
本記事は、宿泊分野で外国人材を採用・受け入れる企業や、これから特定技能で就労を目指す方のために、2026年最新の公表情報に基づく「特定技能(宿泊)」の実務ガイドを行政書士の視点で体系的に整理したものです。読むことで、制度の全体像と最新動向、特定技能1号と2号の位置づけ、宿泊業で許可される業務(フロント・接客・レストランサービス・清掃/ハウスキーピング等)と非該当業務(管理職・経理・人事など)の境界、応募者の要件(日本語能力と技能)、必要な試験(JLPTやJFT-Basic、宿泊業技能測定試験の出題範囲の要点と合格基準の見方)、受入企業の要件(社会保険加入、受入体制、登録支援機関と支援計画)を過不足なく理解できます。さらに、在留資格認定証明書(COE)の取得、在留資格変更・在留期間更新、オンライン申請と窓口申請の使い分け、必要書類チェックリスト、入管手数料・受験料・交通費・行政書士報酬の考え方、よくある不許可事例(給与水準・労働条件の不備、支援計画の実効性不足、試験要件の誤解)と対策、入社後の手続(社会保険・住民登録・マイナンバー)や労務管理・コンプライアンス、更新・転職・離職時の届出と注意点、技能実習・留学生からの移行(要件の読み替え・試験免除の可否、アルバイトからフルタイムへの切替)まで、実務でつまずきやすいポイントを網羅します。結論として、宿泊分野の特定技能で不許可リスクを下げ採用を円滑に進める鍵は「適正賃金と労働条件の明示」「実効性ある支援計画と運用」「試験要件の正確な理解」「期限・書類の厳格管理」「入管法・労基法・最低賃金法・社会保険の法令遵守」に尽きます。本記事では、出入国在留管理庁等の最新ガイドラインに基づき、宿泊分野の今後の見通しも踏まえて解説し、ホテル・旅館の人事担当者から現場責任者、応募者・支援担当者までがそのまま実務に使える判断基準とチェックポイントを提供します。
1. 特定技能 宿泊の基礎知識と最新動向 2026年アップデート
1.1 制度の概要と対象分野
在留資格「特定技能」は、人手不足分野で即戦力となる外国人材の就労を認める制度で、法務省 出入国在留管理庁が所管します。分野ごとに定められた技能水準・日本語水準を満たし、適正な雇用環境の下で就労することが前提です(制度全体の概要は出入国在留管理庁「在留資格『特定技能』」参照)。
宿泊分野は、ホテル・旅館などの宿泊施設におけるフロント、接客、レストランサービス、館内案内、客室整備など、運営に直結する実務を対象とします。各業務の詳細な適否は分野別運用方針に基づいて判断されます。
1.2 特定技能1号と2号の違いと宿泊分野の現状
| 在留区分 | 技能水準・要件 | 在留期間の上限 | 家族帯同 |
|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 相当程度の知識・経験(分野別の技能試験合格または所定の修了等)と業務に支障のない日本語 | 更新により通算5年まで | 原則不可 |
| 特定技能2号 | 熟練した技能(高度な実務経験・評価が必要) | 更新上限なし | 一定要件で可 |
上記は出入国在留管理庁の公表資料に基づく現行運用の要旨です。分野対象や要件は随時見直され得るため、最新の公式情報を確認してください。
1.3 今後の見通し
今後の見通しとしては、需給や労働環境の実態、受入体制の適正化状況を踏まえつつ、分野別運用の微修正が続く可能性があるため、最新の告示・通知を定期的に確認することが不可欠です。制度全般の更新情報は、出入国在留管理庁の公式ページ(在留資格「特定技能」)で公表されます。
2. 申請要件と受け入れ条件
宿泊分野の特定技能(1号)では、応募者側は日本語と技能の要件を満たすこと、受入企業側は社会保険加入や適正な労務管理・支援体制を備えることが前提です。 以下に、申請前に確認すべき要点を簡潔に整理します。
2.1 応募者の要件 年齢 日本語能力 技能
応募者は、原則として成人であること、素行が善良であること、健康上就労に支障がないこと、そして宿泊分野での就業に必要な日本語能力および技能を満たすことが必要です。加えて、適法な在留手続を履行できること、雇用契約の内容(賃金・労働時間・就業場所など)を理解し同意していることが求められます。
| 項目 | 要件の概要 | 主な確認資料 |
|---|---|---|
| 年齢 | 成人相当で就労可能であること | パスポート、出生証明等 |
| 日本語能力 | JLPT N4相当以上 または JFT-Basic合格 | JLPT合格証、JFT-Basic合格結果通知 |
| 技能 | 宿泊業技能測定試験の合格 | 当該試験の合格証明 |
| 素行・適法性 | 素行が善良で、入管法令を遵守できること | 無犯罪証明(求められる場合)、在留履歴 |
| 雇用契約の適合 | 日本人と同等以上の報酬・労働条件で締結 | 雇用契約書、労働条件通知書 |
日本語試験制度の詳細は日本語能力試験(JLPT)公式サイトやJFT-Basic公式サイトを、制度全般は出入国在留管理庁をご確認ください。
2.1.1 必要な日本語試験 JLPTとJFT Basic
日本語能力は、次のいずれかで満たします。「JLPT(日本語能力試験)N4以上の合格」または「JFT-Basic(国際交流基金 日本語基礎テスト)の合格」。JLPTは読解・聴解中心、JFT-Basicは日常生活場面の基礎日本語運用能力を測ります。受験地・実施回数・申込方法は各公式サイトで最新情報を確認してください(JLPT/JFT-Basic)。
2.1.2 宿泊業技能測定試験の範囲と合格基準
宿泊分野の技能試験は、宿泊施設の現場運営に必要な基礎技能を確認します。主な範囲は、フロント・予約、客室・館内案内、料飲サービスの基本、客室清掃・衛生管理、安全・危機対応、苦情・クレーム対応、異文化理解・接遇などです。合否は実施団体が定める基準に基づき判定され、実務に即した知識の理解が求められます。 試験方式・実施言語・開催日程は公式発表を随時確認してください(制度全般は出入国在留管理庁)。
2.2 受入企業の要件 社会保険加入 体制
受入企業は、社会保険(健康保険・厚生年金)および労働保険(労災・雇用保険)へ適切に加入し、最低賃金以上かつ日本人と同等以上の報酬を確保し、法定の労働時間・割増賃金・安全衛生を遵守することが必要です。原則として直接雇用とし、違法な手数料徴収や名目だけの雇用契約は認められません。
| 区分 | 必須要件 | 確認・整備のポイント |
|---|---|---|
