
「就労ビザでアルバイト(副業)はできる?」という疑問に、行政書士が最新の法令と公表資料に基づき結論から答えます。本記事で分かることは、就労系在留資格(技術・人文知識・国際業務/技能/特定技能/経営・管理/高度専門職など)でのダブルワークが許される条件、禁止される単純労働(コンビニや飲食店の接客、清掃、配達など)との線引き、誤解が多い「週28時間」の適用対象(留学・家族滞在の包括許可であり、就労ビザ保持者には原則適用されない)です。さらに、在留資格の範囲内なら雇用先が複数でも可能である一方、範囲外の活動は原則不可で、資格外活動許可は個別・限定的にのみ検討され、単純労働やギグワーク(Uber Eats等のデリバリー)、メルカリ・せどり、YouTube・アフィリエイトの収益化は多くが対象外となることを具体例で解説。OK例としては同一専門分野での翻訳・通訳・講師・監修などを取り上げます。加えて、在留カードの就労制限表記と在留資格の適合性確認、雇用契約書・労働条件通知書の整備、会社の就業規則・兼業規程の確認、出入国在留管理庁への相談が必要な場面、在留申請オンラインシステムによる手続きの勘所、労働時間管理(36協定・時間外・深夜・休日労働)、税金(源泉徴収・住民税・確定申告・マイナンバー)、社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・扶養)の実務、企業側の在留資格確認・不法就労防止体制、違反時の在留資格取消し・退去強制・不法就労助長罪リスクまで網羅。永住者・日本人の配偶者等・定住者の自由度、家族滞在・留学・短期滞在の就労制限、派遣・出向・業務委託・フリーランスの留意点も横断的に整理し、2026年に必要なコンプライアンス対応と就労ビザで安全にアルバイト(副業)を始めるためのチェックリストを提供します。
1. 就労ビザでアルバイト(副業)はできるかの結論
就労系在留資格(例:技術・人文知識・国際業務、技能、経営・管理、高度専門職、特定技能)を持つ方は、在留資格で許された「専門業務の範囲」に合致する限り、雇用・業務委託・フリーランスいずれの形でもダブルワーク(副業・兼業)は可能です。 一方、その範囲を外れる仕事や「単純労働」に当たる業務は、時間や報酬の多寡にかかわらずできません。会社の就業規則で兼業が制限される場合もあるため、社内手続と労働時間の通算管理を前提に判断します。
1.1 可能なケース 同一範囲の専門業務でのダブルワーク
現在の在留資格に適合する専門性を要する業務であれば、複数社での雇用や、平日の本業に加え週末に業務委託で受託する形も認められます(例:技術・人文知識・国際業務でのシステム開発、データ分析、通訳・翻訳、広報・マーケティング企画、専門性を要するコンサルティング等)。この場合、追加の資格外活動許可は原則不要です。活動内容と職務記述書・契約書で在留資格適合性を説明できるようにしておくと安全です。
1.2 禁止されるケース 在留資格の範囲外や単純労働
接客のみ・配達・清掃・倉庫内作業などの単純労働、ギグワーク型デリバリーや日雇い作業、在留資格の専門性と無関係な副収入目的の活動(転売・せどり等)は、就労ビザ保持者でも行えません。資格外活動許可で在留資格の就労範囲を広げることも原則できません。違反は在留資格取消しや退去強制の対象となり得るため、内容が曖昧な募集には応じないでください。
1.3 誤解しがちなポイント 週28時間の上限の適用対象
「週28時間」の上限は、留学・家族滞在などが資格外活動許可でアルバイトする場合のルールであり、就労ビザ保持者には適用されません。 就労ビザの副業は時間数ではなく「在留資格の範囲適合性」で可否が決まります(もっとも、労働基準法上は全事業場での労働時間が通算されます)。
| 在留資格類型 | 副業・アルバイト | 時間上限 | 資格外活動許可 |
|---|---|---|---|
| 就労系(技術・人文知識・国際業務等) | 在留資格範囲内なら可 | 法定の週28時間上限はなし(労基法の通算管理は必要) | 原則不要(範囲外は不可) |
| 留学 | 可 | 週28時間以内(長期休業期間中は1日8時間以内) | 必須 |
| 家族滞在 | 可 | 週28時間以内 | 必須 |
2. 在留資格と就労可否の基本
外国人の就労可否は「在留資格ごとの活動範囲」によって決まり、範囲外の有償活動は原則不可です。以下で、就労系・身分系・就労制限のある在留資格と、資格外活動許可の位置付けを整理します。
2.1 就労系在留資格の種類 技術・人文知識・国際業務 技能 特定技能 経営・管理 高度専門職
就労系在留資格は、告示で定められた職務内容の範囲内でのみ有償活動が可能です。副業・アルバイトも「同一又は密接に関連する専門業務」に限定され、単純労働は不可です。
| 在留資格(代表例) | 主な活動範囲 | 雇用形態の前提 | 副業・アルバイトの原則 |
|---|---|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 理工系・文系の専門業務、通訳・翻訳、貿易実務、デザイン等の事務所内専門職 | 受入企業との雇用契約 | 同一専門分野の業務に限り可。店頭接客や配達など単純労働は不可。 |
| 技能 | 熟練を要する料理人、建築大工等の熟練技能 | 受入企業との雇用契約 | 熟練技能に該当する業務のみ可。単純作業や別分野は不可。 |
| 特定技能(1号・2号) | 特定産業分野の現場業務(介護、外食、製造等) | 分野所管省庁の基準に適合する受入機関との雇用契約 | 原則、許可分野・受入機関の業務に限定。兼業は厳格に制限。 |
| 経営・管理 | 日本での事業経営・管理(取締役、代表者等) | 自社の経営者・役員等 | 経営管理行為に限定。他社での雇用労働や単純労働は不可。 |
