
本記事は「ビザの種類 就労」でお探しの方が、就労可能な在留資格を一目で比較し、自分(または受入企業の候補者)に最適な区分を判断できるように、技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)/高度専門職(ポイント制)/技能/特定技能(1号・2号)を図解とチェックリストで整理します。活動内容の適合可否、学歴・実務経験の要件、受入企業の体制(社会保険・雇用契約・支援計画)、在留期間・更新・転職のルール、家族帯同、資格外活動許可、永住への道筋、よくある質問(副業・社内異動・出向の可否)まで、出入国在留管理庁が公表する審査の考え方を踏まえて網羅。ビザと在留カードの違い、在留資格変更・在留資格認定証明書の位置づけ、必要書類(雇用理由書・職務内容説明書・卒業証明書・職務経歴書等)や賃金の相当性・同等性の示し方、過去の違反履歴・在留状況の確認ポイントも具体的に解説します。結論として、許可を左右する核心は「職務内容が告示で定める活動に適合しているか」「学歴または実務経験等の裏付けがあるか」「受入企業の継続性と適法な体制が整っているか」「賃金が日本人と同等か」の4点であり、これを資料で明確に説明できれば許可取得の可能性は高まります。本記事を読めば、各在留資格の線引きと実務上のリスクを把握し、申請準備から更新・転職時の判断まで、自信を持って進められるようになります。
1. ビザの種類「就労」とは何か
「就労ビザ」は法令上の用語ではなく、就労が認められる在留資格の総称です。就労の可否や活動範囲を決めるのは在留資格であり、申請・審査・許可の主体は出入国在留管理庁です。在留資格は入国管理の基本法である出入国管理及び難民認定法(入管法)の別表に体系的に定められています。
1.1 日本の在留資格の体系
在留資格は大きく「活動に基づく在留資格」「身分・地位に基づく在留資格」「非就労系の在留資格」に区分され、原則として入管法別表第一に列挙されています。就労できるかどうかは、この区分と各在留資格の活動内容で判断されます。
| 区分 | 概要 | 主な例 | 就労の可否 |
|---|---|---|---|
| 活動に基づく在留資格 | 従事できる職務・活動が法令で特定される | 技術・人文知識・国際業務/高度専門職/技能/経営・管理/企業内転勤/研究/教育/教授/医療/介護/興行/宗教/報道 など | 可(認められた活動の範囲内) |
| 身分・地位に基づく在留資格 | 日本との身分・地位に基づく包括的な活動 | 永住者/日本人の配偶者等/永住者の配偶者等/定住者 | 可(原則として制限なし) |
| 非就労系の在留資格 | 学習・文化・家族帯同など就労を目的としない | 留学/家族滞在/文化活動/短期滞在 など | 原則不可(資格外活動許可の範囲で可) |
「就労できるか」は在留資格の活動内容と許可範囲で決まり、同じ企業・同じ職種でも在留資格が違えば可否が変わる点に注意が必要です。
1.2 就労可能な在留資格の一覧
主に就労を目的として許可される在留資格と、その就労範囲の概要は次のとおりです(代表例であり、詳細は個別審査)。
| カテゴリ | 在留資格 | 就労範囲の概要 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 専門・技術 | 高度専門職(1号・2号) | 高度人材ポイントに基づく専門活動。1号は研究・教育・経営等の複合的活動、2号は活動範囲が包括化(在留期間の定めなし) | 研究開発、大学教育、事業運営 |
| 専門・技術 | 技術・人文知識・国際業務 | 学歴または実務経験に基づく専門職 | エンジニア、通訳・翻訳、企画・マーケティング |
| 専門・技術 | 企業内転勤 | 海外の本店・支店等から日本拠点への転勤 | IT・営業・経理の社内異動 |
| 専門・技術 | 経営・管理 | 事業の経営または管理 | 代表取締役、事業統括マネージャー |
| 専門・技術 | 法律・会計業務 | 日本の資格に基づく専門業務 | 弁護士、公認会計士 |
| 専門・技術 | 研究/教授/教育 | 研究機関・大学・学校での教育・研究 | 研究員、大学教授、学校教員 |
| 専門・技術 | 医療/介護 | 医療・介護の専門職 | 医師、看護師、介護福祉士 |
| 専門・技術 | 興行/宗教/報道 | 芸能・宗教活動・報道 | 芸能人、宣教師、記者 |
| 熟練技能 | 技能 | 熟練を要する実務技能 | 料理人、建築大工、機械保守 |
| 産業分野 | 特定技能(1号・2号) | 対象分野で必要な技能・日本語水準を満たして就労(2号は在留期間の定めなし) | 製造業、建設、外食 など |
| 特定活動 | 特定活動(就労可のもの) | 法務大臣が個別指定する活動のうち就労可能な類型 | 一定の専門実務、インターン等 |
| 身分・地位 | 永住者/日本人の配偶者等/永住者の配偶者等/定住者 | 活動の制限なし(法令に反しない限り就労可) | 全般的な就労が可能 |
同じ「就労可能」でも、在留資格ごとに職務範囲・転職可否・必要書類が異なるため、求人票や雇用契約の職務内容と厳密に突き合わせて判断することが重要です。
1.3 ビザと在留カードの違い
「ビザ(査証)」は日本入国前に在外公館が発給するもので、上陸審査に必要な証明です(外務省:ビザ(査証))。一方、「在留資格」は日本での活動内容と在留期間に関する法的地位で、上陸許可や在留期間更新・在留資格変更で出入国在留管理庁により付与・許可されます(根拠法は入管法)。「在留カード」は中長期在留者に交付されるICカードで、在留資格・在留期間・住居地などを証明する本人確認書類です。
| 用語 | 発行主体 | 取得のタイミング | 主な役割 | 国内での身分証機能 |
|---|---|---|---|---|
| ビザ(査証) | 外務省(在外公館) | 入国前の申請・審査後 | 上陸審査の前提となる証印・シール/査証 | なし |
| 在留資格 | 出入国在留管理庁 | 上陸許可時/在留期間更新・資格変更の許可時 | 日本での活動範囲・在留期間の法的地位 | なし(証明は在留カード) |
| 在留カード | 出入国在留管理庁 | 中長期在留者に交付(空港交付または後日交付) | 在留資格・在留期間・住居地等の記載と証明 | あり(公的な本人確認書類) |