| 社会保険・労働保険 | 適用事業所として加入・適正保険料の納付 | 適用除外の確認、資格取得・喪失手続の期限管理 |
| 労働条件 | 同等報酬、最低賃金・36協定・割増賃金の遵守 | 雇用契約書の2言語化、職務内容・就業場所の明確化 |
| 雇用形態 | 原則直接雇用(法令が許す場合を除く) | 派遣・請負の線引き、指揮命令系統の明確化 |
| 受入体制 | 支援計画の策定・実施、相談窓口の設置 | 担当者の選任、苦情対応・安全衛生の運用ルール |
| 法令遵守 | 入管法・労働関係法令違反がないこと | 過去の是正指導の有無、再発防止策の整備 |
2.3 登録支援機関と支援計画のポイント
特定技能1号の受入れでは、企業が自社で全支援を実施するか、登録支援機関へ委託します。支援計画には、雇用契約内容の事前説明、入国・住居確保・生活手続の支援、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、転職防止のための職場定着支援、定期面談と入管への届出等が含まれます。支援は就業と生活の双方をカバーし、実効性のある実施体制と記録管理が不可欠です。
| 支援項目 | 実務の要点 |
|---|---|
| 事前説明・受入準備 | 労働条件・職務範囲・給与を母語等で明確化、空港出迎え・住居初期手配 |
| 生活手続支援 | 住民登録、社会保険、銀行口座、携帯・ライフライン契約の案内 |
| 教育・相談 | 日本語学習機会、就業ルール・安全衛生教育、常設の相談窓口 |
| モニタリング・報告 | 定期面談と記録、入管庁等への必要な届出・報告の適時実施 |
登録支援機関の選定では、実施体制・言語対応・過去の運用実績・費用の透明性を比較検討し、契約書で役割分担と不履行時の対応を明確に定めます。制度や様式の最新情報は出入国在留管理庁の公開情報で確認してください。
3. 許可される業務範囲とできない業務
「特定技能(宿泊)」で許可されるのは、旅館・ホテル等の現場オペレーションに直結する業務であり、管理職や本社系の企画・事務は対象外です。職務記述書(ジョブディスクリプション)と実態が一致していることが審査の要点になります。
3.1 宿泊施設のフロント 接客 レストラン 清掃
宿泊分野の特定技能1号で従事できるのは、宿泊施設の運営に必要な現場業務です。以下は代表例と留意点です。
| 業務領域 | 主な作業例 | 実施条件・留意点 |
|---|---|---|
| フロント・予約 | チェックイン・チェックアウト、予約受付、館内・周辺案内、電話・メール対応、予約管理システムの基本操作、金銭授受 | 日本語での接客が中心。収支の締め処理など日次の現場対応は可だが、料金設計や方針決定等の経営判断は不可。 |
| 接客・コンシェルジュ補助 | 館内誘導、備品貸出、観光案内の補助、多言語での基本的な案内、苦情一次対応の取次ぎ | 各種案内や連絡調整は可。企画立案・契約交渉・クレーム最終判断などの権限業務は不可。 |
| レストラン・宴会(ホール) | 席案内、オーダーテイク、配膳・下膳、レジ操作、簡易な備品準備・片付け | ホール業務は可。本格的な調理・メニュー開発・厨房運営の中核は「宿泊」では不可(調理を主業務とする場合は「外食業」等の在留資格が必要)。 |
| 客室・館内清掃 | ベッドメイク、浴室・トイレ清掃、アメニティ補充、廊下・ロビー等の共用部清掃、清掃後の簡易点検 | 宿泊施設内の清掃は可。専門資格を要する設備保守や高所・特殊機材の保守点検等は対象外。 |
| バックヤード業務(付随) | リネン・備品の在庫管理、簡易な発注入力、宴会場・会議室の設営補助、廃棄物の分別・搬出 | 現場運営に付随する範囲に限る。購買戦略の策定や取引先交渉・契約締結の主体は不可。 |
主たる従事内容が宿泊オペレーション業務であることが不可欠(他分野の業務が主になる配置は不適合)です。レストラン業務でも「ホール中心」かつ「宿泊運営の一部」であることが求められます。清掃も「宿泊施設内」に限定されます。
3.2 管理職 経理 人事などの非該当業務
以下の業務は「宿泊」分野の特定技能では従事できません。該当する場合は他の在留資格や職種設計の見直しが必要です。
| 非該当業務 | 具体例 | 取扱い |
|---|---|---|
| 管理職・監督 | 人員配置・シフト編成、人事評価、売上目標設定、運営方針の決定、クレーム最終判断 | 管理監督者に該当し不可。責任者・チーフ等の統括役割は避ける。 |
| 企画・マーケティング・収益管理 | 料金戦略(レベニューマネジメント)、販促計画、広告運用、データ分析、契約・料金交渉 | 経営判断・企画業務のため不可。 |
| 人事・労務・総務 | 採用面接、労務対応、勤怠・給与計算、社会保険手続、社内規程運用 | 事務系専門業務のため不可。 |
| 経理・財務・税務 | 仕訳・月次/年次決算、資金繰り、税務申告、監査対応 | 高度な事務専門業務のため不可。 |
| 調理・製菓・厨房運営の中核 | 仕込み・調理、メニュー開発、HACCPの統括、厨房の人員管理 | 宿泊分野では不可。調理を主とする場合は「外食業」等の在留資格を検討。 |
| 法務・情報システム・施設保守 | 契約審査、コンプライアンス、ネットワーク・POSの設計管理、ボイラー・電気設備等の保守 | 専門職・保守管理業務のため不可。 |
| 通訳・翻訳・広報を主とする業務 | 広報資料作成、SNS運用、翻訳・通訳が主務 | 主務化すると不適合。必要時の補助的対応にとどめる。 |
| 派遣型就労・他社勤務 | 受入機関以外の事業所・他社施設での常態的勤務 | 原則として受入機関との直接雇用・自社施設での就労に限られる。 |
できる/できないの線引きは、雇用契約書・職務記述書・勤務実態で判断されます。現場オペレーションを主務とし、管理・企画・専門事務を含めない職務設計にすることが不許可回避の基本です。
4. 申請フローとスケジュール
特定技能(宿泊)の申請フローは「海外から新規で受け入れる場合」「日本国内で在留資格を変更する場合」「在留期間を更新する場合」で分かれます。いずれも、受入企業(特定技能所属機関)と本人の役割分担を明確にし、地方出入国在留管理局への適切な申請が必要です。就労開始は、上陸許可または在留資格の許可が出てからに限られます。
| 区分 | 主な手順 | 申請者 | 提出先 |
|---|---|---|---|
