コラム 就労ビザ

就労ビザが切れるとどうなる?オーバーステイで強制送還も!今すぐ確認すべき対処法と注意点

行政書士 松浪 正治

ビザ申請を専門にしている大阪府枚方市の行政書士です。 オンライン申請により全国対応可能です。

日本で働き続けるために不可欠な就労ビザですが、もしその期限が切れてしまったらどうなるのでしょうか。「気づいたら在留期間の満了日が目前に迫っていて焦っている」「仕事が忙しくて、うっかり更新手続きを忘れてしまったらどうしよう」など、ご自身のビザの状況に不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。結論から申し上げますと、就労ビザの在留期間がたとえ1日でも過ぎてしまうと、その瞬間から「不法滞在(オーバーステイ)」という状態になり、出入国管理及び難民認定法(入管法)に違反する深刻な事態に陥ります。これは決して「うっかりミス」では済まされない問題であり、発覚した場合は日本から強制的に退去させられる「退去強制(いわゆる強制送還)」の対象となる可能性があります。さらに、退去強制処分を受けると、原則としてその後5年間(悪質な場合は10年間)、日本への再入国が認められなくなります。加えて、「3年以下の懲役もしくは禁錮または300万円以下の罰金」といった刑事罰が科されることもあり、これまで日本で築き上げてきたキャリアや生活のすべてを失いかねない、非常に重いリスクを伴うのです。この記事では、就労ビザが切れることで生じる具体的な法的リスクを詳しく解説するとともに、そうした最悪の事態を避けるための具体的な対処法を状況別に分かりやすく紹介します。在留期間がまだ残っている方向けの正しい更新手続きの方法、申請を開始すべき時期や必要書類、万が一申請中に在留期間が過ぎてしまった場合の「特例期間」についても解説します。また、「うっかり」ビザの期限が切れてしまった場合に、ダメージを最小限に抑えるために取るべき最善の行動についても詳しく説明しますので、当事者の方は落ち着いて読み進めてください。さらに、更新忘れを未然に防ぐための在留カードの確認方法や、転職時に見落としがちな手続きの注意点、不安な時に頼れる専門家への相談についても網羅しています。この記事を最後まで読めば、ご自身の状況に合わせて今何をすべきかが明確になり、就労ビザに関する不安を解消して、今後も安心して日本で働き続けるための準備を万全に整えることができるでしょう。

1. 就労ビザが切れるとどうなる?知っておくべきリスク

「うっかり忘れていた」では済まされない、就労ビザ(在留資格)の期限切れ。在留期間の満了日を1日でも過ぎて日本に滞在すると「不法滞在(オーバーステイ)」となり、あなたのキャリアや生活を根底から揺るがす深刻な事態に発展します。ここでは、就労ビザが切れた場合に直面する4つの重大なリスクについて解説します。

1.1 不法滞在(オーバーステイ)で法律違反になる

就労ビザには、日本に滞在できる期間として「在留期間」が定められています。この在留期間の満了日を超えて日本に滞在することは、出入国管理及び難民認定法(入管法)に違反する「不法滞在(オーバーステイ)」という犯罪行為にあたります。病気や多忙など、いかなる個人的な理由があっても、在留期間の満了日の翌日からは不法滞在者として扱われてしまいます。

1.2 発覚すると強制送還の対象に

不法滞在が発覚した場合、最も重い処分の一つが「退去強制」、いわゆる強制送還です。これは、本人の意思に関わらず、国費によって母国などへ強制的に送還される手続きです。職務質問や職場への調査、行政手続きの際などに発覚するケースが多く、一度退去強制の手続きが始まると、日本での生活を続けることは極めて困難になります。築き上げてきたキャリアや人間関係が、一瞬にして失われる可能性があるのです。

1.3 懲役や罰金などの罰則が科される

不法滞在は刑事罰の対象でもあります。退去強制処分とは別に、裁判にかけられ、懲役や罰金といった罰則が科される可能性があります。入管法では、不法滞在者に対する罰則が以下のように定められています。

違反内容罰則
不法滞在(オーバーステイ)3年以下の懲役若しくは禁錮又は300万円以下の罰金

これは決して軽い罰則ではなく、前科がつくことで将来に大きな影響を及ぼすことを理解しておく必要があります。

1.4 一定期間日本への再入国ができなくなる

退去強制(強制送還)となった場合、日本から出国した後もペナルティが続きます。原則として、退去強制された日から5年間は、日本へ上陸(再入国)することができません(上陸拒否期間)。過去に日本での退去強制歴がある場合や、特定の法律違反を犯した場合は、上陸拒否期間が10年または無期限になることもあります。日本で再び働きたい、家族と暮らしたいと願っても、この期間中は入国が認められず、人生設計が大きく狂ってしまうことになります。

