語試験(JLPTまたはJFT-Basic)」の双方を満たすことが基本です。各試験の実施・申込・最新日程は、出入国在留管理庁や各試験実施機関の公式情報で必ず確認してください(例:出入国在留管理庁)。
4.1 技能測定試験の区分と実施機関
工業製品製造業の技能測定試験は、分野別運用方針に基づき設定された試験区分ごとに、指定された実施機関が国内外で実施します。試験方式(CBT等)、出題範囲、合否判定、持参書類は実施機関ごとに告知され、申込ポータルから手続します。
受検予定の工程・職務に対応した区分を選ぶことが重要で、区分不一致は在留申請で不利になることがあります。
4.1.1 国内試験と海外試験の受験方法
国内外ともに概ね以下の流れです。
- 受験者アカウント作成(氏名は旅券記載と同一表記)
- 受験区分・会場・日程選択、受験料支払
- 当日、本人確認書類(旅券等)持参、受験規程の遵守
- 合否通知の確認(マイページ・メール)
海外会場は国・都市が限定される場合があるため、日程に余裕を持って予約してください。
4.1.2 合格基準と合格証明の取得
合格基準は区分ごとに実施機関が公表します。合格後は「合格証明書」または「合格結果通知」をダウンロードまたは郵送で取得でき、在留資格認定・変更申請で提出します。一般に合格証明そのものに有効期限は設けられていませんが、最新の試験仕様や区分改定に合わせた提出が求められるため、古い区分の証明は使用不可となる場合があります。
4.2 日本語能力試験JLPTとJFT Basicの使い分け
特定技能1号の日本語要件は「JLPT N4以上」または「JFT-Basic 合格」のいずれかで満たします。JLPTは年2回(国・地域による)実施、JFT-Basicは通年で実施回数が多く、予約しやすい傾向があります。
| 試験 | 運営 | 合格基準 | 頻度・申込 | 公式情報 |
|---|---|---|---|---|
| JLPT(日本語能力試験) | 日本国際教育支援協会・国際交流基金 | N4以上(合否判定) | 概ね年2回(地域差あり) | JLPT公式サイト |
| JFT-Basic(日本語基礎テスト) | 国際交流基金 | 合格基準200点以上(スコア方式) | 通年・高頻度(CBT) | JFT-Basic公式 |
どちらを選んでも在留審査上の評価は同等ですが、直近で受けやすい日程・地域の試験を選ぶのが実務的です。
4.3 免除対象とスコアの有効期限
日本語・技能の免除と有効性は次の通りです。
| 区分 | 免除の主な対象 | 有効期限 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 日本語試験(特定技能1号) | 技能実習2号または3号を良好に修了した者 | JLPT・JFT-Basicともに合格結果に期限は設定されていないのが一般的 | 免除には修了証明等の提出が必要 |
| 技能測定試験(特定技能1号) | 技能実習2号または3号の「相当分野・職種」修了者 | 合格証明は通常期限なし | 分野・区分の整合性が必須 |
| 特定技能2号 | 分野別の熟練技能評価・実務経験等 | 日本語試験は原則不要 | 分野の基準告示・運用方針に従う |
免除の可否は「分野・区分の一致」と「良好な修了」の立証が鍵です。提出書類の不足や区分相違は不許可要因になり得ます。制度の根拠・最新運用は出入国在留管理庁、試験の実施要領はJLPTおよびJFT-Basicの各公式情報で確認してください。
5. 受入企業の要件と体制整備
出入国在留管理庁「特定技能」ポータルに示される運用要領に基づき、受入れ機関(特定技能所属機関)は、雇用契約・労務管理・安全衛生などの社内体制を事前に整備し、法令順守の実績と継続的な報告体制を備えることが必要です。日本人と同等以上の待遇・直接雇用・社会保険適用・安全衛生教育という4本柱を欠かさないことが合否と稼働の安定を左右します。
5.1 雇用契約の締結条件とフルタイム要件
特定技能外国人は、受入れ機関との直接雇用が原則です。契約形態は有期・無期いずれも可ですが、所定労働時間は当該事業所の日本人フルタイム労働者と同等以上で、安定的な就労を前提とすることが求められます。賃金は基本給・各種手当・賞与等を含め日本人と同等以上の水準とし、地域別最低賃金を下回らないように設計します(参考:厚生労働省「最低賃金」)。
労働条件通知書・雇用契約書は、労働時間・休日・時間外労働の有無(36協定の締結有無)・賃金内訳(控除項目を含む)・試用期間・更新基準・就業場所・業務内容を明確にし、外国人本人が理解できる言語で内容を説明します。違約金・帰国旅費の不当な負担や、賃金の不当控除・保証金の徴収は禁止です。
5.2 労働基準法 社会保険 労働保険の遵守
労働時間管理(出勤簿)、賃金台帳、年次有給休暇付与、深夜・時間外・休日労働の割増賃金支払い、健康診断など、労働基準関係法令を厳格に運用します。適用事業所は国籍を問わず、健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険への加入手続きを適正に行います。以下の要点を社内チェックリストとして運用してください。
| 制度・分野 | 必須対応 | 主な留意点 |
|---|---|---|
| 最低賃金・割増賃金 | 地域別最低賃金以上で賃金設定。時間外・休日・深夜は法定割増を支払う。 | 所定内と所定外を区分し、固定残業代は明確な定額・時間数・清算条項を明記。 |
| 労働時間管理 | 客観的な出退勤記録を整備。 | 36協定を締結・届出のうえ時間外命令。過重労働防止を運用。 |
| 社会保険(健保・厚年) | 該当者は被保険者として加入。 | 国籍不問。標準報酬月額の適正決定・月額変更届を適時に。 |