| 海外在住者の新規採用(COE→査証→入国) | 雇用契約→在留資格認定証明書(COE)申請→COE交付→在外公館で査証申請→来日・上陸許可・在留カード交付→就労開始 | 特定技能所属機関/申請取次者(行政書士等) | 地方出入国在留管理局・日本国大使館/総領事館 |
| 国内在住者の在留資格変更 | 雇用契約→在留資格変更許可申請→許可→新在留カード受領→就労開始 | 本人または所属機関/申請取次者 | 地方出入国在留管理局 |
| 在留期間更新 | 継続雇用確認→在留期間更新許可申請→許可→新在留カード受領 | 本人または所属機関/申請取次者 | 地方出入国在留管理局 |
在留資格認定証明書(COE)は原則として交付日から3か月が有効期間です。期間内に査証取得と入国手続を完了させる必要があります。
4.1 在留資格認定証明書 COE 取得
海外から人材を受け入れる場合、受入企業が地方出入国在留管理局に在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility)を申請します。雇用契約の締結、支援計画の整備、社会保険加入状況など受入体制を整えたうえで、必要書類を提出し、審査中の補正・照会には速やかに対応します。交付されたCOEを候補者へ送付し、候補者は日本国大使館・総領事館で査証(ビザ)を申請・取得、来日後に上陸許可審査を経て、主要空港等で在留カードの交付を受けます。
COEは査証申請および上陸申請の前提書面であり、COEの交付自体が入国・就労の許可を意味するものではありません。
4.2 在留資格変更と在留期間更新
日本国内にいる留学生・技能実習修了者などを採用する場合は、在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局に行います。許可が出た後に新在留カードが交付され、特定技能(宿泊)の活動を開始できます。変更許可前に特定技能の業務を行うことはできません。
継続雇用の場合は在留期間更新許可申請を期限までに行います。期限前に申請すれば、結果が出るまで従前の在留資格で在留・就労を継続できます(みなし在留)。許可時に新在留カードが交付されます。
4.3 オンライン申請と窓口申請の違い
出入国在留管理庁の在留申請オンラインシステムを利用すれば、受入企業や申請取次者がオンラインで申請・資料提出が可能です。原本確認が必要な書類は、後日窓口での原本提示や提出を求められる場合があります。窓口申請では、原本・写しの持参、受理印の付与、補正書の提出などを対面で行います。
| 項目 | オンライン申請 | 窓口申請 |
|---|---|---|
| 申請主体 | 受入企業・登録済み申請取次者が代表して申請 | 本人または受入企業・申請取次者が出頭して申請 |
| 提出方式 | 電子データをアップロード(必要に応じ原本提示) | 紙原本・写しを提出(原本確認) |
| 補正・照会対応 | システム経由で通知・再提出 | 窓口・郵送・電話等で通知・再提出 |
| 結果受領 | 許可通知後、在留カード交付等で窓口来庁が必要 | 許可通知後、同窓口で在留カード交付 |
オンライン・窓口いずれでも、申請書類の整合性と受入体制の実効性が審査の要点です。
5. 必要書類チェックリスト
全ての提出書類は日本語で作成するか、公的な日本語訳(翻訳者の氏名・連絡先を記載)を添付してください。虚偽・不足・体裁不備は不許可や審査長期化の主要因です。
以下は、宿泊分野の特定技能(1号)に関する標準的な必要書類です。個別事情や申請先(出入国在留管理庁各地方局)により追加資料が求められることがあります。
5.1 応募者が準備する書類
本人確認、技能・日本語の合格証明、雇用契約関連を中心に、最新の情報・原本性が確認できる写しを用意します。
5.1.1 在留資格認定証明書(COE)申請時(海外在住・新規入国)
受入企業が申請人に関する原資料を収集し申請します。申請人側で次を準備します。
| 書類 | 発行・作成者/用途 | 原本/写し | 注意・有効期限 |
|---|---|---|---|
| 顔写真(縦4cm×横3cm) | 申請人/申請書貼付 | 原本 | 6か月以内撮影、無帽・無背景 |
| パスポート身分事項ページ | 申請人/本人確認 | 鮮明な写し | 有効期限残に注意(入国予定をカバー) |
| 日本語試験合格証明 | JLPT N4以上 または JFT-Basic A2以上/要件充足 | 写し | 合格結果通知または証明書。氏名表記を旅券と一致確認 |
| 宿泊業技能測定試験 合格証明 | 宿泊分野の技能要件/必須 | 写し | 分野・科目の誤りに注意 |
| 履歴書 | 申請人/学歴・職歴確認 | 原本 | 西暦・和暦の混在回避、空白期間の説明 |
| 雇用契約書(署名済) | 受入企業と申請人/労働条件の確認 | 写し | 労働条件通知書と内容整合、和文必須 |
5.1.2 在留資格変更許可申請時(国内在留者)
現在の在留状況を確認できる書類と、特定技能の要件充足資料を提出します。
| 書類 | 発行・作成者/用途 | 原本/写し | 注意・有効期限 |
|---|---|---|---|
| 在留カード | 出入国在留管理庁/在留状況確認 | 両面の写し | 記載事項(資格外活動許可等)も写す |
| パスポート | 申請人/本人確認 | 写し | 有効残存期間に注意 |
| 顔写真(縦4cm×横3cm) | 申請人/申請書貼付 | 原本 | 6か月以内撮影 |
| 日本語試験合格証明 | JLPT N4以上 または JFT-Basic A2以上 | 写し | 氏名表記を旅券と統一 |
| 宿泊業技能測定試験 合格証明 | 宿泊分野の技能要件 | 写し | 最新の合格回を提出 |
| 学籍・就労等の状況資料(該当者) | 学校の在学(卒業)証明・成績/出席、前職の退職証明 など | 写し | 変更前活動の適法性を説明できる範囲で提出 |
| 雇用契約書(署名済) | 受入企業と申請人/労働条件の確認 | 写し | 就業開始予定日を明記 |
5.1.3 在留期間更新許可申請時
継続就労と適正な納税・生活の安定を示す資料が中心です。
| 書類 | 発行・作成者/用途 | 原本/写し | 注意・有効期限 |
|---|---|---|---|
| 在留カード・パスポート | 出入国在留管理庁/本人・在留確認 | 写し | 氏名・在留期限の確認 |
| 顔写真(縦4cm×横3cm) | 申請人/申請書貼付 | 原本 | 6か月以内撮影 |
| 雇用契約書または就労条件通知書 | 受入企業/継続就労の確認 | 写し | 更新後の期間・賃金・職務内容を明記 |