| 高度専門職 | 高度な学術研究・専門技術・経営管理の統合的活動 | 活動計画に基づく雇用・委任等 | 計画に含まれる高度専門業務に限り幅広く可。単純労働は不可。 |
2.1.1 実務上の確認ポイント
副業可否は「職務内容が在留資格の定義に一致するか」で判断します。雇用主・発注者が変わっても、活動内容が範囲外なら不可です。労働条件通知書や業務委託契約書に職務内容を明記し、在留資格との適合性を説明できる資料を備えることが重要です。
2.2 身分系在留資格 永住者 日本人の配偶者等 定住者の自由度
身分系は就労制限がなく、単純労働を含むあらゆる職種での就労・副業が可能です(法令違反を除く)。
| 在留資格 | 就労制限 | 留意点 |
|---|---|---|
| 永住者 | 制限なし | 在留カード更新等の手続は必要。法令・就業規則の範囲で自由。 |
| 日本人の配偶者等 | 制限なし | 身分関係が前提。更新時は実体の継続性を確認される。 |
| 定住者 | 制限なし | 告示に基づく個別事情で付与。在留期間や更新要件に注意。 |
2.2.1 注意点
身分系は資格外活動許可は不要ですが、労働法・税・社会保険の義務は免除されません。会社の兼業規程や競業避止義務にも従う必要があります。
2.3 家族滞在 留学 短期滞在の就労制限
就労目的でない在留資格は、原則として就労できません。資格外活動許可がある場合でも上限や禁止業種があります。
| 在留資格 | 就労の可否 | 上限・条件 | 代表的に不可の業種 |
|---|---|---|---|
| 留学 | 資格外活動許可があれば可 | 週28時間以内(学則上の長期休業中は1日8時間以内)。学業優先。 | 風俗営業等の接待を伴う業務は不可。 |
| 家族滞在 | 資格外活動許可があれば可 | 週28時間以内。世帯収入や被扶養の要件に注意。 | 風俗営業等の接待を伴う業務は不可。 |
| 短期滞在 | 不可 | 資格外活動許可の対象外(報酬を受ける活動はできない)。 | すべての就労が不可。 |
2.3.1 実務の留意点
「週28時間」の上限は留学・家族滞在の包括許可に限る基準で、就労系在留資格には適用されません。就労系は「時間」ではなく「活動内容の適合性」で判断されます。
2.4 資格外活動許可の位置付けと限界
資格外活動許可は、本来の在留活動の範囲外で一定の活動を例外的に認める制度です。包括許可(留学・家族滞在のアルバイト等)と、個別許可(具体的活動を特定して許可)の2類型があります。
| 類型 | 主な対象 | 許可される典型 | 限界・禁止 |
|---|---|---|---|
| 包括許可 | 留学・家族滞在 | 週28時間以内の一般的なアルバイト | 風俗営業等は不可。上限超過や学業・本来活動を阻害する就労は不可。 |
| 個別許可 | 就労系・身分系を含む個別案件 | 本来活動を阻害せず公益性・専門性が認められる軽微な有償活動等 | 単純労働の副業を目的とする申請は原則認められません。 |
2.4.1 判断基準の要旨
本来活動を安定的に遂行しつつ、在留資格の趣旨に反しない範囲でのみ例外が許容されます。不明な場合は契約内容・職務記述書・就業場所・労働時間を整理し、活動の適合性を説明できる状態で検討します。
3. 就労ビザでのアルバイト(副業)が可能となる条件と判断基準
就労系在留資格の副業は、各在留資格で許される「活動の範囲」に厳密に適合し、主たる活動を損なわないことを前提に、契約関係・管理体制・会社規程・届出を総合的に満たす場合に限り可能です。
| 観点 | 具体的な判断基準 | 典型的な証拠資料 | 注意点・NG |
|---|---|---|---|
| 活動の適合性 | 副業の職務内容が在留資格(例:技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能、経営・管理等)の定義と一致 | 職務記述書、業務内容が分かる契約書、発注書 | 単純労働への従事や範囲外の業務は不可 |
| 契約関係 | 本邦の公私の機関(法人・個人事業主等)との雇用または請負・委任契約が明確 | 雇用契約書・労働条件通知書/業務委託契約書 | 契約不備、偽装請負は不可 |
| 基準省令の要件 | 学歴・実務経験・職種水準・報酬等、各在留資格の基準を副業でも満たす | 履歴書・職務経歴書、学位証明、報酬条件の根拠 | 主たる雇用より著しく低い処遇はリスク |
| 主たる活動の確保 | 本務が優先され、副業時間・頻度が主たる活動を阻害しない | 勤務シフト・稼働計画、勤怠管理の方法 | 恒常的長時間化、健康・安全配慮欠如は不可 |
| 派遣・出向の適法性 | 指揮命令系統・業務場所・管理責任が明確で、在留資格に適合 | 派遣契約・出向契約、就業場所・指揮命令者の明示 | 受入先での単純労働、偽装出向は不可 |
| 社内規程・届出 | 就業規則・兼業規程に従い、事前許可・届出を完了 | 兼業申請書、許可書、誓約書 | 無許可の開始は懲戒・契約違反の恐れ |
3.1 活動内容が在留資格の範囲に合致すること
副業の活動は、現に保有する在留資格で許される専門業務の範囲に一致していなければなりません。例えば「技術・人文知識・国際業務」であれば、システム開発、データ分析、経理・法務・マーケティング、翻訳・通訳、コンサルティング等の専門性ある業務に限られ、接客、配達、清掃などの単純労働は許されません。
副業であっても、各案件ごとに「職務内容・必要とされる知識経験・契約先の事業内容」が在留資格の定義に合致していることを資料で説明できる状態にしておくことが重要です。
なお、就労系在留資格で範囲外の副業をするために資格外活動許可を利用する運用は一般に認められにくく、原則として現在の在留資格の範囲内で完結させることが安全です。
