
本記事は、在留資格「特定技能」の受入れを検討・運用中の企業が、登録支援機関を失敗なく選定・活用できるよう、出入国在留管理庁(入管庁)が公表する登録基準・運用要領に沿って、選び方の基準、費用相場、実務フロー、トラブル予防までを一気通貫で解説します。結論:登録支援機関選びでは、①支援計画の質と実行体制、②多言語の通訳・相談窓口と緊急時対応、③受入れ業種における実績とKPI(定着率・更新率・離職率等)、④コンプライアンスと行政処分歴の有無を最優先し、料金は内訳(初期費用・月額費用・支援委託料)と契約条項(成果連動・違約金)を可視化して比較するのが最適解です。この記事では、特定技能1号・2号の違い、受入れ企業(受入れ機関)と登録支援機関の役割、登録基準・義務を整理したうえで、支援計画書の要件、事前ガイダンスや雇用契約の確認ポイント、日本語教育・生活オリエンテーション・住居確保・社会保険手続といった必須支援の品質を見抜く具体的チェック項目を提示します。さらに、費用相場の目安と含まれるサービス、在留資格申請から在留カード受領、所属機関に関する届出(14日以内)までの実務フロー、労働条件違反・ハラスメント等の違反事例と予防策、契約解除や機関変更の手順、よくある質問まで、2026年時点の実務に即した最新版チェックリストで網羅。これにより、社内体制の整備、定着を促す運用、監査・ガバナンスの強化まで、意思決定に必要な情報を最短で把握できます。
1. 特定技能と登録支援機関の基礎知識
特定技能は、人手不足分野で即戦力となる外国人材の就労を可能にする在留資格で、適正な雇用管理と生活支援を制度要件としています。登録支援機関は、受入れ企業(受入れ機関)から委託を受け、所定の支援計画を実行する専門機関です。制度の要は「適正な雇用契約」と「実効性のある生活・就労支援」の両立にあります。
1.1 特定技能1号と特定技能2号の違い
特定技能は1号と2号の2類型があり、在留期間、家族帯同、技能水準、支援の要否が異なります。1号は即戦力レベル、2号は熟練レベルを対象とし、1号のみ支援計画の実施が義務付けられます。
| 項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 |
|---|---|---|
| 在留期間・更新 | 通算最長5年(更新可・上限あり) | 更新上限なし |
| 家族帯同 | 原則不可 | 配偶者・子の帯同可 |
| 技能水準 | 相当程度の技能(各分野の技能試験で確認) | 熟練した技能(上位水準の試験・要件で確認) |
| 日本語要件 | 日本語能力(例:JLPT N4相当やJFT-Basic) | 業務遂行上の日本語力が求められる(要件は分野運用により異なる) |
| 支援計画の対象 | 対象(受入れ機関が自社実施または登録支援機関へ委託) | 原則対象外 |
| 対象分野 | 人手不足分野で指定(政策により見直しあり) | 限定された分野で運用(拡充は政策判断) |
1.1.1 在留期間・家族帯同
1号は通算5年が上限で家族帯同は原則不可、2号は更新上限がなく配偶者・子の帯同が認められます。
1.1.2 技能・試験
1号は各分野の技能試験と日本語要件(例:JLPT N4相当またはJFT-Basic)を満たす必要があり、2号は熟練技能を確認する上位試験等が求められます。
1.1.3 対象分野(概要)
対象分野や要件は政策・告示で運用が更新されるため、最新の公表資料を確認することが重要です。
1.2 受入れ企業と登録支援機関の役割
受入れ企業は雇用主として法令遵守と適正雇用を担い、支援業務は自社で実施するか登録支援機関に委託します。登録支援機関は、委託契約に基づき支援計画を外国人が理解できる言語で実行します。
1.2.1 受入れ機関(雇用主)の主な義務
- 適正な労働条件での特定技能雇用契約の締結と遵守(労働基準法・最低賃金法等の遵守)
- 支援計画の策定・実施(自社実施または登録支援機関へ委託)
- 生活環境の整備に関する配慮(住居確保、ライフライン契約等の支援)
- 相談・苦情対応の体制整備と適切な記録管理
- 関係機関への必要な手続・届出の適正な実施
1.2.2 登録支援機関の主な支援業務
支援は「外国人が理解できる言語」で、計画に従い実効性ある方法で行うことが求められます。
- 事前ガイダンス(労働条件・職務内容・生活ルールの説明)
- 出入国時の送迎、入居手続支援、ライフライン契約支援
- 生活オリエンテーション(日本の法令・マナー・医療・防災等)
- 日本語学習機会の提供・案内
- 相談・苦情への対応と必要に応じた通訳対応
- 職場訪問・本人面談などの定期フォローと記録
- 行政手続の案内・同行(必要に応じ)
- 転職・帰国を含む雇用終了時の支援(1号対象)
1.2.3 委託時の留意点
- 雇用契約・支援計画・委託契約の整合性(役割分担と成果基準の明確化)
- KPI・SLA(対応言語、応答時間、面談頻度、報告様式)の取り決め
- 個人情報保護・通訳者の秘密保持・再委託管理のルール化
1.3 出入国在留管理庁の登録基準と義務
登録支援機関は、出入国在留管理庁の登録を受け、適正な体制・業務運用・記録管理を満たす必要があります。違反があると指導・改善命令・登録取消等の対象となり得ます。