| 住民税の課税(非課税)証明書・納税証明書 | 市区町村/納税状況の確認 | 原本 | 直近1年分(指示がある場合は2年分) |
5.2 受入企業が準備する書類
会社の適格性(財務・労務・社会保険)と支援体制、雇用契約の適法性を示します。支援計画と雇用契約の内容を完全に整合させることが審査の要点です。
5.2.1 在留資格認定証明書(COE)申請時(海外在住・新規入国)
受入体制・支援体制を客観資料で示します。
| 書類 | 発行・作成者/用途 | 原本/写し | 注意・有効期限 |
|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請書 | 受入企業/申請本体 | 原本 | 最新様式を使用、記載誤り防止 |
| 特定技能雇用契約書(労働条件通知書) | 受入企業・申請人/労働条件の証明 | 写し | 賃金水準・割増賃金・勤務場所・業務範囲を明記 |
| 支援計画書 | 受入企業または登録支援機関/生活・就労支援の計画 | 写し | 母語対応・生活オリエンテーション・相談体制を具体化 |
| 支援委託契約書(外部委託時) | 受入企業・登録支援機関/支援の外部委託根拠 | 写し | 登録支援機関の登録番号・担当範囲を明記 |
| 登記事項証明書(履歴事項全部証明書) | 法務局/会社実在性の証明 | 原本 | 発行後3か月以内目安 |
| 直近の決算書(貸借対照表・損益計算書) | 受入企業/経営状況の確認 | 写し | 直近事業年度の確定版 |
| 社会保険・雇用保険の適用資料 | 年金事務所・ハローワーク/適用確認 | 写し | 適用事業所番号・加入状況が分かるもの |
| 会社概要資料 | 受入企業/事業内容の説明 | 写し | 会社案内・ウェブサイトの抜粋等 |
| 就業規則(該当事業場) | 受入企業/労務管理の基礎資料 | 写し | 常時10人以上の事業場は提出推奨 |
| 申請取次に関する委任状(利用時) | 受入企業→行政書士・弁護士/代理申請の根拠 | 原本 | 取次者の登録番号等を明記 |
5.2.2 在留資格変更許可申請時(国内在留者)
COE時と同様の会社資料に加え、変更前活動との連続性・適法性の確認に資する資料を添付します。
| 書類 | 発行・作成者/用途 | 原本/写し | 注意・有効期限 |
|---|---|---|---|
| 在留資格変更許可申請書 | 受入企業/申請本体 | 原本 | 最新様式を使用 |
| 特定技能雇用契約書・支援計画書 | 受入企業/労働条件・支援体制 | 写し | COE時と同水準で整備・整合 |
| 変更前活動の説明資料(該当者) | 受入企業/採用経緯・職務適合性の説明 | 任意様式 | 学業・就労との関連性を簡潔に記載 |
5.2.3 在留期間更新許可申請時
継続受入れの適正性と支援の実施状況を示します。
| 書類 | 発行・作成者/用途 | 原本/写し | 注意・有効期限 |
|---|---|---|---|
| 在留期間更新許可申請書 | 受入企業/申請本体 | 原本 | 最新様式を使用 |
| 更新後の雇用契約書(または更新通知) | 受入企業/継続就労の証明 | 写し | 賃金・職務・就業場所の変更有無を明記 |
| 社会保険・雇用保険の加入継続資料 | 年金事務所・ハローワーク/適用継続確認 | 写し | 最新の適用状況が分かるもの |
| 支援実施状況の記録(求めがある場合) | 受入企業または登録支援機関/支援の適正実施 | 写し | 面談記録・生活オリエンテーション等 |
提出前に、申請人情報(氏名ローマ字・生年月日)と旅券、合格証明、雇用契約の表記統一を必ず確認してください。
6. 費用 相場と期間の目安
特定技能(宿泊)の総費用は、入管手数料(収入印紙)、日本語試験や宿泊業技能測定試験の受験料、渡航費・交通費、翻訳・郵送等の実費、登録支援機関への委託費、そして行政書士報酬で構成されます。公的手数料は法定額が決まっており「在留資格変更・在留期間更新は各4,000円(収入印紙納付)、在留資格認定証明書(COE)は交付無料」が基本です。以下、費用の内訳と処理期間の目安を簡潔に整理します。
6.1 行政書士報酬の相場と費用節約のコツ
行政書士報酬は自由価格で、申請種別(在留資格認定・在留資格変更・在留期間更新)、人数、難易度(経歴・在籍証明の収集難、労働条件の精査量)、緊急性、支援計画の作成範囲によって大きく変動します。見積もり時は、納品物と役割分担(企業側で収集する書類/行政書士が代行する書類)を明確化するとブレが抑えられます。
| 主な業務 | 課金単位の例 | 含まれる主な作業 | 費用節約のコツ |
|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書(COE)申請 | 1名あたり/複数名割引 | 適合性確認、書類作成・申請、質問照会対応 | 求人票・雇用契約・労働条件通知書を先に確定し、欠落証憑を事前収集 |
| 在留資格変更(留学・技能実習等→特定技能) | 1名あたり/難易度加算 | 要件チェック、変更理由書、提出資料の整合性管理 | 試験合格・要件読み替えの有無を先に確定してから依頼 |
| 在留期間更新 | 1名あたり/年次契約 | 継続雇用・給与台帳等の確認、更新書類作成 | 賃金台帳・社会保険加入状況を常時整備し、更新期日を逆算 |
| 支援計画の作成・運用助言 | 初期一式+月額運用 | 生活オリエンテーション、相談体制、母語対応方針の設計 | 登録支援機関への一体委託やオンライン研修で効率化 |
相見積もり・役割分担の明確化・オンライン申請の活用(入管オンラインシステム)で、報酬と実費の最適化が可能です。また、複数名同時申請や更新の一括管理で単価の低減が期待できます。
6.2 入管手数料 受験料 交通費の目安
法定手数料や査証(ビザ)発給、試験関連費は以下のとおりです。最新の運用や金額は、出入国在留管理庁および外務省、試験主催者の公式情報をご確認ください。
| 費目 | 負担者 | 金額・目安 | 支払い方法・タイミング | 参考 |
|---|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書(COE)交付 | 受入企業 | 無料 | 申請時(手数料不要) | 出入国在留管理庁 |
| 在留資格変更許可 | 申請人(企業が立替可) | 6,000円 | 許可時に収入印紙で納付 | 出入国在留管理庁 |