3.2 雇用形態別の留意点 雇用 業務委託 フリーランス
3.2.1 雇用
副業先と雇用契約を結ぶ場合、各雇用先の職務が在留資格の範囲に合致し、労働条件通知書で職務内容・就業場所・労働時間・賃金が明確であることが必要です。副業開始・終了・契約変更が「所属機関に関する届出」の対象となる在留資格では、期限内の届出を失念しないようにします。
3.2.2 業務委託
成果物・業務範囲・報酬・再委託の可否・指揮命令関係の不在を定め、請負・委任としての実態を保つことが重要です。実態が雇用に近い場合は偽装請負の疑いが生じ、在留資格の適合性判断も不利になります。契約先は「公私の機関」(法人・個人事業主等)であることを確認します。
3.2.3 フリーランス
案件単位の委託を複数受ける形でも、活動内容が在留資格の範囲を外れないことが大前提です。雇用先を持たず継続的に自営的に活動する形態は、在留資格の性質によっては「経営・管理」等が相当と評価され得るため、現行資格での継続可否を慎重に検討してください。
3.3 派遣や出向の可否 受入機関の管理体制
3.3.1 派遣
派遣元との雇用関係を維持しつつ、派遣先で行う業務が在留資格の範囲にあること、派遣契約・就業条件・指揮命令系統が適法に整備されていることが必要です。分野によっては派遣が認められない在留資格・業種があるため、個別の適法性確認が不可欠です。
3.3.2 出向
在籍出向・転籍出向いずれも、出向先で従事する業務が在留資格の範囲に合致していること、指揮命令・労務管理・報酬支払の分担が契約で明確なことが条件です。所属機関の変更や契約関係の重要な変更が生じる場合は、必要な届出や在留資格変更の要否を事前に確認します。
3.3.3 受入機関の管理体制
副業先(受入機関)に、職務の内容・就業場所・労働時間・安全衛生・個人情報管理等の体制があり、在留資格の範囲外の作業を指示しない統制が求められます。指揮命令関係や勤怠管理が曖昧な場合、在留資格違反リスクが高まります。
3.4 会社の就業規則と兼業規程の確認と届出
3.4.1 就業規則の確認
主たる雇用先の就業規則・兼業規程・秘密情報管理規程・競業避止義務の有無を確認し、許可が必要な場合は事前に申請します。副業時間帯・業務内容・取引先の競業該当性は、審査の主要ポイントです。
3.4.2 兼業申請・届出の流れ
一般的には、申請書の提出(目的・業務内容・時間配分・利益相反の有無)→承認の取得→条件遵守(時間・情報管理)→定期的な状況報告、という順で運用します。無許可で開始すると、懲戒や契約違反に該当するおそれがあります。
3.4.3 入管関連の届出
在留資格の類型によっては、雇用・契約の開始・終了・内容変更があったときに「所属機関(契約機関)に関する届出」を期限内に行う義務があります。アルバイト(副業)は「軽微だから届出不要」という扱いにはならないことがあるため、契約締結前に届出要否と期限を必ず確認してください。
4. 就労ビザ アルバイト(副業)のNG例とOK例
就労系在留資格(技術・人文知識・国際業務、技能、特定技能、経営・管理、高度専門職など)での副業・アルバイトは、在留資格で認められた活動範囲に合致しない限り不可です。「週28時間」の上限は留学・家族滞在の資格外活動に関する基準であり、就労ビザの副業可否判断には使いません。
4.1 NG例 コンビニや飲食店の接客 清掃 配達などの単純労働
接客・販売・清掃・配達といった単純労働は、技術・人文知識・国際業務や経営・管理などの就労ビザの活動範囲に該当しないため、アルバイトでも不可です。
特定技能は許可された業種・職務に限られ、受入れ機関との雇用契約の下でのみ就労できるため、他社での清掃やコンビニ勤務等のダブルワークはできません。高度専門職でも同様に、専門業務外の単純労働は不可です。
| 具体例 | 主な在留資格 | 可否 | 理由 |
|---|---|---|---|
| コンビニのレジ・品出し | 技術・人文知識・国際業務/経営・管理/高度専門職 | 不可 | 専門性を要する活動に該当しない |
| 飲食店ホール・キッチン | 同上 | 不可 | 単純労働に該当 |
| ビル清掃(日常清掃) | 同上/特定技能 | 不可 | 専門外。特定技能は受入れ機関外・他社就労が不可 |
| 小口配達・宅配 | 同上 | 不可 | 単純労働に該当 |
風俗営業等に該当する業務(客の接待に従事するものなど)は在留資格の有無を問わず従事不可です。
4.2 NG例 ギグワーク Uber Eats デリバリー シェアリングの報酬
プラットフォーム経由の個人請負(Uber EatsやWoltなどのフードデリバリー、ライドシェア関連、民泊運営のホスト収入等)は、就労ビザの活動範囲外であり、単純労働または自営・事業運営に当たるため不可です。
「雇用ではなく請負(業務委託)だからOK」ではありません。契約形態にかかわらず、在留資格で許された活動内容かどうかで判断されます。特定技能でも受入れ機関外の請負・兼業はできません。
4.3 NG例 転売 メルカリ ブログ YouTube アフィリエイトの収益化
反復継続的な転売(メルカリ・ヤフオク!等)、ブログやYouTubeの広告収入(アドセンス・アフィリエイト)、クラウドマイニングやNFT販売などの収益化は、事業運営・自営に当たり、就労ビザの活動範囲外のため不可です。
投機的売買や資産運用の可否は本稿の対象外ですが、収益化目的で継続的に行うと「事業」と判断され得ます。事業運営を行うには原則「経営・管理」等の適切な在留資格への変更が必要です。
4.4 OK例 同一専門分野での兼業 翻訳 通訳 講師 監修
本務と同一または密接に関連する専門分野で、在留資格の範囲に合致する兼業は原則可能です。例:ITエンジニア(技術・人文知識・国際業務)がシステム設計の副業、外国語大学卒の国際業務従事者が専門分野の翻訳・通訳、研究者が専門講義の非常勤講師、実務家が専門書の監修等。