まとめると、ビザは「入国の鍵」、在留資格は「活動のルール」、在留カードは「その証明書」です。申請書類・審査基準・手続の窓口が異なるため、用語を正しく区別して手続きを進めましょう(例:在外公館でのビザ申請と、入管での在留資格変更・更新)。
2. 図解でわかる職務別の判断基準
判断の出発点は職種名ではなく「従事する具体的な職務内容」と、その職務に必要な専門性・経験・日本での雇用実態です。
同じ部署名・職位でも、職務内容が専門業務か単純作業かで在留資格の可否は分かれます。
2.1 専門職管理部門国際業務の判断
「技術・人文知識・国際業務」は、自然科学・人文科学の知識に基づく専門業務や、外国の文化に基盤をもつ業務(通訳・翻訳・海外取引など)を対象とします。管理部門でも、制度設計や分析など専門性が要る業務は該当し得ますが、単純な補助作業は不可となる傾向です。
2.1.1 職務内容ベースの判定マトリクス
| 主な職務例 | 想定される在留資格 | 判定ポイント | NGリスク |
|---|---|---|---|
| ソフトウェア開発・データ分析・システム設計 | 技術・人文知識・国際業務(技術) | 専門知識に基づく設計・要件定義・検証を担当し、学歴または実務経験と職務が対応 | テスト入力のみ・ヘルプデスクのみ等の単純作業中心 |
| マーケティング調査・商品企画・経営企画 | 技術・人文知識・国際業務(人文知識) | 分析・企画など思考創造活動が中心で、専攻や経験と関連 | データ入力や配布のみなど機械的作業への偏り |
| 通訳・翻訳・海外営業・貿易実務 | 技術・人文知識・国際業務(国際業務) | 外国語運用・異文化理解が不可欠で、交渉・資料作成等に継続関与 | 倉庫作業・配送など現業を主とする兼務 |
| 人事制度設計・採用戦略・研修企画/経理の月次決算 | 技術・人文知識・国際業務(人文知識) | 制度や会計基準の専門知識を用い、継続的な企画・評価・決算処理に関与 | 勤怠入力のみ・領収書貼付のみ等のルーティン |
| 一般事務・受付・ピッキング・ホールサービス | 非該当(別の在留資格の検討が必要) | 専門性を要しない単純作業が中心 | 職務過半が現業・単純労働の場合は不許可リスク高 |
2.1.2 管理部門での適否の目安
| 管理部門の具体業務 | 適否の傾向 | 判断理由 |
|---|---|---|
| 人事制度の設計・人材開発計画・採用広報 | 適合しやすい | 専門知識による企画立案・評価設計が中心 |
| 給与計算・勤怠入力・備品管理のみ | 不適合 | 定型・補助作業に偏重し専門性が乏しい |
| 月次・年次決算、税務申告の補助 | 条件付適合 | 会計知識の活用度と担当範囲、指揮命令系統の明確さで判断 |
職務記述書と学歴・実務経験の対応関係、現場での実際の配属内容、配置転換の範囲を事前に具体化できれば、審査上の不一致を避けられます。
2.2 高度専門職のポイント診断
高度専門職はポイント制で総合評価され、原則として所定のポイント基準(例:70点以上)を満たすことが求められます。評価は提出資料に基づく客観的立証が前提です。
2.2.1 主要カテゴリと評価の方向性
| カテゴリ | 評価の考え方 | 立証資料の例 |
|---|---|---|
| 学歴 | 学位の高度性が高いほど有利 | 学位記、成績証明書、専攻内容の説明 |
| 実務経験 | 専門分野での年数・職責・成果を総合評価 | 在職証明、職務内容証明、推薦状 |
| 年収見込み | 専門性に見合う水準であることが重要 | 雇用契約書、条件通知書、賃金規程 |
| 研究実績・資格 | 論文・特許・公的資格等が加点要素 | 査読論文、特許証、資格証明 |
| 年齢・日本語能力等 | 一定の年齢層や日本語能力が補完要素 | パスポート、語学試験結果 |
2.2.2 簡易シナリオ別の到達見込み
| プロフィール例 | ポイント到達の見立て | 補強策 |
|---|---|---|
| 高度学位+専門分野の豊富な成果+相応の年収 | 到達見込みが高い | 成果の定量化、職務との関連性を明示 |
| 学位は十分だが実務年数が短い | 不足の可能性 | 研究実績・資格取得で補完、業務内容の高度性を立証 |
| 実務豊富だが年収水準が専門性に見合わない | 不足の可能性 | 職位・報酬テーブルの再確認、職責の拡充 |
ポイントは自己申告では加点されず、第三者が検証可能なエビデンスで裏付けることが不可欠です。
2.3 技能特定技能の職種判定
「技能」は熟練した技能職を対象とし、相当期間の実務経験や公的資格・実績が求められます。「特定技能」は特定産業分野の現業業務における一定水準の技能・日本語力を前提とし、分野ごとの試験合格や経路要件が鍵となります。
2.3.1 技能(熟練技能)の例と判定ポイント
| 職務例 | 判定ポイント | 必要な裏付け | NGリスク |
|---|---|---|---|
| 外国料理の調理(シェフ・料理長) | 当該国特有の料理技法を用いる熟練業務 | 長期の実務経験、推薦書、メニュー・工程の説明 | 補助的な盛付・配膳が中心 |
| 航空機操縦 | 高い技能・安全管理が要件 | 操縦士資格、飛行経歴、訓練記録 | 資格・訓練の不備 |
| スポーツの指導 | 高度な競技実績や指導歴が前提 | 大会実績、指導資格、所属団体証明 | 一般的なインストラクター補助のみ |
2.3.2 特定技能(1号・2号)の例と判定ポイント
| 分野例 | 号数の目安 | 主な要件の要点 | 転職・家族帯同の注意 |
|---|---|---|---|
| 介護・外食・製造関連分野 | 1号 | 分野試験・日本語試験の合格等、支援体制の確保 | 同一分野内での転職は可(手続要)、家族帯同は原則不可 |
| 建設・造船/舶用工業 等の熟練分野 | 2号 | より高度な技能要件、経験の裏付け | 家族帯同が可能な場合あり、在留期間の上限制約が緩和 |
特定技能は分野ごとの告示・運用要領に適合しているかが核心で、実務の配属先・担当工程・支援内容まで具体化した職務設計が不可欠です。
3. 技術・人文知識・国際業務のポイント
「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)は、自然科学・人文科学の専門知識または外国の文化に基づく感性を要する業務に従事するための就労系在留資格で、単純労働や現場作業は対象外です。 職務内容の専門性、学歴・実務経験との関連性、受入企業の適正性、報酬の同等性が許可の中核要件です。
3.1 職務内容と学歴実務経験の要件