1.3.1 登録基準(概要)
- 法令遵守の実績と信用(重大な法令違反・行政処分歴がないこと等)
- 継続的に支援を行える体制・財務基盤・人員(日本の労働関係法令や入管制度の知見)
- 適切な業務フローと品質管理(標準化された支援計画・多言語対応)
1.3.2 体制整備と運用義務
- 支援責任者・支援担当者の選任と役割の明確化
- 支援実施状況の記録・保存、受入れ機関への定期報告
- 通訳・多言語対応の確保、緊急時の連絡体制
- 再委託時の適正管理(契約・品質・個人情報保護)
1.3.3 費用負担・禁止行為
- 外国人本人からの不当な手数料・違約金の徴収禁止
- 虚偽説明・過大な斡旋勧誘・不利益取扱いの禁止
- 費用負担区分の明確化(受入れ機関と本人の負担範囲を契約・計画で明示)
2. 特定技能 登録支援機関の選び方 重要ポイント
登録支援機関は「実務能力」と「適正運用」を兼ね備えているかを、多面的な証拠で見極めることが重要です。以下の観点を、実績データ・体制図・契約書・支援記録などの一次資料で確認しましょう。
2.1 支援計画の質と実行体制
支援計画は、出入国在留管理庁の告示基準に沿った網羅性と、現場で運用できる再現性が要点です。紙の計画書だけでなく、実施頻度・チェック方法・エビデンスの保管方法まで確認します。
2.1.1 確認すべき資料
| 確認ポイント | 見るべき資料 | 判断基準 |
|---|---|---|
| 生活・就労支援の網羅性 | 支援計画書、年間スケジュール、面談様式 | オリエンテーション、日本語学習、生活手続、職場定着支援まで抜け漏れがない |
| 実行の仕組み | 体制図、担当者一覧、代替要員の手順 | 担当者不在時のバックアップと監督者のダブルチェックが明記 |
| 記録・証跡管理 | 面談記録、通訳記録、苦情対応台帳 | 日付・言語・出席者・合意事項が一貫した形式で保存 |
2.1.2 評価の目安
計画と実績(KPI・記録)が一致しているかをサンプルで突き合わせることで、机上の計画に終わっていないかを判断します。
2.2 多言語対応と通訳体制
主要送出国の言語に対応し、緊急時も滞りなく意思疎通できるかが鍵です。社内通訳・外部ベンダー・リモート通訳の組み合わせを確認します。
2.2.1 確認すべき言語と方法
| 対象 | 推奨言語 | 運用方法 |
|---|---|---|
| 日常・労務説明 | ベトナム語/インドネシア語/タガログ語/中国語/英語 など | 対面または電話・オンライン通訳の待機時間(目標:短時間)を設定 |
| 安全衛生・就業規則 | 母語+日本語併記 | 専門用語の訳語統一・重要箇所の理解確認テストを実施 |
| 行政・医療・災害 | 母語優先 | 緊急連絡網と通訳ルートを24時間で一本化 |
2.2.2 評価の目安
「通訳者の氏名・資格・稼働時間帯」と「緊急時の連絡先・到達時間」を明示できるかを必ず確認します。
2.3 相談窓口と緊急時対応
相談は早期に拾い上げる仕組みが有効です。匿名相談、複数チャネル、外部機関連携の有無を確認します。
2.3.1 体制のチェックリスト
| 項目 | 最低限の水準 | 優良機関の特徴 |
|---|---|---|
| 相談チャネル | 電話・メールの常設 | 匿名フォーム・多言語チャット・月次面談の定例化 |
| 対応時間 | 営業日対応 | 夜間・休日の緊急当番と一次対応SLA |
| 外部連携 | 必要時に案内 | 労基署・ハローワーク・医療機関・自治体相談窓口の具体的な連携ルート |
| 記録・再発防止 | 記録の保存 | 原因分析と是正策の共有、類似事案のフォローアップ |
2.3.2 評価の目安
「緊急時フロー図」と「一次対応の到達SLA」「エスカレーション基準」の提示を求め、想定事例でロールプレイを行います。
2.4 受入れ業種の実績とKPI
対象分野の制度理解と現場対応力は、定量KPIで相当程度推測できます。分野(介護、外食、宿泊、建設、製造など)ごとに実績を確認します。
2.4.1 見るべきKPI例
| KPI | 意味 | 確認の要点 |
|---|---|---|
| 定着率・離職率 | 職場適応と支援の効果 | 分野別・国籍別の推移と離職理由の内訳 |
| 在留資格更新率 | 法令順守と運用安定性 | 不許可・補正依頼の件数と是正内容 |
| 苦情対応の解決率 | 問題解決力 | 平均解決日数と再発防止策の定着度 |
| 言語支援の利用率 | 多言語体制の実効性 | 通訳稼働時間・対応言語のカバー率 |
2.4.2 評価の目安
数値の「分子・分母・期間」を明示し、第三者確認やサンプル記録で裏づけられているかを確認します。
2.5 コンプライアンスと行政処分歴
法令順守は選定の最重要基準です。登録の有効性、行政処分歴、是正プロセス、再発防止の仕組みを必ず確認します。
2.5.1 チェックポイント
| 項目 | 確認方法 | 留意点 |
|---|---|---|
| 登録の有効性 | 最新の登録番号・有効期間・代表者 | 商号変更・所在地変更時の届出反映 |
| 行政処分・指導 | 処分歴の有無・内容・時期 | 原因分析と組織的な是正策の有無 |
