コラム 就労ビザ

就労ビザ 契約社員 派遣社員の違いは?法務省ガイドラインと実例で徹底解説

2026年1月4日

行政書士 松浪 正治

ビザ申請を専門にしている大阪府枚方市の行政書士です。 オンライン申請により全国対応可能です。

「就労ビザ 契約社員 派遣社員」でお悩みの方へ。本記事は、法務省・出入国在留管理庁の告示基準と審査要領、そして派遣法(労働者派遣法)や職業安定法の実務を踏まえ、在留資格と雇用形態の関係を実例で具体化する総合ガイドです。読み終える頃には、雇用形態(契約社員・派遣社員)の違いそのものよりも、職務内容の専門性・学歴や実務経験・報酬水準・受入機関の体制と法令遵守がビザ審査の核心であること、そして「何が許可され、何が不許可になるのか」を業種別・職種別に判断できるようになります。結論を先に示すと、技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)は契約社員でも派遣社員でも、専門性のある職務で告示基準に適合し、派遣元・派遣先の関係が派遣法に適合(偽装請負・二重派遣・みなし雇用の回避、客先常駐の線引きが明確)していれば許可余地があります。一方、一般事務や製造ライン等の非専門業務は技人国では原則不許可で、適法な代替としては特定技能(原則直接雇用・派遣不可)等の検討が必要です。高度専門職はポイント制で学歴・年収・研究実績等の評価が鍵、企業内転勤は同一企業・企業グループ内の配置転換が前提で派遣には馴染みません。記事では、ITエンジニア契約社員の許可例、通訳翻訳派遣社員の許可例、製造ライン派遣の不許可例と代替案、一般事務派遣の判断事例を取り上げ、必要書類(雇用契約書、職務記載書、派遣元管理台帳、個別派遣契約書、就労資格証明書など)の作成ポイント、在留資格認定証明書(COE)の申請から在留資格変更許可・更新許可までの流れ、不許可時の対応・再申請の要点、派遣先変更時の届出や資格外活動の扱いまで、実務でつまずきやすい論点を網羅。「形式(契約社員/派遣社員)」ではなく「実質(専門性・適法性・整合性)」で準備を整えることが最短ルートである——これが本記事の結論です。

目次 非表示

1. 就労ビザの基本と日本で働くための在留資格の全体像

日本で働くための可否は「就労ビザ」という俗称ではなく、出入国管理及び難民認定法に基づく各「在留資格」と、その在留資格で許される活動内容との適合で決まります。ビザ(査証)は上陸申請用の証印であり、実際の就労可否は上陸許可・在留資格許可の段階で判断されます。契約社員・派遣社員といった雇用形態は結果としての形にすぎず、基本原則は「活動内容・受入機関・報酬の相当性」が在留資格の枠に収まっているかどうかです。

1.1 日本の在留資格の分類と就労可否の考え方

在留資格は大きく「活動に基づく在留資格」「身分又は地位に基づく在留資格」「原則就労不可(資格外活動で限定的に可)」「特定活動」に分かれます。就労可否は各区分の性質と告示で定める活動範囲によって異なります。

区分代表的な在留資格就労可否主な留意点
就労系(活動に基づく)技術・人文知識・国際業務/企業内転勤/経営・管理/技能/介護/興行 など可(在留資格ごとの活動範囲内)職務内容と学歴・実務経験の適合、受入機関の体制、報酬水準の相当性が審査対象
身分・地位に基づく永住者/日本人の配偶者等/永住者の配偶者等/定住者就労制限なし業種・職種を問わず可(各種法令の遵守は必要)
原則就労不可留学/家族滞在/短期滞在/文化活動不可(留学・家族滞在は資格外活動許可でアルバイト等が可能、短期滞在は不可)資格外活動許可の範囲・時間数(週28時間など)を厳守
特定活動ワーキング・ホリデー/インターンシップ/高度人材の転職準備 など個別指定により可否が分かれる指定書・告示で許される活動を超えないこと

就労可否は雇用形態(正社員・契約社員・派遣社員)で一律に決まるのではなく、許可された在留資格の活動内容に合致しているかで判断されます。契約社員・派遣社員として働く場合も、職務の専門性や受入機関の適法性が審査の前提です。

1.2 就労ビザと呼ばれる在留資格の範囲

一般に「就労ビザ」と呼ばれるのは、報酬を伴う活動を予定する「活動に基づく在留資格」や一部の「特定活動」「高度専門職」を指します。以下は主要な在留資格と典型的な活動の概観です。

在留資格主な対象活動典型的な就業先雇用形態の例
技術・人文知識・国際業務理工系・人文系・国際業務に属する専門的業務IT企業、コンサル、メーカー、商社、翻訳・通訳会社正社員・契約社員などの直接雇用(職務適合が前提)
企業内転勤海外本社等から日本の支店・子会社への専門・技術・事務の転勤外資系・多国籍企業の日本拠点本社雇用を継続し日本拠点で勤務(出向等を含む)
経営・管理事業の経営・管理に従事スタートアップ、中小企業、日系・外資企業役員・経営者としての契約(報酬基準や事業実体が要件)
技能熟練した技能に基づく業務(例:調理、製菓、建築大工 等)飲食店、ホテル、建設関連企業直接雇用(技能の実務経験年数等が要件)
介護介護福祉士等としての介護業務介護施設、訪問介護事業所直接雇用(資格取得・配置基準の充足が要件)
興行演劇、音楽、スポーツ等の興行に係る活動劇場、プロスポーツ団体、イベント主催者出演契約・雇用契約(興行内容・報酬の相当性が重要)
特定技能人手不足分野の業務(現業を含む)製造、外食、宿泊、介護 などの受入企業直接雇用(支援計画の適正実施が要件)
高度専門職ポイント制による高度人材の専門的活動研究機関、大学、企業の専門職直接雇用・役員等(優遇措置あり)