| 在留期間更新許可 | 申請人(企業が立替可) | 6,000円 | 許可時に収入印紙で納付 | 出入国在留管理庁 |
| 査証(ビザ)発給料(在外公館) | 申請人 | 国籍・査証種別で異なる/免除国あり | 各在外公館の指示に従い現地で納付 | 外務省 査証案内 |
| 日本語試験(JLPT / JFT-Basic)受験料 | 申請人 | 国・会場により異なる | 受験申込時にオンライン決済等 | 日本語能力試験(JLPT) |
| 宿泊業技能測定試験 受験料 | 申請人 | 試験実施団体の定めによる | 受験申込時に決済 | 試験実施団体の公表に準拠 |
| 登録支援機関への委託費 | 受入企業 | 契約内容により月額・実費 | 契約に基づき定期支払 | 委託契約書に準拠 |
| 渡航費・国内交通費・住民票等交付手数料 | 申請人/企業(内規次第) | 実費(自治体・時期で変動) | 発生都度 | 各自治体・交通機関の料金表 |
期間の目安は以下のとおりです。標準処理期間は案件の内容や繁忙期で変動します。
| 手続き | 標準処理期間の目安 | 所管 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書(COE) | 概ね1〜3か月 | 出入国在留管理庁 | 質疑応答・補正があると延伸 |
| 査証(ビザ)申請・発給 | 目安5営業日前後 | 日本大使館・総領事館 | 国・時期で増減、追加資料要請あり |
| 在留資格変更許可 | 概ね1〜3か月 | 出入国在留管理庁 | 許可後に在留カード交付 |
| 在留期間更新許可 | 概ね1〜3か月 | 出入国在留管理庁 | 更新満了日の3か月前から申請可 |
| 日本語試験(JLPT/JFT-Basic) | 試験日程に依存 | 主催団体 | 申込開始・結果通知スケジュールを要確認 |
| 宿泊業技能測定試験 | 試験日程に依存 | 試験実施団体 | 地方開催や枠の有無に注意 |
海外採用の場合は「COE(概ね1〜3か月)+査証発給(目安5営業日前後)」、国内在籍者の切替は「在留資格変更(概ね1〜3か月)」が基本の工程です。求人・試験・社会保険加入準備を並行し、繁忙期前に前倒しで着手すると遅延リスクを下げられます。
7. よくある不許可事例と対策
出入国在留管理庁の審査では、日本人と同等以上の報酬、社会保険加入、雇用契約と支援計画の整合性、試験合格要件の充足が厳格に確認されます。以下は宿泊分野で頻出する不許可事例と、直ちに実行できる対策です(制度の基本は出入国在留管理庁参照)。
7.1 給与水準 労働条件の不備
報酬や労働条件が日本人と同等以上でない、または最低賃金や社会保険適用など法令基準を満たさないと不許可につながります。雇用契約書・労働条件通知書・申請書の記載不一致も重大です。
| 不許可要因 | 審査で見られる点・具体例 | 実務的対策 |
|---|---|---|
| 報酬が日本人と同等以上でない | 地域別最低賃金割れ、固定残業代の内訳不明、深夜・時間外の割増未反映、手当の基準不透明 | 賃金テーブル・同等性根拠を明示し、固定残業代は時間数・超過時の支払い方法を明記。最低賃金改定にも随時対応。 |
| 社会保険未加入・控除不適切 | 健康保険・厚生年金・雇用保険の未加入、寮費・光熱費の過大控除や同意書なし控除 | 適用事業所として加入済み証憑を添付。控除は実費・同意書・根拠書類を整備し明細に反映。 |
| 契約・就業規則・申請書の不整合 | 基本給額・手当・就業場所・業務内容・所定労働時間が書類間で不一致 | 雇用契約書、労働条件通知書、就業規則、申請書の記載を突合し整合性を担保。改定履歴も保存。 |
| 勤務形態が制度要件に非適合 | 実態が派遣・出向、複数施設間の常時兼務、許可外の兼業、過度な変形労働時間制 | 受入れは直接雇用を原則とし、就業場所・配置転換の範囲を明記。シフトは法定内で作成・保存。 |
「日本人と同等以上の報酬」および「社会保険加入」の立証資料が不足すると、他要件を満たしていても不許可になり得ます。根拠資料の整備と数値の一貫性を最優先で点検してください。
7.2 支援計画の実効性不足
支援計画が形式的で具体性に欠ける、実施体制・記録が不十分、言語対応が不十分な場合は不許可・更新不許可の典型例です。登録支援機関を活用する場合も、受入企業側の責任は免れません。
| 不許可要因 | 審査で見られる点・具体例 | 実務的対策 |
|---|---|---|
| 支援内容の具体性欠如 | 生活オリエンテーションの項目・時間・言語が未記載、日本語学習支援が抽象的 | 実施項目・頻度・担当者・使用言語・教材・連絡手段を特定。年間スケジュールを添付。 |
| 実施体制の弱さ | 支援責任者・担当者の不在や兼務過多、夜間・休日の緊急連絡体制なし | 支援責任者・担当者を任命し代替者も指定。24時間緊急連絡先を多言語で提示。 |
| 記録・エビデンス不足 | 面談記録・同行記録・相談対応ログがない、住居確保や銀行口座開設の支援証跡なし | チェックリスト化し、面談シート・写真・合意書・領収書を一件ごとにファイリング。 |
| 多店舗展開による支援の空洞化 | 複数のホテルに配置し実地支援が届かない、巡回頻度が不足 | 就業場所ごとに支援担当者を配置し、巡回計画・オンライン面談を併用して頻度を担保。 |
支援計画は「書く」だけでなく「実施・記録・改善」まで一体で審査されます。登録支援機関への丸投げではなく、受入れ体制の内製化を進めましょう。
7.3 試験合格要件の誤解
宿泊分野の特定技能1号は、原則として日本語試験(JLPT N4以上またはJFT-Basic)と宿泊業技能測定試験の双方合格が必要です。いずれか一方のみの合格や、分野違いの技能試験合格は要件を満たしません。
| 不許可要因 | 審査で見られる点・具体例 | 実務的対策 |
|---|---|---|
| 日本語試験の未達 | JLPT N4未満、JFT-Basic未合格、氏名表記や生年月日の相違で照合不可 | 受験結果通知の原本照合と本人確認。再受験計画を早期に立案し、試験種別の併用も検討(JLPT公式サイト/JFT-Basic公式サイト)。 |
| 技能試験の不適合 | 宿泊業技能測定試験の未合格、他分野の技能試験合格証を流用、試験結果の証憑不足 | 最新の合格結果通知・合格証の提出と真否確認。分野不一致は再受験で補正。 |
| 要件読み替えの誤認 | 留学のアルバイト経験や観光関連の実務のみで代替できると判断、在学証明のみで申請 | 要件は試験合格を基本と理解し、免除可否は事前に原典で確認。必要なら先に試験合格を取得。 |