| 内部統制 | コンプライアンス規程、監査記録 | 利益相反管理、個人情報保護、二重契約の防止 |
| 受入れ企業の労務適正 | 労働条件通知書、36協定、労働時間管理 | 不利益取扱い・名目上の費用天引きの有無 |
2.5.2 評価の目安
過去の不適正があっても、原因特定・再発防止・第三者監査まで実装しているかで信頼性を判断します。
3. 料金相場と費用内訳
登録支援機関の費用は法令で上限が定められておらず、契約内容(支援範囲・頻度・言語・緊急対応)で大きく変わります。相見積もりの際は金額だけでなく、支援計画とKPI、稼働報告の仕様まで必ず確認してください。
3.1 支援委託料の相場感
一般に、初期費用は契約開始時の立ち上げ作業のパッケージ、月額費用は定期的な相談・訪問・届出補助の継続支援、スポットは通訳・同行等の都度対応として設定されます。
3.1.1 料金レンジの目安
| 費用項目 | 一般的な単価帯 | 課金単位 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 数万円〜十数万円/人 | 人・契約開始時 | 事前ガイダンス、空港出迎え、生活オリエンテーション等のパッケージが多い |
| 月額支援委託料 | 1万円台後半〜3万円台/人・月 | 人・月 | 訪問頻度、24時間対応の有無、対応言語数で増減 |
| スポット通訳・同行 | 数千円〜1万円台/時間 | 時間 | 夜間・休日は割増となることが多い |
| 交通費・各種実費 | 実費精算 | 都度 | 交通・宿泊、役所手数料、郵送費、備品・翻訳印刷等 |
3.1.2 価格が変動する主因
| 要因 | 具体例 | 価格への影響 |
|---|---|---|
| 受入人数 | 1〜2人の小口 vs 複数人一括 | ボリュームディスカウントの有無 |
| 受入エリア | 都市圏/遠隔地・離島 | 移動時間・交通費の増加 |
| 訪問/面談頻度 | 月1回訪問+随時オンライン等 | 稼働時間に比例して上振れ |
| 対応言語 | ベトナム語・インドネシア語・英語など | 希少言語は割高になりやすい |
| 緊急/24時間対応 | 夜間・休日の一次受け | 待機・人員確保コストを反映 |
| 書類・届出範囲 | 帳票作成、行政への届出補助の範囲 | 対象範囲が広いほど上振れ |
料金比較は「支援範囲・頻度・報告書式・SLA(応答/解決時間)」を揃えて行うとミスマッチを避けられます。
3.2 初期費用と月額費用に含まれるサービス
初期は着任準備と生活立ち上げ、月額は相談・定期面談・職場巡回・届出補助が中心です。法令で求められる支援項目を満たしつつ、企業の体制に応じて委託範囲を調整します。
3.2.1 初期費用の内訳
| 項目 | 代表的な内容 | 計上方法 | 実費の扱い |
|---|---|---|---|
| 事前ガイダンス | 労働条件・就業規則・相談窓口の説明 | 初期パックに含む | なし |
| 空港出迎え・送迎 | 到着確認、事業所/住居への移動支援 | 初期パック/スポット選択 | 交通費は別途 |
| 生活オリエンテーション | 地域ルール、医療、ゴミ分別、防災の案内 | 初期パックに含む | 資料印刷等は実費 |
| 住居・ライフライン | 賃貸手続き支援、電気・水道・ガスの開通 | 初期パック/スポット | 敷金礼金・保証料は実費 |
| 行政手続き同行 | 住民登録、マイナンバー、転入届 | 初期パック/スポット | 手数料は実費 |
| 通信・金融口座 | 携帯/銀行口座の開設支援 | 初期パック/スポット | 端末代・手数料は実費 |
3.2.2 月額費用の内訳
| 項目 | 代表的な内容 | 実施頻度の例 | KPI/報告 |
|---|---|---|---|
| 相談窓口 | 母語相談、匿名受付、第三者通報 | 常設(営業時間/24h) | 受付件数・一次応答/解決時間 |
| 定期面談 | 生活・労務ヒアリング、課題共有 | 月1回等 | 面談記録・改善提案 |
| 職場巡回/訪問支援 | 現場状況確認、受入体制助言 | 月1回等 | 巡回レポート・是正フォロー |
| 日本語学習支援 | 学習教材案内、受講先紹介 | 四半期見直し | 学習計画・進捗記録 |
| 行政報告・届出補助 | 定期報告、14日以内届出の案内 | 随時/月次 | 提出実績・期限管理 |
| 月次レポート | 相談/対応履歴、稼働工数、KPI | 月次 | 合意フォーマットで提出 |
3.2.3 オプション・実費の代表例
| 項目 | 課金方法 | 補足 |
|---|---|---|
| 夜間・休日の緊急駆けつけ | 時間課金/出動1回あたり | 待機料・割増率の設定がある |
| 医療機関同行・通訳 | 時間課金+交通実費 | 専門通訳は別単価 |
| 転居・退去対応 | パッケージ/時間課金 | 原状回復・清掃費は実費 |
| 失踪発生時の対応 | 時間課金 | 警察・行政連絡の支援 |
見積書・委託契約書・支援計画書・稼働報告の4点を必ず突合し、何が含まれ、何が実費かを明確にしておくと請求トラブルを防げます。
3.3 成果連動や違約金の注意点