職務が専門性を要し、申請者の学歴(大学・短大・高専・専修学校専門課程〈専門士・高度専門士〉等)または実務経験(原則10年以上、国際業務は原則3年以上)と合理的に関連していることが必要です。報酬は日本人と同等以上であることが求められます。
| 種別 | 代表的職務 | 主な学歴・経験要件 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 技術 | システムエンジニア、プログラマ、機械・電気設計、品質保証(技術系) | 理工系等の関連学位、または専門士・高度専門士修了、または10年以上の実務経験 | ライン作業・倉庫仕分け等の単純作業は不可。OJT中心で専門性が乏しい配置は不許可リスク。 |
| 人文知識 | 経理、人事、法務、企画、マーケティング、コンサルティング | 法学・経済・商学・社会学等の関連学位、または専門士等、または10年以上の実務経験 | 一般事務・受付のみ等は対象外になりやすい。職務記述で専門性を明確化。 |
| 国際業務 | 翻訳・通訳、語学の指導、海外営業・貿易実務、広報、デザイン | 原則3年以上の実務経験。翻訳・通訳・語学の指導は大学卒等で経験要件の例外あり。 | 単なる語学力では不可。外国文化に基づく思考・感性を要する業務であることを示す。 |
報酬は「日本人と同等以上」であることが必要で、労働条件通知書や雇用契約書で明確に示します。 専修学校専門課程修了者(専門士・高度専門士)も、専攻分野と職務の関連があれば対象です。
3.1.1 関連性の判断と不許可になりやすい例
関連性は「専攻分野・職務内容・実務経験」の三点で説明します。例:情報工学→SE/プログラマ、経済学→経理・事業企画、外国語・文学→通訳・海外営業など。逆に、文学専攻で建設現場作業、情報工学で飲食店ホール等は専門性・関連性の不足で不許可になりやすいです。
3.1.2 契約・就業形態の注意
直接雇用が基本。労働者派遣は適法な派遣契約で、派遣先でも専門業務に従事しなければなりません。請負・委任は偽装請負に当たらない管理体制の説明が必要です。テレワークは雇用主の適切な指揮命令・勤怠管理が前提です。
3.2 受入企業の体制と社会保険
受入機関には事業の実体、継続性、適正な労務・税務・社会保険の体制が必要です。社会保険未加入や実体不明の事業所は不許可リスクが高いため、証憑を整備します。
| チェック項目 | 具体的要件 | 主な証憑例 |
|---|---|---|
| 事業実体 | 登記済・実在の事業所・連絡体制 | 履歴事項全部証明書、賃貸借契約、オフィス写真・HP |
| 継続性・収益性 | 継続的な取引・資金計画 | 直近決算書、事業計画、主要取引先の資料 |
| 労務管理 | 雇用契約と職務記述の明確化 | 雇用契約書、労働条件通知書、職務内容説明書、就業規則 |
| 報酬支払 | 同等以上の賃金、適正な支払・源泉 | 給与台帳、賃金規程、源泉徴収票、振込記録 |
| 社会保険 | 健康保険・厚生年金・雇用保険の加入 | 適用事業所番号通知、保険加入名簿、納付書 |
| 派遣の適法性 | 派遣許可・派遣契約の整備 | 労働者派遣事業許可証、派遣契約書、派遣先管理台帳 |
3.2.1 提出書類の例(抜粋)
会社側:履歴事項全部証明書、会社案内、直近の決算書等。申請者側:履歴書、卒業証明書・成績証明書、職務経歴書、資格証明等。雇用関係:雇用契約書、職務内容説明書、労働条件通知書。
3.3 在留期間更新転職の実務
在留期間の満了前に更新申請を行い、職務内容が技人国の範囲に継続して該当することを示すのが基本です。転職時は「所属機関に関する届出」を14日以内に行い、同一在留資格の範囲で専門性と関連性が維持される場合は原則として在留資格の変更は不要です。正当な理由なく3か月以上活動実態がない場合、在留資格取消しの対象となり得ます。
| ケース | 必要手続 | ポイント |
|---|---|---|
| 同系職務への転職(例:SE→SE) | 14日以内の届出+更新時に新雇用契約等を提出 | 職務記述で専門性と関連性を継続立証。賃金・社会保険の同等性も確認。 |
| 業務内容の大幅変更(例:SE→飲食接客) | 在留資格変更が必要(許可困難) | 技人国の範囲外は不許可リスクが高い。配置転換時は事前に人事配置の説明資料を整備。 |
| 出向・派遣で勤務場所変更 | 届出+契約・業務フローの説明 | 派遣法遵守、指揮命令・勤怠管理の実態、専門業務の継続を示す。 |
| 休職・離職中 | 届出+正当事由の説明 | 療養等の正当事由があれば説明資料を用意。長期空白は取消しリスクに注意。 |
3.3.1 更新のタイミングと留意点
更新申請は在留期間満了の概ね3か月前から可能です。直近の源泉徴収・社会保険加入状況、出勤実績、職務内容の専門性が維持されていることを整合的に示してください。
4. 高度専門職のポイント
高度専門職は、ポイント制で審査される在留資格で、学歴・年収・実務経験・研究実績などの合計が一定基準以上であることが求められます。対象は高度専門職1号(高度学術研究・高度専門/技術・高度経営管理)と、高度専門職2号(長期在留と活動範囲の大幅緩和)に大別されます。高度専門職1号は原則70点以上で許可対象、1号での活動実績を積むと2号への移行が可能です。
| 区分 | 主な対象活動 | 在留期間 | 主な優遇 |
|---|---|---|---|
| 高度専門職1号 | 高度学術研究(研究者等)/ 高度専門・技術(エンジニア等)/ 高度経営管理(企業の経営・管理) | 最長5年 | 複合的な活動の許可、配偶者の就労緩和、親の帯同等の特例、永住許可の早期申請が可能 |
| 高度専門職2号 | 1号での活動実績を前提に、許容される就労活動の範囲が大幅に緩和 | 無期限 | 在留期間の上限撤廃、活動範囲の緩和、家族に対する特例を継続 |
4.1 学位年収研究実績の加点要素
ポイントは、申請者の学歴、職務経歴、年収見込み、研究・専門実績、受入機関の体制、日本語能力などを総合評価して算出されます。区分(研究・専門/技術・経営管理)により配点項目の重みが異なります。
4.1.1 対象となる活動区分
| 区分 | 典型例 | 留意点 |
|---|---|---|
| 高度学術研究 | 大学・公的研究機関・企業研究所の研究者、教授、リサーチサイエンティスト | 学位・論文・特許・研究費獲得実績が評価対象 |
| 高度専門・技術 | AI/ITエンジニア、設計、コンサルタント、データサイエンティスト | 学位・実務経験・年収見込み・日本語能力が中心 |