判断の要点は以下のとおりです。①職務内容が在留資格の該当類型(例:人文知識、国際業務、技術)に整合していること、②契約相手や就業場所・労働条件が適正であること、③本務に支障がなく、会社の就業規則・兼業規程に従い届出等を行うこと。特定技能は受入れ機関との雇用に限定されるため、他社での兼業はできません。
| 副業例 | 在留資格 | 可否 | 条件・留意点 |
|---|---|---|---|
| 専門分野の翻訳・通訳 | 技術・人文知識・国際業務/高度専門職 | 可 | 専門性・業務関連性の説明資料(職務記述書、経歴等)を整備 |
| 専門学校・大学等での非常勤講師 | 同上 | 可 | 担当科目が専門分野に合致。雇用契約・労働条件通知書を明確化 |
| 専門書・メディアの監修・寄稿 | 同上 | 可 | 監修内容が専門領域に該当。請負でも可だが内容の適合性が前提 |
| 本務と同一職種でのダブルワーク(同職務) | 技術・人文知識・国際業務/高度専門職 | 可 | 職務内容の同一性を担保。労働時間・社会保険・36協定の管理が必要 |
| 他社での清掃・配送等の単純労働 | 全ての就労ビザ | 不可 | 活動範囲外。特定技能も受入れ機関外は不可 |
迷う場合は、職務記述書・契約書案を用意し、在留資格の活動該当性について専門家や入管窓口に事前確認することが安全です。
5. 始める前のチェックリストと手続き
副業やアルバイトを始める前に、在留資格の範囲、就労制限、契約・労務の整備を先に確認し、証憑を揃えてから着手することが最重要です。
5.1 在留カードの就労制限と在留資格の確認
在留カードの記載(在留資格・在留期間・就労制限の有無・資格外活動許可欄)を確認し、予定する活動が「在留資格の範囲」に合致しているかを点検します。期限が近い場合は更新時期も逆算し、更新審査中の就労可否の扱いも勤務先と共有します。所属機関や業務形態に変更が生じるケースでは、届出が必要となる場合があるため、事前に管轄の出入国在留管理局へ照会して適切な手続きを確認します。
5.1.1 事前確認チェック一覧
| 確認事項 | 具体的な確認方法 | 実務上の留意点 |
|---|---|---|
| 就労制限の表示 | 在留カードの表裏面を確認(就労可否・制限の有無・資格外活動許可の記載) | 「就労可」でも在留資格の範囲外は不可。「資格外活動許可」は在留資格外の活動への例外であり恒常的就労の根拠にはならない。 |
| 在留資格の活動範囲 | 本業の職務記述書と副業予定の職務内容を対比 | 同一または近接の専門分野であることを形式・実質の双方で説明可能にする。 |
| 在留期間の有効性 | 満了日・更新予定日を確認 | 更新申請のタイミングにより就業開始時期を調整。雇用契約の期間条項にも反映。 |
| 届出の要否 | 所属機関や契約形態の変更有無を整理 | 届出が想定される場合は開始前に管轄局へ相談して手順と期限を確認する。 |
5.2 職務内容の適合性の立証資料の準備
アルバイト(副業・兼業)の職務が在留資格の範囲に該当することを示せる資料を整備します。採用側の説明資料と本人の専門性を示す資料をセットで用意し、第三者(入管・社内監査)に提示しても整合的に理解できる構成にします。
5.2.1 適合性を示す主な資料
| 資料 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 職務記述書(Job Description) | 担当業務・必要スキル・成果物・就業場所 | 専門業務の比率と非専門・単純作業の比率を明確化。 |
| 発注書・業務仕様書 | 委託範囲・報酬・納期・再委託の可否 | 請負・準委任の区分と実態が一致するよう記載。 |
| 本人の専門性資料 | 履歴書・職務経歴書・学位証・資格・ポートフォリオ | 副業の専門分野と直接の関連性を示す。 |
| 体制図・管理方法 | 指揮命令系統・情報管理・就業時間管理 | 派遣・出向に該当しない運用であることを明確化。 |
5.3 雇用契約書 労働条件通知書の整備
雇用で受け入れる場合は労働条件の書面明示、業務委託の場合は契約条件の明確化が必要です。二重就労に伴う労働時間の通算、安全配慮、兼業規程の遵守、情報セキュリティ、競業避止・秘密保持の条項をあらかじめ調整します。
5.3.1 必須・推奨書類と主要記載事項
| 書類 | 目的 | 主要記載事項 |
|---|---|---|
| 労働条件通知書 | 労働条件の書面明示 | 契約期間、業務内容、就業場所、始業終業・休憩・休日、賃金形態・額・締切払日、兼業時の申告・通算管理 |
| 雇用契約書 | 権利義務の明確化 | 試用、競業避止、秘密保持、副業許可・届出、情報漏えい対策、就業規則の適用 |
| 業務委託契約書 | 成果物・報酬・責任範囲の定義 | 業務範囲、成果物の定義、報酬・支払、再委託、知的財産、個人情報、契約解除 |
| 兼業申請・承認書 | 所属企業の就業規則との整合 | 副業先、期間、業務内容、時間、利益相反の有無、守秘義務遵守 |
雇用・委託いずれでも、実態(指揮命令・時間管理・業務遂行方法)が契約類型と一致していることが重要です。
5.4 入管への相談が必要となる場面と対応
活動の適否判断が難しい場合や、受入体制・契約形態が複層的な場合は、開始前に入管へ相談して運用方針を確認します。相談の記録(日時・窓口・応対者・確認事項)を残し、社内の法務・人事とも共有します。
5.4.1 相談が望ましい典型場面と対応の要点
| 典型場面 | 主な論点 | 対応 |
|---|---|---|
| 在留資格の範囲との近接領域 | 専門業務か単純労働かの線引き | 職務記述書と業務割合を提示して見解を確認。 |