| 違反歴・素行要件の軽視 | 資格外活動の時間超過、交通違反の反復、虚偽申請歴などで信頼性を損なう | 違反歴の精査と説明資料の準備。再発防止策・社内コンプライアンス教育を明示。 |
「日本語」と「技能」の二本柱を確実に満たし、本人確認・原本確認・分野一致の三点を徹底することが最短の不許可回避策です。不明点は原典(出入国在留管理庁)で必ず確認してください。
8. 入社後の実務対応
特定技能(宿泊)人材を円滑に受け入れるためには、入社直後の公的手続と、日々の労務・コンプライアンス運用を短期間で整えることが重要です。初期手続は在留カード・住民登録・社会保険・雇用保険・マイナンバーの順に、期限管理と証憑保管を徹底し、就業開始後はシフト運用と安全衛生、支援計画の実施状況を定期点検します。
8.1 社会保険加入 住民登録 マイナンバー
受入企業と本人が分担して行う必須手続を整理し、法定期限内の提出と原本確認・写し保存(個人情報の適正管理)を行います。宿泊分野では夜勤シフトが多いため、健康保険の適用・労災補償の範囲を入社時教育で明確化しておくと運用が安定します。
| 手続き | 主体 | 期限の目安 | 提出先/実施場所 | 主な書類・確認物 |
|---|---|---|---|---|
| 住民登録(転入届)・住居地の届出 | 本人 | 入国・転入から14日以内 | 市区町村役場 | 在留カード、パスポート、賃貸契約書等 |
| マイナンバー(個人番号)の受領・本人確認 | 本人/企業 | 住民登録後すみやかに | 本人:自宅/役場 企業:社内 | 個人番号通知、本人確認書類、取扱規程 |
| 健康保険・厚生年金の資格取得 | 企業 | 入社後すみやかに(法定期限内) | 年金事務所 | 資格取得届、在留カード写、雇用契約書 |
| 雇用保険 被保険者資格取得 | 企業 | 入社後すみやかに(法定期限内) | ハローワーク | 資格取得届、雇用契約書、賃金台帳 |
| 源泉徴収開始・扶養控除等申告書の提出 | 本人/企業 | 初回給与支給前 | 企業(経理・人事) | 扶養控除等申告書、個人番号、在留カード |
| 給与振込口座の開設・登録 | 本人 | 入社初月内 | 金融機関 | 在留カード、通帳/キャッシュカード |
特定技能の支援計画に基づき、生活オリエンテーション(ごみ出しルール、交通、緊急時連絡)、公的手続の同行、日本語学習機会の提供、住居確保・ライフライン開設支援を入社直後から実施し、記録を残します(自社実施または登録支援機関)。
8.2 労務管理とコンプライアンス
就労の適法性と労働条件の明示、多言語コミュニケーション、宿泊業の安全衛生・個人情報保護、各種届出・保存義務を運用フローに落とし込みます。
8.2.1 雇用管理(書面整備・多言語対応)
在留カードの有効期間・資格外活動の有無を確認し、労働条件通知書・雇用契約書(日本語+必要に応じて母語要約)を交付・説明。就業規則・服務規程・賃金規程・シフト運用ルール(夜勤・深夜手当・休日出勤の割増賃金、変形労働時間制や36協定の有無)を初日に周知します。
8.2.2 勤怠・シフトと安全衛生
客室稼働に合わせたシフトでも、法定労働時間・休憩・休日を厳守し、勤怠実績を電子または紙で保全。入社時安全衛生教育(清掃・薬剤取扱い、転倒・腰痛防止、夜間防犯、火災時避難訓練、食中毒予防)と労災発生時の報告フローを整備します。
8.2.3 旅館業法・個人情報・接遇
宿泊者名簿の適正管理、本人確認、クレジットカード情報・旅券情報・在留カード情報の最小限収集とアクセス制限を実施。苦情・事故・忘れ物・異常対応の標準手順と多言語接遇研修をOJTと併用で行います。
8.2.4 特定技能の支援実施と届出
支援計画に沿い、定期面談・相談窓口(ハラスメント・メンタルヘルス含む)を設置。外国人雇用状況の届出(雇入れ・離職の都度)、社会保険・雇用保険の資格取得・喪失手続、賃金台帳・出勤簿・有休管理簿・支援記録を保存し、在留期間満了日の管理と更新準備を人事台帳でリマインドします。
労働条件の不一致や支援未実施は、離職リスクだけでなく在留資格の更新・受入体制の評価に直結します。月次で勤怠・割増賃金・支援記録のセルフチェックを行い、必要に応じて登録支援機関や社会保険労務士と連携して是正します。
9. 更新 転職 離職時の手続き
特定技能(宿泊)で就労中の方と受入企業が直面しやすい「在留期間の更新」「転職(受入先変更)」「離職」それぞれの局面で必要となる実務対応を、期限・届出先・留意点とともに整理します。手続の遅延や不備は不許可や在留資格取消しのリスクに直結するため、法定期限内の届出と、就労実態の継続を客観資料で示せるよう管理することが肝要です。手続の種類と申請窓口の基本は出入国在留管理庁の手続案内をご確認ください(出入国在留管理庁 申請等手続案内)。
| ケース | 主な手続き | 期限の目安 | 提出・対応先 |
|---|---|---|---|
| 在留期間の更新 | 在留期間更新許可申請(継続雇用の資料添付) | 在留期限の概ね3か月前から当日まで | 出入国在留管理局 |
| 転職(受入先変更) | 旧・新双方の届出/新雇用契約・支援計画の整備、必要に応じ更新申請 | 各届出は14日以内、更新は在留期限まで | 出入国在留管理局・関係機関 |
| 離職 | 本人・企業の離職届出/再就職活動の管理 | 各届出は14日以内、就労活動の空白は3か月超回避 | 出入国在留管理局・ハローワーク 等 |
9.1 離職時の在留資格と期間
離職しても在留期限までは在留資格「特定技能」は直ちに失効しませんが、本人は「契約機関に関する届出(離職)」を14日以内に行い、企業側も所定の届出を行う必要があります。あわせて、企業は「外国人雇用状況の届出(離職)」をハローワークへ10日以内に提出します(厚生労働省 外国人雇用状況の届出)。
就労活動が正当な理由なく3か月以上途絶えると、入管法に基づき在留資格取消しの対象となり得ます。離職後は速やかに再就職活動を開始し、面接記録・求人票・内定通知等を保管して活動の実態を証明できるようにしておきます(法令根拠:出入国管理及び難民認定法)。
| 項目 | 期限 | ポイント |
|---|---|---|
| 本人の離職届出(契約機関に関する届出) | 離職から14日以内 | オンライン又は書面。離職日・旧受入先情報を正確に記載。 |
| 企業の離職届出(雇用状況届出) | 離職から10日以内 | 事業所単位。マイナンバー等の記載漏れに注意(厚労省様式)。 |