| 高度経営管理 | 代表取締役、取締役、事業責任者、スタートアップ創業者 | 経営経験、事業規模、雇用創出、資金調達の実績等が評価 |
4.1.2 ポイント計算の主な項目
| 加点項目 | 主な内容 | 立証資料の例 |
|---|---|---|
| 学歴 | 博士・修士・学士などの最終学位 | 学位記、成績証明書、学歴証明 |
| 職務経歴 | 専門分野での実務年数、役職、マネジメント経験 | 職務経歴書、在職証明、雇用契約書 |
| 年収見込み | 日本での年間報酬(給与・賞与等) | 内定通知書、雇用条件通知書、労働条件通知書 |
| 研究・専門実績 | 査読論文、学会発表、特許、受賞、プロダクト実績 | 出版物リスト、特許証、受賞証明、ポートフォリオ |
| 受入機関の体制 | 上場企業・公的研究機関等での雇用、研究費・人員体制 | 会社登記、上場区分、研究体制説明書 |
| 日本語能力 | 日本語能力試験(JLPT)等のレベル | 合格証、語学証明 |
| 年齢・管理実績等 | 若年加点(区分により異なる)、役員経験、投資規模等 | 戸籍・旅券、生年月日証明、役員就任登記 |
4.1.3 申請のコツ
「客観的に点数化できる項目」を漏れなく立証することが最重要です。内定通知・給与証明・論文/特許の原本や受入機関の体制説明を整え、申請人本人の職務とポイント項目の関連性を具体的に記述します。
4.2 家族帯同永住引越しの優遇
高度専門職には、家族帯同・就労・永住に関する優遇や、手続の迅速化などの特例があります。
4.2.1 家族帯同・配偶者就労の特例
配偶者・子は「家族滞在」で帯同できます。さらに高度専門職の配偶者は、指定活動によりフルタイム就労が可能です。一定の条件(年収要件や同居・扶養など)を満たす場合、申請人または配偶者の父母帯同や家事使用人の受入が認められる特例があります。
4.2.2 永住許可の優遇
高度人材としてポイント要件を満たし継続在留した場合、一般要件(素行善良、独立生計、納税・年金加入など)を満たすことを前提に、70点で概ね3年、80点で概ね1年で永住許可申請が可能です。
4.2.3 在留・届出(引越し/転勤時)の実務
在留期間は1号で最長5年、2号は無期限です。住所変更は転入後14日以内に市区町村窓口で在留カード記載住所の変更届を行います。所属機関(雇用先)を変更した場合は、14日以内に出入国在留管理庁へ届出が必要です。
4.3 起業スタートアップでの活用
創業・事業拡大には「高度経営管理」(高度専門職1号(経営管理))の活用が有効です。研究者・技術者が事業化に移行する場合も、要件を満たせば経営管理区分や複合的な活動への切替えが検討できます。
4.3.1 要件と計画
事業所の確保、継続性のある事業計画、資金調達・雇用体制、社会保険・労務コンプライアンスを備え、ポイント項目(学歴、年収、経営実績等)で基準点を満たします。「事業の実在性」と「経営に実質関与していること」を客観資料で示すことが重要です。
4.3.2 典型的な手続フロー
事業計画・資本準備 → 会社設立・登記 → 事務所契約 → 銀行口座・税務/社会保険手続 → 在留資格(変更・取得)申請 → 従業員の雇用契約・労務体制整備。
4.3.3 留意点
許可後の実態が計画と乖離しないよう、売上・雇用・オフィスの維持やガバナンスを継続管理します。研究開発型の場合は、特許・共同研究契約・助成金採択の記録を整理し、次回更新や高度専門職2号移行時の立証に備えます。
5. 技能のポイント
「技能」は、長年の訓練で培われた熟練技能を必要とする実務に従事するための在留資格であり、単純労働ではなく高度な手作業・工芸・施工・調理などの技能が審査の中心となります。
5.1 料理建設機械保守などの熟練要件
審査では、対象業務が「熟練技能」であること、かつ申請人がその技能を裏づける十分な経歴・資格を備えることが要点です。一般的に実務経験は相当年数(目安として通算10年程度)を求められ、職種によっては国内外の公的資格や技能検定等で代替・補強できる場合があります。
| 主な業務領域 | 典型的な熟練要件の目安 | 審査上の注意点 |
|---|---|---|
| 外国料理の調理 | 通算10年前後の実務経験(調理学校等の在学期間を一部算入可の場合あり) | 「外国料理としての専門性」「メニュー・ポジションの具体性」を資料で明確化 |
| 建設関連の熟練作業(例:型枠・石工・屋根・左官 等) | 長期の実務経験、または技能検定等の上位級・同等の技能を示す証憑 | 安全管理体制・現場配置・雇用契約の直接性を明示 |
| 機械保守・金属加工等の熟練作業 | 現場での長期経験、設備・治具の取扱い実績、関連資格(技能検定 等) | 対象機械・工程・品質基準を特定し、単純作業との線引きを記述 |
| 伝統工芸・装飾・家具製作 等 | 作品・施工実績、受賞歴、弟子入りや工房での長期修業 | 作品写真や仕様書・注文書で熟練度を客観化 |
5.1.1 該当しやすい職務例
厨房でのメニュー開発と調理指導、建設現場での難易度の高い施工工程、工場での高度な段取り替えや機械保全、工房での一点物の製作など、熟練を要する上級実務が中心です。
5.1.2 経験年数・資格の目安
経験は「何年」といった量だけでなく、扱ってきた製品・材料・工程の難度や自律度、後進指導の実績を質的に示すことが重要です。公的資格・技能検定・受賞歴・社内認定は強い補強材料となります。
5.2 技能の立証と推薦書の作成
審査を通す鍵は、経歴と職務内容の「対応関係」を具体資料で示すことです。提出書類は相互に矛盾なく、時系列が通るよう構成します。
5.2.1 立証資料チェックリスト
| 資料 | ポイント | 不備防止 |
|---|---|---|
| 職務経歴書 | 工程・使用機材・難易度・役割(指導・検査含む)を具体化 | 年月・在籍先・ポジションの齟齬をなくす |
| 在職・退職証明 | 従事職務の記載、フルタイム性、雇用形態 | 原本性・発行日・社印の明確化 |
| 資格・技能検定合格証 | 級・分野・発行機関を明記し写し添付 | 氏名表記・番号の一致 |
| 実績資料(写真・図面・レシピ・検査記録) | 本人関与の範囲と成果を注記 | 機密情報はモザイク等で配慮 |
| 雇用契約書・職務記述書 | 就業場所・指揮命令・賃金・社会保険を明記 | 契約主体・期間・更新条件の整合 |
5.2.2 推薦書の骨子