| 派遣・出向・客先常駐の想定 | 受入機関の管理体制・指揮命令系統 | 受入側・雇用側の役割分担と契約書の整合を説明。 |
| 複数社との同時契約 | 労働時間通算・安全配慮・情報管理 | 通算管理方法と秘密保持措置を文書で示す。 |
| 在宅・リモート・副業プラットフォーム利用 | 業務実態と契約類型の一致 | 受発注フロー・成果物・報酬計算の根拠を提示。 |
不明点を残したまま開始すると是正指導や在留資格上の不利益につながるため、曖昧な点は開始前に解消することが肝要です。
6. 資格外活動許可が関係する場面と申請の実務
資格外活動許可は、本来の在留資格で認められていない収入を伴う活動を例外的に行うための制度です。学生や家族滞在は「包括許可」により一般的なアルバイト(副業)が可能となる一方、就労系在留資格は原則として本来活動の範囲外の恒常的な副業は認められず、臨時・限定的な活動に限り「個別許可」の対象となります。
6.1 許可されやすい類型と不許可の典型
同じ「資格外活動許可」でも類型や在留資格により運用が大きく異なります。下表で整理します。
| 許可の類型 | 主な対象在留資格 | 活動例 | 時間上限・条件 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 包括許可 | 留学 | 小売・飲食等でのアルバイト | 週28時間以内(学則上の長期休業中は1日8時間・週40時間以内) | 風俗営業等の接客業務は一律不可。学業優先・出席状況も審査対象。 |
| 包括許可 | 家族滞在 | 一般的なアルバイト | 週28時間以内 | 自営的収入活動は不可。風俗営業等の接客業務は不可。 |
| 個別許可 | 就労系(技術・人文知識・国際業務/技能/経営・管理 等) | 講演・寄稿・翻訳・専門監修など臨時で限定的な活動 | 案件ごとに実施先・期間・報酬を特定して申請 | 本来活動に支障のない範囲のみ。単純労働や恒常的副業は不許可。 |
| 不可 | 短期滞在 | 就労全般 | — | 就労目的の活動は認められない。 |
6.1.1 許可されやすい類型(包括許可・個別許可)
留学・家族滞在は「包括許可」により、所定の時間内で一般的なアルバイトが可能です。一方、就労系在留資格は「個別許可」であっても、臨時かつ限定的で専門性のある案件に限られるのが通例です。
6.1.2 不許可となりやすい典型
在留資格の本来活動に関係しない恒常的な副業、単純労働(接客・配達・清掃など)を就労系在留資格で行うケース、プラットフォーム型デリバリー等の自営的収入活動、転売・アフィリエイト・動画配信の収益化などの事業的活動、風俗営業等の接客業務(学生・家族滞在を含め一律不可)は不許可・違反の典型です。
6.2 申請書類とオンライン申請 在留申請オンラインシステム
申請は地方出入国在留管理局窓口または在留申請オンラインシステムで行います。手数料は不要です。
6.2.1 書類一式の基本
共通して、資格外活動許可申請書、理由書(活動内容・必要性)、在留カード・パスポート(提示)、活動先の概要資料(会社案内・求人情報等)、労働条件通知書又は業務委託契約書(予定時間・報酬額の記載)を用意します。留学は在学証明書と時間割、家族滞在は世帯の生計に支障がない説明資料、就労系は本来活動に支障がない勤務体制の説明が求められます。
6.2.2 オンライン申請の要点
在留申請オンラインシステムでは、本人または受入機関がアカウントを用いて申請し、電子署名と添付資料のアップロードを行います。結果通知・受領方法は指示に従います(在留カードへの記載や許可書の受領が必要となる場合があります)。
6.2.3 処理期間と有効期間
審査期間は内容・時期で変動します。有効期間は在留期間の範囲内で付与され、包括許可は在留期限まで、個別許可は案件・期間を特定して付されます。
6.3 2026年の最新動向と審査のポイント
審査では「本来活動との適合性」「副業が主従逆転しないこと」「時間管理の実効性」「活動先の適法性」が重視されます。週28時間の上限は事業所・職種の合算で管理され、学生の長期休業中の拡大上限は「留学」のみが対象です。更新・在留資格変更の審査時には違反歴が厳格に参照されるため、契約書面・シフト表・賃金台帳等で適正な運用を証明できる体制を整えてください。
7. 労働時間 税金 社会保険の実務対応
就労ビザでのアルバイト(副業)は、在留資格の範囲内であることを大前提に、労働基準法・所得税法・社会保険各法の実務に適合させることが不可欠です。以下では、ダブルワークに直結する「労働時間」「税金」「社会保険」を実務目線で整理します。
7.1 労働時間管理 36協定 時間外 深夜 休日労働
法定労働時間は原則1日8時間・週40時間です。法定時間を超える労働をさせるには、事業場ごとに労使で36協定を締結・届出する必要があります。上限規制は原則「月45時間・年360時間」、特別条項付きでも「年720時間・2~6か月平均80時間以内(休日労働含む)・単月100時間未満(休日労働含む)」が限度です。ダブルワークの場合、時間外労働の割増賃金の判定は原則「各事業主ごと」に行いますが、安全配慮の観点から企業は他社就労時間を含めた過重労働防止の管理(自己申告の収集・就業制限の運用等)を行うのが実務的です。
7.1.1 割増賃金の基礎とダブルワーク時の留意点
| 区分 | 発生条件 | 法定割増率 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 時間外労働 | 1日8時間又は週40時間超 | 25%以上(60時間超部分は50%以上) | 割増判定は各社単位。深夜と重なれば加算。 |