| 雇用保険 | 該当者を被保険者資格取得手続。 | 入社・離職時の資格取得・喪失届、雇用保険番号の紐付けを確実に。 |
| 労災保険 | 全労働者に適用し、事故時は速やかに給付請求。 | 通勤災害の範囲(社宅・寮からの通勤)を社内で周知。 |
| 帳票整備 | 労働者名簿・賃金台帳・出勤簿を整備・保存。 | 多言語の労使コミュニケーション記録を残し、是正のトレーサビリティを確保。 |
5.3 派遣の可否と受入形態
労働者派遣(派遣社員としての受入れ)は原則不可で、所属機関による直接雇用が前提です(制度全体は入管庁の案内参照)。製造ラインでの受入れは、請負・委託を用いる場合でも、指揮命令系統を受託側に置き、混在・偽装請負を生じさせないよう契約・現場運用(指示系統、工具・資機材、品質責任)を明確にします。現場単位での名札・帳票・作業指示書の区分管理は必須です。
就業場所の変更や他社現場への一時配置は、雇用契約・就業規則・出入国管理上の届出との整合を事前確認し、本人の同意と社会保険の適用関係が阻害されないように運用します。
5.4 就業規則 安全衛生 教育訓練
常時10人以上の事業場は就業規則を作成・届出し、服務規律、懲戒、ハラスメント防止、年休付与、時間外手当の算定、寮・社宅の費用負担基準(天引きの根拠)を明確化します。工業製品製造業の現場では、多言語の安全衛生教育と標識、危険予知活動(KY)、職長等の指導体制を整備し、フォークリフトや有機溶剤等の対象作業は法定の技能講習・特別教育を実施します(参考:厚生労働省「外国人労働者の安全衛生」)。
災害・事故・急病・地震等の緊急時連絡網、ヒヤリハットの共有、保護具の無償貸与、健康診断の事後措置、深夜・交替勤務時の疲労管理を運用ルールに落とし込み、監督署の調査や社内監査に耐える記録性を確保します。
6. 支援計画と登録支援機関の活用
特定技能所属機関は、特定技能外国人が就労・生活に円滑に適応できるよう、理解できる言語で実行可能な支援計画を作成し、計画に基づく支援を自ら実施するか、登録支援機関に委託します。支援の実施内容・体制・記録は在留申請の審査対象であり、不備は不許可や受入停止のリスクに直結します。
| 支援項目 | 主な担い手 | 実施タイミング | 主要記録 |
|---|---|---|---|
| 事前ガイダンス | 受入れ機関/登録支援機関 | 採用決定〜入国前 | 説明資料・言語・同意取得 |
| 出入国時の送迎 | 受入れ機関/登録支援機関 | 入国日・帰国日 | 行程・担当者・実施記録 |
| 住居確保・生活に必要な契約支援 | 受入れ機関/登録支援機関 | 入国前〜入国直後 | 物件情報・契約写し・費用負担内訳 |
| 生活オリエンテーション | 受入れ機関/登録支援機関 | 入国直後 | カリキュラム・参加記録 |
| 公的手続き等への同行 | 受入れ機関/登録支援機関 | 入国直後〜必要時 | 手続名称・日時・結果 |
| 通訳体制・多言語対応 | 受入れ機関/登録支援機関 | 常時 | 対応言語・手段・連絡先 |
| 相談・苦情対応 | 受入れ機関/登録支援機関 | 常時・定期 | 相談記録・措置内容 |
| 定期面談・状況把握・届出 | 受入れ機関 | 定期 | 面談記録・必要な届出 |
| 日本語学習機会の提供 | 受入れ機関/登録支援機関 | 入国後継続 | 学習計画・受講実績 |
| 非自発的離職時の転職支援 | 受入れ機関/登録支援機関 | 発生時 | 求職支援・案内記録 |
工業製品製造業では、交替勤務やライン配属、工程変更が起こりやすいため、支援計画に安全衛生教育、標準作業手順書の多言語化、 pictogram の活用、寮・通勤動線の安全確保を具体的に組み込み、現場の配置転換にも対応できる運用を明記すると実効性が高まります。
6.1 事前ガイダンスと生活オリエンテーション
事前ガイダンスでは、雇用条件(就業場所・業務内容・所定労働時間・賃金・手当・試用期間・解雇・休業の有無)、指揮命令系統、寮・通勤方法、安全衛生、費用負担の範囲、相談窓口、支援計画の内容を、本人が理解できる言語で具体的に説明し、同意を得ます。工業製品製造業に特有の設備停止ルール、ロックアウト・タグアウト、保護具着用、5S、危険表示の読み方は入国前に概要を案内しておくと定着が早まります。
生活オリエンテーションでは、地域ルール(ごみ分別、騒音、交通)、災害時行動、医療機関の利用、金融・通信、SNS 利用上の注意、勤怠・休暇申請、就業規則の重要点をカバーします。就業開始前に、労働条件通知書と就業規則の該当部分を多言語で説明し、疑義のない状態で勤務に入れるようにすることが重要です。
6.2 相談体制 多言語対応 連絡記録
相談窓口は社内責任者と第三者(登録支援機関等)を併設し、電話・チャット・メールの複数手段を用意します。急病・労災・ハラスメント・給与・住居トラブル等のカテゴリー別に受付から解決までのフローとSLAを定め、エスカレーション先を可視化します。対応言語・受付時間・緊急連絡先を配布し、掲示板や社内ポータルに常時掲示します。
連絡記録は、相談日時、内容、使用言語、対応者、是正・再発防止策、本人の同意・確認を残し、個人情報保護に留意して適切に保存・管理します。製造現場では監督者への通訳支援(現場通訳・電話通訳・同時翻訳アプリの組み合わせ)を決め、作業変更時や品質クレーム発生時の通訳確保手順を運用に落とし込みます。
6.3 住居確保 公的手続き同行 日本語学習支援
住居は寮または賃貸物件を確保し、保証人・保証会社の手配、家具家電・生活必需品の準備、ライフライン(電気・ガス・水道)・通信(携帯・Wi‑Fi)契約を支援します。職場への通勤手段・ルート、夜勤帯の移動安全、火災・防犯対策を現地で確認し、入居時説明書と原状回復ルールを多言語で交付します。