推薦者(現雇用主や元上司)が、申請人の熟練度を第三者が検証可能な形で記載します。
- 対象分野における技能レベル(基準・規格・歩留まり・難工程の担当歴)
- 現場での自律性・安全管理・後進指導の実績
- 受賞・顧客評価・重大トラブル対応などの具体例
推薦書は賛辞ではなく、客観的事実とデータで「熟練」を裏づける技術報告書として作成します。
5.3 現場配属と配置転換の留意点
入管審査は「申請時の職務」に基づくため、配属後も同質の熟練実務に従事させる運用が必要です。配置転換や就業場所変更は、在留資格の活動範囲から逸脱しないか事前に精査します。
5.3.1 配属時の実務ルール
- 配属先は申請書・契約書に記載の事業所・現場を基本とし、指揮命令系統を明確化
- 熟練工程(基幹作業・検査・段取り・指導)を主担当とし、単純反復作業への恒常的配置は回避
- 安全衛生教育・工具設備の整備、作業標準書の言語対応
実務が「熟練技能」の核心から離れると、更新・在留継続の許可リスクが高まります。
5.3.2 契約変更・転勤時の手続
- 雇用条件・就業場所・所属機関が変わったときは、法定の届出(14日以内)の履行
- 職務の実質が変わる場合は、在留資格の適合性を再確認し、必要に応じ「活動の変更」や契約書差替えで整合
- 多拠点運用は、現場ごとの業務内容・指揮命令・安全体制を文書化して説明可能にしておく
手続や必要書類の基本は、出入国在留管理庁の案内を参照し最新版を確認してください(出入国在留管理庁)。
6. 特定技能のポイント
6.1 一号二号の相違と受入可能業務
「特定技能1号」は現場の即戦力を最長通算5年まで受け入れる枠組み、「特定技能2号」は熟練人材を更新上限なく受け入れられる枠組みです。いずれも所在国・日本国内の試験や受入体制の整備など厳格な要件があり、労働条件は日本人と同等以上でなければなりません(同等報酬要件)。制度の公式情報は特定技能制度ポータルサイト(出入国在留管理庁)および出入国管理及び難民認定法(e-Gov法令検索)をご確認ください。
| 区分 | 技能水準 | 日本語要件 | 在留期間 | 家族帯同 | 支援計画 | 転職 | 主な就労内容 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 特定技能1号 | 相当程度の知識・経験を要する技能 | 日本語試験(JLPT N4相当等) | 通算最長5年 | 原則不可 | 受入機関または登録支援機関の支援義務あり | 可(所定の届出・手続が必要) | 現場業務中心(分野が定める範囲) |
| 特定技能2号 | 熟練した技能 | 法令上の一律要件なし(分野の基準による) | 更新上限なし | 配偶者・子の帯同可 | 支援義務なし | 可(所定の届出・手続が必要) | 現場に加え一定の指導・管理的業務も可(分野基準) |
6.1.1 受入可能業務の例
受入は「特定産業分野」に限定され、各分野の業務範囲・基準で判断します。最新の対象分野・職務範囲は特定技能制度ポータルサイトで必ず確認してください。
| 分野(例) | 代表的な業務例(例示) |
|---|---|
| 介護 | 施設介護・訪問介護における身体介護、生活支援等(医行為を除く) |
| 建設 | とび・型枠・土工、配管、左官等の現場作業 |
| 造船・舶用工業 | 溶接、塗装、機械加工、艤装等 |
| 自動車整備 | 点検・整備・検査等(道路運送車両法の範囲) |
| 航空 | グランドハンドリング、機体整備補助、搭載業務等 |
| 宿泊 | フロント、接客、レストランサービス、館内案内等 |
| 農業 | 耕種農業・畜産における栽培・飼養管理・出荷作業等 |
| 漁業 | 養殖、沿岸・沖合漁業の操業補助、選別等 |
| 自動車運送業 | トラック運送、バス、タクシーの運転手等 |
| 飲食料品製造 | 食肉・水産・惣菜・製菓等の製造・包装等 |
| 外食業 | 調理補助、接客、店舗管理補助等 |
| ビルクリーニング | 建物内清掃(衛生・安全基準に適合) |
| 製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連) | 鋳造・鍛造・板金・仕上げ、機械加工、組立、検査等 |
6.2 試験在留期間転職の可否
特定技能1号は「分野別の技能試験」+「日本語試験(JLPT N4相当又はJFT-Basic)」が原則で、分野により追加要件があります。介護は「介護技能評価試験」等の合格が必要です。技能実習2号・3号修了者は、日本語試験が免除され、また同一分野に限り技能試験が免除される運用があります(最新の免除範囲は公式情報で確認)。
在留期間は、1号が通算最長5年、2号は更新上限なしです。転職は1号・2号とも可能ですが、受入機関の基準適合・雇用契約の締結・所定の届出が前提で、分野をまたぐ場合は新分野の技能試験に合格していることが求められます。
| 場面 | 手続き・判断のポイント |
|---|---|
| 新規取得 | 技能試験・日本語試験の合格証明、適正な雇用契約、支援計画(1号)を準備 |
| 更新 | 活動実績、雇用継続、社会保険加入状況、支援実施(1号)を確認 |
| 受入機関の変更 | 契約終了・新契約の届出、支援の引継ぎ(1号)、在留カード記載事項の更新 |
| 分野をまたぐ転職 | 新分野の技能試験合格が必要、活動内容が在留資格の範囲内か精査 |
試験合格と適正な受入体制、同等報酬・社会保険加入の担保が許可の中核です。詳細は特定技能制度ポータルサイトの最新ガイドラインをご参照ください。
6.3 支援計画住居生活ガイダンス
特定技能1号では受入機関(または登録支援機関)が「支援計画」に基づき生活・就労の包括支援を実施する義務があります(2号は義務なし)。支援は母語等で理解できる形で行い、実施記録を保管します。
| 支援項目(1号) | 概要 |
|---|---|
| 事前ガイダンス | 労働条件・業務内容・安全衛生・相談窓口等を来日前に説明 |
| 出入国・生活立上げ | 空港送迎、住居確保、携帯・金融口座・ライフライン契約の支援 |
| 生活オリエンテーション | ごみ分別、交通、災害時対応、地域ルール、医療の受け方等の案内 |
| 日本語学習機会 | 学習機会の提供または情報提供(勤務との両立配慮) |
| 相談・苦情対応 | 職場・生活の相談対応、必要時の通訳手配、関係機関連携 |
| 転職支援(契約終了時) | 求職支援、住居・生活の継続支援、届出手続の案内 |