| 在留期間更新の可否 | 在留期限まで | 離職中の更新は厳格審査。原則、新たな雇用契約を整えて申請。 |
| 活動実態の空白(取消しリスク) | 3か月超は不可 | 職業紹介記録・面接証跡の保存で「正当な理由」の立証を補強。 |
在留期間更新は、原則として満了日の概ね3か月前から申請可能です。更新申請時には、宿泊分野での継続就労が確認できる雇用契約書、労働条件通知書、賃金台帳、社会保険加入状況などを整合的に提示し、活動継続性を明確化します(手続全般は出入国在留管理庁 手続案内参照)。
9.2 受入先変更の届出と注意点
同一の在留資格(特定技能)・同一の分野(宿泊)内で転職する場合、在留資格の種類変更は通常不要ですが、新たな「特定技能雇用契約」と「支援計画」を整備し、旧受入機関・新受入機関・本人の各届出を法定期限内に行います。在留期限が迫る場合は、受入先変更の届出に加え、在留期間更新許可申請を同時に進めて期限徒過(オーバーステイ)を確実に回避してください。
| 当事者 | 必要手続き | 期限の目安 | 提出・対応先 |
|---|---|---|---|
| 本人 | 契約機関に関する届出(旧→離職、新→就職)/在留カード記載事項の確認 | 各事由発生から14日以内 | 出入国在留管理局(オンライン可) |
| 旧受入機関 | 離職の届出/外国人雇用状況の届出(離職) | 入管:14日以内、ハローワーク:10日以内 | 出入国在留管理局/ハローワーク(厚労省案内) |
| 新受入機関 | 就職の届出/特定技能雇用契約・支援計画の作成・運用開始/社会保険手続 | 入社決定後すみやかに、届出は14日以内 | 出入国在留管理局/年金事務所・協会けんぽ 等 |
| 新受入機関(在留期限が近い場合) | 本人の在留期間更新を補助(契約書・支援体制資料の発行) | 在留期限前(概ね3か月前から申請可) | 出入国在留管理局(手続案内) |
受入先変更では、従事業務が宿泊分野の業務範囲に適合し、賃金が日本人同等以上であること、週の所定労働時間や深夜割増の取扱い、寮費控除などの労働条件が適正であることを、契約書と支援計画・就業規則で整合させます。登録支援機関を利用する場合は、委託契約の切替日と支援開始日を新雇用契約の始期と齟齬なく設定してください。
転職・離職いずれの場合も、提出控え(受付印・オンライン受付番号)と根拠資料の保管、賃金支払・社会保険資格取得喪失の記録、再就職活動のエビデンス化を徹底すると、後日の在留期間更新や在留状況確認において説明が円滑になります。
10. 技能実習 留学生からの移行ガイド
この章では、技能実習や留学から特定技能(宿泊)へ円滑に移行するための実務ポイントを整理します。制度の根拠や審査運用の基本は出入国在留管理庁の公式情報をご確認ください(出入国在留管理庁 特定技能)。
10.1 要件の読み替えと試験免除
宿泊分野では、技能実習からの「同一分野」読み替えによる技能試験免除は原則適用されません。そのため、技能実習の良好修了歴があっても、特定技能(宿泊)へ移行する際は「宿泊業技能測定試験」の合格が基本要件となります。日本語要件はJLPT N4以上またはJFT-Basic合格が必要です(日本語試験の詳細はJLPT公式・JFT-Basic公式を参照)。
学歴(大学・専門学校等)や他分野での実務経験は審査上の参考にはなり得ますが、宿泊分野の技能試験を代替するものではありません。読み替え・免除を誤解した申請は不許可の典型例となるため、受入企業の支援計画にも正確に反映させましょう。
| 移行ケース | 技能試験免除 | 日本語要件 | 主な手続き | 留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 技能実習2号・3号 良好修了 | 不可(宿泊は同一分野読み替え対象外) | JLPT N4以上 または JFT-Basic合格 | 宿泊業技能測定試験合格→雇用契約→在留資格変更許可申請 | 修了歴は評価材料だが免除・短縮には直結しない |
| 技能実習 中断・失踪歴あり | 不可 | 同上 | 経緯説明資料の整備→適法性・安定性の立証→申請 | 素行・遵法状況は厳格審査。原則ハードル高い |
| 留学生(在学中のホテル等でのアルバイト経験あり) | 不可 | 同上 | 技能試験合格→内定・雇用契約→在留資格変更許可申請 | アルバイト経験は参考評価に留まる。資格外活動の範囲厳守 |
| 留学生(卒業・修了後) | 不可 | 同上 | 技能試験合格→雇用契約→在留資格変更許可申請 | 就職活動が長期化する場合は特定活動(就職活動)検討 |
要点:宿泊分野では「宿泊業技能測定試験」と日本語要件の両方を満たすことが不可欠です。読み替え・免除の思い込みによる書類不備を避け、合格証明・成績通知・雇用契約書・労働条件通知書・支援計画等を一貫した内容で整えましょう。
10.2 アルバイトからフルタイムへの切替
留学(在学中)でホテルや旅館のアルバイトをしている方が特定技能(宿泊)へ切り替える場合、まず宿泊業技能測定試験と日本語試験に合格し、社会保険適用・同等報酬の雇用契約を締結します。そのうえで在留資格変更許可申請を行い、新たな在留カードの交付後にフルタイム就労を開始します。
在学中の資格外活動許可では、学期中は原則週28時間までであり、在留資格の変更が許可される前にフルタイム勤務へ拡大することはできません。長期休業期間の上限(週40時間)を含め、就労時間の遵守は審査に直結します。
申請時期は、卒業前でも内定と開始予定日が確定していれば可とされますが、審査期間は時期・地域で変動します。受入企業は勤務開始日と支援体制、シフト設計を申請スケジュールに合わせて計画し、社会保険の適用準備や住居・生活オリエンテーションなどの支援計画を整合させてください。
日本語試験は国内外で日程が限られるため、早めの受験計画が肝要です(試験情報:JLPT/JFT-Basic)。在留資格の変更許可を受けるまでは、雇用契約があってもフルタイム就労は不可である点を最後まで徹底しましょう。
11. よくある質問
11.1 特定技能(宿泊)で従事できる業務は?
フロント業務(チェックイン・チェックアウト、予約対応)、館内案内、荷物対応、客室・館内の清掃、レストランでの配膳・後片付け、簡易なバックヤード作業(備品補充・リネン管理など)といった宿泊サービスの現場業務が対象です。管理職や人事・経理・総務などの企画・管理部門の業務は対象外です。
11.2 派遣・請負・複数拠点勤務は可能?