2. 【状況別】就労ビザが切れる前と切れた後の対処法

就労ビザ(在留資格)の有効期限が迫っている、あるいはすでに切れてしまった場合、その状況によって取るべき行動は大きく異なります。ここでは「ビザが切れる前」と「切れた後」の2つのケースに分け、具体的な対処法を解説します。

2.1 まだ在留期間が残っている場合の更新手続き

在留カードに記載された在留期間の満了日が来る前に、在留期間更新許可申請を行うのが最も確実で基本的な対処法です。早めに準備を始めることで、不測の事態にも対応しやすくなります。

2.1.1 在留期間更新許可申請はいつからどこでできるか

在留期間の更新申請は、原則として在留期間が満了する約3か月前から可能です。書類の準備には時間がかかることもあるため、できるだけ早く手続きを開始することをおすすめします。

申請場所は、現在お住まいの地域を管轄する地方出入国在留管理官署(出入国在留管理局、支局、出張所)の窓口です。郵送での申請は受け付けていないため、本人が直接出向く必要があります。

2.1.2 申請に必要な書類一覧

更新申請に必要な書類は、申請者の在留資格や勤務先の企業のカテゴリー(規模)によって異なります。ここでは、技術・人文知識・国際業務ビザで働く会社員を例に、一般的な必要書類をまとめました。必ず申請前に出入国在留管理庁の公式サイトでご自身の状況に合った最新の情報を確認してください。

準備する人書類名備考
申請者本人在留期間更新許可申請書証明写真(縦4cm×横3cm)を貼付します。
パスポート(旅券)提示のみ。
在留カード提示のみ。
住民税の課税(または非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)市区町村役場で取得します。
勤務先(所属機関)前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表企業のカテゴリーによって提出書類が異なります。

2.1.3 申請中に在留期間が過ぎても特例期間がある

「申請したけれど、審査結果が出る前に在留期間が切れてしまう」と心配になるかもしれません。しかし、在留期間の満了日までに更新申請が受理されていれば、結果が出るまでの間、または元の在留期間満了日から最大2か月間は、適法に日本に滞在できます。

この期間を「特例期間」と呼びます。申請受付時に在留カードの裏面に「在留期間更新許可申請中」のスタンプが押されるので、この期間中に在留期限が過ぎてもオーバーステイにはなりません。ただし、特例期間中に転職するなど在留資格の活動内容に変更がある場合は注意が必要です。

2.2 うっかり就労ビザが切れてしまったらすべきこと

もし在留カードの期限を確認し忘れるなど、うっかり就労ビザが切れてしまった場合はオーバーステイ(不法残留)の状態になります。パニックにならず、しかし一刻も早く、誠実に対応することが何よりも重要です。

2.2.1 速やかに出入国在留管理庁へ出頭し相談する

オーバーステイに気づいた時点で、隠れたり放置したりせず、自ら速やかに最寄りの地方出入国在留管理官署へ出頭してください。怖いと感じるかもしれませんが、発覚を恐れて何もしないことが最も悪い結果を招きます。

自分から出頭して正直に事情を説明すれば、悪意のない「うっかりミス」と判断され、寛大な措置が取られる可能性が残されています。専門家への相談と並行し、すぐに行動に移しましょう。

2.2.2 正直に事情を説明することが寛大な措置への鍵

出頭した際は、なぜビザの更新を忘れてしまったのか、その経緯を正直に説明することが極めて重要です。例えば、「仕事が非常に忙しく、失念してしまった」「更新手続きについて誤解していた」など、事実をありのままに話してください。

決して嘘をついたり、ごまかしたりしてはいけません。反省の意を示し、今後も日本で働き続けたいという意思を誠実に伝えることで、審査官の心証が大きく変わります。事情によっては、出国命令制度の適用や在留特別許可といった形で、日本への影響を最小限に抑えられる可能性があります。在留特別許可が認められれば、引き続き日本で暮らすことも可能です。

3. 就労ビザの更新忘れを防ぐための注意点

就労ビザの更新を忘れると、不法滞在(オーバーステイ)という深刻な事態に陥ります。そうならないためには、日頃からの自己管理が何よりも重要です。「うっかり」を防ぐために、今すぐ実践できる3つの注意点を確認しておきましょう。

3.1 在留カードで在留期間満了日を常に確認する

最も基本的かつ重要なのが、ご自身の在留カードに記載されている「在留期間満了日」を正確に把握しておくことです。在留カードは常時携帯が義務付けられていますので、財布やカードケースに入れて、定期的に満了日を確認する習慣をつけましょう。

人間の記憶は曖昧なものです。スマートフォンのカレンダーアプリに通知設定をする、手帳の目立つ場所に書き込むなど、自分に合った方法でリマインダーを設定しておくことを強くおすすめします。更新申請は在留期間満了日の3ヶ月前から可能ですので、早めに準備を始める意識が大切です。