| 適正就労の確保 | 同等報酬・労基法・最低賃金・社会保険加入の確認と是正 |
支援の全部または一部は出入国在留管理庁に登録された「登録支援機関」へ委託可能です。受入機関は、支援体制・記録・再発防止策などコンプライアンスを常時点検してください。
受入前の適切な職務設計と、来日直後からの生活・言語支援が、定着と許可維持の鍵です。
7. 学生家族から就労ビザの種類へ変更
「留学」や「家族滞在」からフルタイムで働ける在留資格(主に「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」)へは、在留資格変更許可申請で切り替えます。申請は本人または所属機関が地方出入国在留管理局で行い、許可後に在留カードが更新されます。制度や最新様式は出入国在留管理庁HPを参照してください。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 手続名 | 在留資格変更許可申請 |
| 申請先 | 管轄の地方出入国在留管理局 |
| 申請人 | 本人(所属機関職員・申請取次者による提出も可) |
| 手数料 | 6,000円(収入印紙/許可時に納付)※オンライン申請は5,500円 |
| 受取物 | 在留カードの在留資格・在留期間が更新 |
7.1 留学から技術人文知識国際業務への変更
大学・短大・専門学校等を卒業(見込を含む)し、学んだ分野と関連する専門業務へ就く場合に検討します。予定する職務・学歴(または実務経験)・給与の相当性・受入企業の体制が審査の要点です。
| 審査ポイント | 確認の観点 |
|---|---|
| 学歴/実務経験 | 専攻と職務の関連性があること。関連学歴がない場合は通算10年以上の実務経験等で補完。 |
| 職務内容 | 専門性のあるホワイトカラー業務(例:システム開発、機械設計、マーケティング、会計、通訳・翻訳 等)。「国際業務」は原則3年以上の経験(通訳・語学指導は大学卒等で代替可)。 |
| 賃金相当性 | 日本人と同等以上の報酬水準であること(雇用契約書で確認)。 |
| 受入体制 | 社会保険加入、適法な労務管理、事業の継続性・安定性(会社の概要資料・決算書等)。 |
主な提出資料例(追加資料を求められることがあります)
| 提出者 | 資料例 |
|---|---|
| 本人 | 申請書、写真、在留カード・旅券、履歴書、卒業(見込)証明書、成績証明書、資格外活動許可(所持時)、内定通知書 |
| 企業 | 雇用契約書、職務内容説明書・雇用理由書、登記事項証明書、直近期の決算書・会社案内、社会保険加入状況の分かる資料 |
許可が出るまでは「留学」の活動が原則で、アルバイトは資格外活動許可の範囲のみ可能です。
7.2 家族滞在から特定技能への変更
「家族滞在」からフルタイム就労を目指す場合は「特定技能」を選択肢にします。特定技能1号は対象分野ごとの技能評価試験と日本語力(例:JFT-BasicまたはJLPT N4相当)が必要で、受入機関の支援体制・契約条件の適正性が審査されます。制度の要件・試験情報は特定技能制度ポータル(SSW)および日本語能力試験(JLPT)を参照してください。
| 区分 | 主な要件・ポイント |
|---|---|
| 特定技能1号 | 分野別の技能評価試験合格+日本語要件、分野に該当するフルタイム雇用契約、受入機関の届出・支援計画と履行、転職・在留期間の管理 |
| 特定技能2号 | 熟練技能が必要、在留期間の上限なし・家族帯同可(要件あり)。対象分野や受入要件は最新の公表に従う。 |
主な提出資料例
| 提出者 | 資料例 |
|---|---|
| 本人 | 申請書、写真、在留カード・旅券、技能評価試験合格証、日本語能力を示す資料 |
| 受入機関 | 雇用契約書、分野要件確認書類、支援計画書、体制説明資料(担当者・登録支援機関の契約書等)、登記事項証明書・決算書 |
「家族滞在」の資格外活動許可ではフルタイム就労は不可のため、特定技能に許可が切り替わるまでは上限時間内の就労にとどめます。
7.3 資格外活動許可の利用範囲
在留資格本来の活動以外で報酬を受ける活動を一定範囲で認めるのが資格外活動許可です。包括許可が一般的で、違反すると在留資格取消し・更新不許可のリスクがあります。
| 在留資格 | 就労時間上限 | 特例 | 禁止事項 |
|---|---|---|---|
| 留学 | 週28時間以内 | 学校が定める長期休業中は週40時間以内 | 風俗営業等に該当・接待を伴う業務は不可、事業経営は不可 |
| 家族滞在 | 週28時間以内 | 長期休業の特例なし | 風俗営業等に該当・接待を伴う業務は不可、事業経営は不可 |
在留資格変更許可が出るまでは、資格外活動許可の範囲を超えて就労できません。申請中の内定者・内々定者も同様です。
8. 許可率を上げる書類作成と注意点
在留資格の審査は書類中心の総合判断であり、事実関係を矛盾なく裏付ける立証資料の整備が許可率を左右します。以下は、技術・人文知識・国際業務、高度専門職、技能、特定技能に共通する実務的な作成要点です。様式や最新の提出書類は出入国在留管理庁の公式情報(出入国在留管理庁)を参照してください。賃金水準の根拠には厚生労働省が公表する最低賃金情報(厚生労働省・地域別最低賃金)を、法令要件の確認には法令データ(e-Gov法令検索)が有用です。
8.1 雇用理由書職務内容説明書の書き方
雇用理由書と職務内容説明書は、在留資格と職務の適合性、採用必要性、受入体制を具体的に示す中核資料です。求人票・雇用契約書・就業規則・組織図・事業内容と整合させ、客観的資料で裏付けます。
8.1.1 採用経緯と必要性
募集背景、採用プロセス(求人媒体・選考基準・最終決定者)、日本人採用で代替困難な理由を、定量(受注案件、顧客要件、言語要件)と定性(専門性)で記載します。
8.1.2 職務内容と在留資格の適合性
担当業務を日常的行為ではなく専門業務として分解し、要する知識・技能と学歴・実務経験の対応関係を明示します。技術・人文知識・国際業務では「専門性・学歴/実務の相当性」、技能では「熟練度と実務年数」、特定技能では「試験合格・分野適合」を具体化します。
8.1.3 体制・指揮命令系統・就業場所
部署、上長、指揮命令系統、配置転換の有無、出向の要否を記載し、派遣・請負と混同されないよう自社管理であることを明確化します。就業場所が複数ある場合は住所と勤務実態を示します。
8.1.4 添付資料の整合性チェック