受入れ形態によって可否が異なります。概要は次のとおりです。
| 事項 | 可否 | 留意点(根拠の要旨) |
|---|---|---|
| 労働者派遣 | 不可 | 特定技能は派遣就労を認めていません(受入れ機関と直接雇用が原則)。 |
| 請負・業務委託先での就労 | 原則不可 | 実態が労働者派遣となる恐れが高く、雇用契約先の施設で就労することが基本です。 |
| 同一法人内の複数ホテルでの勤務 | 条件付きで可 | 雇用契約・就業規則・支援計画に勤務場所が明記され、労務管理が一体であることが必要。 |
| 副業・兼業(他社でのアルバイト) | 不可 | 特定技能は当該在留資格に係る活動が専属であり、資格外活動による副業は認められません。 |
11.3 日本語要件(JLPT / JFT-Basic)は?
日本語能力は「JLPT(日本語能力試験)N4以上」または「JFT-Basic(Japan Foundation Test for Basic Japanese)合格」のいずれかで満たします。どちらでも要件を充足します。
11.4 宿泊業技能測定試験はどんな内容?
宿泊現場で必要な知識・技能(フロント、接客、安全衛生、館内設備の基本、異文化対応など)を筆記・実技等で評価します。合格が特定技能(宿泊)申請の前提となります。
11.5 在留期間と更新の考え方は?
特定技能1号の在留期間は「4か月・6か月・1年」のいずれかで付与・更新され、通算上限は5年です。更新時は雇用契約の継続、社会保険加入、適切な支援体制、就業実態などが審査されます。
11.6 家族の帯同はできる?
特定技能1号では配偶者・子の「家族滞在」は原則認められません。特定技能2号に移行した場合は、所定の要件のもとで家族帯同が可能とされています。
11.7 転職(受入先の変更)は可能?手続きは?
宿泊分野内であれば転職は可能です。所属機関(受入企業)の変更時は、14日以内の届出が必要となり、新たな雇用契約・支援計画・体制整備を整えます。原則として在留資格の種類は同一のまま、必要に応じて在留期間の更新等を行います。
11.8 給与・待遇の基準は?
日本人が従事する場合と同等以上の報酬水準であることが求められます。時間外・深夜・休日労働には法定の割増賃金を支払い、控除は法定項目と就業規則等で明確に定めた実費に限ります。
11.9 社会保険・税の取り扱いは?
雇用保険・健康保険・厚生年金の加入が必要です。源泉所得税・住民税の手続き、入社後の住民登録・マイナンバーの提出、年次有給休暇の付与など、労務・税務・社会保険手続きを適正に行います。
11.10 不許可を避ける重要ポイントは?
実際の職務内容が「宿泊の現場業務」に該当していること、支援計画が実効的であること、労働条件が日本人と同等以上で明確に文書化されていることを、契約書・労働条件通知書・支援関連書類で整合的に示してください。
11.11 オンライン申請は使える?
受入企業が在留申請オンラインシステムの利用手続きを済ませていれば、在留資格認定証明書交付申請(COE)や在留資格変更・在留期間更新のオンライン申請が可能です。原本確認や面談が必要な場合は窓口対応となることがあります。
11.12 地方の小規模旅館でも受入れ可能?
要件(適正な雇用契約、社会保険加入、生活支援を含む支援体制の整備など)を満たせば規模にかかわらず可能です。夜勤・シフト勤務がある場合は、割増賃金や深夜業の安全配慮、生活オリエンテーションの内容を支援計画に明記しましょう。
12. まとめ
結論:特定技能(宿泊)は、フロント・接客・レストラン・客室清掃など現場業務の人材確保に有効な制度であり、応募者の試験合格と受入企業の適正な体制整備がそろえば、許可の可能性は大きく高まります。
制度面では、特定技能1号は「一定の日本語能力と技能で現場実務に従事」、特定技能2号は「熟練人材」を想定する枠組みです。運用は告示・通達で更新されるため、2026年以降も出入国在留管理庁の最新公表を随時確認することが不可欠です。
応募者側の要点は、日本語能力試験(JLPT)またはJFT-Basicの基準クリアと、宿泊業技能測定試験の合格です。これらの客観的要件に加え、雇用契約の内容が適法・明確であることが審査の土台になります。
受入企業側は、社会保険の適正加入、労働基準法・最低賃金法の遵守、36協定などの労務管理、登録支援機関の活用を含む実効性ある支援計画の整備が不可欠です。理由:不許可事例の多くは、賃金・労働条件や支援体制の不備に起因します。
許可される業務は宿泊サービスの現場実務に限定されます。管理職、経理、人事、企画・採用といった本来的なホワイトカラー業務は原則として対象外で、職務内容の線引きを就業規則・職務記述書で明確化することが重要です。
手続は、海外在住者は在留資格認定証明書(COE)取得、国内在住者は在留資格変更、いずれも在留期間更新で運用します。オンライン申請は効率性に優れ、窓口申請は原本確認が必要な場面で有用と整理すると進行管理が容易です。
必要書類は、応募者の本人確認・学歴職歴・各種試験合格証、企業の登記事項・財務・雇用契約・支援計画などが中心です。提出前に整合性(賃金、勤務時間、業務範囲、支援内容)を総点検することが審査時間短縮につながります。
費用は入管手数料、試験受験料、翻訳・通訳、書類取得・交通等が発生します。スケジュールは採用計画から逆算し、試験日程と入国時期・繁忙期を踏まえた余裕ある計画が実務上のリスクを減らします。
不許可対策の結論:①同種同等の日本人と同等以上の賃金・条件、②現実的で測定可能な支援計画、③試験合格や業務適合性の客観資料、この3点を満たすことが最も効果的です。
入社後は、住民登録・マイナンバー・社会保険手続を速やかに実施し、労働時間・割増賃金・有給付与などを可視化します。コンプライアンスの継続的点検が離職抑止と更新審査の信頼性向上につながります。
転職・離職時は、入管への届出と支援の継続が必要です。正当な理由なく3か月超就労していない状態は在留資格取消しのリスクがあるため、速やかな受入先変更と手続の完了が重要です。
技能実習や留学生からの移行は、同一分野・要件充足で試験免除が認められる場合があります。適用可否は分野・告示で異なるため、出入国在留管理庁、宿泊業技能測定試験の公式情報、地方出入国在留管理局で必ず最新を確認してください。
最終的に、特定技能(宿泊)は「明確な職務設計」「公正な労務」「機能する支援」の三位一体で成果が最大化します。公式情報に基づく設計と丁寧な運用こそが、許可獲得と定着・戦力化への最短ルートです。