公的手続きは、住民登録、マイナンバー受領、銀行口座開設、年金・健康保険の加入、税・社会保険の説明、労災・雇用保険の適用確認等に必要に応じて同行します。手続きに伴う費用や契約主体、控除・天引きの内訳は事前に明示し、不利益や不透明な負担が生じないようにします。
日本語学習は、勤務時間外の学習機会の提供(eラーニング、通信教育、地域日本語教室の案内、社内学習会)を中心に、目標レベルと評価方法を計画に記載します。製造現場向けには、工程名・品質用語・安全標識の用語集や、多言語マニュアルと併用した日本語表現の定着支援が有効です。
6.4 支援委託契約と費用の相場
登録支援機関へ委託する場合は、支援範囲(常時・定期・スポット)、対応言語・時間、責任分担(実施者・確認者)、緊急時体制、個人情報・秘密保持、記録の作成・保存・閲覧、報告様式、費用と精算方法、変更・解除手続を契約書に明記します。支援計画と整合した委託契約を締結し、在留申請時の資料に反映します。登録支援機関の選定は、対応言語・地域拠点・実績・製造現場の理解度・監査対応力・価格の透明性で比較検討します。
| 費用区分 | 典型的な内容 | 費用負担の考え方 |
|---|---|---|
| 初期費用 | 事前ガイダンス、入国調整・送迎、住居手配、生活オリエンテーション | 受入れ機関が負担(実費+委託料) |
| 月額支援料 | 定期面談、相談対応、通訳待機、日本語学習支援、記録作成 | 受入れ機関が負担 |
| スポット費用 | 医療・役所同行の追加、緊急通訳、転職支援発生時 | 契約に基づき受入れ機関が負担 |
| 実費 | 住居賃料・光熱費・通信費など本人契約分 | 原則は本人が自ら支払(天引き時は明細交付) |
支援に要する費用の不当な転嫁、預託金・違約金の徴収等は認められません。見積書・内訳・役務の対価関係を明確にし、支援内容の実施記録と紐づけて管理します。登録支援機関の変更や支援内容の大幅な変更が生じる場合は、支援計画を更新し、所定の手続を適時行います。
7. 在留手続き 申請フローと必要書類
特定技能(工業製品製造業)の在留手続きは、海外在住者の受入れ時に行う在留資格認定証明書交付申請、国内在住者の在留資格変更、在留期間更新の3パターンが中心です。ここでは各フロー、必要書類、手数料と審査の目安を簡潔に整理します。提出内容の齟齬や支援体制の不備は不許可の主因になるため、受入れ機関の体制整備と書類整合性の確認を徹底してください。
7.1 在留資格認定証明書交付申請の流れ
対象は主に海外在住者を初めて受け入れる場合です。受入れ機関(または申請取次行政書士)が地方出入国在留管理局に申請します(法人は在留申請オンラインシステムの利用可)。
事前に、雇用契約の締結、1号特定技能外国人支援計画の策定、社会保険・労働保険加入、就業規則・安全衛生体制、日本語学習支援や生活オリエンテーション等の支援体制を整備します。応募者側では技能測定試験と日本語要件の合格証明、または技能実習2号等の修了で要件を確認します。
申請後、審査を経て在留資格認定証明書(COE)が交付されます。本人は在外公館で査証申請・取得後に入国し、空港で在留カードの交付を受けます。COEの有効期間は3か月です。有効期間内に入国し、就労開始時期に間に合うよう、雇用開始日の逆算でスケジュールを組んでください。
7.2 在留資格変更と在留期間更新
在留資格変更は、国内在住者が留学・技能実習・特定活動等から特定技能1号/2号へ移行する際に行います。要件確認(技能・日本語または修了証明)、新たな雇用契約、支援計画(1号)等を整え、地方出入国在留管理局に申請します。在留資格変更の許可が出る前に新たな活動を開始することはできません。
在留期間更新は、現行の活動を継続する際に行います。更新申請は在留期間満了日の3か月前から可能で、雇用継続の事実、賃金支払・社会保険加入・税の納付状況、支援実施状況(1号)等を立証します。所属機関の変更や契約内容変更があった場合は、所定の期間内に届出も必要です。
7.3 地方出入国在留管理局への提出書類
必要書類は事案により異なりますが、特定技能(工業製品製造業)で一般的に求められる事項は次のとおりです(最新の様式・個別指示を優先)。原則、外国語書類には日本語訳を添付します。
| 手続 | 主要提出者 | 本人側の主な書類 | 受入れ機関側の主な書類 | 支援関係書類 | 補足 |
|---|---|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 受入れ機関等 | 申請書、写真、旅券写し、技能測定試験合格証または技能実習修了証、日本語要件証明(JLPTまたはJFT-Basic) | 雇用契約書(又は労働条件通知書)、登記事項証明書、直近決算書等の事業継続性資料、社会保険・労働保険加入資料、事業内容資料、住居確保に関する資料 | 1号特定技能外国人支援計画、支援実施体制の説明資料、(委託時)登録支援機関の登録番号・支援委託契約書 | 受入れ機関の誓約書等、分野別運用方針に基づく追加資料が指示される場合あり |
| 在留資格変更許可申請 | 本人 | 申請書、写真、旅券・在留カード、経路に応じた立証(例:技能実習修了証、成績・出席証明、試験合格証 等) | 雇用契約書、登記事項証明書、社会保険・労働保険加入資料、事業継続性資料 | 1号支援計画、(委託時)登録支援機関資料 | 現活動の終了・新活動開始の時期整合、必要に応じ退職証明や在職証明等 |
| 在留期間更新許可申請 | 本人 | 申請書、写真、旅券・在留カード、住民税の課税・納税証明書等 | 在職証明(又は雇用継続の書面)、賃金台帳や出勤簿の写し(求められた場合)、社会保険・労働保険加入状況資料 | 支援実施記録・実施状況(1号)、(委託時)支援継続の契約書 | 活動実績・日本語学習支援等の実施状況を説明できるよう記録を整備 |