登録支援機関の支援料は、実施した支援業務に対する対価が基本です。人材紹介の成功報酬と混同しないよう、費用科目を分けて契約してください。
3.3.1 成果報酬型の留意点
「離職率や定着月数に連動した割引・返金」などの成果条件を設ける場合は、評価指標、測定期間、返金計算式、除外事由(不可抗力・自己都合退職等)を明文化し、第三者検証可能な根拠データで運用することが重要です。
3.3.2 中途解約・機関変更時の費用
最低契約期間や違約金が設定されることがあります。残期間の一括請求ではなく、未提供分の月額料の按分精算+発生済み実費の支払いとするのが合理的で、機関変更時は引継資料の範囲と費用も事前合意が望まれます。
3.3.3 不可抗力時の取り扱い
災害・感染症・入国制限等で支援が提供不能な場合は、未実施分の減額や日割精算、非回収可能な実費のみの負担など、双方に公平な取り扱いを契約条項で定めておくと安全です。
4. 2026年最新版チェックリスト
受入れ企業と登録支援機関の役割分担を契約で明確化し、証跡で裏付けるチェック運用が2026年の実務最適解である。 最新の制度・告示は出入国在留管理庁および厚生労働省の公表情報で必ず確認する(出入国在留管理庁 公式サイト/厚生労働省 公式サイト)。
4.1 契約前の確認事項
法令・告示に適合しない委託は、受入れ企業側も指導や行政処分のリスクを負うため、合意前にエビデンスで必ず検証する。
| チェック項目 | 要点 | 証跡・資料 | 担当 |
|---|---|---|---|
| 登録支援機関の登録番号・有効性 | 公表情報と一致、更新状況に問題なし | 登録通知書控え、公表一覧の写し | コンプライアンス |
| 支援計画の範囲と頻度 | 定められた支援事項(事前ガイダンス、送迎、住居・ライフライン、生活オリエンテーション、日本語学習の機会、相談体制、行政手続同行、定期面談、受入困難時の転職支援 など)を網羅 | 支援計画ドラフト、仕様書 | 人事 |
| 体制・人員 | 支援責任者・支援担当者の配置、言語別の通訳体制、夜間・休日の緊急対応 | 体制図、当番表、連絡先リスト | 支援機関・受入企業 |
| 実績とKPI | 業種別受入れ人数、在留継続率、離職率、苦情件数と解決SLA | 実績レポート、KPI定義 | 経営企画 |
| コンプライアンス | 行政処分歴・是正措置の有無、反社排除条項 | 自己申告書、誓約書、公開情報の確認記録 | 法務 |
| 再委託の管理 | 再委託先の資格・体制・監督方法を明記 | 再委託契約、監督手順 | 購買 |
| 個人情報・マイナンバー管理 | 取扱い規程、アクセス権限、保存期間 | 規程、教育記録 | 情報システム |
| 料金・支払条件 | 初期・月額・実費の区分、支援範囲と連動、解約条件・違約金の有無 | 見積書、業務委託契約書 | 経理 |
| 相談・苦情対応設計 | 多言語チャネル、一次対応SLA、エスカレーション | 運用設計書、フロー図 | 人事 |
| 文書・記録の提供方法 | 記録様式、共有手段、保存・監査対応 | 様式集、監査ポリシー | 事務局 |
登録支援機関から特定技能外国人本人に支援費用を負担させることは認められていないため、費用の二重徴収禁止を契約条項に明記し、説明記録を残す。
4.2 受入れ開始前の整備事項
受入れ直前の整備が不十分だと、就労開始・定着・在留手続きに遅延や不備が生じるため、到着前に完了状態を確認する。
| チェック項目 | 要点 | 証跡・資料 | 担当 |
|---|---|---|---|
| 雇用契約・労働条件通知 | 母語またはやさしい日本語併記、日本人と同等以上の報酬 | 雇用契約書、労働条件通知書、翻訳 | 人事 |
| 業務適合性の確認 | 在留資格の活動内容と職務・勤務地の整合 | 職務記述書、シフト案 | 管理部門 |
| 就業規則・安全衛生 | 労災・社会保険加入、36協定、危険作業の教育 | 届出控え、教育計画 | 総務 |
| 住居とライフライン | 住居確保、家具家電、光熱・水道・通信の契約支援 | 物件情報、チェックシート | 支援担当 |
| 到着・送迎・初日動線 | 空港出迎え、宿舎案内、職場までの交通確認 | 旅程、連絡網 | 支援担当 |
| 生活オリエンテーション | 生活ルール、ゴミ分別、地域の医療・行政情報 | 説明資料、配布物 | 支援担当 |
| 公的手続き同行 | 住民登録、マイナンバー、銀行口座、携帯契約 | 予約票、委任状・同意書 | 支援担当 |
| 相談窓口の周知 | 社内外の相談先、匿名通報、緊急連絡手順 | 掲示物、配布案内 | 人事 |
| 日本語学習の計画 | 教材・学習時間・評価方法の設定 | 年間学習計画、教材一覧 | 現場管理者 |
| 記録様式の準備 | 支援記録、面談記録、苦情台帳のフォーマット | 様式集、記入要領 | 事務局 |
生活オリエンテーションと公的手続きの同行は定着率に直結するため、到着後の初週に確実に完了させる運用とする。
4.3 受入れ後の運用チェック
支援の実施・記録・改善のPDCAを月次で回し、在留・労務・生活のリスクを早期に顕在化させて是正する。
| チェック項目 | 要点 | 証跡・資料 | 担当 |
|---|---|---|---|