「就労ビザ」は在留資格の総称であり、審査では職務内容・専門性・受入機関の適法性・報酬水準の整合性が確認されます。契約社員・派遣社員としての受入れ可否は、当該在留資格で許される活動の範囲に適合しているかを基準に個別判断されます。

2. 就労ビザにおける契約社員と派遣社員の違い

在留資格の審査は「正社員・契約社員・派遣社員」といった雇用形態の名称ではなく、職務内容の専門性・学歴や実務経験との整合性・報酬水準・受入機関の法令遵守に基づいて判断されます(制度の全体像は出入国在留管理庁 在留資格一覧を参照)。一方で、派遣の場合は三者関係の適法性(労働者派遣法の遵守)や契約関係の立証が加わる点が大きな違いです(制度解説は厚生労働省 労働者派遣事業を参照)。

確認事項契約社員(直接雇用)派遣社員(派遣元雇用)
雇用主受入企業(就労先)そのもの派遣元事業主(就労先は派遣先)
指揮命令受入企業が直接派遣先が現場で指揮命令(契約・法令に基づく)
主な立証書類雇用契約書、職務記述書、給与規程、体制図雇用契約書、個別派遣契約書、就業条件明示書、体制図(派遣元・派遣先)
審査の焦点職務の専門性と学歴/実務経験の適合、報酬の相当性、継続性三者関係の適法性(派遣法遵守)、就業先での職務の適合、配転・派遣切れ時の雇用安定
典型的リスク職務が単純労働に近い、報酬が低い、体制不備偽装請負・二重派遣、契約書不備、派遣先変更の頻発や職務逸脱

2.1 直接雇用の契約社員の位置付けと審査ポイント

契約社員(有期・無期いずれも可)は、受入企業が雇用主となり、在留資格の告示基準に適合する専門的職務であること、学歴や実務経験との整合性、そして日本人と同等以上の報酬水準が確認されます。雇用期間が有期でも、職務の継続見込みや更新方針、体制(社会保険加入、給与支払、監督体制)が明確であれば許可は可能です。

契約社員の場合の肝は、職務内容の専門性と報酬の相当性を客観資料(職務記述書、組織図、賃金規程、過去の採用実績等)で示し、単純作業中心ではないことを疎明する点です

2.2 派遣社員の位置付けと派遣元派遣先の関係

派遣社員は派遣元が雇用主で、実際の就業場所は派遣先です。入管審査では、派遣元と派遣先の契約関係、就業先での職務内容が在留資格の範囲に収まっているか、労働者派遣法や職業安定法に適合しているかが確認されます(制度解説は厚生労働省 労働者派遣事業)。

具体的には、雇用契約書と個別派遣契約書の整合、就業条件明示、指揮命令系統の明確化、派遣先で実際に従事する職務の専門性、配転や派遣先変更時の手続と届出の適正、雇用継続の仕組み(待機時の賃金取扱い等)が審査ポイントになります。

2.2.1 常用型派遣と登録型派遣の違い

常用型派遣は派遣元と通年の雇用関係(無期または長期の常時雇用)を前提とし、配転先が変わっても雇用が継続します。登録型派遣は案件単位の有期雇用が一般的で、待機期間の取り扱いが明確でないと雇用の継続性に疑義が生じやすくなります。

在留審査ではいずれの派遣形態も許可自体は可能ですが、登録型では待機時の賃金・社会保険・更新方針など雇用安定の実効性をより具体的に示す必要があります

2.2.2 客先常駐と請負の線引き

客先常駐が適法な派遣か、実質が請負かは「指揮命令関係」で判断されます。派遣は派遣先が労働者に直接指揮命令し、請負は受託側が自己の指揮命令下で成果物に責任を負います。実態が派遣なのに請負と装う偽装請負や、派遣先からさらに別企業へ出向く二重派遣は、労働者派遣法違反のリスクがあります(制度解説は厚生労働省 労働者派遣事業)。

入管は契約書の形式だけでなく現場の指揮命令実態を重視するため、線引きが不明確な案件は不許可や更新不利の要因となり得ます。実態に即した契約(派遣契約か請負契約か)の選択と、就業場所・職務範囲・指揮系統の明記が不可欠です。

3. 法務省ガイドラインに基づく在留資格の判断基準

就労系在留資格の審査は「告示基準(基準省令・法務省告示)」とその運用である「審査要領」に基づき、職務の専門性、学歴・実務経験の整合、報酬水準、受入機関の体制・法令遵守の4軸で総合判断されます。