事業概要(会社案内・登記事項証明書)、決算書(直近期)、社会保険適用状況、在留カード写し、旅券写し、写真、雇用契約書、職務記述書、組織図、賃金台帳(更新・転職時)などの記載齟齬を事前に点検します。
| 項目 | 目的 | 立証資料例 | 典型的不備 |
|---|---|---|---|
| 採用必要性 | 人員計画の合理性 | 求人票、選考記録、受注計画 | 抽象的表現のみ(「人手不足」等) |
| 職務の専門性 | 在留資格との適合 | 職務記述書、業務フロー、成果物 | 雑務混在、アルバイト業務と同質 |
| 体制・管理 | 適正な労務管理 | 組織図、就業規則、勤務表 | 派遣/請負の実態と誤認される記載 |
| 会社の継続性 | 安定雇用の裏付け | 決算書、納税証明、社会保険加入 | 赤字理由の説明不足、未加入 |
8.2 賃金相当性と同等性の示し方
賃金は「相当性(学歴・職務・市場水準に見合う)」「同等性(日本人と同待遇)」の双方で説明し、最低賃金や所定内賃金、残業代、各種手当、社会保険を含めて整合させます。
8.2.1 相当性の整理
学士・修士・専門学校などの学歴、実務年数、担当職務の難易度、勤務地の市場賃金を踏まえ、金額根拠を文書化します。求人票・オファーレター・社内賃金テーブルの整合が重要です。
8.2.2 同等性の立証
同職種・同等学歴の日本人従業員の賃金台帳や人事制度の抜粋を提示し、外国人であることのみを理由とした不利益取扱いがないことを示します。固定残業代を用いる場合は所定時間・算定根拠・超過分の清算方法を明記します。
8.2.3 数値で示すチェックポイント
所定労働時間、基本給、各種手当、賞与の有無、通勤手当、時間外割増率、社会保険加入状況(健康保険・厚生年金・雇用保険)を具体の数値で記載し、雇用契約書・就業規則と一致させます。地域別最低賃金を下回らないことを確認します(参照:厚生労働省 最低賃金)。
| 観点 | 必要書類 | 判定基準の一例 |
|---|---|---|
| 所定内賃金 | 雇用契約書、賃金規程 | 地域別最低賃金以上、職務・学歴と均衡 |
| 時間外割増 | 就業規則、残業代算定例 | 法定割増率以上、固定残業の明確化 |
| 同等性 | 賃金台帳、給与テーブル | 同職務の日本人と同等以上 |
| 社会保険 | 適用事業所番号、加入届の控え | 基準該当時は原則加入済み |
| 源泉徴収 | 源泉徴収簿、納付書控え | 法定に従い徴収・納付 |
8.3 過去の違反履歴と在留状況の確認
申請人と受入機関の遵法性は審査の重要要素です。違反の隠匿は不交付・却下や在留不良評価につながるため、事前点検と補正を徹底します。
8.3.1 申請人の適法性確認
在留カードの有効性、在留期間、在留資格外活動許可の有無、出入国歴、転職・退職の時系列、納税状況(住民税・所得税)、住居届出を確認します。更新や資格変更前の無就労期間が長い場合は理由書で説明し、就労資格証明書の取得でリスクを低減します。
8.3.2 受入機関の遵法性確認
社会保険・労働保険の適用、源泉所得税の納付、外国人雇用状況届出、労基法違反の有無、反社会的勢力と無関係である旨の誓約、適切な監督体制を提示します。赤字決算の場合は資金繰り・受注見込み等で継続性を説明します。
8.3.3 更新・転職時の留意点
退職・転職時の届出(14日以内)、賃金台帳・出勤簿による勤務実態、雇用契約の切替時期、在留期間更新の審査期間を見込んだスケジュール管理を行います。補正指示・追加資料・質問書が来た場合は、事実に基づき一貫した説明資料で迅速に対応します。
| 確認事項 | 自己点検の要点 | 補正・対応例 |
|---|---|---|
| 在留履歴 | 在留期間・活動実績・違反の有無 | 理由書、勤務実績表、資格外活動許可の写し |
| 納税・保険 | 住民税、源泉税、社会保険の加入・納付 | 納税証明、保険加入書類、未納の解消 |
| 会社の体制 | 適正な雇用・労務管理 | 就業規則の整備、指揮命令系統の明確化 |
| 文書整合 | 申請書・契約書・説明書の一致 | 表記統一、数値・日付の再確認 |
虚偽記載や重要事実の欠落は重い不利益を招きます。申請人・受入機関ともに、申請書、雇用理由書、職務内容説明書、雇用契約書、賃金台帳、決算書等の整合をとり、客観資料で裏付けたうえで提出してください。最新の必要書類や様式は必ず出入国在留管理庁の公表情報で確認しましょう。
9. よくある質問
9.1 副業社内異動出向の可否
就労系の在留資格は「在留資格で認められた職務内容の範囲内」であれば複数の勤務先・勤務地でも原則可能、範囲外の仕事は資格外活動許可が必要というのが基本です。契約先や勤務形態の変更があれば所定の届出・手続を必ず行います。
9.1.1 基本原則
・在留資格ごとの「職務内容(活動内容)」に合致することが前提。単純労働は不可。活動内容が少しでも逸脱する場合は「資格外活動許可」を事前に取得します。
・雇用主の追加・変更、出向・派遣等で「契約機関」が変わるときは、原則14日以内に出入国在留管理庁への「契約機関に関する届出」を行います。
9.1.2 在留資格別の可否
| 在留資格 | 副業 | 社内異動 | 出向・派遣 | 主要な留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 可(同一カテゴリーの専門業務に限る/届出) | 可(職務が適合) | 可(職務適合・契約関係の明確化・届出) | 業務内容の説明資料、就業規則・労働時間管理、社会保険加入の整合性 |
| 高度専門職 | 可(認められた活動の範囲内/届出) | 可 | 可(職務適合・契約関係の明確化・届出) | 複線的な活動が認められるが、活動範囲の逸脱は不可 |
| 技能 | 原則不可 | 可(同一の熟練作業範囲) | 原則不可 | 熟練技能に該当する実作業に限定、配置転換は職務適合性を厳密に確認 |
| 特定技能1号 | 原則不可 | 限定可(同一分野・支援体制維持) | 不可 | 転籍は所定手続が必要、支援計画の継続が前提 |
| 特定技能2号 | 原則不可 | 可(同一分野) | 原則不可 | 契約先限定の運用が基本、手続・届出は厳格 |
9.1.3 手続と届出の要点
・副業や兼務を開始・終了・変更した場合は、該当者の在留資格で届出義務が課されているとき、14日以内に「契約機関に関する届出」を実施します。
・職務が在留資格の範囲外に及ぶ場合は、就労前に「資格外活動許可」を申請・取得します。