提出写しには原本提示や原本証明を求められる場合があります。 事前予約制を採用する窓口もあるため、各地方出入国在留管理局の案内に従ってください。
7.4 手数料 納付方法 申請期間の目安
手数料は許可時に収入印紙で納付します(申請時ではありません)。在外公館での査証発給手数料は別途かかります。
| 手続 | 手数料 | 納付方法 | 審査期間の目安 | 申請開始の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付 | 不要 | — | 概ね1〜3か月程度 | 要件整備後すぐ | COE有効期間は3か月 |
| 在留資格変更許可 | 6,000円 | 許可時に収入印紙 | 概ね1〜2か月程度 | 新たな活動開始前 | 許可前の就労開始不可 |
| 在留期間更新許可 | 6,000円 | 許可時に収入印紙 | 概ね数週間〜1か月程度 | 在留期間満了日の3か月前から | 満了直前の申請は在留切れリスク |
審査期間は内容・時期・地域で変動します。不許可時の再申請では、指摘事項に対する具体的な改善と立証資料の提出が不可欠です。
8. 報酬水準と労務管理
特定技能の報酬は、日本人と同等以上で、最低賃金・割増賃金・支払期日の各法令を厳格に満たすことが前提です。 賃金規程・就業規則・労働条件通知書(日本語と母語の併記推奨)を整備し、勤怠・賃金台帳・支払記録を適正に運用します。最低賃金の確認は厚生労働省の公表情報(最低賃金|厚生労働省)を参照してください。
8.1 基本給 手当 賞与の設計
職務・技能・等級に応じた基本給を軸に、通勤手当・住宅手当・技能手当・日本語手当(例:JLPT N3/N2)等を設計します。賞与・昇給の有無や支給基準・計算方法は賃金規程に明記し、個別の労働条件通知書で明示します。固定残業代を用いる場合は「対象時間数」「金額」「超過分の精算」を明確にし、所定時間に満たない場合の控除や包括清算は行いません。賃金締切日・支払日・支払方法を一定とし、全員に賃金明細を交付することがトラブル予防の基本です。
| 賃金項目 | 主な目的 | 最低賃金への算入 | 設計上の留意点 |
|---|---|---|---|
| 基本給 | 職務・技能の基礎報酬 | する | 同一価値労働の同等賃金を意識 |
| 技能手当・日本語手当 | 資格・日本語能力評価 | する | 基準・証明方法・改定時期を明示 |
| 住宅手当 | 居住支援 | する | 会社借上げは契約形態と原価を明確化 |
| 通勤手当 | 通勤費実費補填 | しない | 実費・上限・非課税範囲の取扱い |
| 家族手当 | 扶養配慮 | しない | 支給要件と確認書類 |
| 精皆勤手当 | 出勤奨励 | しない | 欠勤控除との関係を明記 |
| 時間外・休日・深夜割増 | 法定割増 | しない | 実労働時間に基づく計算・別建て支給 |
| 賞与 | 業績・貢献反映 | しない | 任意性・評価基準・在籍要件を明記 |
最低賃金に算入しない賃金の具体例(家族手当・通勤手当・精皆勤手当、割増賃金、賞与など)は、厚生労働省公表情報を参照してください(最低賃金|厚生労働省)。
8.2 最低賃金 超過労働 割増賃金
月給者は「(月給−最低賃金に算入しない手当)÷月の所定労働時間」で時間単価を算出し、各都道府県の地域別最低賃金以上か確認します。時間外・休日労働は36協定の締結・届出が前提で、割増率を正しく適用します。法定外時間外25%以上、深夜22時〜5時25%以上、法定休日35%以上、月60時間超の時間外は50%以上(中小企業含む)で、深夜や休日と重なれば加算します。根拠は労働基準法を参照してください(労働基準法|e-Gov法令検索)。
| 区分 | 割増率(以上) | 代表的な算式 |
|---|---|---|
| 時間外(法定外) | 25% | 時間単価×1.25×時間数 |
| 深夜(22:00〜5:00) | 25% | 時間単価×1.25×深夜時間数 |
| 法定休日労働 | 35% | 時間単価×1.35×時間数 |
| 月60時間超の時間外 | 50% | 時間単価×1.50×超過時間数 |
| 加重例(時間外かつ深夜) | 25%+25% | 時間単価×1.50×時間数 |
みなし労働や固定残業代であっても、実労働時間に応じた割増の不足分は必ず追加支給します。 36協定未締結・未届出での時間外・休日労働は行わせない運用が必要です。
8.3 住居費 水道光熱費 天引きの留意点
会社借上げ社宅や寮費、水道光熱費、備品費を賃金から控除する場合は、賃金控除に関する労使協定の締結と本人の明示同意、金額内訳の明細記載、領収書等による原価の透明化を徹底します。過大控除により実収入が生活困難になったり、違約金・罰金に類する控除(労基法第16条の趣旨に反する扱い)は行いません。
住居の原契約者・敷金礼金・退去精算の負担区分、退去予告期間、家具家電の損耗基準(通常損耗の扱い)を事前に書面で合意します。天引きは毎月一定日・一定額で運用し、実費変動分は翌月で精算するなど二重請求を防止します。
8.4 退職 離職 転籍の実務
退職時は、未払い賃金・割増・精算控除の確定、社会保険・雇用保険の手続、離職票関係の交付、貸与物の回収を速やかに行います。解雇の場合は30日前予告または平均賃金による予告手当の支払いなど、労働基準法上の要件を遵守します(労働基準法|e-Gov法令検索)。
特定技能人材の転籍(受入企業の変更)は、雇用契約の締結・支援計画の再整備を行い、出入国在留管理庁への届出・在留手続を速やかに実施します。離職・転籍の局面では、生活支援の継続と適正な情報提供(母語対応)を徹底し、空白期間中の在留・就労可否を誤らないことが重要です。
9. トラブル防止とコンプライアンス