雇用形態が契約社員か派遣社員かにかかわらず、核心は「職務内容が在留資格の想定業務に適合し、適法な雇用・指揮命令関係と適切な労働条件が担保されているか」です。

3.1 告示基準と審査要領の確認事項

審査で重視される主な観点と典型資料、却下リスクを整理します。

観点告示基準の要点審査要領の確認資料典型的リスク
職務内容の適合単純労働を除き、専門知識・技能を要する業務であること職務記述書(JD)、業務フロー、就業場所、指揮命令系統の説明書実態が現場作業・受付・軽作業等に偏重/請負と偽装された労働者派遣
学歴・実務経験専攻との関連性または所定年数の実務経験卒業証明・成績証明・シラバス、職歴証明、資格証明専攻不一致/経験年数不足/経験の立証不備
報酬水準日本人と同等以上かつ生活維持に足る報酬雇用契約書・労働条件通知書、賃金規程、給与テーブル、見込み年収内訳地域相場を大きく下回る/出来高のみ/不透明なみなし残業
雇用関係の適法性労働法令・社会保険の適正な適用社会保険適用状況、就業規則、雇用保険・源泉徴収の運用社保未加入/名ばかり個人請負/実労働時間の乖離
派遣・請負の適法性派遣法・職業安定法の遵守、二重派遣の排除派遣元許可証、個別派遣契約書、派遣元管理台帳、指揮命令系統の明確化偽装請負/多重派遣/みなし雇用の発生
受入機関の継続性安定的な事業運営と監督体制直近決算書、納税証明、コンプライアンス体制、教育・評価制度債務超過の常態化/人事・監督体制の未整備

告示基準は形式充足だけでなく、実態(業務の中身・指揮命令・就業場所)が資料一式で首尾一貫して説明できるかが決め手です。

3.2 学歴・実務経験・専門性の要件

代表的な就労系区分では、次のいずれかで専門性を立証します。

  • 技術・人文知識:大学卒またはこれと同等以上で専攻と職務が関連、もしくはおおむね10年以上の実務経験
  • 国際業務:原則3年以上の実務経験。通訳・翻訳・語学指導などは学歴で代替可(職務の内容・水準の説明が前提)

立証の要は「関連性」と「経験の実在性」です。シラバス・研究概要、実務の成果物、在職証明・職務内容証明、推薦状、資格・認定の証拠を組み合わせ、時系列で整合させます。

専攻名や職種名の一致よりも、業務遂行に必要な知識・技能が学修や経験で獲得されていることを具体的資料で示すことが重要です。

3.3 職務内容と報酬水準の整合性

職務は在留資格の想定業務に該当し、実態として専門性を要することが必要です。就業場所・配置転換・委託先常駐(客先常駐)の有無と指揮命令系統を明示し、単純作業への大幅な割当がないことを示します。

報酬項目取扱いの目安立証資料
基本給・職能給日本人同等以上が原則雇用契約書、賃金規程、給与テーブル
残業代・各種手当合理性・支給基準の明確化が必要労働条件通知書、就業規則、みなし残業の根拠
賞与・インセンティブ固定報酬が生活維持水準を満たすことが望ましい支給実績、評価制度文書

地域・業界の相場から乖離が大きい場合は合理的説明(職務水準、等級、勤務地、所定労働時間)を添えます。

報酬は「額」だけでなく「基準の透明性」と「日本人対比の公平性」を示すことで審査の信頼性が高まります。

3.4 受入機関の体制と法令遵守

受入機関(雇用主・派遣元)は、労務・税務・社保・個人情報保護を含むコンプライアンス体制を整備していることが前提です。社会保険適用、源泉徴収、労働時間管理、ハラスメント防止、教育・評価、情報セキュリティ等の内部規程と運用実績を提示します。

派遣の場合は、派遣元許可の有効性、個別派遣契約書、派遣元管理台帳、派遣先指揮命令の明確化、同一労働同一賃金への対応、マージン率の公開など、労働者派遣法に基づく適正運用を示します。

受入機関の信頼性(財務の健全性と法令遵守)は、個々の応募者の要件充足と同程度に許可可否を左右します。

4. 主要な在留資格と契約社員派遣社員の適合性

本章では、採用形態(契約社員・派遣社員)と主要な在留資格との整合性を、実務の申請で問われる観点に絞って簡潔に整理します。ポイントは「従事する業務の専門性」「雇用・委託の法律関係の明確性」「受入機関の法令遵守」の三位一体で説明できることです。

在留資格契約社員の可否派遣社員の可否主な適合ポイント典型的なNG例
技術・人文知識・国際業務可(職務が専門的・技術的であること)可(派遣元が雇用主、職務と指揮命令の整理が適法であること)学歴・実務経験と職務の合致、適正な報酬、派遣法遵守単純労働、偽装請負・二重派遣、職務不一致
高度専門職可(ポイント制要件を満たすこと)可(実質は技人国同様に適法な派遣形態に限る)高度な専門性・年収水準・研究開発/管理等の実質実務が補助的・単純作業に偏る配置
企業内転勤可(同一企業・グループ内の配置転換)原則想定外(グループ外への人材供給は不可)海外本社等との人事異動、職務は技人国相当他社常駐の請負・派遣前提の転勤
特定技能可(原則は直接雇用の有期契約)原則不可(制度上の例外があっても要件は限定的)対象分野・業務限定、支援体制・日本語要件対象外業務への従事、登録支援体制の不備