| 休日労働 | 法定休日(毎週少なくとも1日)に就労 | 35%以上 | 代休付与のみでは割増支払義務は消えない。 |
| 深夜労働 | 22:00~5:00に就労 | 25%以上 | 時間外・休日との重複は合算(例:深夜かつ時間外=50%以上)。 |
7.1.2 勤怠の実務(複数就業時)
- 本人の自己申告により他社の就労予定・実績時間を把握し、長時間化を回避。
- 36協定の範囲内でシフト設計。単月・複数月平均の双方をモニタリング。
- 深夜帯の多用や連続勤務が生じる場合は、健康確保措置(医師面接の勧奨等)を検討。
「週28時間上限」は留学生など資格外活動許可に係る基準であり、就労系在留資格の通常労働には直ちに適用されません。ただし、主業・副業の合計で過重労働とならない体制が必要です。
7.2 源泉徴収 住民税 確定申告 マイナンバー
税務は「給与か、報酬か」で取扱いが変わります。雇用契約に基づく給与は源泉徴収(甲欄・乙欄)・年末調整の対象、業務委託の報酬は区分に応じた源泉徴収(例:翻訳・原稿料等は通常10.21%)と確定申告で精算します。
7.2.1 給与の源泉(甲欄・乙欄)と年末調整
- 主たる勤務先に「扶養控除等申告書」を提出=甲欄、その他の勤務先=乙欄(源泉高め)。
- 年末調整は1社のみ。他社給与や報酬・副収入は確定申告で合算精算。
7.2.2 確定申告が必要となる典型
| ケース | 申告要否の目安 | 補足 |
|---|---|---|
| 給与が2か所以上 | 主以外の給与所得の年間合計が20万円超 → 必要 | 20万円以下でも住民税申告は必要になることが多い。 |
| 報酬・雑所得(業務委託等) | 所得(収入-必要経費)が20万円超 → 必要 | 源泉徴収済でも精算・経費控除のため申告が望ましい。 |
| 医療費控除・寄附金控除等 | 適用を受ける場合 → 必要 | 年末調整では反映不可の控除は申告で。 |
7.2.3 住民税(特別徴収・普通徴収)の選択
- 原則は特別徴収(給与天引き)。副収入を勤務先へ知られたくない場合、確定申告書で「自分で納付(普通徴収)」を選択可能(自治体運用により不可の場合あり)。
- 業務委託の報酬は翌年度の住民税に反映。資金繰りを見越して積立管理。
7.2.4 マイナンバーの取扱い
- 給与支払・法定調書・社会保険手続に必要。本人確認と安全管理措置を遵守。
- 複数の勤務先それぞれに番号提供が必要(提供先最小化・目的外利用禁止)。
ダブルワークでは「乙欄の源泉が重め」「確定申告で精算必須になりやすい」点を前提に、手取り見込みと納税資金を計画しておくことが重要です。
7.3 健康保険 厚生年金 雇用保険 扶養の確認
社会保険は加入区分・加入要件・複数事業所の扱いが制度ごとに異なります。実務では「どこで被保険者になるか」「合算対象か」「扶養の継続可否」を先に判定します。
7.3.1 健康保険・厚生年金の加入基準(雇用)
| 制度 | 主な加入要件 | 典型的な境目 |
|---|---|---|
| 健康保険・厚生年金(一般) | 所定労働時間・日数が同事業場の通常の労働者の概ね3/4以上 | 週30時間程度が目安 |
| 短時間労働者の適用(特定適用事業所) | 従業員数51人以上の事業所等で、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2か月超の雇用見込み・学生でない等 | 「週20時間・月8.8万円」が目安 |
- 複数社でそれぞれ要件を満たす場合は重複適用となり、保険料・標準報酬は合算管理(日本年金機構への「二以上事業所勤務届」等の手続が必要)。
- どの会社でも要件を満たさない場合は、原則として被用者保険に加入不可(国民健康保険・国民年金の対象になり得る)。
7.3.2 雇用保険(失業等給付)
- 1社の所定週労働時間が20時間以上・31日以上の雇用見込みで加入。
- 2社の就労を合算しても1社ごとに20時間未満の場合でも、一定の要件の下で「マルチジョブホルダー制度」により本人申出で加入できる場合がある(ハローワークで手続)。
7.3.3 扶養の確認(社会保険・税法は別基準)
| 区分 | 代表的な基準 | ダブルワーク時の注意 |
|---|---|---|
| 社会保険の被扶養者 | 年収130万円未満(60歳以上・一定の障害者は180万円未満等)、かつ生計維持関係 | 見込み年収で判定。短時間適用(週20h・月8.8万円)に該当すると扶養不可。 |
| 税法上の扶養・配偶者控除 | 配偶者控除は給与収入103万円以下等(配偶者特別控除は段階的) | 社会保険の扶養基準と異なる。2社の給与・報酬を合算して判定。 |
副業開始・拡大の前に「健康保険・年金の加入要件」「雇用保険の適用」「扶養喪失の有無」をシミュレーションし、必要書類(雇用保険被保険者証、二以上事業所勤務届 等)を準備してからシフト・契約を確定するのが安全です。
8. 会社側の対応とコンプライアンス
企業は「在留資格の範囲内での就労」に限定して雇用・副業を受け入れる責務があり、雇用管理と法令対応を一体で運用することがコンプライアンスの中核です。 雇用実務・社内規程・記録管理・外部通報の動線をあらかじめ設計し、違反の未然防止と是正を迅速化します。
8.1 在留資格の確認と雇用管理の体制整備
採用から退職まで一貫して在留資格・活動内容・雇用形態を紐づけ、実務担当と決裁者のダブルチェックで運用します。制度面は就業規則(兼業規程)、採用手順書、文書管理規程、内部通報規程を整備し、最新情報は出入国在留管理庁や厚生労働省(外国人雇用)で確認します。
8.1.1 採用時の本人確認と適法就労の確認
在留カードの券面(在留資格・在留期間・就労制限欄)を原本で確認し、予定する業務がその在留資格の活動範囲に一致するかを職務記述書で突き合わせます。 疑義がある場合は採用前に入管へ相談し、必要に応じて「就労資格証明書」の取得を候補者に案内します。派遣・請負で受け入れる場合は、元請・派遣元の管理体制と契約書の適法性も同時に点検します。