| 定期面談・職場訪問 | 計画頻度どおり実施、課題と対応を記録 | 面談記録、訪問報告 | 支援担当 |
| 勤怠・賃金の適正 | 最低賃金・割増賃金・労働時間の順守 | 勤怠表、賃金台帳 | 経理・人事 |
| 年次有給休暇 | 法定付与、取得促進の周知 | 年休管理簿、周知記録 | 人事 |
| 相談・苦情対応 | 初動SLA、エスカレーション、解決報告 | 受付ログ、対応記録 | 相談窓口 |
| ハラスメント防止 | 研修と実効性評価、二次被害防止策 | 研修記録、是正記録 | コンプライアンス |
| 緊急時対応 | 夜間・災害・事故時の連絡と同行 | 連絡網、対応ログ | 安全衛生 |
| 日本語学習フォロー | 進捗確認、教材更新、学習時間の確保 | 進捗表、評価記録 | 現場管理者 |
| 行政手続き・届出 | 変更・更新の期限管理、提出控えの保管 | 管理表、提出控え | 事務局 |
| KPIレビュー | 定着率・離職率・苦情件数・満足度を可視化 | 月次レポート、ダッシュボード | 経営企画 |
| 受入れ終了・機関変更時 | 原本返却、未払清算、転職支援の実施 | 引継書、返却チェックリスト | 支援担当 |
記録が不十分だと是正指導や監査で不利となるため、日付・担当者・内容の三点を満たす証跡を体系的に保存する。
5. 申請と届出の実務フロー
特定技能の受入れは、雇用契約の適正化、在留資格手続、入国後の各種届出までを一気通貫で管理することが重要です。法定期限(とくに14日以内の届出)を外さない運用設計が、行政指導や在留継続リスクを避ける最短ルートです。
5.1 事前ガイダンスと雇用契約の確認
登録支援機関は、本人が理解できる言語で就業内容・労働条件・報酬・住居・費用負担の有無等を説明し、記録を残します。受入れ企業は、最低賃金・同等報酬・時間外割増・安全衛生・法令遵守条項を網羅した雇用契約を準備し、支援計画と矛盾がないかをすり合わせます。詳細は出入国在留管理庁の公表資料を必ず参照します。
5.1.1 事前ガイダンスの必須項目
職務内容・勤務地・所定労働時間・休日・賃金内訳(基本給・各種手当・控除)・住居の手配と費用・転籍可否・苦情相談窓口・緊急連絡体制などを明確化します。預り金・違約金・実費を超える費用徴収は禁止対象となり得るため、契約・説明から排除します。
5.1.2 雇用契約・支援計画の整合性確認
就業場所・勤務シフト・日本語教育・生活オリエンテーション・相談対応時間帯等が契約書・支援計画・申請書で一致しているかを相互点検します。差異があると審査遅延や補正の原因になります。
5.1.3 必要書類チェック
本人の旅券・写真、技能試験合格証明、日語要件(JLPT N4相当又はJFT-Basic)、雇用契約書、支援計画、会社の体制資料(労務・社会保険適用状況等)を事前に確定させ、原本・写し・翻訳の別を整理します。
5.2 在留資格申請と在留カード受領
ルートは「在留資格認定証明書交付申請(海外在住者)」「在留資格変更許可申請(在留中の在留変更)」「在留期間更新許可申請(継続就労)」の3区分です。提出は地方出入国在留管理局で行い、申請人本人・受入れ機関・申請等取次者が手続します(取次可)。審査期間は案件・時期により変動します。
5.2.1 申請区分(認定・変更・更新)
海外採用は認定→査証申請→上陸許可、国内在住者は変更→許可後就労開始、継続就労は更新→在留期間更新後も同条件で勤務、が一般的な流れです。
5.2.2 提出先・申請者(取次可否)
所管の地方出入国在留管理局へ提出します。受入れ企業または登録支援機関が申請等取次者として関与する場合、所定の資格と届出が必要です。制度の根拠は出入国管理及び難民認定法(e-Gov)を参照します。
5.2.3 標準処理期間と留意点
提出書類の整合性・原本確認・翻訳の正確性・在留歴・受入れ体制の実効性が審査の焦点です。補正指示に備え、疎明資料(給与規程、就業規則、社会保険適用資料等)を即時提示できるよう準備します。
5.2.4 在留カード受領後の初期手続
認定ルートは主要空港で在留カード交付、変更・更新は審決後に地方局で交付されます。交付後は住居地届出、社会保険・雇用保険の資格取得、銀行口座開設、生活オリエンテーションを順に実施します。
| 申請区分 | 主な提出者 | 主な書類(例) | 受領物 |
|---|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 受入れ企業/取次者 | 申請書、雇用契約書、支援計画、技能試験合格・日本語要件の証明、会社資料、身元・報酬関連資料 | 在留資格認定証明書(後に査証・上陸許可) |
| 在留資格変更許可申請 | 本人/受入れ企業/取次者 | 申請書、雇用契約書、支援計画、現行在留カード、技能・日本語要件の証明 | 許可ハガキ・在留カード |
| 在留期間更新許可申請 | 本人/受入れ企業/取次者 | 申請書、直近の雇用・報酬実績、支援実施の状況、在職証明 | 在留カード(更新) |
5.3 届出と14日以内の手続
入国後・許可後は、本人・受入れ企業・登録支援機関がそれぞれ所管窓口へ期限内に届出します。「住居地の届出」「特定技能雇用契約等に関する届出(締結・変更・解除等)」は原則14日以内が基準です。