4.1 技術・人文知識・国際業務の適用可否

「技術・人文知識・国際業務(いわゆる技人国)」は、大学等で修得した知識や相当の実務経験に基づく専門的・技術的・国際業務に従事する在留資格です。契約社員・派遣社員のいずれでも取得可能ですが、実体が専門業務であること、報酬が日本人と同等以上であること、雇用・派遣の法令を遵守していることが前提になります。

4.1.1 契約社員での許可取得の典型例

ITエンジニア(アプリ開発、インフラ設計)、機械設計・品質保証、マーケティング・市場分析、法務・会計の専門職、通訳・翻訳などが典型です。学歴(専攻)や実務経験と職務内容が対応し、就業先が適正な労務管理と報酬水準を示せれば、契約期間が有期でも許可は十分に見込めます。

4.1.2 派遣社員での許可取得の要件と注意点

派遣元が雇用主であること、派遣契約と就業条件が適法であること(労働者派遣法・職業安定法の遵守)、派遣先での職務が技人国の専門性要件に該当すること、指揮命令系統が明確で偽装請負や二重派遣に当たらないことが必要です。単純作業が中心の配属、職務が頻繁に変動して専門性の継続性が担保できない場合は不許可のリスクが高まります。

4.2 高度専門職の要件と評価項目

「高度専門職」はポイント制により学歴・職歴・年収・研究実績・企業規模等を総合評価する在留資格で、研究・開発、専門・技術、経営管理などの高度業務を想定します。契約社員でも可ですが、職務内容が高度であること、待遇・研究環境等が相応であることが重要です。派遣での受入れは制度上可能な場面があっても、実務は技人国と同水準以上の適法性・専門性の立証が求められ、受入れ体制の説明責任が重くなります。

4.3 企業内転勤の対象と要件

「企業内転勤」は、海外の本店・支店・子会社等から日本の同一企業・グループ内の事業所に転勤し、技人国相当の業務に従事する形態を対象とします。雇用主や報酬の支払主体はグループ内で整理されていることが望ましく、配属先は原則として同一企業・グループ内に限られます。他社への人材供給(派遣・請負前提)を伴う転勤は想定されておらず、配置がこれに当たる場合は制度適合性を欠きます。

4.4 特定技能の対象分野と派遣の可否

「特定技能」は人手不足分野の一定の熟練・技能を要する業務に従事するための在留資格です。多くの分野で受入れは直接雇用(有期契約)を基本としており、派遣型の雇用は制度上認められないのが原則です(制度上の例外が設定される場面でも、要件は厳格で実務ハードルが高いのが通例)。契約社員としては分野・業務限定、支援体制、適正な労働条件、日本語能力などの基準を満たすことが必要です。

5. 就労ビザの実例で理解する可否判断

出入国在留管理庁の在留資格一覧に示される告示基準の考え方に沿い、現場で頻出する事例を簡潔に整理します。可否は「職務内容の専門性」「学歴・実務経験との整合」「報酬水準」「雇用関係・派遣関係の適法性」で総合判断されます。

5.1 ITエンジニア契約社員の許可事例

情報系学位を持つ留学生が、ソフトウェア開発会社の契約社員として要件定義・設計・実装を行うケース。雇用期間は1年更新だが、更新前提の直接雇用で、固定給が同業水準以上。

「技術・人文知識・国際業務」の該当性は、学歴(情報工学等)やプログラミング・設計等の専門業務で明確に裏付けられ、報酬水準が日本人同等以上であれば許可相当です。

審査の着眼点具体例判断
学歴・実務経験情報系学士、インターンでの開発経験基準充足
職務内容要件定義・基本設計・コーディング(自社開発・受託)専門性あり
雇用形態直接雇用の契約社員(更新前提・社会保険完備)安定性評価可
報酬水準新卒モデル以上(固定給+時間外手当)同等性確保

申請は在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請のいずれでも可。職務記述書と体制図で専門業務であることを明確化します。

5.2 通訳・翻訳 派遣社員の許可事例

語学系学位を有する外国人が、派遣元に雇用され、派遣先で技術文書の翻訳・会議通訳を行うケース。派遣元が労働者派遣の許可事業者で、派遣先での業務管理・指揮命令が適法に運用。

派遣形態でも、通訳翻訳など「国際業務」の専門性が明確で、派遣元の雇用管理と報酬の安定性、労働者派遣法の遵守が担保されていれば許可は見込めます。

確認事項求められる実態リスクと対応
専門性会議通訳・技術翻訳・多言語ドキュメント作成一般事務代替は不可
雇用安定派遣元での常用雇用、待機時の賃金支払い登録型のみ・無給待機は減点
適法性個別派遣契約・就業条件明示・指揮命令系統の明確化偽装請負・二重派遣は不許可要因

客先常駐であっても、職務が専門業務に限定され、派遣元が雇用主として人事・労務管理を担っていることの立証が鍵です。

5.3 製造ライン派遣の不許可事例と代替案

留学生が派遣会社に雇用され、工場の組立・検査・梱包といった単純反復作業に従事するケース。

「技術・人文知識・国際業務」は高度な専門性が要件であり、製造ラインの単純作業は該当せず、派遣であるかにかかわらず不許可が通例です。

不許可理由代替案留意点
専門性の欠如特定技能1号(製造分野)への在留資格変更特定技能制度の技能試験・日本語試験合格が必要
職務の不適合品質管理・生産技術などの専門職へ職務転換学歴・実務経験と職務の整合が必須
雇用形態特定技能は原則「受入れ機関との直接雇用」派遣就労は原則不可のため契約スキーム再構築