特定技能(工業製品製造業)での受入れは、入管法・労働関係法令・分野別運用方針の三点を同時に満たす継続運用が要点です。 受入機関は、雇用契約と支援計画の実効性、労務管理の適正、記録と説明可能性(監査対応)を常に担保してください。制度の根拠・最新通知は出入国在留管理庁の公式情報を参照し、社内規程・運用を随時アップデートします(出入国在留管理庁)。
| 重大リスク | 主な原因 | 予防策 | 初動対応 |
|---|---|---|---|
| 在留不許可・更新不許可 | 業務範囲の逸脱、報酬水準の不適正、提出書類の不備、体制未整備 | 職務記述書・工程表・配置図を整備、同等以上報酬、支援計画と実施記録の徹底、内部監査 | 不許可理由の説明申出、是正計画の策定、立証資料の補強、再申請 |
| 偽装請負・派遣の違法運用 | 指揮命令系統の混在、契約と実態の乖離 | 契約形態の適法性確認、業務切り分けと指揮命令系統の明確化、現場点検 | 実態調査、契約・現場是正、外部専門家への相談 |
| 賃金不払・最低賃金違反・みなし残業の乱用 | 固定残業の過大設定、手当控除の不適正、住居・水道光熱の天引き過大 | 賃金規程の整備、実労働時間の正確な把握、控除は書面同意かつ実費相当、最低賃金の常時確認 | 未払の遡及精算、運用是正、労基署への相談体制整備 |
| 安全衛生事故・労災 | 危険作業の教育不足、言語ギャップ、保護具未着用 | リスクアセスメント・KY活動、初任時/定期教育(多言語)、標識・手順書の可視化 | 救護・通報、現場保全、労災手続、原因分析と再発防止 |
| ハラスメント | 上下関係の濫用、文化・言語差の放置 | 方針の明文化、管理職研修、匿名相談窓口(多言語)、証拠保存ルール | 迅速調査、被害者保護、行為者指導、再発防止策の実行 |
| 支援計画未実施・記録不備 | 登録支援機関任せの丸投げ、面談・同行の記録欠落 | 役割分担とKPI、月次面談記録・連絡簿・実施台帳、委託先監査 | 記録の補完、是正報告、委託見直し |
9.1 不許可事例と再申請の対応
不許可の典型は、分野別運用方針に適合しない業務設計、報酬が同等以上でない設計、雇用契約・労働条件通知書の不整合、技能測定試験・日本語試験の立証不備、支援計画の具体性・実行性不足です。工程と職務の紐付け、配置先の一貫性、シフトと時間外の組み立ては、書面と実態の両面で整合させます。
不許可後は、不許可通知を確認し、入管で「審査結果に係る説明」の申出を行い、指摘点に対応した上で再申請します。補強資料の例は、製造工程表・ライン図、職務記述書、教育訓練計画、就業規則・賃金規程、出勤簿・賃金台帳の写し、36協定の締結・届出控、社会保険適用状況、支援計画と実施記録、体制図です。「理由の解消→立証資料での疎明→運用の継続可能性の提示」を一体で整えることが再申請の肝要です。
制度・書式の最新は公式情報に即して確認し、改訂に合わせて社内文書を更新します(出入国在留管理庁)。
9.2 行政調査 是正勧告 受入停止のリスク
出入国在留管理庁からは、支援計画未実施や法令違反があると指導・受入停止等の行政処分リスクがあります。労働基準監督署からは、臨検監督・是正勧告の対象となり得ます。「資料即時提示」「期限内是正」「再発防止の実効策提示」が対応の三原則です。
平時からの監査準備として、雇用契約書・労働条件通知書、就業規則・賃金規程、出勤簿・賃金台帳、36協定と協定届、労働保険・社会保険の適用書類、支援計画・実施記録(事前ガイダンス、生活オリエンテーション、同行・通訳記録、定期面談記録、苦情・相談対応記録)、安全衛生教育記録、外部委託契約(登録支援機関)と指示命令系統図を時系列で整備・保管します。36協定等の手続は厚生労働省の案内を参照してください(厚生労働省 働き方改革特設ページ)。
偽装請負や違法な指揮命令の混在は重大リスクです。契約と実態の定期突合、他社人員との混在区画・共通指揮の排除、入退場管理・帳票の分離で可視化します。登録支援機関の選定・監査(SLA/KPI、記録の抜取確認)も受入停止回避に直結します。
9.3 ハラスメント 事故 災害時の対応
ハラスメントは、方針の明文化、教育(管理職・現場・通訳含む)、多言語の相談窓口、通報者保護、事実認定の手順、処分と再発防止までを就業規則・規程に格納します。実務は、申出受付→緊急保護(配置転換・接触遮断)→迅速調査→是正・処分→フォロー面談の順で運び、記録を保全します。公的資料は厚生労働省の専用サイトが参考になります(あかるい職場応援団(厚生労働省))。
安全衛生では、危険源の特定とリスクアセスメント、作業標準・安全手順の多言語化、 pictogram化、TBM/KYの定着、適切な個人用保護具の支給・着用点検、保全・点検記録の維持を継続します。事故時は、救命・通報(119/社内)、現場保全、労災保険の手続、原因分析、是正・教育の再実施までを速やかに。自然災害等に備え、避難ルート・集合場所・安否確認手順・連絡網・非常用備品を多言語で整備し、定期訓練を実施します。
コンプライアンスは「書面整備」だけでなく「現場運用」と「記録の一貫性」で示すものです。 日次・月次の点検ルーチンと外部資料の定期更新で、監査・行政対応の即応力を高めてください。
10. よくある質問 特定技能 工業製品製造業
受入企業・応募者の双方から頻繁に寄せられる疑問を、工業製品製造業分野に即して簡潔に整理しました。
10.1 工業製品製造業で従事できる代表的な作業は何ですか?
代表例として、機械加工、組立・検査、溶接・金属加工、塗装、保全・メンテナンス、梱包・出荷、品質管理補助などの製造ライン業務が挙げられます。実際に従事できる作業は、分野別運用方針と雇用契約書の職務内容で特定し、現場で逸脱がないよう運用することが重要です。
10.2 受入形態は直接雇用が原則ですか。派遣は可能ですか?