5.3.1 受入れ機関・登録支援機関の届出
雇用契約の締結・変更・解除、活動機関の名称・所在地変更、支援計画の実施状況に関する定期報告等を出入国在留管理庁へ届出します。書式・要件は最新様式を確認し、事実発生後すみやかに処理します。
5.3.2 本人・世帯の行政手続
住居地が定まったら市区町村で転入届と在留カード提示を行い、マイナンバーの付番・住民票作成を行います。住所・氏名等の在留カード記載事項に変更があれば所定の手続で更新します。
5.3.3 労働・社会保険の実務
健康保険・厚生年金は原則5日以内、雇用保険は原則10日以内に資格取得手続を行います。外国人雇用状況の届出は雇入れ・離職の都度、所管ハローワークへ提出します(様式・期限は最新の行政案内に従います)。
5.3.4 主要手続の期限と提出先
| 手続 | 主担当 | 提出先 | 期限の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 住居地の届出(転入) | 本人 | 市区町村 | 14日以内 | 在留カード提示・住民登録・マイナンバー付番 |
| 特定技能雇用契約等の届出(締結・変更・解除) | 受入れ企業(委託可) | 出入国在留管理庁 | 14日以内 | 様式に沿って根拠資料を添付 |
| 支援実施状況の報告(定期) | 受入れ企業/登録支援機関 | 出入国在留管理庁 | 定期(告示・通知に従う) | 面談記録・相談対応記録の保存と提出 |
| 健康保険・厚生年金 資格取得 | 受入れ企業 | 年金事務所・健保組合 | 原則5日以内 | 適用事業所は必須 |
| 雇用保険 資格取得 | 受入れ企業 | ハローワーク | 原則10日以内 | 賃金台帳・雇用契約の整合要 |
| 外国人雇用状況の届出 | 受入れ企業 | ハローワーク | 雇入れ・離職の都度 | 在留カード記載事項を正確に記載 |
5.3.5 よくある不備とリカバリー
説明記録の欠落、契約書・支援計画・申請書の不一致、技能・日本語証明の不備、社会保険の資格取得遅延が典型です。発覚時は事実関係を整理し、補正書・訂正契約・追完資料を整えて速やかに提出します。制度・様式の最新情報は出入国在留管理庁の公表資料で随時確認してください。
6. トラブル予防と違反事例
特定技能の受入れでは、登録支援機関と受入れ企業が法令と出入国在留管理庁の基準に適合した運用を共同で担います。下表の典型事例と予防策を押さえ、記録化・見える化・多言語対応で再発を防止してください。
| 違反類型 | 主な法令・基準 | 兆候 | 予防策 | 想定リスク |
|---|---|---|---|---|
| 未払い残業・最低賃金未満 | 労働基準法・最低賃金法・労働時間規制 | 勤怠と給与明細の乖離、固定残業のみ | 多言語労働条件通知書、打刻運用、36協定、賃金台帳検証 | 是正勧告・遡及支払い・企業名公表 |
| 社会保険未加入 | 健康保険法・厚生年金保険法・雇用保険法 | 週30時間超でも未手続 | 入社即時の資格取得、月次照合、年金事務所確認 | 追徴・延滞金・行政指導 |
| 違法な手数料・保証金徴収 | 職業安定法・入管法関連通達 | 紹介料・家賃名目で高額控除 | 控除項目の就業規則明記と同意、第三者チェック | 返金命令・刑事罰の可能性 |
| 派遣・名義貸し | 特定技能は原則直接雇用・入管法 | 実態就労先と雇用先が不一致 | 現場巡回、入退場記録と雇用契約の整合確認 | 入管上の指導・在留継続に影響 |
| 支援未実施・記録不備 | 出入国在留管理庁の支援実施要件 | 生活オリエンテーション・定期面談の欠落 | 支援計画のKPI化、面談記録・相談記録の保存 | 登録支援機関の指導・登録取消 |
| ハラスメント | 労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法 | 退職増・体調不良・通報の沈黙 | 方針の周知、窓口の多言語設置、研修・調査手順 | 是正指導・民事責任・信頼毀損 |
| 身分証保管・私物没収 | 民法・入管法関連ガイドライン | パスポート・在留カードの預かり | 原本は本人保管、原本確認と写し保管に限定 | 行政指導・損害賠償 |
6.1 労働条件違反への対応
6.1.1 予防の基本
就業規則・賃金規程・36協定を整備し、労働条件通知書と雇用契約書を多言語で同時交付します。勤怠は客観的打刻で管理し、賃金台帳・出勤簿・給与明細を毎月照合。社会保険・雇用保険は入社日基準で即時手続し、生活オリエンテーションで法定労働時間、割増賃金、年次有給休暇の取得方法を具体的に説明します。
6.1.2 初動対応と是正
疑いを把握したら事実確認、証拠保全、違反の停止を即時実施し、未払い賃金を計算・支払います。再発防止策(シフト設計、36協定見直し、管理者研修)を実装し、経営層の決裁を伴う是正計画と実施記録を残します。当事者への不利益取扱いを禁止し、合意形成の過程も多言語で記録化します。
6.1.3 外部機関連携
自力是正が困難な場合は労働基準監督署や都道府県労働局の総合労働相談コーナーに相談します。入管法上の遵守に関わる場合は出入国在留管理庁への相談・届出を検討します。公益通報者保護法に留意し、内部通報窓口の独立性と秘匿性を担保します。