特定技能を選ぶ場合は、受入れ機関の体制整備と支援計画の適正化が前提となります。

5.4 一般事務職派遣の判断事例

外国人が派遣先で資料作成・データ入力・電話対応等の一般事務に従事するケース。

単純な一般事務は「人文知識」に該当せず不許可が多い一方、貿易実務や会計など専門知識を要する事務であれば職務の特定と体制の説明次第で許可可能性があります。

業務例評価可否のポイント
データ入力・庶務・備品管理不可相当専門性なし、代替性が高い
貿易実務(インコタームズ・通関書類作成)可相当国際取引の専門知識、語学運用
経理(月次決算・税務補助)可相当会計・税務の専門性、実務経験

派遣で申請する場合、派遣元が雇用主であること、職務が派遣先で専門業務に限定されること、報酬と就業条件が日本人同等であることを、契約関係と職務記述で客観的に示すことが重要です。

6. 就労ビザ申請に必要な書類と作成のコツ

就労系の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務、高度専門職、企業内転勤、特定技能など)の申請では、手続(在留資格認定証明書交付・在留資格変更・在留期間更新)に共通する基礎書類に加え、雇用形態ごとの立証資料を整えることが重要です。提出資料は「職務内容と該当性」「報酬水準と支払能力」「受入体制と法令遵守」を一貫したストーリーで示すように作成・整理することが審査の肝要です。

書類目的作成・収集のコツ
申請書(該当様式)・写真本人同一性・手続の特定最新様式を使用し、記載の整合(雇用主名・所在地・職務)を他資料と一致させる。
パスポート・在留カード(保有者)在留状況の確認有効期限・氏名表記を他書類と統一。
雇用契約書/労働条件通知書契約関係・報酬・勤務地の立証雇用主、契約期間、職務、賃金、就業場所を明記。署名・押印・日付の不備をなくす。
職務内容説明書・雇用理由書該当性(専門性)の説明日常業務を具体化(割合・ツール・取引先層)。学歴・経験との因果関係を明示。
学歴・資格証明/実務経験証明告示基準の要件立証卒業証明・成績証明、在職証明・職務記述を英和いずれも読み取れる形で(必要に応じ公的翻訳)。
受入企業資料(登記事項証明書、直近決算書、会社案内)事業実体・継続性の説明最新期の数値、事業内容・主要取引先を簡潔に。新設は事業計画・資金裏付けを補足。
報酬関連(給与規程、賃金台帳・支払実績)相当性・支払能力の裏付け同種社員の水準比較を示し、社会保険加入状況と矛盾しないよう整合。
社会保険・源泉徴収の状況法令遵守の確認適用事業所番号、納付状況の証憑を用意。未加入リスクは事前に解消。
履歴書・職務経歴書人材の適格性空白期間の説明、プロジェクト成果・役割を定量化。

書類は「誰が・何のために・どこで・どの条件で働くか」を重複・矛盾なく示す構成にし、翻訳・金額・名称の表記ゆれを防ぎます。

6.1 契約社員の必要書類とチェックポイント

契約社員(直接雇用)は受入企業が雇用主となるため、契約と職務の具体性、報酬水準の相当性、企業の事業実体を中心に立証します。

書類発行主体チェックポイント
有期雇用契約書受入企業期間、更新有無・条件、試用期間の扱い、勤務地(出向・在宅の有無)を明記。
労働条件通知書受入企業所定労働時間、時間外・深夜の取扱い、賃金締支・支払日を契約と一致させる。
職務内容説明書(Job Description)受入企業担当業務、使用言語・ツール、社内ポジション、指揮命令系統を具体化。
学歴・資格/実務経験証明本人・前職要件(学士等または実務経験年数)に対応。証明者の連絡先を明確に。
会社の登記事項証明書・決算書受入企業最新を添付。赤字でも事業継続性の補足(資金繰り、受注残)。
給与規程・賃金水準の根拠受入企業同職種の社内水準、業界相場との整合を資料化。

有期契約でも許可は可能ですが、更新の見込みや中長期の人材活用計画を雇用理由書で簡潔に説明すると整合性が高まります。

6.2 派遣社員の必要書類と契約関係の証明

派遣社員は派遣元が雇用主となり、派遣元・派遣先・本人の三者関係を明確にする資料が必須です。就労内容は派遣先の業務に依拠するため、在留資格該当性の説明は派遣先資料を中心に具体化します。

書類発行主体チェックポイント
雇用契約書(派遣元—本人)・就業条件明示書派遣元賃金・勤務地(派遣先名・所在地)・指揮命令系統の明示。期間と更新条件。
労働者派遣契約書(個別)派遣元・派遣先業務内容、就業場所、指揮命令者、料金・賃金の関係、期間・時間数の整合。
派遣先の業務記述書・受入体制説明派遣先日常業務、使用ツール、教育・監督体制、コンプライアンスの仕組み。
学歴・資格/実務経験証明本人・前職派遣先業務との関連性を明確化(例:IT資格、語学要件など)。
派遣元の事業実体資料派遣元登記事項証明書、直近決算、労働者派遣事業の許可情報、社会保険加入状況。