特定技能1号・2号ともに、受入機関との直接雇用が原則です。労働者供給事業に該当する派遣的運用は認められません。請負は、指揮命令系統や労務管理が受託側に完結している実態であることが前提です。
10.3 特定技能1号の日本語要件は何ですか?
日本語能力は原則として日本語能力試験(JLPT)N4以上、またはJFT-Basic(A2相当)などの基準を満たす必要があります。応募時点での証明が求められます。
10.4 技能測定試験と日本語試験の合格の有効期限はありますか?
一般に、技能測定試験・日本語試験の合格結果は有効期限の定めがありません。ただし、申請時点で合格を証明できる書類が必要です。
10.4.1 免除対象はありますか?
技能実習2号または3号を同一または関連性のある職種・作業で良好に修了している場合、技能測定試験や日本語要件が免除される取扱いがあります。適用の可否は職種の対応関係で確認します。
10.4.2 合格証明の扱いはどうなりますか?
合格証、合格結果通知、合格者一覧の写し等を提出します。氏名・生年月日・受験区分の一致、改姓等がある場合の同一性資料の添付に留意します。
10.5 技能実習から特定技能への移行はできますか?
可能です。技能実習で従事した職種・作業と対応する工業製品製造業分野の業務に移行するのが基本で、評価試験の免除や手続の簡素化が適用される場合があります。
10.6 特定技能1号から2号へ移行できますか?
2号の設定は分野・職種ごとに有無や要件が規定されています。移行可否・要件は最新の分野別運用方針・告示を確認し、受入機関の体制や技能水準、経験年数の立証を準備します。
10.7 在留期間と更新の上限はどうなっていますか?
特定技能1号は通算5年が上限です。特定技能2号は上限の定めがありません。在留期間の更新には、引き続き要件を満たしていることの疎明が必要です。
10.8 家族帯同は可能ですか?
特定技能1号は原則として家族帯同はできません。特定技能2号は、扶養を受ける配偶者・子が在留資格「家族滞在」で帯同可能です(個別審査あり)。
10.9 転職・転籍はできますか?
可能です。同一分野の業務に限られ、受入機関の変更届出や支援の継続確保等の手続が必要です。無就業期間が長期化すると在留継続に支障が出るため、速やかな手配と届出を行います。
10.10 賃金水準や控除の留意点は?
報酬は日本人と同等以上で、地域の最低賃金・割増賃金に適合させます。住居費・水道光熱費等の控除は本人の自由意思に基づく同意、実費等の合理性、賃金控除協定、明細書の記載が必要で、手取りの過小化を避けます。
10.11 夜勤・交替制での就労は可能ですか?
可能です。就業規則・雇用契約に夜勤・交替勤務を明記し、労働安全衛生法に基づく健康管理、36協定の締結、深夜・時間外の割増賃金支払いを徹底します。
10.12 受入企業が自社支援と登録支援機関の委託、どちらを選ぶべきですか?
頻度・言語・記録の3点(多言語対応、定期面談、支援記録の保存)を自社で継続できるかが判断軸です。自社体制に不安がある場合は登録支援機関へ委託し、支援計画と役割分担、費用負担を契約で明確化します。
10.13 特定技能1号と2号の要点を簡単に教えてください。
| 項目 | 1号 | 2号 |
|---|---|---|
| 技能水準 | 相当程度の知識・経験(技能測定試験等) | 熟練した技能(実務経験・評価基準) |
| 在留期間 | 通算5年まで | 上限なし |
| 日本語要件 | 必要(JLPT N4やJFT-Basic等) | 法令上の一律要件はなし |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(個別審査) |
| 雇用形態 | 原則フルタイムの直接雇用 | 同左 |
| 転職 | 分野内で可、届出等が必要 | 分野内で可、届出等が必要 |
11. 参考リンクと公式情報の探し方
11.1 信頼できる一次情報源
制度全般・在留手続・通達は、必ず出入国在留管理庁の一次情報で裏取りしてください。公式サイトは出入国在留管理庁です。
工業製品を含む製造業分野の分野別運用方針・所管資料は経済産業省の「報道発表」「政策・制度」から確認できます。
根拠条文・省令・告示の原文はe-Gov法令検索で最新の改正履歴まで参照します。
11.2 何をどこで探すか(早見表)
| 情報の種類 | 主な入手先 | 検索クエリ例 | 更新確認ポイント |
|---|---|---|---|
| 法令・告示・通達 | e-Gov法令検索、出入国在留管理庁 | e-Govで「出入国管理及び難民認定法 施行規則」「特定技能 告示」 | 最終改正日、告示番号、附則の施行期日 |
| 分野別運用方針(製造業) | 経済産業省、出入国在留管理庁 | Googleで「site:meti.go.jp 特定技能 分野別運用方針 製造業」 | 版数・更新日、適用開始日、経過措置の有無 |
| 申請手続・様式 | 出入国在留管理庁 | 「site:moj.go.jp/isa 特定技能 申請様式 一覧」 | 様式番号、記載要領の改定日、提出先・手数料 |
| 試験情報(技能・日本語) | 出入国在留管理庁、各試験実施機関 | 「特定技能 製造業 評価試験 日程」「JLPT JFT Basic 実施」 | 受験要件、合否基準、合格証明の有効期限 |
| 統計・受入れ状況 | 出入国在留管理庁 | 「site:moj.go.jp/isa 特定技能 受入れ状況 統計」 | 集計期間、分野別内訳、最新更新日 |
| 登録支援機関・支援指針 | 出入国在留管理庁 | 「site:moj.go.jp/isa 登録支援機関 名簿」「特定技能 支援計画 指針」 | 登録の有効期間、取扱分野、連絡先 |
11.3 効率的に探すためのコツ
11.3.1 サイト内検索と演算子の活用