6.2 ハラスメント防止と相談体制
6.2.1 防止措置(義務)
労働施策総合推進法に基づき、パワーハラスメントの方針策定・就業規則化・教育訓練を実施し、男女雇用機会均等法に基づくセクシュアルハラスメント対策も整合。管理職へ具体的言動例と対応手順を周知し、現場点検と面談でリスクを早期検知します。
6.2.2 相談・通報の設計
多言語の社内窓口と外部ホットラインを併設し、通訳手配、匿名相談、24時間の緊急連絡手段を確保します。受付から記録、調査、結論通知、再発防止までのフロー・SLAを明文化し、記録の保存期間とアクセス権限を定めます。
6.2.3 発生時の対応
被害申告を受けたら速やかに当事者分離、安全確保、ヒアリング(通訳同席)を行い、必要に応じて配置転換・有給付与・受診手配を実施します。暴力・脅迫・性犯罪が疑われる場合は警察への通報をためらわず、調査結果に基づき懲戒・環境改善を実施します。二次被害の防止と守秘義務の徹底が最優先です。
6.3 契約解除や機関変更の手順
6.3.1 事前準備と説明
解除事由(会社都合・自己都合・合意)を明確化し、解雇回避努力、予告・通知書面、退職合意書を日英等で作成します。違約金・損害賠償予定の定めや旅費の一方的負担は不適切であり、控除は法令と労使合意に適合させます。
6.3.2 特定技能に固有の手続
所属機関の変更や支援体制の変更が生じる場合は、法定期限内に関係届出と支援計画の変更を行います。登録支援機関の受委託契約を解約・再締結し、支援記録・在留カード写し・雇用契約等の関連書類を新所属へ適正に引継ぎます。
6.3.3 再就職・帰国支援
受入れ機関都合で雇用継続が困難なときは、同一分野での再就職支援または帰国支援を実施します。職業紹介は職業安定法に適合させ、求職者から手数料を徴収しません。住居・ライフラインの中断防止、行政手続の同行、多言語での求職支援を提供します。
6.3.4 よくある落とし穴
パスポートや在留カードの預かり、研修費名目の高額控除、競業避止の過度な拘束、派遣的運用は重大リスクです。契約・支援・勤怠・賃金・相談記録を整備し、法令・ガイドラインに即した透明な運用を徹底してください。
7. よくある質問
7.1 登録支援機関とは何ですか?
特定技能外国人(特定技能1号)のために、受入れ機関から委託を受けて「支援計画」の作成・実施を行う機関です。生活オリエンテーション、各種手続の同行・案内、相談対応、定期面談、通訳・翻訳などを一体的に担います。
委託しても最終的な法令遵守責任は受入れ企業に残るため、体制・実績・コンプライアンスを厳格に確認してください。
7.2 登録支援機関に委託できるのは特定技能1号だけですか?
はい。支援の委託対象は特定技能1号です。特定技能2号は制度上、支援の委託・実施義務の対象ではありません。
7.3 受入れ企業が自社で支援してもよいですか?
可能です。自社で要件を満たす体制を構築できる場合は、登録支援機関へ委託せず自社実施できます。ただし、必要な多言語対応や緊急時の連絡体制、定期面談の実施・記録などを継続運用できることが前提です。
外部委託しても受入れ企業の監督責任は免れません。委託後もKPIや記録の確認を継続してください。
7.4 登録支援機関の変更は可能ですか?
7.4.1 変更の基本
可能です。新たな登録支援機関と委託契約を締結し、支援計画を引き継いだうえで、所定の様式による届出を行います。
7.4.2 契約・届出の注意点
支援の空白期間が生じないよう開始日を連続させ、面談記録・相談履歴・支援計画などの交付/引継ぎを確実に行います。外国人本人にも変更内容と相談窓口を明確に周知します。
7.5 行政処分歴はどこで確認できますか?
出入国在留管理庁が公表する登録情報・処分情報、官報の公示、各自治体・関係省庁の公表資料で確認します。企業のコンプライアンス方針や再発防止策の有無も併せて確認してください。
7.6 料金はだれが負担しますか?
7.6.1 外国人本人への転嫁は可能ですか?
支援委託料は一般に受入れ企業が負担します。外国人本人へ過度に転嫁すると、契約上・コンプライアンス上のリスクが高まります。
7.6.2 相場と支払いタイミング
初期費用と月額委託料で構成されるのが通例です。成果連動や違約金がある場合は、条件・発生事由・上限・途中解約条項を明示しましょう。
| 料金項目 | 一般的な負担者 | 契約上の確認ポイント |
|---|---|---|
| 初期費用(受入れ開始時) | 受入れ企業 | 支援計画作成・初回オリエンテーション範囲 |
| 月額支援委託料 | 受入れ企業 | 面談頻度、相談対応時間帯、通訳方法 |
| スポット費用(緊急対応等) | 契約に準拠 | 発生条件、上限、稼働報告の様式 |
7.7 多言語対応はどの程度必要ですか?
外国人本人の母語・日本語能力・就労環境に応じて通訳・翻訳体制を整えます。主な対応言語はベトナム語、インドネシア語、ミャンマー語、ネパール語、中国語、英語等です。緊急時の連絡経路(電話、チャット、メール)を24時間でなくとも迅速に機能させる設計が望まれます。
7.8 登録支援機関の実績はどう評価すべきですか?