派遣は「偽装請負」「二重派遣」の疑義があると審査が厳格化します。契約書・業務指示の流れ・成果物の帰属を一貫させ、請負との線引きを明確化してください。

6.2.1 派遣元管理台帳と個別派遣契約書

派遣元管理台帳は、派遣社員ごとの就業条件・派遣先・期間等を記録するもので、申請時に抜粋の提出を求められることがあります。個別派遣契約書は派遣先で従事する具体業務の根拠書類です。

  • 派遣元管理台帳:氏名、派遣先、就業場所、期間、就業日・時間、賃金等を最新化。
  • 個別派遣契約書:業務内容、指揮命令者、情報管理・秘密保持、安全衛生を明記。

機密事項がある場合は、重要度が低い金額条件等のみマスキングしつつ、業務内容と就業場所、指揮命令系統は判読できるように提出します。

6.2.2 就労資格証明書の活用

在留期間中に転職や派遣先変更がある場合、現在の在留資格で従事可能な活動かを事前に確認するため、就労資格証明書の交付申請を活用できます。審査で職務の該当性・雇用関係の適法性が確認されるため、雇入れ前の不確実性を低減できます。

  • 適用場面:転職、派遣先変更、職務内容の大幅変更。
  • 提出例:雇用(派遣)契約書、職務内容説明書、受入企業(派遣先)資料。
  • 留意点:在留資格変更が必要と判断される場合は、証明書ではなく変更許可申請を優先。

就労資格証明書で「できること・できないこと」を先に可視化してから入社・配属を決定すると、在留手続と人事実務の齟齬を最小化できます。

7. 派遣法と職業安定法の遵守がビザ審査に与える影響

就労ビザ(例:技術・人文知識・国際業務 等)で派遣・準委任・請負に関わる雇用形態を採用する場合、入管は労働者派遣法(以下、派遣法)と職業安定法(以下、職安法)の適法性を重視して実態審査を行います。雇用関係と指揮命令系統が明確で、許可・契約・運用が法令に適合していることが示せないと、在留資格認定・変更・更新のいずれでも不許可や追加照会の対象になりやすくなります。

該当法令主な確認ポイント違反が疑われる兆候ビザ審査への影響求められやすい資料
労働者派遣法派遣元の事業許可・指揮命令系統・個別派遣契約の適法性・期間制限・同一労働同一賃金の運用請負契約なのに派遣先が日常的に指揮命令/二重派遣の疑い/派遣元許可の不備実態が違法派遣・偽装請負の場合は不許可または厳格な追加資料要求派遣元許可証の写し・個別派遣契約書・就業条件明示書・派遣先管理台帳
職業安定法労働者供給事業の禁止・中間搾取の禁止・有料職業紹介との区分多重派遣/名義貸し/手数料や料金の不透明な流れ雇用主や報酬の帰属が不明確となり、雇用実態の不一致で不許可リスク資金・業務フロー図・請求書と給与の対応関係・取引基本契約

上記に加え、業務内容の専門性と在留資格の告示基準の整合性、報酬水準の妥当性、社会保険加入・労務管理体制も併せて確認されます。

7.1 偽装請負と二重派遣のリスク

偽装請負は、形式上は請負・準委任であるにもかかわらず、実態として派遣先が指揮命令し、労働力の提供になっている状態を指します。二重派遣は、派遣労働者を別の派遣元へさらに派遣する形態で、いずれも法令違反となり得ます。これらが疑われると、雇用関係と指揮命令系統の乖離が生じ、入管審査では「契約と実態の不一致」として厳しく評価されます。

観点適法な派遣偽装請負の疑い
指揮命令派遣先が業務上の指揮命令を行う請負と称しつつ派遣先が日常的に指示
契約当事者派遣元・派遣先間で個別派遣契約請負契約のみで労務提供の実態
管理責任労務管理は派遣元、業務指示は派遣先就業規則・勤怠・人事評価を派遣先が直接管理
必要許可派遣元の派遣事業許可が有効許可なしで実質派遣(違法)

不適正が疑われる案件では、派遣元許可の有効性、個別派遣契約の範囲、現場での指揮命令系統、就業場所・業務内容の特定性を示す資料を整え、雇用主と就労先の関係を明示することが重要です。二重派遣の回避として、派遣元を単一化し、受託・再委託の流れを業務委託(成果物)と派遣(労務)で厳格に分離しましょう。

7.2 みなし雇用と多重派遣の注意点

派遣法上の「労働契約申込みみなし制度」が発動すると、派遣先から当該労働者への労働契約申込みがあったものとみなされる場合があります。みなし雇用が成立すると、実質的な雇用主が派遣先に移行し、在留資格上の所属機関が変わるため、速やかな届出や在留資格変更の検討が不可欠です。

事象主な法的帰結入管実務上の要点
みなし雇用の成立派遣先が雇用申込みをしたものとみなされる所属機関の変更に伴う届出/必要に応じ在留資格変更を検討
多重派遣労働者供給・中間搾取の疑いで違法リスク雇用主・賃金の帰属不明で不許可・更新不利。契約と資金の流れを一本化
運用是正契約・役割の再設計と許可要件の再確認派遣元許可・個別契約・賃金台帳・社会保険加入状況の適正化を疎明