8.1.2 在職中のモニタリングと更新管理
在留期間の満了日、更新・変更手続の予定、従事業務の実態を人事システムで管理します。異動・出向・副業の申請時は活動内容の変動が在留資格の範囲内か再判定し、範囲外の可能性があるときは配置を見直すか、入管への事前相談を実施します。
8.1.3 書類整備・保存と通報体制
雇用契約書・労働条件通知書・職務記述書・副業承認書・労働時間管理記録・在留カード写し等を最新状態で保管します。従業員からの匿名通報を受け付ける窓口を設け、速やかに事実確認と是正措置に移行できるフローを整えます。
8.1.4 外国人雇用状況の届出
外国人を雇い入れ・離職させた事業主は、原則としてハローワークへ「外国人雇用状況の届出」を提出する義務があります。 提出期限・記載事項・対象範囲を最新要領で確認し、未提出や記載不備が生じないよう人事と採用担当の役割分担を明確化します(参考:厚生労働省 外国人雇用)。
8.2 ダブルワーク受入時の人事労務フロー
副業・兼業の受入れは、在留資格の活動範囲、雇用契約の整合、労働時間通算、情報連携の4点を核に標準フロー化します。社外先が業務委託の場合も職務内容の適合性と従属性の有無を慎重に確認します。
| フェーズ | 会社側の主なタスク | 主要証憑 | 留意点 |
|---|---|---|---|
| 事前判定 | 活動内容の適法性判定・在留カード確認・就業規則上の承認 | 在留カード写し/職務記述書/副業申請書 | 在留資格の活動範囲と完全一致を確認。疑義は入管へ相談。 |
| 契約整備 | 労働条件通知・兼業条件(守秘・競業)・情報提供同意 | 雇用契約書/労働条件通知書/秘密保持契約 | 雇用・委託の線引きを明確化。派遣は法令適合を再点検。 |
| 稼働管理 | 労働時間通算・36協定枠の管理・健康確保措置 | 勤怠データ/通算台帳/承認記録 | 本業+副業の時間外・深夜・休日労働の合計を常時監視。 |
| 定期見直し | 業務実態の点検・契約更新・在留期間更新のサポート | 実態ヒアリング記録/更新契約書 | 実態が資格範囲から逸脱しないか四半期ごとにレビュー。 |
8.2.1 事前判定(活動適合性の確認)
副業先で行う職務の内容が自社での在留資格と同一専門分野かを、職務記述レベルで一致確認します。 受入れ機関の管理体制(指揮命令・就業場所・報酬形態)も併せて確認します。
8.2.2 契約書・労働条件通知の整備
就業場所、業務範囲、所定・所定外労働、賃金、兼業の条件、秘密保持・情報持出し禁止、競業回避、労災・安全配慮を明記します。業務委託の場合も成果物・検収・再委託の可否・報酬と対価性を明確化します。
8.2.3 労働時間通算と36協定の運用
副業分を含めた通算時間で時間外・深夜・休日労働を管理し、上限規制を超えないように承認ゲートを設けます。勤怠の自己申告に頼らず、相手先からの勤務実績の提供に関する同意を本人から取得します。
8.2.4 情報連携・個人情報保護
本人同意に基づき、範囲限定で副業先と必要最小限の勤怠・健康情報を連携します。提供記録を残し、目的外利用の禁止と保存期間を規程化します。
8.3 違反時のリスク 在留資格取消し 退去強制 行政指導
不適法な就労を容認・助長すると、会社は行政指導や刑事罰の対象となり、本人は在留資格取消し・退去強制のリスクを負います。リスクの顕在化を前提に初動・是正・再発防止の手順を準備しておきます(制度の概要は出入国在留管理庁を参照)。
| リスク | 主な原因 | 会社への影響 | 主な防止策 |
|---|---|---|---|
| 不法就労助長 | 在留資格外の業務に従事させる/在留期間満了の放置 | 刑事罰・行政処分・取引停止・信用失墜 | 採用前判定と在職モニタリングの二重化、入管への事前相談 |
| 是正勧告・指導 | 労働時間通算漏れ/契約・通知の不備 | 残業代遡及・公表リスク・労使紛争 | 通算勤怠の常時監視、標準契約・通知ひな形の運用 |
| 在留資格取消し等 | 実態が資格範囲から逸脱/虚偽申請 | 人員離脱・事業停止リスク | 職務変更時の再判定、証憑整備、適法な配置転換 |
8.3.1 初動対応と是正
違反の疑いを把握したら事実関係を速やかに確認し、当該業務の一時停止、就労内容の是正、関係当局への相談を行います。従業員には状況と選択肢を説明し、適法な範囲での配置転換や契約修正を提示します。
8.3.2 再発防止の仕組み
採用時チェックリストの改訂、教育(採用担当・現場管理者・通訳含む)、四半期監査、KPI(適法判定のリードタイム・エラー率)の導入で運用を定着させます。 制度・通達の更新に合わせて規程と様式を改版し、周知徹底します。
9. よくある質問
9.1 在宅副業やクラウドソーシングはできるか
「就労系」の在留資格では、在宅・リモート・クラウドソーシングであっても、報酬を得る活動は在留資格の活動範囲に合致する場合に限り可能です。たとえば、技術・人文知識・国際業務でソフトウェア開発に従事している方が、同種の開発業務を業務委託で受けるケースは原則同一範囲の兼業として整理できます。
一方、配達や接客などの単純労働、また在留資格の専門分野に該当しない業務は、在宅でも「在留資格外の活動」に当たり、許可なく行うことはできません。動画やブログ等の収益化も、反復継続・事業性が認められると「事業による収入」として扱われ得るため、原則として適切な在留資格または資格外活動許可が必要です。
なお、留学生や家族滞在のように包括的な「週28時間」ルールはありますが、就労系在留資格の副業に一律で適用されるものではありません。判断に迷う場合は、出入国在留管理庁の案内を確認しつつ、事前に管轄の地方出入国在留管理局へ相談してください(出入国在留管理庁)。