3.2 転職した場合は別途手続きが必要なことも

在留期間の満了日だけでなく、転職した場合にも注意が必要です。新しい職場での業務内容が、現在許可されている在留資格の活動範囲内であることを確認しなければ、次回のビザ更新が不許可になるリスクがあります。転職の際は、ビザの更新とは別に以下の手続きを検討・実施してください。

3.2.1 就労資格証明書の交付申請

「就労資格証明書」とは、転職後の新しい仕事が現在の在留資格で認められた活動内容に該当することを、出入国在留管理庁が証明してくれる書類です。この申請は任意ですが、証明書を取得しておくことで、次回の在留期間更新許可申請をスムーズに進められるという大きなメリットがあります。

特に、職種や業務内容が大きく変わる転職の場合、事前にこの証明書を取得しておくと、更新時の不許可リスクを大幅に減らすことができ安心です。申請に関する詳細は、出入国在留管理庁のウェブサイト「就労資格証明書交付申請」で確認できます。

3.2.2 所属機関に関する届出

前の会社を辞めた場合や、新しい会社に入社した場合は、14日以内に出入国在留管理庁へ「所属(契約)機関に関する届出」を提出する義務があります。これは就労資格証明書とは異なり、法律で定められた必須の手続きです。

この届出を怠ると、罰金の対象となるだけでなく、在留資格の取消しや次回の更新申請で不利に扱われる可能性があります。届出は、出入国在留管理庁の窓口への持参や郵送のほか、出入国在留管理庁電子届出システムを利用してオンラインで行うことも可能です。詳細は出入国在留管理庁のウェブサイト「所属(契約)機関に関する届出」をご確認ください。

3.3 手続きに不安があれば専門家へ相談する

在留資格の更新や変更手続きは複雑で、必要書類も多岐にわたります。もしご自身での手続きに少しでも不安を感じる場合は、迷わず専門家に相談しましょう。

入管業務を専門とする行政書士は、最新の法律や審査の傾向を熟知しています。専門家に依頼すれば、書類作成から申請代行まで任せることができ、手続きの不備による不許可リスクを最小限に抑えられます。費用はかかりますが、オーバーステイになってしまうリスクや手間を考えれば、確実な方法を選択することも賢明な判断です。

4. まとめ

本記事では、就労ビザが切れるとどうなるのか、その深刻なリスクと具体的な対処法について詳しく解説しました。結論として、就労ビザの期限切れは「知らなかった」では済まされない「オーバーステイ(不法滞在)」という重大な法律違反であり、日本でのキャリアと生活を根底から揺るがす事態に直結します。

就労ビザが切れた状態で日本に滞在し続けると、出入国管理及び難民認定法に基づき、厳しい罰則が科される可能性があります。具体的には、発覚した場合は退去強制(強制送還)の対象となり、一度強制送還されると原則として5年間(場合によっては10年間)日本への再入国が認められなくなります。さらに、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されることもあり、刑事罰の対象となることを決して軽視してはいけません。

このような最悪の事態を避けるための最も確実な方法は、在留期間が切れる前に「在留期間更新許可申請」を完了させることです。申請は在留期間満了日の3ヶ月前から、お住まいの地域を管轄する出入国在留管理庁で行うことができます。万が一、申請中に在留期間が過ぎてしまっても、申請結果が出るまで、または在留期間満了日から2ヶ月が経過するまでのいずれか早い日まで適法に滞在できる「特例期間」が設けられています。したがって、何よりも早めの行動が重要です。

もし、うっかりビザの更新を忘れ、在留期間が切れてしまった場合は、絶対に放置したり隠れたりしてはいけません。発覚を恐れて何もしないことが最も状況を悪化させます。取るべき唯一の正しい行動は、速やかに自ら出入国在留管理庁に出頭し、正直に事情を説明して相談することです。意図的ではなく、やむを得ない事情があったと認められれば、「在留特別許可」といった寛大な措置が取られる可能性も残されています。誠実な対応が、ご自身の未来を守る鍵となります。

日頃から更新忘れを防ぐためには、常に在留カードの表面に記載されている「在留期間満了日」を確認する習慣をつけましょう。また、転職した場合は、新しい勤務先での活動が現在の在留資格で認められているかを確認するための「就労資格証明書」の取得や、14日以内の「所属機関に関する届出」など、更新手続きとは別の手続きが必要になるケースもあります。これらの手続きを怠ると、次回の更新が不許可になる原因にもなり得ます。

在留資格の手続きは複雑であり、少しでも不安や疑問があれば、ためらわずに申請取次行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家は最新の法律や審査の傾向を熟知しており、個々の状況に応じた最適なアドバイスを提供してくれます。費用はかかりますが、手続きのミスによって将来を失うリスクを考えれば、確実な未来への投資と言えるでしょう。ご自身の日本での大切な生活とキャリアを守るため、在留資格の管理を最優先事項として捉え、適切に行動してください。

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行政書士 松浪 正治

ビザ申請を専門にしている大阪府枚方市の行政書士です。 オンライン申請により全国対応可能です。

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