派遣法・職安法の遵守は、在留資格の告示基準の充足を前提づける基盤です。雇用主の一貫性、法定書類の整備、実態と契約の一致を徹底し、疑義の余地を残さない提出資料で審査の不確実性を低減してください。

8. 在留手続の流れとスケジュール感

就労ビザ(就労可能な在留資格)の手続は、初めて来日する場合(在留資格認定証明書→査証→上陸)と、日本に在留中に職務や契約形態が変わる場合(在留資格変更許可・在留期間更新許可)で流れとスケジュール感が異なります。契約社員(直接雇用)と派遣社員(派遣元雇用)では、受入機関・提出資料の構成が変わるため、準備に要する期間にも差が生じます。採用内定から就業開始までを逆算し、標準処理期間や渡航・入社の手配を含めて余裕を確保することが重要です。

8.1 在留資格認定証明書の申請手順

海外から新規入国する場合は、受入機関(契約社員なら雇用主、派遣社員なら派遣元)が中心となり、地方出入国在留管理局で在留資格認定証明書(COE)を申請し、交付後に本国等の在外公館で査証申請を行います。申請取次(行政書士等)を活用すると書類整備や照会対応が円滑になることがあります。

段階主な内容主な関与者契約社員/派遣社員の要点
1. 内定・条件確定職務内容・勤務地・報酬・契約期間の確定受入機関、本人契約社員: 雇用契約書案の整備/派遣社員: 派遣元で雇用条件を確定し予定派遣先・就業場所を明示
2. 書類準備学歴・職歴・職務説明書、会社概要資料等受入機関、本人派遣社員は派遣元–派遣先の関係資料(基本契約、個別派遣契約予定、管理体制)が増える
3. COE申請地方出入国在留管理局へ提出(取次可)受入機関、取次者審査は職務の専門性・報酬水準・体制・法令遵守を総合判断
4. 交付・送付COE交付後、本人へ原本送付受入機関交付前に渡航日を確定しすぎない
5. 査証申請在外公館で就労査証を申請本人必要書類は公館の案内に従う
6. 入国・上陸上陸許可・在留カード交付(空港交付対象空港)本人在留カード記載の在留資格・期間・就労制限を確認
7. 就業開始準備住民登録・各種社会保険手続・雇用手続本人、受入機関派遣社員は就業場所・指揮命令系統の適法性を最終確認

具体的な処理期間や必要書類は案件や管轄により異なるため、最新の手続案内は出入国在留管理庁の公式情報で必ず確認してください。

8.2 在留資格変更許可と更新許可の進め方

日本に在留中に職務・雇用形態が変わる場合は在留資格変更許可、同一の在留資格・活動で在留期間を延長する場合は在留期間更新許可を申請します。契約社員から派遣社員(またはその逆)に切り替える場合は、受入機関の範囲や就業場所・指揮命令関係が変わるため、契約関係と職務の専門性の整合を資料で明確化します。

区分主な対象申請時期の目安審査中の就労留意点
在留資格変更許可活動内容・受入機関が変わる(例: 一般企業→派遣元雇用)就業開始予定の前に十分な余裕をもって原則、許可が出るまで新たな活動は不可新旧の職務比較、学歴・実務経験の適合性、報酬水準、法令遵守体制を立証
在留期間更新許可同一在留資格で継続就労(契約更新・延長等)有効期間満了の相当前から準備し、期限内に申請期限内申請なら結果が出るまで従前の在留資格で就労継続可直近の納税・社会保険加入状況、雇用契約継続の資料を整備

派遣社員は、派遣元の体制(雇用管理・指揮命令系統・派遣先の適法性)、就業場所や職務の特定性、個別派遣契約書の整合が審査の要になります。契約社員は、雇用契約書・職務説明書・会社概要の整合と報酬の妥当性を明確化します。

8.3 不許可時の対応と再申請のポイント

不交付・不許可の場合は、通知書に基づき窓口で説明を受け、不足・不整合・適合性不足のどこが問題だったのかを具体的に把握します。同一資料のままの再提出は避け、職務内容・契約関係・体制整備・実績等を補強したうえで再申請することが重要です。

対応ステップ目的典型的な補強資料
1. 事実関係の整理審査で疑義となった点を特定詳細な職務説明書、組織図、就業場所・指揮命令関係の図示
2. 要件の再適合学歴・実務経験・専門性の適合性を明示学位証明・履修内容、職務経歴書、実務証明、研修計画
3. 契約・体制の是正報酬水準・法令遵守体制の整合雇用契約書・労働条件通知書の修正、派遣元管理台帳、個別派遣契約書、社会保険加入・納税状況
4. 再申請事情変更や資料補強を反映して提出理由書・改善点の説明、最新の会社資料・収支状況

COEが不交付でも在留中の地位に影響はありませんが、渡航計画は見直しが必要です。変更・更新の不許可で在留期間が満了する場合は、在留期限の管理を最優先とし、退職・出国手続や別の在留資格の選択肢を受入機関と検討します。最新の手続や判断枠組みは出入国在留管理庁の案内で確認してください。

9. よくある質問と回答

9.1 契約期間が有期でも就労ビザは取得できるか

取得は可能です。就労系の在留資格(例:技術・人文知識・国際業務・高度専門職・企業内転勤・特定技能など)は、契約期間が有期でも、告示基準(法務省)と審査要領に適合し、職務内容・学歴や実務経験の専門性・報酬水準・受入機関の体制が整っていれば許可対象です。