出向・派遣は職務の適合性、契約関係(三者契約の整合)、労働者派遣法の遵守、社会保険の帰属を文書で説明できる状態にしておくことが重要です。
9.2 配偶者と子の帯同条件
帯同は在留資格・家族関係・生計維持能力により可否や条件が異なります。家族滞在の在留期間は原則として本体となる在留資格の期間に連動し、配偶者・子の就労は資格外活動許可の範囲内(週28時間以内)です。
9.2.1 在留資格別の帯同可否一覧
| 主たる在留資格 | 帯同の在留資格 | 配偶者帯同 | 子の帯同 | 家族の就労可否 | 主な要件 |
|---|---|---|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 家族滞在 | 可 | 可 | 資格外活動許可で週28時間以内 | 婚姻・親子関係の公証、安定収入・住居、健康保険・年金加入 |
| 高度専門職 | 家族滞在等 | 可(特例あり) | 可(特例あり) | 資格外活動許可で週28時間以内 | 特例として一定条件下で親の帯同や家事支援者の受入れが可能 |
| 技能 | 家族滞在 | 可 | 可 | 資格外活動許可で週28時間以内 | 熟練技能での安定雇用と生計維持能力 |
| 特定技能1号 | — | 不可 | 不可 | — | 家族帯同は認められていない |
| 特定技能2号 | 家族滞在 | 可 | 可 | 資格外活動許可で週28時間以内 | 契約安定性と生計維持能力の証明 |
9.2.2 実務ポイント
・婚姻証明書・出生証明書は原本と日本語訳を用意し、国ごとの公証・認証要件を確認します。
・世帯年収、雇用契約、課税(所得課税証明書・納税証明書)と社会保険加入の一貫性を示します。
家族滞在での就労は必ず「資格外活動許可」を取得してから開始し、時間上限と業種制限を守ることが必要です。
9.3 永住帰化への道筋
永住は国籍はそのままで在留制限がなくなる許可、帰化は日本国籍を取得する許可という違いがあります。要件・管轄・審査の観点が異なります。
9.3.1 永住と帰化の比較
| 項目 | 永住許可 | 帰化許可 |
|---|---|---|
| 管轄 | 出入国在留管理庁 | 法務局(法務省) |
| 主な要件 | 素行善良・独立生計・原則10年在留(うち就労・居住期間を含む)、税・社会保険の適正 | 素行善良・生計能力・引き続き5年以上の日本居住など、原則として重国籍解消 |
| 短縮特例 | 高度専門職はポイントに応じて最短1年(80点)/3年(70点) | 日本人配偶者等で短縮例あり(個別審査) |
| 国籍の取扱い | 変更なし(母国籍のまま) | 日本国籍取得(原則として元の国籍は離脱) |
| 就労・転職の自由 | 制限なし(在留活動の範囲制限がなくなる) | 日本国民として制限なし |
9.3.2 手続の流れ(概要)
・永住:必要書類(在職・収入・納税・社会保険・身元保証人など)を準備し、居住地を管轄する出入国在留管理局へ申請します。
・帰化:法務局で事前相談の上、戸籍・国籍・居住・生計・納税等の資料を揃えて申請します。
9.3.3 留意点
納税・年金の未納や度重なる交通違反は審査に不利です。連続した在留・就労履歴、社会保険の適正加入、安定収入を客観資料で示してください。
家族帯同者も含め、住民登録・住所変更・雇用先変更の届出は期限内に行い、在留カード情報と各種公的記録の整合性を保つことが重要です。
10. まとめ
就労目的の在留資格は、従事する職務内容・本人の学歴や実務経験・受入企業の体制という三点の整合性で判断されます。最初に職務の実態を正確に把握し、それに最も適合する在留資格を選ぶことが許可の近道です。
専門性が中心のオフィスワークであれば「技術・人文知識・国際業務」、高い年収・学位・研究実績などの総合力で優遇を受けるなら「高度専門職」、熟練を要する現業系の職務は「技能」、分野が定められた人手不足対策で試験等により技能・日本語を確認する枠組みは「特定技能」を軸に検討します。迷ったときは「職務の中身」から逆算して当てはめるのが基本方針です。
「技術・人文知識・国際業務」は、職務内容が自然科学・人文科学・国際業務の専門性に当てはまることと、学歴または実務経験の関連性が鍵です。現場作業中心の配置や、専門性の説明が弱い職務記述は不利になるため、実態に即した職務設計と説明資料の精度が許可の成否を左右します。
「高度専門職」はポイント制で、学位・職歴・年収・研究業績などの総合点で評価されます。家族帯同の優遇や在留上の柔軟性、永住許可に関する優遇措置などのメリットがあるため、条件を満たす人材には最優先で検討する価値があります。研究開発や事業化を伴う採用・起業の場面でも有効です。
「技能」は料理や建設などの熟練技能を要する職務が対象で、技能の客観的な裏付けが要となります。資格・受賞・実務経歴・推薦書などで技能水準を立証し、現場配属や配置転換が在留資格の範囲から外れないよう運用面まで設計しておくことが重要です。
「特定技能」は対象分野・業務が告示で定められており、試験等で技能・日本語を確認するのが原則です。特に一号では受入機関による支援が義務付けられるため、支援計画・住居確保・生活ガイダンスの実施体制を整えることが実務上の肝となります。二号は在留上の優遇があるため、要件と運用を区別して管理します。
在留資格変更(留学・家族滞在から就労系への変更)は、内定先の職務と本人要件が適合していることが前提です。手続は在留期限に余裕をもって進め、在学中や家族滞在中の活動が適法であったかも併せて点検します。資格外活動許可の範囲を超える就労は行わないことが原則です。
許可率を左右する実務の結論は、雇用理由書・職務内容説明書の具体性、賃金の相当性と日本人との同等性の根拠、社会保険加入・労務管理の適法性、そして過去の違反歴がないことの四点を、矛盾のない資料で示すことです。求人票・雇用契約・組織図・就業規則の整合性も必ず確認します。
副業・社内異動・出向は、在留資格で認められた活動の範囲内であれば可能ですが、範囲を超える場合は資格外活動許可や在留資格変更が必要です。家族帯同や永住・帰化の可否は在留資格ごとに要件が異なるため、計画段階で確認し、在留中の遵法性と安定した生計維持を一貫して示すことが重要です。
最終的な結論として、就労系在留資格は「職務と要件の適合性」「受入体制の適法性」「資料の一貫性」を満たせば許可の可能性が高まります。最新の制度・運用は出入国在留管理庁の公表情報を確認し、事案に応じて専門家に相談しながら、採用計画と在留手続きを並行して設計することを推奨します。