業種別の受入れ人数だけでなく、支援品質を示すKPIを確認します。離職率、定着率、在留資格更新率、面談実施率、相談一次応答時間、日本語学習継続率等が参考になります。
| KPI項目 | 見るべき指標 | 評価の観点 |
|---|---|---|
| 定着率 | 6か月・12か月の在籍率 | 配属・生活支援の適合度 |
| 更新率 | 在留資格更新の通過率 | 申請書類の精度・スケジュール管理 |
| 相談対応 | 一次応答時間/解決所要日数 | 通訳品質・対応窓口の可用性 |
| 面談実施 | 計画対比の実施率 | 記録・フォローアップの確実性 |
7.9 技能実習の監理団体と何が違いますか?
監理団体は技能実習制度の監理・指導を担う団体で、在留資格は技能実習です。登録支援機関は特定技能制度における支援の受託者で、在留資格は特定技能です。役割、契約関係、義務、評価指標が異なります。
7.10 申請手続の代理は登録支援機関に任せられますか?
在留資格手続の提出代理は、申請取次が可能な有資格者が所属している場合に限り任せられます。有資格者がいない場合、受入れ企業が手続を行うか、行政書士などの専門家へ依頼します。
7.11 トラブルが起きた場合の相談先は?
まず登録支援機関の相談窓口と受入れ企業の人事・労務窓口に連絡します。必要に応じて、出入国在留管理庁の相談窓口、都道府県労働局(総合労働相談コーナー)、法テラス等の公的窓口も活用します。
労働条件やハラスメントの問題は、記録を残し、第三者機関の相談窓口につなぐ体制を事前に定めておくと解決が迅速です。
7.12 登録支援機関は複数併用できますか?
原則、支援計画は一体で運用し、責任主体を明確にします。業務分担を行う場合でも、窓口の一本化、情報共有、記録様式の統一などで重複・抜け漏れを回避してください。
7.13 情報セキュリティと個人情報の取扱いは?
在留カード情報、連絡先、健康情報などの個人データを扱うため、委託契約に守秘義務と安全管理措置(アクセス権限、保管期間、廃棄方法、インシデント報告)を明記します。紙・電子の双方で記録の保全とアクセス制御を徹底してください。
7.14 支援計画に含まれる代表的な支援項目は?
生活オリエンテーション、住居・ライフライン・公的手続の支援、職場・生活上の相談対応、定期面談の実施と記録、日本語学習機会の提供案内、転居・災害・病気等の緊急時対応が代表例です。
| 支援分類 | 主な内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 生活オリエンテーション | 労働条件・法令・地域生活情報の説明 | 母語対応、資料の多言語化 |
| 各種手続支援 | 住民登録、銀行、携帯、年金・保険 | 同行の有無、所要時間の目安 |
| 相談・面談 | 定期面談、苦情・ハラスメント対応 | 一次応答時間、記録とエスカレーション |
| 日本語学習 | 学習機会の案内・受講サポート | 学習継続率の把握と支援 |
| 緊急対応 | 病気・事故・災害時の連絡・同行 | 夜間・休日の連絡体制 |
8. まとめ
本ガイドの結論は、特定技能の受入れ成功は「入管庁基準の厳格遵守」と「登録支援機関の実行力」に尽きるということです。制度の理解、役割分担、法定義務を土台に、現場で支援が回る体制を選べるかが成果を左右します。
登録支援機関の選定は、次の5軸を満たすほど安全で効果的です。1) 支援計画の質と実行体制 2) 多言語・通訳と緊急時対応 3) 業種別の実績とKPI 4) コンプライアンスと行政処分歴 5) 料金の透明性と契約の明確さ。これらは離職や紛争の抑制、監査対応力の向上に直結します。
理由として、出入国在留管理庁の登録基準・義務は、実地支援の履行、記録・報告、期限厳守で構成されているため、実行体制や通訳・緊急対応が弱い機関では不履行やトラブルが増えやすく、結果的に企業リスクが上がります。
実績とKPIは支援の再現性の証拠です。「定着率」「日本語研修の受講率」「緊急時の初動までの平均時間」などを数値で開示できる機関は、プロセスが標準化されており、品質の期待値が高いと判断できます。
費用は初期・月額に含まれる支援範囲を契約書・見積書で特定し、追加費用や違約金の発生条件を明文化することが重要です。成功報酬の定義が曖昧な契約は避け、有料職業紹介に該当する業務がある場合は厚生労働省の許可有無を確認してください。
実務フローは、事前ガイダンス・雇用契約の整備→在留資格申請・在留カード受領→受入開始・支援実施→各種届出(例:14日以内の届出など法定期限の遵守)→定期報告という順で管理します。期限管理は企業と支援機関で共有カレンダーを持つと確実です。
トラブル予防は、労働条件の適法化(労働基準法・最低賃金法の遵守)、就業規則の多言語周知、ハラスメント防止(厚生労働省の指針に沿った相談窓口・通報体制)を柱に、面談記録や支援記録を残すことでエビデンスを確保します。
信頼性の確認は、出入国在留管理庁の「特定技能」関連ページで運用要領・Q&A・行政処分公表を定期的に確認するのが最も確実です。最新の告示や通知に沿って運用を微修正できる機関ほど安心です。
実務上の推奨は、候補を3社以上比較し、現場担当者とも面談、パイロット受入れで検証、SLAとKPIを契約に明記、年1回の見直し会議を設定すること。2026年も制度運用の更新に備え、コンプライアンス第一・記録重視の運用で、安定した受入れと定着を実現しましょう。