在留期間は審査で決定されます。有期契約の場合は、契約書の期間と更新見込み、雇用継続の合理性(配置計画・事業計画・過去の更新実績等)が重視されます。書類は雇用契約書、職務記述書、賃金規程の写し、会社の法令遵守状況(労働者派遣法・職業安定法等)の説明を整えると審査が円滑です。

9.2 派遣先が変わる場合の届出と影響

派遣型で在留する場合、所属機関(雇用主)は派遣元です。派遣先のみが変わるときは、原則として「所属機関等に関する届出」の対象ではありません。一方、派遣元が変わる(転職する)・離職する場合は届出が必要です。また、派遣先変更に伴い職務が単純労働へ逸脱したり、報酬水準が不相当に低下すると、在留資格の活動要件違反のリスクがあります(偽装請負・二重派遣の回避を含め、労働者派遣法の適正運用が前提)。

事象届出の要否推奨対応在留資格への影響
派遣先のみ変更(派遣元は同一)原則不要個別派遣契約書に業務内容を明確化し、告示基準適合(専門性・職務内容・報酬)を確認。必要に応じ就労資格証明書で立証強化。適合していれば影響軽微。単純労働化・偽装請負は不許可・取消リスク。
派遣元の変更(転職)必要(14日以内の所属機関等に関する届出)新旧の雇用契約書・職務記述書を整備。在留資格変更許可や更新許可に備え、受入体制・報酬水準の資料を準備。審査で不整合があると更新不許可の可能性。
離職・無職期間の発生必要(14日以内に離職の届出)早期に新雇用先の確保。長期の無活動が見込まれる場合は在留資格変更も検討。正当な理由なく3か月以上活動しないと取消対象となり得る。

9.3 副業や兼業の可否と資格外活動の扱い

就労系の在留資格で許されるのは、原則として当該在留資格の活動内容に合致する業務です。同一の在留資格の範囲内(例:技術・人文知識・国際業務に適合する専門業務)であれば、複数の雇用主・業務委託であっても構いませんが、主たる活動を阻害せず、契約関係・報酬水準・社会保険等が適法であることが前提です。

在留資格の範囲外の副業(例:単純労働、飲食店ホール、配達など)を行う場合は、事前に「資格外活動許可(個別許可)」が必要です。無許可で従事すると入管法違反になります。長期的に主たる活動自体が変わる場合は、在留資格変更許可で適合する在留資格への切替えを検討します。なお、特定技能は原則として受入機関との直接雇用・フルタイムが前提で、兼業や副業は想定されていません。

副業・兼業や転職の適否が曖昧なときは、就労資格証明書で適法性を確認しておくと更新・在留資格変更時のリスク低減に有効です。

10. まとめ

結論として、就労ビザの可否は「契約社員か派遣社員か」という雇用形態の名称ではなく、法務省の告示基準と審査要領に照らした「活動内容の適合性」「学歴・実務経験の裏付け」「報酬水準の妥当性」「受入機関の適法性と管理体制」の四点で決まる。

契約社員は直接雇用であり、職務が在留資格(例:技術・人文知識・国際業務)に該当し、学歴または実務経験が対応、報酬が日本人同等なら許可の可能性が高い。期間が有期でも、活動と要件が満たされていれば取得は可能である。

派遣社員は三者関係の適法性が審査の核心で、労働者派遣法・職業安定法の遵守、偽装請負や二重派遣の排除、指揮命令系統の明確化、契約・運用の実在性を立証できないと不許可リスクが高い。客先常駐でも在留資格の活動に合致し、派遣スキームが適法であれば許可はあり得る。

技術・人文知識・国際業務では、通訳翻訳、ITエンジニア、貿易実務など専門性の説明が要で、専門性を要しない製造ライン等の単純労働を主とする派遣は不適合になりやすい。特定技能は原則として直接雇用が前提で、派遣は原則不可。高度専門職はポイント制だが、活動内容の適合と受入体制の実効性が大前提。企業内転勤は同一企業・企業グループ内の配置転換が要件である。

書類面では、契約社員は雇用契約書・職務記述書・会社概要・決算書等で「職務と要件の紐付け」を明確化。派遣社員はこれに加え、派遣元管理台帳、個別派遣契約書、就業条件明示書、就労場所・期間・指揮命令系統の説明資料を整える。

報酬は日本人同等以上であることを賃金規程や給与テーブル、内定通知で裏付け、社会保険・源泉徴収の加入運用を示す。受入機関の法令遵守状況(未払残業・保険未加入・違法派遣の有無)は審査に直結する。

手続は、海外在住なら在留資格認定証明書、在留中の雇用形態変更なら在留資格変更許可、継続就労は更新許可を選択。不許可時は理由を精査し、職務設計・契約関係・資料の補強で再申請に臨む。

要するに、就労ビザは「肩書き」ではなく「活動実態」と「適法な受入れ体制」で決まる。法務省ガイドラインに沿って、専門性の根拠、報酬の妥当性、契約・運用の適法性と実在性を一貫して立証することが、契約社員・派遣社員いずれにおいても最短の合格ルートである。

  • この記事を書いた人

行政書士 松浪 正治

ビザ申請を専門にしている大阪府枚方市の行政書士です。 オンライン申請により全国対応可能です。

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