公式サイトに絞るため、Googleで「site:go.jp 特定技能 製造業」「site:moj.go.jp/isa 在留資格 特定技能 申請」などの演算子を使います。PDFの最新版は「filetype:pdf 運用方針」「告示番号」を併用し、重複ヒットは最終更新日の新しいものを優先します。
11.3.2 最新改正のフォロー方法
「特定技能 製造業 分野別運用方針」「出入国在留管理庁 告示 改正」などでGoogleアラートを設定。出入国在留管理庁と経済産業省の「報道発表」ページを定期巡回し、e-Gov法令検索の「新着・改正履歴」で施行期日を確認します。
11.4 情報の信頼性を見極めるポイント
go.jpドメインの一次資料(PDF・告示原文)で最終確認し、出典・告示番号・施行日を本文にメモしておくと改正時の齟齬を防げます。自治体資料や解説記事は補助情報とし、必ず国の原典に当たる、更新日が明記されているか、担当課の連絡先が載っているかを確認します。
11.5 実務での調べ方(最短ルート)
11.5.1 分野別運用方針の改正確認フロー
1) 経済産業省で「分野別運用方針」の最新PDFの版数・適用開始日を確認。2) e-Gov法令検索で関連告示・省令の改正有無と施行期日を照合。3) 出入国在留管理庁の申請様式・記載要領が改定済みかを確認。4) 社内規程・求人票・支援計画の該当箇所を更新。
11.5.2 申請様式・提出物の最新版確認フロー
1) 出入国在留管理庁の様式一覧ページを参照し様式番号と改定日を控える。2) 記載要領・チェックリスト・委任状の同日改定有無を確認。3) 地方出入国在留管理局の個別案内に差異がないか補確認。4) 過去版様式の破棄・社内テンプレートの差し替えを実施。
12. 行政書士への相談とサポートメニュー
工業製品製造業の「特定技能」受入れは、法令遵守と現場運用の設計が両輪です。分野別運用方針と在留手続に精通した申請取次行政書士に伴走を依頼することで、不許可や受入停止のリスクを抑えつつ、稼働開始までのリードタイムを短縮できます。
12.1 行政書士に依頼するメリット(コンプライアンスと実務の最適化)
在留手続の適法性確認、対象業務の線引き、支援計画の実装、記録類の整備を一気通貫で支援します。監査・調査で求められるエビデンスを事前に揃え、補正・指導への即応体制を構築します。
12.2 相談・依頼できる主な業務範囲
受入企業の体制整備から申請・運用まで、以下のメニューで支援します(必要に応じて弁護士・社会保険労務士・登録支援機関と連携)。
| サポートメニュー | 具体内容 | 成果物・アウトプット | 関連法令・基準 |
|---|---|---|---|
| 在留手続(申請取次) | 在留資格認定証明書交付申請/在留資格変更許可/在留期間更新許可、質問書・理由書作成、補正対応 | 申請書一式、理由書、立証資料リスト、受領控 | 出入国管理及び難民認定法、分野別運用方針 |
| 受入体制と規程・書式の整備 | 雇用契約書・労働条件通知書の整合性確認、就業規則・賃金規程の実務チェック(社労士連携) | 書式ひな形、差分指摘書、改善提案書 | 労働基準法、最低賃金法、労働契約法 |
| 支援計画策定・運用 | 事前ガイダンス、生活オリエンテーション、多言語相談体制、連絡記録・台帳の設計 | 支援計画書、チェックリスト、連絡記録様式 | 特定技能告示・運用要領 |
| 登録支援機関の活用設計 | 選定基準の策定、委託契約レビュー、役割分担の明確化 | 委託契約レビュー報告、RACI表 | 特定技能運用要領 |
| 業務設計と配属の適法性 | 対象業務の線引き、ライン配置、派遣の可否確認、現場ヒアリング | 業務範囲整理票、配置図レビュー、是正提案 | 職業安定法、労働者派遣法、分野別運用方針 |
| 候補者スクリーニング | 技能測定試験・日本語要件の確認、技能実習2号修了の移行要件確認 | 要件適合判定書、証明書類チェックリスト | 告示基準、試験実施要綱 |
| 行政対応・調査同席 | 行政調査・実地確認の事前準備、当日の同席、是正計画の策定支援 | 想定問答集、エビデンスファイル、是正計画書 | 監督指導要領、関係通達 |
| 退職・転籍時の実務 | 届出・在留手続支援、支援打切り手続、関係書式の整備 | 届出書式、説明台本、通知文書 | 入管法、運用要領 |
12.2.1 在留手続き(申請取次)
要件適合性の事前診断、立証資料の設計、補正・質問対応まで一貫して支援します。申請経路(本国/国内)や同居家族の有無による必要資料の差異も整理します。
12.2.2 受入体制整備と規程・書式の整備
現行の就業規則・賃金規程・雇用契約書の齟齬を洗い出し、労働条件通知と実務運用を一致させます。社会保険・労働保険の適用状況は社労士と協働で確認します。
12.2.3 支援計画の策定と登録支援機関の活用設計
自社実施か委託かを費用・体制・拠点数で評価し、連絡記録・苦情対応・多言語窓口の運用フローを作成します。
12.2.4 試験・要件確認と候補者スクリーニング
技能測定試験の合格区分、日本語(JLPTまたはJFT-Basic)や技能実習修了の確認、スコア有効期限のチェックを行います。
12.2.5 労務・安全衛生・法令順守アドバイザリー(連携士業含む)
最低賃金や割増賃金、就業時間管理、作業手順書・安全衛生教育の体制を点検し、必要に応じて社労士・産業医・弁護士と連携します。
12.3 相談から着手までのフロー
| ステップ | 内容 | 主な成果物 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 1. 無料相談・課題把握 | 受入計画・職種・配置・人数をヒアリング | 課題メモ、必要資料リスト | 分野適合性と対象業務の線引きを早期確認 |
| 2. 事前診断・要件チェック | 要件適合性、リスク・補正可能性を評価 | 事前診断レポート | 証憑の入手可能性を確認 |