9.2 家族滞在の配偶者のアルバイトの上限と手続き
「家族滞在」は、資格外活動許可を取得すればアルバイトが可能ですが、原則として週28時間以内の上限があります。長期休業期間による上限緩和はなく、許可の範囲外(風俗関連業等)での就労はできません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 在留資格「家族滞在」の配偶者等 |
| 必要手続 | 資格外活動許可の申請(在留カード・パスポート等を添付)。許可後に就労開始。 |
| 時間上限 | 週28時間以内(包括許可)。長期休暇中の上限緩和なし。 |
| 業務範囲 | 許可の趣旨に沿う一般的なパート・アルバイト。許可対象外の業種は不可。 |
| 留意点 | 雇用先の労働条件通知書の受領、勤務時間の自己管理、更新時に活動実績の整合性を説明できるよう資料を保管。 |
手続や必要書類の最新情報は出入国在留管理庁の公式案内を確認してください。
9.3 留学生のアルバイトと就労ビザの違い
留学生は「資格外活動許可(包括)」により週28時間(長期休業期間は1日8時間以内)でアルバイトが可能ですが、就労系在留資格は「本来の活動の範囲内」でのみ副業が可能で、包括的な28時間ルールは適用されません。
| 区分 | アルバイトの可否 | 許可の要否 | 時間上限 | 主な留意点 |
|---|---|---|---|---|
| 留学 | 可 | 必要(資格外活動許可・包括) | 週28時間以内(学期中)、長期休業は1日8時間以内 | 学業が主たる活動。風俗関連業等は不可。 |
| 就労系(例:技術・人文知識・国際業務) | 条件付で可 | 本来の活動範囲内なら不要/範囲外は原則不可(個別許可は限定的) | 包括的な週28時間ルールの適用なし | 主たる雇用先の職務と同一・近接分野に限定して検討。 |
詳細は最新の審査運用に左右されるため、個別事情は出入国在留管理庁や専門家へ事前相談を推奨します。
9.4 転職や出向の手続きと注意点
就労系在留資格で転職・出向を行う場合、活動内容が在留資格の範囲内であることの維持と、14日以内の「所属機関に関する届出」が基本です。職務内容が大きく変わる場合は「在留資格変更許可申請」を検討し、適合性が不明なときは「就労資格証明書」の交付申請で適法性を事前確認すると安全です。
出向・派遣では、受入機関での実際の業務内容が在留資格に合致しているか、指揮命令系統や契約関係を説明できる資料(出向契約書等)を整備してください。離職・入社の都度、14日以内に届出を行い、更新時に給与水準・雇用継続性・社会保険加入状況などの整合性が取れるよう、雇用契約書や辞令、在籍証明等を保管しましょう。
手続は原則として地方出入国在留管理局で行い、オンライン申請の対象手続もあります。最新の様式・受付方法は出入国在留管理庁で確認してください。
10. まとめ
結論として、2026年時点でも就労系在留資格でのアルバイト(副業)は「在留資格の活動範囲に明確に合致する専門的・技術的業務」に限れば可能であり、範囲外の活動や単純労働は不可です。よくある誤解である「週28時間上限」は、留学・家族滞在などが資格外活動許可で働く場合に適用される原則で、就労系在留資格で本来の活動を行う場合には直ちに適用されません。
理由は、出入国管理が「身分」ではなく「活動内容」で在留を許可する制度であるためです。同一分野での兼業(例:技術・人文知識・国際業務の範囲での翻訳、通訳、講師、監修等)は適合しやすい一方、コンビニ・飲食店の接客、清掃、配達、ギグワーク(例:Uber Eats)や、転売・メルカリ・せどり・YouTubeやアフィリエイトの収益化などは、在留資格の範囲外・単純労働・副次的収益に該当しやすく原則NGです。
開始前には、在留カードの就労制限と在留資格を確認し、兼業先の職務内容が資格の範囲に合致することを示す職務記述書、経歴・業務関連性の資料、雇用契約書や労働条件通知書を整備してください。雇用・業務委託・フリーランスのいずれでも、実態としての業務内容が審査の中心となります。派遣・出向は受入先での実際の職務が適合していること、受入機関の管理体制が明確であることが重要です。
資格外活動許可に依拠する副業は、就労系在留資格では対象が限定的で、単純労働などは許可されにくいのが実務です。判断が難しい場合や新たな形態の業務は、出入国在留管理庁へ事前相談するのが安全です。所属機関の変更や雇用形態の大きな変更があったときは、所定の届出が必要になる場合があるため、期限内の手続きを徹底してください。
労務・税務・社会保険では、複数事業場にまたがる労働時間管理(36協定、時間外・深夜・休日労働の割増)、源泉徴収と住民税の取扱い、複数収入時の確定申告、マイナンバーの管理が実務上の要点です。健康保険・厚生年金・雇用保険は、各勤務先で加入要件を満たせば加入が必要になり得ますし、配偶者等の扶養は収入状況により外れる可能性があるため、事前に会社や日本年金機構等で確認してください。
企業側は、在留資格と活動内容の適合確認、在留カード等の適切な保管、ダブルワーク受入時の人事労務フロー整備、労働時間の通算管理を行うことがコンプライアンス上の必須対応です。違反があれば、本人の在留資格取消し・退去強制のほか、事業者側も不法就労助長に関する処分や行政指導のリスクを負い得ます。
最終的には「在留資格の範囲に合致しているか」を一貫して基準にし、証拠資料を整え、会社の就業規則・兼業規程と整合させ、必要に応じて出入国在留管理庁や行政書士に相談することが、安全に副業を行うための最短ルートです。ルールを踏まえて準備すれば、就労ビザでも適法かつ実務的に無理のない形でアルバイト・副業を進められます。