| 3. 見積・委任契約 | 範囲・スケジュール・費用・守秘の合意 | 見積書、委任契約書 | 役割分担(自社・支援機関・士業)を明確化 |
| 4. 資料収集・翻訳 | 会社・候補者資料の収集、必要翻訳 | 証憑ファイル、翻訳原簿 | 原本性・整合性・発行日を確認 |
| 5. 申請書作成・支援計画策定 | 書式作成、業務・支援フローの確定 | 申請書一式、支援計画書 | 運用可能な手順書・記録様式に落とし込み |
| 6. 申請・補正対応・許可後フォロー | 申請取次、補正・質問対応、許可後運用支援 | 受領控、運用チェック表 | 更新・転籍・届出の年間カレンダー化 |
12.4 提供ドキュメントとチェックリスト
| ドキュメント | 用途 | 更新頻度 |
|---|---|---|
| 申請書類一式・理由書 | 在留資格申請・変更・更新 | 案件ごと |
| 支援計画書・運用チェックリスト | 支援実施・記録の標準化 | 制度改正時・運用見直し時 |
| 対象業務範囲整理票 | 現場配置・職務記述の適法化 | 工程変更時 |
| 労働条件通知書・雇用契約書案 | 条件明示・整合性確認 | 条件改定時 |
| 連絡記録・苦情対応様式 | 多言語相談・記録の徹底 | 運用定着後に見直し |
12.5 費用と契約の考え方
スポット(申請単位)・伴走(顧問)・成果物単位のいずれも選択可能です。範囲・スケジュール・成果物・実費・守秘を委任契約で明確化し、役割分担(自社・登録支援機関・連携士業)を定義します。
12.6 連携が必要な専門家と分担
| 専門家 | 主な役割 | 連携タイミング |
|---|---|---|
| 社会保険労務士 | 就業規則・賃金制度・労務管理・社会保険手続 | 雇用条件設計・是正指導対応時 |
| 弁護士 | 法的紛争・ハラスメント対応・契約法務 | 重大トラブル・係争予防時 |
| 登録支援機関 | 支援計画の実施・多言語支援・記録管理 | 運用開始前の役割分担設計時 |
| 税理士 | 源泉・年末調整・税務手続の助言 | 給与設計・住居費控除設計時 |
12.7 依頼時に用意しておく資料
会社の定款、登記事項証明書、直近の決算書や納税証明、労働保険・社会保険の適用状況、就業規則・賃金規程・36協定届、雇用契約書案と労働条件通知書、工程・職務記述書と配置図、対象業務のフロー図、候補者の履歴書・旅券・試験合格証明・日本語証明・技能実習修了証明、在日者は在留カード写し、住居(社宅)情報と賃貸条件などをご準備ください。
12.8 よくある相談例と対応方針
対象業務の線引きが曖昧で不許可が不安な場合は、工程別に作業範囲を分解し、分野基準に照らした適合表を作成します。家族帯同の可否・時期は在留資格と在留期間の要件を整理し、必要書類とスケジュールを提示します。支援計画の運用が回らない場合は、記録様式の簡素化とRACIでの役割再設計を行います。退職・転籍時は届出と支援打切りの手順を整備し、説明台本でトラブルを予防します。
12.9 申請取次行政書士の選び方と確認ポイント
特定技能(工業製品製造業)の取扱実績、申請取次者であることの確認、分野別運用方針・関連通達へのキャッチアップ体制、多拠点・シフト運用に即した支援記録の設計力、登録支援機関・社労士などの専門家との連携実績、情報管理・守秘体制(アクセス権限・保管ポリシー)を確認しましょう。「書類作成だけ」でなく、現場で運用できる支援計画と記録設計まで伴走できる体制かが選定の決め手です。
13. まとめ
本稿で扱った特定技能(工業製品製造業=製造業分野)は、慢性的な人手不足を補いながら品質・安全を担保するための制度です。2025年は、制度趣旨に沿った適正受入れと現場運用の両立が成果を左右します。
対象業務は製造ライン等の定型的工程が中心で、危険作業や高度設計など除外される作業もあります。分野別運用方針に即した職務設計と配置の明確化が、不許可や是正のリスクを最小化します。
特定技能1号は即戦力の基礎技能と日本語A2相当の証明、家族帯同不可・在留期間に上限があるのが原則、2号は熟練者向けで家族帯同可です。結論として、多くの企業は1号採用→育成→2号へのキャリア設計を見据えるのが合理的です。
技能測定試験とJLPTまたはJFT-Basicで能力を客観証明します。技能実習2号修了者などの免除要件は限定的なため、受験計画と合格証明の早期確保が採用スケジュールの要となります。
受入企業は、フルタイム雇用、同等以上の報酬、社会保険加入、労働基準法・労働安全衛生法の遵守、実効的な支援体制が必須です。派遣の可否など受入形態は、分野別運用方針と契約実態の適合を事前に確認してください。
支援計画は、事前ガイダンス、生活オリエンテーション、多言語相談、住居確保・公的手続き同行、日本語学習支援を網羅し、実施記録を残すことが重要です。自社実施が難しい場合は登録支援機関を適切に活用します。
在留手続は、在留資格認定証明書の交付申請、在留資格変更、在留期間更新の各フローを期限管理し、契約書・支援計画・就業体制の整合性を確実に示すことが審査通過の鍵です。必要な手数料の納付や最新様式の確認も欠かせません。
報酬設計は、最低賃金の遵守と法定の割増賃金の適用が大前提です。住居費や光熱費等の控除は、本人の書面同意と妥当性を備え、過度な天引きを避けることでトラブルと不許可の両方を防止できます。
不許可事例の多くは、業務範囲の逸脱、書類不備、報酬の不適正に起因します。行政調査や是正勧告、受入停止のリスクを抑えるには、内部監査、教育、安全衛生の徹底と、期限内の各種届出が有効です。
最新情報は、出入国在留管理庁、厚生労働省、経済産業省の告示・ガイド・Q&Aで一次確認し、必要に応じて行政書士へ早期に相談してください。適法性・透明性・継続的育成を軸に、持続可能な受入体制を構築しましょう。